週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「マルケスのパスがおかしかったのではないか、という話の続きやな」 「そうらしい」 「この試合でマルケスが前を向いて出したパスの一覧は下のようになる」 (2:04 GK、ドログバ、空中、マルケス、エトー(○)) 04:43 メシへパス、左足で右サイドフェイク、右足で中(○) 06:04 敵陣中までドリブル、パスミス 14:45 斜め前へロング、クリア 15:53 アウベスへパス 15:58 アウベスへパス 17:59 シャビへパス 18:15 シャビへパス 19:48 ピケへパス 20:04 シャビへパス 21:41 ピケへパス 24:42 ライン際、シャビへパス 27:00 ライン際、トゥレへパス 28:15 エトーへパス、正面から中央へ変換(○) 29:29 サイドから中、逆サイドへ長く、クリア、コーナー 32:47 メシにパス 33:55 アウベスに横パス 「ほう」 「○印がいわゆるマルケスらしいパスで、前半合計は3本で、5分以降に絞ると、40分間で1本しかない」 「うむ」 「これはどうしたことかと」 「まあ、動き出しが合わなくて出しづらかった、とかそんなんちゃうか」 「まあ、そうかもしれんけど、下の写真が理由の一つではなかろうかと思うんやけどな」 「どういうことや」 「下のパスを使うと、体全体としては、左方向に回転するわけやろ」 「そうやな」 「そうなると、キックの後、軸足である左足でその回転を支えなければならない」 「そうなるわな」 「この試合、マルケスは後半開始直後に突然倒れ、負傷退場した」 「48分の出来事やな」 「診察の結果、軸足となる左膝の半月板が内側、外側ともに損傷していたらしい」 「言いたいことは読めてきたで」 「おそらく、試合前から膝の具合が相当悪くて、それで、上のようなパスを出しづらかったのではないか、と推測されるわけや」 「あくまでも推測の域を出ん話やな」 「もちろんそうやけどな」 「しかし、マルケスの負傷は痛いな」 「痛いとかそういうレベルの話ではないほど痛いな」 「やっぱり痛いんやないか」 「マルケスがいなくなって、どうやってチェルシーを崩すよ」 「やっぱりピケの方から行きたいところやけどな」 「行けるかね」 「例えば、下のバリエーションやな」 「前半か」 「イニエスタがアビダルにバックパス」 「それをエシエンが外に膨らみながら詰める」 「ピケにパス」 「前にドリブル」 「例によって、誰も寄せてこない」 「左サイドのアンリにパス」 「無事にパスが通る」 「これがどうした」 「要するに、下のパスの射線が通ってるやろ」 「そうやな」 「前の例では、エシエンが邪魔で通せなかった」 「ふむ」 「イニエスタを経由してアビダルに戻したことで、エシエンのポジションがずれ、結果として通るようになったわけで、それを利用していきたい」 「それはどうやろ」 「例えば下の形やな」 「イニエスタが点線のように縦を突いて、ピケはそこにパスフェイク、方向を変えてアンリか」 「そうすれば、サイドのイワノビッチは中に釣られるから、アンリは余裕のある状態でボールを受けることができる」 「この状況ならそうやけどや」 「なんか文句でもあるんか」 「いや、後から言うわ」 「感じ悪いな」 「その話の前に、ピケが持った時の別の選択肢も考えてみないかね」 「別にええけどやな」 「まず、下の形で持った時、センタースポット手前のトゥレへパスが通りそうな気がする」 「それはあかんな」 「下の形でドログバとランパードに食いつかれるので、ボールをキープするのは非常に難しい」 「実例が6分40秒にありますので、ビデオをお持ちの方はご覧いただければと」 「それなら、トゥレを離して、ドログバとランパードの間にシャビやイニエスタを引かせたらどうか」 「これは、ミケルが許してくれない」 「ただ、いつでも完全にマークできるわけではないので、有効でないこともない」 「17分12秒にバルサが上手く崩した例がありますので」 「ビデオをお持ちの方はご覧いただければと」 「それなら、アウベス、メシへの展開はどうか」 「ボジングワ、マルダがマンツー気味についているので厳しい」 「前に見たように、アンリへのパスはエシエンが遮断している」 「あとは、ラインの裏に出るエトーに合わせるくらいか」 「ピケはそのパスをほとんど出さんな」 「苦手なのかもわからんな」 「そうなると、やっぱり、アビダルと一緒に頑張るしかない」 「次戦、その辺りがどうなるのか」 「その辺りを見てみようというところで」 「こちらをご覧いただければと」 「しかし長いな」 「ほんまやな」
「さて」
「ここでは、ランパード、特にその手の動きに注目してみよう、というわけやな」 「手は口ほどにものをいい、という諺もあるくらいやしな」 「まず、軽い例としては下のようなものがある」 「今、白丸で囲まれたトゥレがボールを持ち、それをドログバが近くでマークしている」 「オレンジの丸で囲まれたのがランパード」 「トゥレが、画面奥へ切り返した時、ランパードは、右手を上げ、手のひらをドログバに見せる」 「これは、ステイの合図で、ドログバはトゥレを追わなくていい、俺が対応する、という意味になる」 「それを受けて、ドログバは立ち止まり、トゥレを離す」 「ここで、トゥレを追うな、というのは、もちろん、マルケスへの守備が甘くなるのを恐れてのことである」 「次の例では、センターサークル内のトゥレにボールが入る」 「黄色い丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」 「トゥレからシャビへのパスに対して、ランパードがまたも右の手のひらをドログバに見せる」 「これも、ステイの合図で、ドログバは、シャビに行かなくていいことを示している」 「そっちは俺が回るから、お前は残ってトゥレをマークしろ、ということやな」 「実際、ドログバはボールを追わない」 「ランパードとミケルがボールを追い、マルケスとシャビの前に壁をつくり、ドログバは中の守備を担当している」 「次は、ピケが前にドリブルで攻めて来る例」 「まず、ランパードはサイドを向きつつ、中のトゥレを指差す」 「これは、俺がボールに被せるから、トゥレを見ておけ、という合図やな」 「ここで、ピケが中に切り返す」 「この時、ランパードは、画面外を指差している」 「その先にはもちろんマルケスがいるはずで、ドログバにそっちのケアをうながしている」 「ピケを空けて、トゥレ、マルケスを抑える方針が見える」 「それについては、次なんかも強烈やな」 「アビダルから、ピケにバックパス」 「この時、ランパードは、画面左を見ている」 「そして、またも画面外を指差す」 「これは、ドログバにマルケスのマークを指示している」 「常識的には、言ってることが無茶苦茶やねんけどな」 「上の図からドログバを除くと、ピケを抑える選手はだれもいない」 「それでもかまわない、ピケは無視してマルケスを抑えろ、という方針であることが上からもわかる」 「ちなみに、ランパードは、ドログバだけでなく、中盤全体にも指示を出す」 「下では、センターサークル内で、トゥレがボールを持っている」 「この時、オレンジで囲まれたランパードは、左手を横に上げている」 「トゥレは、自分とドログバで対応するから、中盤はここに出るなという意味やな」 「実際、ドログバが下がってくる」 「ここで、彼に待ての合図を送る」 「実は、上の2つの図は、最初の例と同じものなんやけどな」 「上のように、ランパードが全体を仕切る姿は度々見られる」 「下などもその例で、サイドに出たマルケスがフリーになる」 「この時、ランパードは左手を横に上げ、全体に下がれの合図を送っている」 「それに従って、中盤の選手が下がる」 「中へ進路を取ったマルケスに対応する準備をしながら、中央を指差す」 「もうお分かりのように、これは、ドログバにトゥレを見ろの合図である」 「同じような姿が、以下にも見られる」 「例によって、黄色の丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」 「ピケがボールを持ち、ランパードが下がれ下がれの合図を送る」 「ランパードの指示に従い、エシエン、バラックなどが位置を下げているのがわかる」 「ここからマルケスにパスが出る」 「これはよくない」 「極めて良くない」 「サイドライン際でマルケスをフリーにするのと、これだけ中央でフリーにするのとでは、まったく意味が異なる」 「上が離しても良い例、下が悪い例やな」 「誰がミスを犯しているかというと」 「ドログバで、下の形から、ふらふらとピケに近寄った」 「この日のチェルシーの守備でそれは誤りで、逆に動いてマルケスへのパスを出しにくくさせ、もしボールが出たら、その後のプレイを阻害しなければならない」 「マルケスの前が空いた理由その3は、ドログバの誤り、という結論になる」 「上の流れでも、彼がマルケスを見なかった結果、下のようなピンチを招く」 「フリーになったマルケスに、ランパードが応対に出る」 「正面に入ったところで」 「中央側を抜き」 「人の間を通し」 「エトーに渡る」 「これこそマルケスやな」 「守備としては、ディフェンスラインからこのゾーンにボールを入れられては、中盤に何人置いても無駄になるので、一番嫌なパスである」 「それをいとも簡単に通すのがマルケスで、それがために、相手チームは多大な苦労をして彼がボールを持たないようにする必要がある」 「彼の得意なパスの概念図は下のようになる」 「赤い正面へのパスを見せて、足を返し、白いパスを通す」 「直接急所をえぐるパスを出せる」 「だから、マルケスの前に入る時は、正面に入りすぎず、2度ほど軸足側にずれて立つ方がいい」 「しかし、一つ不思議なことがある」 「なんや」 「マルケスは、上のパスが得意なはずなのに、この試合ではほとんど出なかった」 「ふむ」 「チェルシーの守備が外れる場面はあったのに、そのわりには縦に入れるパスが少なかったのではないか、というのを次に見てみたい」 「長くて大変ですが、こちらからどうぞ」
「さて」
「世の中がクラシコで盛り上がる中、一つ前のバルサ対チェルシー」 「遅ればせながらというやつやな」 「結果は無得点の引き分け」 「チェルシーとしてはしてやったり」 「バルサとしては憤懣やる方ない」 「そんな結果だった」 「先発はこう」 「バルサはいつもの人々」 「チェルシーの方は、配置がガタガタしているが、こう描くのが一番正しい」 「守備における狙いと関係しているわけやな」 「その狙いを、一枚絵で表すと次のようになる」 「まず、基本は、ピケを空ける型の守備で、ランパードとドログバでマルケス、トゥレ・ヤヤを押さえる」 「そう組むと、下のパスが厄介である、ということを以前、セビージャ戦で見た」 「そこで、エシエンをピケとアンリの入れることで、それを消す」 「逆サイドでは、ボジングワがメシにほぼマンツーでつく」 「今までに見られたバルサ対策の総決算のような形で、これで抑えられなければ、バルサは本物であると言える」 「チェクからドログバへのキックも執拗に見られたしな」 「特に試合開始直後は、意図的に多く使っていた」 「あれは、弱点を突く以上に、ホームで勢いに乗って前に出てくるバルサをいなす意味もある」 「ついでに、敵地でミスの出やすい開始5分程度、なるべく自陣からボールを遠ざける効果もある」 「大事な試合における入りの常套手段ではある」 「それはそれとして、チェルシーが下の形で守っている、というのは、開始しばらくで、ほとんどの人がそのような気がしたのではないかと思われる」 「しかし、そうであると断言できそうで、できない部分があった」 「妙に例外項というか、矛盾する出来事が多かった」 「その辺りは、後ほど見ることにして、まずは上のようであったという証拠の方から見てみようかと」 「よかろう」 「下の絵では、赤っぽいバルサが右に攻めている」 「ピケがボールを持つ」 「黄色い円で囲まれているのが、ドログバとランパード」 「手前がドログバ、奥がランパード」 「ピケがドリブルで持ち上がる」 「しかし、ランパードはそれに詰める気配を見せず、中央に残る」 「おまけに、アンリへのパスコースにはきちんとエシエンが入っている」 「ちょうど、上で見た形になっている」 「しかし、これだけでは、偶然の可能性が高い」 「そこで、次に、ドログバとランパードは、本当にピケを無視していたという事例を見てみようかと」 「アビダルから、ピケにバックパス」 「ここでは、ドログバとランパードの体勢に注目したい」 「例によって、手前がドログバ、奥がランパードやな」 「ボールがピケに行く途中、ドログバはピケの方を向いているが、ランパードは完全に横、つまり、トゥレの方向を向いている」 「ピケがボールコントロール」 「なんと、ドログバは逆方向を向き、ランパードにいたっては、完全に後ろを向いている」 「なんというか、無茶苦茶な状況やな」 「ボールから目を離すな、とはよく言われる言葉だが、ドログバもランパードもまったく無視している」 「ピケが前にドリブル」 「やっぱり、2人とも別方向を向いている」 「ピケが8mほど進む」 「ドログバは、やっとボールに向き直るが、ランパードは後ろを向いている」 「さらに5mほど進む」 「ランパードはやっとピケを向く」 「センターサークルに入ったところで、ドログバがマルケスへのパスを切りながら寄せる」 「上は、偶然では絶対に起こらない流れで、チェルシーがピケを空けて守備を組み立てた証拠になる」 「ドログバはマルケスを見ることが最優先事項で、ランパードはトゥレを見ることが最優先である、としないと説明がつかない」 「なるほど、チェルシーはそのように守備をしていたのか」 「めでたしめでたし」 「とは行かない」 「上でも出たように、それと矛盾する状況が多く見られた」 「マルケスが前の空いた状況でボールを持つ場面が、非常に多く見られた」 「まずは、下の流れ」 「アビダルから、ピケにバックパスが出る」 「そこにドログバが詰める」 「もともと詰め切れる距離じゃないので、簡単にマルケスにパスが出る」 「届いた後の状況はというと」 「マルケスの前に無限の荒野が広がっている」 「これはおかしい」 「これが嫌で、最初のように守るのに、これでは話が合わない」 「例えば、下の場面でも、マルケスの前に大きくスペースが空いている」 「白丸がマルケス」 「前にパス」 「メシが受けてプロテクション」 「ランパードを置き去りにする」 「見事に最悪やな」 「以前に見た、バルサに対するやられパターン、その1やからな」 「ちなみに、ここでのマルケスは密かに技を使っている」 「上の2つの写真で、黄色い丸で囲まれたのがボジングワ」 「メシをほぼマンツーで守る関係で、中に絞っている」 「ところが、一枚目の写真ではメシの近くに居るのに、次の写真では後ろ向きに走っている」 「これは、2つの写真の間にマルケスがフェイントを入れたせいやな」 「左足で外に蹴るフェイクから、右足で中に蹴っている」 「組み立て皇帝と呼ばれるだけに、技のレパートーリーも広い」 「実は、マルケスが前を向いてパス可能な状況で受けるシーンは、前半だけで16回もある」 「詳しくは、後ほどの表をご覧頂くとして」 「16回はいかにも多い」 「確かに」 「その原因が問題になる」 「ふむ」 「その一つの概念図は次のようになる」 「ドログバが攻撃用のポジションを取った後で、バルサがボールを回収し、ドログバが戻れない状態でマルケスにパスが出ると前が空く」 「ランパードはトゥレへのパスを切りながら下がるので、マルケスはハーフライン付近まで到達することができる」 「上でマルケスがメシに出した状況が正にそれで、チェフのゴールキックから始まる」 「それを、前線でマルダが追ってバルデスと激突」 「マルケスにボールが出た段階で、マルダは置いていかれ、彼の穴をドログバが埋めている」 「これは、もちろん、マルダとドログバを入れ替えても成り立つ」 「これが、マルケスがフリーになるパターン1」 「その2が下の形」 「マルケスサイドバック説やな」 「白丸で囲まれたのがマルケスで、通常、4バックの右センターバックがここまで開いて攻めてくることはない」 「3バックならわかるけどな」 「ここまでサイドに出られると、フォワードでは追い切れない」 「よって、ドログバは追わず、ランパードが回り込んで対応するか、ミケルが出て、それによって生じる穴にランパードが入ることで解決する」 「マルケスがパスミスでもしてくれたら、ドログバからのカウンターが決まる確率は高い」 「そのミスをしないから、ここまで自信を持って開くんやけどな」 「普通恐くてやらない」 「これが、マルケスの前が空くパターンその2」 「その1とその2は理由がわかりやすい」 「マルケスとトゥレを見る2人のうちの1人が攻撃に出て戻ってくれなければ、どちらかが空くし、マルケスとトゥレの間を異常に離されたら追い切れない」 「この2つで閉じてくれれば、話は簡単やねんけどな」 「最初の、ドログバが追う例なんかは説明がつかない」 「下みたいな形もあるしな」 「今、ドログバがピケとハイボールを競り合う」 「それがバルデスまで抜ける」 「バルデスからマルケスへ、マルケスからアウベスへパス」 「この時、画面右上の選手がドログバで、既にバランスを回復している」 「アウベスからマルケスにパス」 「マルケスから引くシャビにパス」 「ミケルが追ってくる」 「シャビからマルケス」 「マルケスからシャビ」 「画面一番上のドログバは動く気配すらない」 「上の流れもおかしな話で、ピケを空けることを徹底するなら、下のようにならなければならない」 「ドログバはアウベスからマルケスに戻るパスを予想してボール側に詰めるべきであると」 「そうなれば、空いたピケに横パスが出る可能性は高い」 「ところが、現実には、そうならず、ドログバは、青い矢印のように、ピケをマークするポジションを取っている」 「これはいかなることであるか、というのが問題になる」 「そりゃそうやな」 「それを解く一つのヒントが下の写真にある」 「ここで、画面右中ほどの選手の腕の位置が重要で、前方、フリーになったシャビを指している」 「これは、そこにきっちり詰めんかい、というメッセージである」 「その送り先は、画面上部でぶらぶらしているドログバに対してであろうと思われる」 「そうであれば、ドログバの動きがおかしいことになる」 「そんな点を、次に見てみるわけやな」 「続きは、こちらからどうぞ」
「さて」
「バルサは無事に勝ち抜け」 「トータル5-1やしな」 「第2戦の先発はこう」 「バイエルンは、4-0で負けた緒戦からずいぶんと変えたわけやけれども」 「中でも特徴的だったのは、リベリの動きかね」 「フォワードとも中盤とも、サイドとも中央ともいえない位置で浮いていた」 「基本的に、上がるアウベスを追わない」 「ゼ・ロベルトが出て対応するが、中に絞っていた場合などは、遅れることも多い」 「危ないといえば危ないけど、そこを受けてはいられない」 「4点差やしな」 「バルサとしては、その4点を守ればよかった」 「楽な状況ではあった」 「その中で、きらりと光るプレーを見せた選手がいた」 「その名もアビダル」 「アビダルは、バルサに来て以来、あまりにも組み立てが下手でチームの流れを切ることが多かった」 「例えば、敵陣で、ディフェンダーとの距離がある状態でボールを持ったとしても」 「前に出てこられると簡単に後ろを向いてバックパス」 「受けた選手がプレッシャーを受ける」 「といった形で、チームに害をなすことが多かった」 「自分がプレーしなければならないのに、責任を人に押し付けようなパスを出していた」 「それが、去年の夏にグァルディオラが就任し、今年の2月くらいには、明らかな改善が見られるようになった」 「まず、簡単に後ろを向かなくなり、体を相手に向け、左右へのパスを出す姿勢を見せるようになった」 「この試合では、前に踏み込んでのパスフェイクで、前に出る相手を止めるシーンがあった」 「例えば、次の形やな」 「自陣でボールを受ける」 「バルサは左に攻めている」 「詰めてくる相手に対して」 「大きく前に踏み出して、パスフェイクを見せる」 「それをキャンセルし」 「相手の横を抜き」 「無事にパスが通る」 「じつに素晴らしい」 「以前のアビダルのプレーとは天と地ほどの差やな」 「シャビで見た、相手方向に踏み込む大切さ、プレーベクトルを前に向ける大切さ、というのがここでも見られる」 「ちなみに、上のプレーがまぐれではないということが、下の流れでわかる」 「いや、まぐれでこのプレーはできんぞ」 「それはあるけれどもや」 「上の状態で相手に詰められる」 「ここで、体の正面を、一度相手に向ける」 「これも非常に大切やな」 「その後、右足を前に踏み込み、左足でのパスを見せる」 「モーションをキャンセル」 「この過程で、ディフェンスの両足が、一旦横に揃っている点が注目やな」 「そこから、もう一度キックモーションを起こしてパス」 「無事、味方に渡る」 「これまた素晴らしい」 「寄せてくる相手に向かって、前に踏み込み、出足を止め、距離を保ってからパス」 「ほとんど別人のようなプレー振り」 「ちょっと、キックフェイクの後のバランスがあやしいけどな」 「傾き過ぎておっとっと、みたいな感じやな」 「これだと、例えば、パスフェイクからアウトで切り返したり、モーションをキャンセルした後、もう一度ボールを踏んで向きを変える、といったことはできない」 「そうは言っても、2年前と比べたら、長足の進歩やで」 「人というのは、上手くなるもんやな」 「プレーに対する、正しい技術、そのもととなる、正しいアイディアを持つことが、いかに大切かを物語っているのではなかろうかと」 「アイディアというのは重要やな」 「ある意味、正対と踏み込みというアイディアにおいて、アビダルはシャビに追いついたともいえる」 「ただ、その後、実際の行動においてどれほど上手くできるかというのは別問題で、才能やら肉体的条件やらが関わってくる」 「ある状況で有効な技術、行動というのはほぼ決まっているけれども、細かいところは、自分に合わせて改造する必要がある」 「それで言えば、ファン・ボメルなんかがそうかもしれん」 「どういうことや」 「彼は、実は、ゴールにつなげるために相手を崩すアイディアという点で、非常に優れている」 「確かに」 「例えば、この試合で、インステップフェイクから足を返し、インサイドでスルーパスを出す場面があった」 「赤がシュートフェイクの方向」 「白がパスの方向」 「結局、誰も反応してなくて、後ろに抜けただけやったけどな」 「それはそれとして、この時のパスモーションは下のようになる」 「ふむ」 「ボールが軸足のずいぶん前にあり、体を後ろにそらしながら蹴っている」 「なるほど」 「これは、蹴り方としてはあまりよくない」 「確かに良くない」 「上は、インステップからインサイドへの変更で、いわゆる、ステップサイドの裏と呼ばれるものだったわけだが」 「同じ選手が、インサイドの表から裏へ変更する場合に次のように蹴る」 「やはりボールを前目において、後ろに傾きながら蹴っている」 「同じアイディアをもとにしながら、シャビのフォームとは著しく異なる」 「これは、ファン・ボメルが自分の体に合わせて、技術を変形させた結果ではなかろうかと思うわけや」 「そうなんかね」 「おそらく、骨格、筋肉や関節の柔軟性といった点で、シャビのように蹴るのは難しいため、上のような蹴り方にいきついたのではなかろうかと推察されるわけなんやけどな」 「それは、バルセロナのメディコにでも聞かんと真偽がわからん話やな」 「まあ確かに」 「この試合、ファン・ボメルといえば、インステップからインサイドで上とは逆の変更から、見事なスルーパスを通した」 「42分54秒くらいの出来事やな」 「そちらの詳細はこちらにありますので、よろしければご覧下さい」 「また、上で出てきたアビダルの詳細については、こちらとこちらですので」 「よろしければご覧下さい」 「ビジャレアルが敗れ、スペイン勢はバルセロナを残すのみ」 「ビジャレアルは、最近5位に落ちたとはいえ、リーグで4位を保ちつつ、本当によくここまで辿り着いた」 「最後は、満身創痍でロンドンにたどり着き、文字通り力尽きた」 「以前にも見た通り、現在の選手構成でここまで来れたこと自体が英雄的功績ではなかろうかというところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」
先発
ビジャレアルは、左にイバガサを置き、前で勝負する道を選択した。 26分(1-0):アルムニア→ファビアンスキー、 42分:ギャラス→ジュルー アーセナルは、26分と42分に怪我による交代を余儀なくされる。 これは、ビジャレアルにとって幸いだった。 46分(1-0):カニ→マティアス・フェルナンデス 右サイドの交代。カソルラ離脱の影響が出ている。 69分(1-1):ジョレンテ→ピレス 同点とされ、後半勝負のため持ち駒にしておいたピレスを投入。 77分(1-1):ウォルコット→エブエ、77分:イバガサ→ギジェ・フランコ アーセナルは、ウォルコットを下げ、いわゆる店じまいに入る。 ビジャレアルは、ピレスを左に置く。この後、ビジャレアルのセンタリング、シュート回数が増える。 http://www.as.com/futbol/partido/Villarreal-Arsenal-0298_03_01_0042_0235 黒がビジャレアル、黄土色がアーセナルを表す。 後半開始からの32分間。ビジャレアルは、枠外シュートが一本記録されているのみである。 そこから、やや盛り返した理由は、選手と配置を変えことに加え、アーセナルに交代枠が残っていなかったことが関係している。 アーセナルとしては、セスクとナスリを代える予定であったと考えられる。 特にセスクは、誰の目にも明らかなほどばていた。 前半に起きた2人の負傷交代が、ここで意味を持っていた。 ビジャレアル側は、ギジェを入れた段階で、より攻撃に特化した形に組むことができた。 セナを下げ、イバガサを中央に入れる、もしくは、エグレンを下げ、イバガサを中央に入れる方法である。 これは、リーグ戦において、度々行われてきた。 この場面で、別の選択をしたことは、監督の判断として興味深い。 試合全体を見ると、アーセナルが優位であった。 これは、上で見た図にもあらわれている。 特に、アーセナルのクロスの多さが目に付く。 両チームの特徴上、特に、アーセナルの右サイドからのボールが多くなることは予想可能であった。(参考:こちらの後半部分) この試合では、下の形のクロスがほとんどであった。 いわゆるクロスであり、空中からセンターバックの間を狙う。 しかし、そのバリエーションである、切り返して、縦、もしくは、逆サイドを狙うもの。 キーパーとディフェンスの間に、速く低く入れるもの。 これらのクロスは、ほとんど見られなかった。 特に、キーパーの前に選手が飛び込むことが少なく、攻撃が非常に淡白に見える一つの要因となっていた。 この試合、早い時間帯にセナの見事なミドルが決まり、前半で相手2人が負傷するなど、ビジャレアルにとっては絶好の展開だった。 絶好の展開でありながら引き分けたことは、第二戦に向けて非常に苦しい。 アーセナルに対しては、できるなら下のように守りたい。 ただ、ビジャレアルは、チーム構成上、そのように組みにくい。 第2戦の方針が注目される。 |
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