週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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レアル・マドリーは、0809シーズンのチャンピオンズリーグ8強において、リバプールにトータル0対5で大敗した。
また、これにより、5年連続トーナメント初戦敗退となった。

マドリーがここまで弱くなった原因について、質問をいただいたので、それに答えることを試みる。

理由としては、まず、選手の質が落ちたこと。次に、会長の雅量がなく、組織を食い物にしたこと。そして、スペインリーグ自体が、強くもないマドリーを止められないほど弱体化したこと。以上のことが考えられる。


選手の質

ピッチ上に見られる第一の原因は、選手の質が落ちたことである。
特に、攻撃能力において、大きく質が低下している。

例えば、最後にチャンピオンズリーグを取ったシーズンと比べると下のようになる。





紫が今であり、黒が昔である。

攻撃面で、現在の方が上であるといえるのは、マケレレに代わったラスのみである。フンテラールがファン・ニステルローイに代わった場合、上と言うことができる。
しかし、ここで例えば、左にロビーニョを入れたとしても、ジダンに優ることはない。

多くのポジションで、攻撃的能力において同等か、明確に劣る。
特に差があるのは、イエーロ、ロベルト・カルロス、エルゲラ、ジダンの地点である。

レアル・マドリーは、「サッカーをプレーする」ことが求められるチームである。
ロングボールを前線に放り込むだけ、ひたすら守ってカウンターを狙う、といった戦いをした場合、監督、会長ともども、耐えがたいほどの非難を浴びる。

このようなチームで、ボールを持って相手を押さえ込む能力が落ちることは致命的である。

現在のチームは、バックラインの強さを背景に、カウンターから点を奪うことに向いている。
チームの指向しなければならないサッカーと、保有している選手の質が矛盾している、もしくは、指向しているサッカーから見て選手の質が落ちた。
これが、現在のマドリーが弱い最大の理由である。

次に、なぜ選手の質が落ちたかを見る。


質の低下とその理由

マドリーも選手の補強を行ってはいる。
しかし、オランダから2級、もしくは、1級にはとどかない中途半端な選手を買い続けており、まったくチームの強化につながっていない。
ドレンテ、スナイデル、ファン・デル・ファールト、フンテラールといった選手がそれである。

ドレンテは、マドリーでプレーするには早く、レンタルで育てるべき選手である。

スナイデルとファン・デル・ファールトは、ボールを蹴る、特にフリーキックにおいて抜群の選手である。
しかし、フィジカルコンタクト、及び、持久力に問題を抱えている。
例えば、ソラーリ、ジダン、フィーゴは、大きくて上手い選手であり、上の2人では明らかに見劣りがする。
加えて言えば、ソラーリは、驚異的な走力と持久力を備えており、自分で試合を決めるだけでなく、他者を支えるという点でも優れていた。

フンテラールは才能のある選手である。しかし、マドリーは明日のスターを求めるチームではない。その意味で、彼が今のマドリーに買われたことが幸せなことであるかどうか、難しいところである。
フンテラールは、「自分はマドリーに残りたいし、残るつもりだ」と述べているが、これは取りも直さず、彼を不要とする見方がすでに存在することを示している。

マドリーが、オランダ人を大量に補強している、というのは、異常な事態である。
以前、バルサが同じことをしたが、それは、監督がオランダ人であり、ある意味当然のことであった。
若手を買うにしても、アルゼンチン、ブラジルやスペイン国内でも十分に探し出せるはずであるのに不可思議としか言いようがない。

ここに一つの噂がある。


選手補強をめぐる噂

マドリーのスポーツ・ディレクターである、ミヤトビッチと選手代理人が結びつき、代理人の関係する選手を補強するごとに、移籍金の例えば15%が懐に入るシステムを作りあげていると噂されている。

このような場合、選手がチームにとって本当に必要であるかどうかということより、より金になる選手が優先されることになりかねない。
このような形で組織を食い物にする人物が出た場合、その凋落は極めて早い。

選手の獲得で裏金が動く、というのは、サッカーにおいて基本であるとさえ言える。
しかし、その場合でも、チームに得をさせることで自分も得をする、という思想でなければならず、チームに損害を与えて自分だけ得をするということはあってはならない。

以上のことは、あくまでも噂であり、真偽のほどは読者で判断いただきたい。


監督交代による補強のぶれ

デル・ボスケを失って以来、マドリーで2シーズン続いた監督はいない。
6年で8人の監督を用いており、シュスターの1シーズン半が最長である。
このように、監督が頻繁に変わることは、もちろん、選手補強の面でも悪影響がある。
例えば、グティの扱いを見ても、カペッロは彼を控えにすることでチームを固め、シュスターは、彼をなるべく先発させることでゲームを作ろうとした。
監督によって求める選手が異なるのは当然のことであり、それが長期的なビジョンとして補強に反映されるべきである。
にもかかわらず、明快な方針もないまま、会長の勝手な都合と保身のために監督を変え続け、補強も右往左往したことが今の惨状に結びついている。


会長の所業

ここでは、最近のマドリーの会長が、いかに保身のために動き、監督を犠牲にしてきたかを見る。
このような状況において、マドリーの監督を引き受けたいと思う者は少なく、今後の人選においても少なからぬ影響を与えるはずである。

まず、2003年、デル・ボスケは、フロレンティーノ・ペレスにより首を切られた。
フロレンティーノ就任以来、マドリーはタイトルを取り続けた。
しかし、世間はそれを監督の手柄としか見なかった。
歴史に名を残したいフロレンティーノはそれが目障りであり、リーグ優勝を成し遂げた年にデル・ボスケを追った。

その後、カルロス・ケイロスで結果が出ず、カマーチョはクラブに反発し電撃辞任、後を継いだガルシア・レモンは右往左往するばかり。
デル・ボスケを追った会長に非難は集中した。
そこに現れたのが、バンデルレイ・ルシェンブルゴだった。
2004年12月30日の就任以来、彼は勝ち続け、文字通り会長の首を救った。
しかし、次のシーズン、序盤低迷すると、恩人であるルシェンブルゴを物でも投げ捨てるように追い出した。

この時、ルシェンブルゴは、マドリーが用意した記者との応答の席に現れることを拒否した。
引退会見は、ルシャのものであるとされる文章を他人が読み上げるという異様なものであった。

フロレンティーノは、ルシェンブルゴを犠牲にすることで批判をかわそうとしたが、次のロペス・カロでも上手く行かないと見るや、会長職を辞し、チャンピオンズリーグでの敗退が決まる前に、逃げるように去って行った。

結局、彼はサッカークラブの会長としては、初期におとなしくしていた時がもっとも良かった。最後は、チームをかき回して逃げただけである。

功績としては、マドリーの借金を一掃した点だといわれている。
しかし、それは自分のためでもあった。
新都心に近い場所にあった練習場を売り、郊外に新しい施設をつくる。その差額でクラブに金をもたらしたわけだが、フロレンティーノはその移設作業を、自分がトップをつとめるゼネコンを使って行った。
ばかばかしいほどの利益が出たはずである。

フロレンティーノ後、ラモン・カルデロンが会長となり、カペッロを招聘する。
チャンピオンズリーグには敗れたものの、4シーズンぶりにリーガを制す。
しかし、カペッロは1年でマドリーを後にする。
これは、会長の問題ではなく、カペッロのサッカーとマドリディスタの求めるサッカーが絶対に相容れないものである点が大きい。

2007年、カルデロンはシュスターを招聘。自滅を繰り返すバルサを置いてリーグ優勝を果たす。

2008年、好調のバルサに対して、マドリーは内容も成績も明らかに劣っていた。
12月にシュスターを解任、フアンデ・ラモスの就任を発表する。
しかし、その直後、カルデロン自身が、会計承認時の投票操作疑惑から、フンタ・ディレクティーバに追われる形でチームを後にした。

ここで、監督が首を切られる時期に注目したい。

ガルシア・レモンが追い出されたのが、2004年12月。
ルシェンブルゴが追い出されたのが、2005年12月。
シュスターが追い出されたのが、2008年12月。

すべて12月である。
これは、偶然ではなく、会長の保身には12月が最も好都合だからである。

12月になると、クリスマス休暇で2週間ほど間が空く。
この時期に問題を残すと、ネタのないマスコミの格好の餌食になるし、ファンの不満の矛先というのも会長に向かいやすい。
これを避けるため、12月に監督を変え、1月からの補強を匂わせることで期待を抱かせ、批判を沈静化する。
良く使われる手である。

しかし、そこには、チームのために、という思想は存在しない。

例えば、フアンデ・ラモスは、以前にも見たように、現在のマドリーに最も不向きなサッカーを得意とする監督である。
チームにとって必要な監督を招聘するというより、ある程度名前があり、ある程度不満をそらすことができる監督を招聘するという意図が強く感じられる人選である。

結局、フアンデも中盤が崩壊する従来からの病気を止めらなかった。
また、前線の打撃力不足も顕著であり、リバプールに0-5という大差、しかも内容ではそれ以上の圧倒的大差で敗れる。

これは、フアンデのみの責任ではなく、レアル・マドリーというチームの歪みが厳しい場面で一気に吹き出ただけである。

しかしながら、このような瑕のあるマドリーが、リーグ戦では順調に勝っている。
ここにも問題がある。


リーガの弱体化

チャンピオンズリーグで負け続けているように、近年のマドリーは決して強くない。
ピッチ上での主な原因は、上で見た選手の攻撃的な質の低下と共に、中盤のサイド、中央で走る選手の不在である。
具体的には、ソラーリ、ジェレーミ・ヌジタップに相当する選手である。

これがために、簡単に中盤にスペースを残す。

マドリーはそれでも、勝つ。
国内では、それを咎めるだけの戦力を持つチームがないからである。
しかし、相手が強くなる欧州の舞台では理論通りに負ける。
スペインリーグのレベルの低下が、マドリーに改善をうながす機会を減らしている。
ここにも大きな問題がある。
強かった時代の、バレンシア、デポル、ソシエダーなどが存在すれば、マドリーは今ほど楽に勝てないはずである。

では、なぜリーガのレベルは低下したのか。


土地バブルの崩壊と資金難

リーガのレベルが落ちたのは、資金が不足したからである。
それは、土地バブルの崩壊によりもたらされた。

現在、バレンシアは選手に払う給料がない。
以前、レバンテも同じ状況に陥った。
スペインにおいて多くのサッカークラブの財政状況は、極めて危機的であるとされている。

2000年前後、リーガは最強と言われるだけの実績を残した。
これを支えたのは、1980年頃からの急激な地価の上昇である。
地価が上がれば、巷に金があふれる。これは、日本も強烈に体験した通りである。

ただし、それが一度外れた場合の落ち込みは凄まじい。これもまた、日本が体験した通りである。

EU加盟から統一通貨ユーロの登場に向けて、相対的に物価が安く、発展の余地を残していたスペインには、これまで「外国」であった国々からの資金が一気に流入した。
また、地域格差をなくす、という名目でばら撒かれるEU助成金も経済発展を後押しした。

経済が良くなれば地価が上がる、地価が上がればそれを転がすものが出る。転がしてあふれ出た金は世間を潤し、サッカーチームにも流れ込む。

金のあるところに良い選手が集まるのは道理であり、それがリーガ隆盛の一因であった。

今、そのバブル的好景気が去った。
世界的不況もあり、発展を支えていた外国資本は撤退し、自国防衛に走る。

次に待ち受けるのは、選手の流出である。

例えば、今シーズンの初め、コロチーニ、ジョナン・グティエレス、ポウルセン、フィリペ・メロといった選手がスペインを後にした。

彼らは、大スターとは言えないが、同じレベルの交代要員を探すのは難しい選手である。

また、もっと目立つ事例では、ロビーニョの移籍がある。
彼が、63億とも言われる金額でシティへ買われたことは、これまで札束で顔をはたくようにして選手を集めていたレアル・マドリーが、逆の立場になったことを示している。

今はまだ、上で見たような選手や、ホセ・エンリケ、アルベロアといった若手の流出が主である。

しかし、これからは、それに留まらず、ビジャ、シルバのような選手が、クラブの資金難から海外に出ざるを得ない状況になると考えられる。

イギリスとスペインを比べると、もともとの経済力に差がある。
これに加えて、プレミアには、石油資金が次々と投下されている。
シティがメシに140億の値段をつけたという話からもわかるように、バルサ、マドリーですら、選手の流出を食い止めるのが難しい情勢になりつつある。

スペインは、土地を売り買いすることで資金を集めたが、あちらは土地からお金が湧いてくる。
当然、勝つのは難しい。

また、経済に格差が出れば、該当国間での移籍だけでなく、他のリーグからの選手獲得において不利になることは当然である。

リーガ低迷の大きな要因は、土地バブルの崩壊と資金難にある。


まとめ

マドリーの弱体化の背景には、リーガ全体の弱体化がある。その大きな理由は、経済の悪化である。
マドリー内部の問題としては、会長が自己の名誉と保身のみを考えて行動したことである。これが、監督を短命に終わらせ、方針の一貫性を欠いた。
また、意味のない補強を繰り返す背景には、推測ではあるが、代理人との癒着構造があると思われる。

以上の理由により、チームに求められる選手の質と現実の選手の質が矛盾した。一面から見たら、選手の質が落ちた。

強くなる理由がなく、弱くならない理由がない。


マドリーの今後

根本から変えるべきである。
経済状況を変えることは難しい。
よって、良い会長を選ぶことが最初の課題である。
フロレンティーノを戻したところでどうにもならぬのは明らかである。

会長の候補を探すのは難しいが、例えば、ヘタッフェのアンヘル・トーレスがいる。
彼は、昔からマドリーのソシオであり、その面での問題はない。
彼が就任して以来、ヘタッフェはセグンダとセグンダBのエレベーターチームであることをやめ、一部に昇格はおろか5シーズン残留し、さらには、UEFAの8強に残るまでの成績を残した。
常識的に考えて、他のクラブの会長からいきなりマドリーの会長に納まる、というのは無理であろう。
彼以外にどのような人材がいるのかはわからない。
しかし、次の会長選においては、商売人ではなく、サッカークラブの会長を選ぶべきである。

また、噂の真偽によらず、ミヤトビッチを首にすべきである。
補強の失敗は明らかであり、総指揮者の立場にある彼の責任は当然問われるべきである。

監督は、ビジャレアルのペレグリーノが適任であると考えられる。
ラッファ・ベニテスを呼ぶという話もあるが、愚である。
まず、サッカーが合わない。また、リバプールがよほどの仕打ちをしない限り、わざわざ今のマドリーに栗を拾いに来るとも思われない。


まだ、マドリーは落ちきってはいない。
おそらく、後1~2年ほど駄目な期間が続き、その後改革があらわれるであろう。
アトレチコ 1-1 リバプール

先発


アトレチコは、シマナが引いてシャビ・アロンソをマークする関係で、1-4-1-4-1に近い配置だった。

リバプールの先制点は、14分、セイタリディスのミスが発端となった。
セイタリディスが、サイドから中央へのパスを相手に渡し、それを一度は回収するものの、シマナ・ポンゴールが中盤で奪われ、ジェラードのパスからキーンに決められた。

アトレチコは、ウィファルシを欠き、後方で慌てる場面が非常に多かった。

46分 ルイス・ガルシア→クン・アグエロ


アグエロが入り、普段の1-4-4-2に戻った。
前線にアグエロ、フォルラン、シモンが揃うことにより、リバプールが狭めるスペースを抜けることができるようになった。
右サイドに移ったシマナは、ラインの裏へのパスにおいて良い狙いを見せた。

しかし、後方からの組み立てに関しては、アントニオ・ロペス以外、問題が多い。



センターバックか右サイドバックに1人、中盤に1人、組み立てを良くする選手を入れたい。
例えば、中盤に関しては、後ろを支えてパスも出せる、エグレン、ブルーノ、セレスティーニのような選手が入れば、マニシェ、ラウール・ガルシアの前へ出る能力が生きる。



ユベントス 2-1 レアル・マドリー

先発


ユベントスの守備の特徴は、下のような特徴があった。



中央に壁をつくり、右のセルヒオ・ラモスにはネドベドが詰める。
逆サイドのマルキオンニは、スナイデルへのパスを防いでからサイドに出る。
このため、ハインツェがボールを持たされる時間が長かった。

レアル・マドリー唯一の得点は、ハインツェのクロスをファン・ニステルローイが決めたものだった。
ハインツェとしては、意地の一撃といえる。
それほど速くないクロスだったが、中央が4-3で数的優位であったことが幸いした。

ユベントスは、カウンターの初期段階においてミスが多過ぎた。
パスミス、判断ミス、ドリブルミスを連発していた。
原因としては、選手の質、チーム状況によるプレッシャー、自信のなさなどが考えられる。
後半、マルキオンニ、シソコ、ネドベド、サリハミチッチが中盤に並んだが、見事なほどにボールが出てこなかった。

レアル・マドリーについては、良くも悪くもこれまでと変化はない。
「さて」

「チャンピオンズリーグ、対スポルティング・リスボン戦で、バルサに新しい動きがあった」

「うむ」

「先発はこう」



「ほほう」

「これはこれは」

「1-3-4-3の菱形」

「これはまた懐かしい」

「思い起こせば、2シーズン前」

「初登場はサラゴサ戦



「前半こそ上手くいったものの」

「後半からは、サイドに長いボールを飛ばされあっぷあっぷ」

「その後は、セビージャ、リバプールに敗れ」



「最後は、レアル・マドリー相手のクラシコで、史上最低の試合を披露し、使われなくなった」



「苦く、切ない思い出やな」

「この形での弱点は、サイドにボールを飛ばされると極端に弱いこと」

「そして、前線からのプレッシャーがまったくかからなかったことにあった」

「下のように、フリーでボールを持たせると、選手が前に集まっている分、長いパスを出すスペースが多く存在する」



「その悪夢が甦るわけだが」

「今回はどうかというと」

「違いは、以下の点にある」



「まず、エトーがセンターフォワードに来ている」

「前から守備をする際、最も大きな穴であったロナウジーニョがいない意味は大きい」

「次に、中盤のアウベス、ケイタ」

「シャビ、マルケスと比べると、比較にならないほど速い」

「空いたスペースを埋める点で、格段に良い」

「以上を見ると、2シーズン前、守備的に小学生以下だった頃より、このシステムが機能する可能性は高い」

「理屈上はそうなんやけどな」

「果たしてサイドに飛ばされると極端に弱い、このシステムの本質的な問題をどうするのか」

「前からプレスをかけていく以外、道はないねんけどな」

「うまくいくかね」

「一時期うまく行っても、長くは持たへんやろな」

「サイドに飛ばされて、アンリとメシが後ろに走るような展開が最悪やな」

「2人とも、長く走ると、良い面より悪い面の方が目立つようになる」

「このシステムの利点としては、アビダルを使わなくて良い、というのもあるねんけどな」

「彼が、サイドバックだと、組み立てで非常に問題が多い」

「ちなみに、細かいプレーが苦手なアビダルだが、ミドルからロングパスはなかなかいい」

「左センターバックの控えになるんかね」

「中盤には置けんやろな」

「はたして、バルサの今後やいかに」

「というところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「さて」

「ビジャレアルは敵地で引き分け」

「非常に良いスタートをきったのではないかと」

「相手は去年のチャンピオンやしな」

「先発はこう」



「両者共に1-4-4-2であるが」

「はたして、この両者がぶつかった時に、どのような展開になるのか」

「ビジャレアルの側から予想した後に、以下を読まれると、より興味深いのではないかと思われますので」

「展開と、その後の交代を少し考えていただきたいわけでありますが」

「もちろん、お急ぎの方はそのままお読みいただいても何が起こるというわけではありません」

「あたりまえやろ」

「何も起きようがないわな」

「起きたら面白いけどな」

「というわけで」

「ビジャレアルの起用に注目してみるというと」

「目に付くのは下の赤丸のポジションやな」



「サイドに、ピレスとカニ」

「相手がマンチェスターだという点を考えると、これは危ないように見える」

「2人ともテクニックはあるが、サイドの選手としては走力がない」

「その両者を同時に置くと、マンUの中盤に対して明らかに走り負けをする可能性が高い」

「特に、右サイドが心配やな」

「ナニ、エブラを揃えるユナイテッドに対して、果たしてカニで大丈夫かどうかが問題になる」

「ナニ対カニってのも面白いな」

「結論を言えば、やはり大丈夫ではなかった」



「サイドを押し込まれてクロスを上げられるのはもとより、押し下げられた後のカウンターにも支障をきたした」

「そんなこんなで、前半はボコボコにやられ」

「これはいかんということで」

「後半からカソルラが登場する」



「これで、ビジャレアルは息を吹き返す」

「攻撃面では、カソルラがサイドを縦に長く持ち込むことで周囲が楽になり、また、相手陣では、右サイドから中央に入る彼を経由することでパスが回りやすくなった」

「さらに50分を過ぎると、下のように配置が変わる」



「マティが左に下がって、ピレスが前へ」

「最初の図と比べると、サイドの走力、前に出るスピードというのがまるで違う」



「しかし、こうなるとあれやな」

「なんや」

「なんで最初からカソルラを使わなかったのか、というのが問題になるわけやな」

「そうやな」

「いわゆるローテーションというやつかね」

「それもあるかもしらんが、もう一つは、前半のビジャレアルが、常に試合のテンポを落とそうとしていたこともあるやろな」

「キーパーはゆっくりゆっくりボールを蹴ってたな」

「スローインも、ファールもゆっくりやったしな」

「ファールがあった地点にボールを戻すのに、高く上げて途中の選手がキャッチ、それをわざと短く投げて、キッカーがのんびり取りに行く」

「時間稼をぎ、スローテンポにするための常套手段ではある」

「ユナイテッドとハイペースの試合をしたら不利だという判断かね」

「そうなると、サイドでどんどんいくよりも、カニ、ピレスでボールをキープし、中盤でのパス回しを強化する、という考えもなりたつ」

「この感じは面白いな」

「なんでや」

「試合前に、ある人が、”サイドに起点をつくり、中盤でボールをキープするためにカニ、ピレスを使う”と主張したとするやろ」

「ふむ」

「それに対して、”いや、それでは中盤で走り負け、押し返しも効かないから、カソルラ、マティの方がいい”と異をとなえたとする」

「それがどうした」

「この段階では、どちらももっともらしく聞こえる」

「サッカーはなにをやっても一長一短に近いところがあるからな」

「ところが、試合でやるときちんと優劣が出る」

「まあそうかね」

「具体的に見れば、カソルラが出た方がボールを前に運びやすい、押し戻しやすい、というのは、下のようになる」

「中心からやや左下でボールを持っている選手がカソルラ」

「ここから、右にドリブルを開始する」








「2人の間を抜け、前の1人をかわし、あっという間にボールを前に運ぶ」

「これをやってくれれば、周囲の選手は非常に楽になる」

「楽になることで、その後のパス回しに余裕が生まれる」

「一点でも相手を押し込めれば良い循環がうまれる例やな」

「次に、前にスペースがある場合」

「中央、やや左下でボールを持っているのがカソルラ」

「この場合、浮いた球を膝で前に出して、一気に走る」








「結局、後ろから追いかけて来たエブラに押し倒されるが、それはそれでいい」

「前にスペースがある時、前に走るのは当たり前のように思われるが、そうでもない」

「例えば、下の流れやな」

「カニが自軍エリア前でボールを持つ」

「前には大きなスペースがある」








「前にスペースがあったにもかかわらず、エブラに追いかけられて止まってしまう」

「上に挙げた2つの例からして、カソルラなら、この状況でハーフラインの手前までボールを運ぶか、ファールをもらうであろうと予測されるわけやな」

「スピードを上げた状態でのプレーに自信のあるカソルラと、他の選手ではそこが大きく異なる」

「ドリブルでボールを前に運ぶ、とか、押し返しの起点になる、といった表現は良く使われるところであるが、具体的にはこういうことを意味していることになる」

「先発の選択では、裏目を引いたペレグリーニであったが、後半からの修整でうまく試合を乗り切った」

「ペレグリーニは、前半おかしくても、後半になるときっちり立て直すことが非常に多い」

「去年の、レクレヘタッフェ戦なんかもそうやったな」

「前半が悪い時のビジャレアルほど、後半の開始が面白いという話もある」

「それはあるな」

「そんなこんなで」

「また次回」

「の前にや」

「なんや」

「最初の方のビジャレアルの図で、カニ、ピレスに加えて、エジミウソンにも赤丸がついてたやろ」

「そうやったっけな」

「その理由がまだ出ていないような気がせんかね」

「理由といっては、恐ろしいプレーが多かった以外にないやろ」

「例えばこう」



「画面の中央よりやや上側、少しガニ股気味にボールを持っているのがエジミウソン」

「ボールは右足にあり、ビジャレアルは左に攻めている」

「ここから左に切り返すのだが」



「1人で転んでしまう」



「まあ、事故だと思えば事故やな」

「ところが、次もこける」

「ボールがこぼれて」



「エジミウソンが回収」



「さあ前にいくぞと思ったら」



「横から来た相手に潰される」



「また寝転んでしまったわけか」

「ちなみにファールじゃない」

「それは問題やな」

「さらにはこう」

「今、右下の選手から画面右上のエジミウソンに浮いたパスが出る」



「エジミウソンがトラップ」



「大いにバランスを崩す」



「引いた画面ですが、体が後ろに傾き、完全に平衡を失っているのがおわかりになるのではなかろうかと」

「以上のことから、エジミウソンは、体の平衡を保つ能力に問題があり、浮き球の処理も苦手ではないかと思われる」

「それはバルサ時代からそうで、ターンの時、重心が傾きすぎるから、軽いコンタクトで倒れ、良くボールを失う」

「おまけに、後半になると、中盤で相手に横パスしてとんでもないカウンターをくらっていた」

「こういうミスは、せめて半分にして欲しいところやけどな」

「2回でも多すぎやで」

「ハイボールに対する強さとかは頼もしいねんけどな」

「そんなこんなで」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「遂に今年も終わりを迎えた」

「今年というか、今シーズンやな」

「最後の勝者はユナイテッド」

「1-1の同点、延長でも決着つかずPKへ」

「サドンデスの末、マンUの優勝」

「非常に拮抗した熱い試合であった」

「先発は、こうなっていた」



「チェルシーの方は完全に予想通りやな」



「それは、シーズン中、普通に試合を見ていた人ならほとんど当る」

「まあな」

「難しいのは、マルダかカルーかという一点だけやしな」

「マルダを使ったということは、より守備を固めて始めようということになる」

「決勝の判断としては常識的で、攻めなければいけない場面でカルーを投入できるメリットもある」

「つまりは、持ち駒やな」

「一方のユナイテッドの先発予想はこうだった」



「しかし」

「実際にはこう」



「うむ」

「これは意外というか」

「男前というか」

「なんというか」

「クリスティアーノ・ロナウドが左に来ている」

「この意図というのは明白で、ここを起点に攻めますよ、ということになる」



「要するに、点を取りに行くということか」

「これまでも、このポジションでよくプレーしていたからその意味では普通ではある」

「しかし、決勝で、相手がチェルシーであることを考えると色々話が変わってくる」

「まず、左を中心に攻めた場合に怖いのは、下の筋やな」



「左から攻めるならば、それをフォローするためにエブラは上がらざるを得ない。そうなるとサイドにスペースが残る」

「そこをドログバへのロングボールから狙っていく、というのはチェルシーの大好物なわけやな」

「相手がいらっしゃいと言っている場所に敢えて飛び込むというのは、実に男らしい」

「次に、ロナウドを左に置くと、前線へのロングボールを使いづらくなる」



「ルーニー、テベスではテリー、カルバーリョ、エシエンを相手にすると勝ち目が非常に薄い」

「実際に、試合でも勝てなかった」

「1-4-1-4-1を相手にすると、どうしても入れる場所がなくて長く蹴らざるを得ない場面が増える。そこで目標がないのは厳しい」

「ロナウドが競った方がなんぼかましやということか」

「そうやな」

「次に、ロナウドを左に置くと、エシエンに対するマークの問題が出る」



「エシエンがおとなしくしてるうちは、攻めるロナウド、守るエシエンであんまり問題はないねんけどな」

「例えば、マンチェスターが狙い通りに先制した場合、それを取り返すためにチェルシーは攻める。攻めに入った場合、必ずエシエンが上がってくるから、それを放っておくわけにはいかない」

「彼のオーバーラップから得点が生まれるのは、良く見る姿やからな」

「そうなると、誰かがマークする必要がある」

「この形やとロナウドがつかなしゃあない」

「となると、守備での負担が重くなる」

「守備に走らされると、攻撃が鈍る」

「ロナウドを左に置くと、果たしてその辺がどうなのか、という不安が残る」

「そのような状態をさけるなら、最初から下の図でええやないかということになる」



「つまりは予想の先発なわけか」

「そうやな」

「しかし、ファーガソンのクリスティアーノ・ロナウドに対する信頼はすごいと思わんかね」

「確かに」

「もし、この状態が頻繁に起こったら試合にならへんわけやしな」



「これが起こらない、つまり、クリスティアーノ・ロナウドがエシエンに1対1で負けることは絶対にないし、マケレレやジョー・コールがヘルプに来たとしてもボールを失わない、という確信がないとこの先発は組めない」

「チェルシーは、マルダを使って安全指向。マンチェスターは、最初から有り金の8割を賭けるような大胆な起用」

「果たして、その結果どうなったかというと」

「前半は見事にマンUのペースになった」

「鍵は26分の先制点」

「ブラウンからのクロスを逆サイドでロナウドがヘディング」



「見事に決まって1-0」

「左サイドに置いたロナウドがまさにぴったりとはまった得点だった」

「エシエンは、ロナウドのヘディングを警戒するあまり、前に入ろう入ろうとしてクロスに対してかぶってしまった」

「かぶるというのは、要するに、頭の上を越されるということやな」

「それにしても、ピッタリな起用やな」

「それはそうだが、クロスが上がる前の段階で、ランパードが届かないボールに詰めすぎてかわされたミスも見逃せないところやで」

「この後は、先制点を取られて前に出るチェルシーの裏を取ってカウンター」

「34分のクリスティアーノ・ロナウド、42分のルーニーからのクロスは両方点になっておかしくなかった」

「これは、先に強気に張ったユナイテッドが優ったかとおもいきや」

「一番悪い時間に同点に追いつかれる」

「チェルシーのゴールが、まさに前半終了間際の45分に決まる」



「マルダのドリブルをリオ・ファーディナンドがギリギリでクリア」

「そのボールが、ちょうどいい形でランパードの頭に合う」

「右にできていたスペースに流し、エシエンが走りこむ」

「ゴールまでの距離は30m」

「しかし、迷わずシュート」

「それがディフェンスに当る」

「当ったボールは、傍にいたファーディナンドの背中を直撃」

「うまいぐあいに走りこんでくるランパードの前にこぼれる」

「前に出るキーパーの鼻先でシュート」

「ゴールネットを揺らした」

「うむ」

「しかしなんだ」

「なんだ」

「これはすごいな」

「チェルシーにとってはとんでもない幸運やな」

「相手に当ったボールが3回も都合のいい場所に飛んでいる」

「ビリヤードでも難しいという話やで」

「そりゃ、3クッションは難しいわな」

「そして、これで、展開ががらりと変わる」

「後半は完全にチェルシーのものだった」

「マンチェスターは、前に急ぎすぎて悪い形でボールを失う。急いだボールがつながったとしても受けた選手が孤立してしまう。孤立した状態を無理なドリブルで打開しようとしてまた悪い形でボールを失う。という実によくない流れになった」



「いわゆる悪循環というやつな」

「正に」

「おまけに、エシエンが頻繁に上がるようになって、ロナウドが後ろに走る機会が増えた」

「前に見たこのパターンやな」



「それもあって、ロナウドのパフォーマンスは時間を追うごとに悪くなっていった」

「こうなると交代が注目されるわけだが」

「最初の交代はマンチェスターで、86分、スコールズに代えてギグスを入れた」



「ふむ」

「なかなか含蓄深い交代やな」

「ロナウドを守備の負担から開放するために、ギグスを左に入れるのかと思ったら、トップ下のような位置に入った」

「ロナウドはあくまでも左で行くと」

「次の交代はチェルシーで、92分、つまり延長2分にマルダに代えてカルーを入れた」



「これも、ふむ、という感じやな」

「下がるのはジョー・コールの方が一般的やな」

「彼が一番持久力に欠ける、という判断の交代がこれまでは多かった」

「ところが、この日はマルダが先」

「それだけ出来がよかったということやな」

「ところが、ジョー・コールはそのすぐ後に足を痛めてアネルカと交代する」



「体力がついていかへんかったんやろか」

「どうやろな」

「ユナイテッドは101分にルーニーに代えてナニ」



「そして、120分、つまり、30分の延長の最後の最後に両チーム一人づつ交代を行う」



「マンUがブラウンからアンデルソン、チェルシーはマケレレからベレッチやな」

「ちなみに、チェルシーのドログバはその5分前に相手にビンタをかました罪で退場している」

「テベスの挑発にのった形やな」

「それはそれとして、最後の交代だが」

「完全にPK狙いやな」

「PKの苦手な選手、ブラウンとマケレレを、より得意な選手、アンデルソンとベレッチに代えたわけやな」

「PKの結果、マンチェスターが優勝」

「ファン・デル・サルもチェクもPKが得意なキーパーではないから、キッカーが甘いコースに蹴るかミスを犯すかで決まる可能性が大で、一番のジョーカーを引いたのはテリーだった」

「5人目で、決めれば勝ちだったはずのキックを外した」

「あれはきつい」

「きついな」

「5人目までで、ユナイテッドで外していたのはクリスティアーノ・ロナウドで、チェルシーで外したのはテリー。チームが勝ったロナウドは次に切り替えられるけど、テリーはそうもいかない」

「試合終了後は泣きじゃくっていて、精神的に壊れた状態だった」

「120分トータルでは、テリーの方がむしろいいプレーをしていただけになんとも言えない気分になる」

「ロナウドは、守備の負担もあって、どんどん下降線やったしな」

「その点で言えば、ファーガソンの采配では、先発からロナウドを左で使うことに関する勝算はどうだったのか、そして、ロナウドを左から中央に移す交代を行わなかった理由はなんだったのか。この二つのことが非常に気にかかる」

「誰かインタービューで聞いて欲しいところやな」

「そんなこんなで」

「今年は、ドラマチックかつ残酷な幕切れであったというところで」

「また次回」

「ユーロにて」

「ご機嫌よう」


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