週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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「遂に今年も終わりを迎えた」

「今年というか、今シーズンやな」

「最後の勝者はユナイテッド」

「1-1の同点、延長でも決着つかずPKへ」

「サドンデスの末、マンUの優勝」

「非常に拮抗した熱い試合であった」

「先発は、こうなっていた」



「チェルシーの方は完全に予想通りやな」



「それは、シーズン中、普通に試合を見ていた人ならほとんど当る」

「まあな」

「難しいのは、マルダかカルーかという一点だけやしな」

「マルダを使ったということは、より守備を固めて始めようということになる」

「決勝の判断としては常識的で、攻めなければいけない場面でカルーを投入できるメリットもある」

「つまりは、持ち駒やな」

「一方のユナイテッドの先発予想はこうだった」



「しかし」

「実際にはこう」



「うむ」

「これは意外というか」

「男前というか」

「なんというか」

「クリスティアーノ・ロナウドが左に来ている」

「この意図というのは明白で、ここを起点に攻めますよ、ということになる」



「要するに、点を取りに行くということか」

「これまでも、このポジションでよくプレーしていたからその意味では普通ではある」

「しかし、決勝で、相手がチェルシーであることを考えると色々話が変わってくる」

「まず、左を中心に攻めた場合に怖いのは、下の筋やな」



「左から攻めるならば、それをフォローするためにエブラは上がらざるを得ない。そうなるとサイドにスペースが残る」

「そこをドログバへのロングボールから狙っていく、というのはチェルシーの大好物なわけやな」

「相手がいらっしゃいと言っている場所に敢えて飛び込むというのは、実に男らしい」

「次に、ロナウドを左に置くと、前線へのロングボールを使いづらくなる」



「ルーニー、テベスではテリー、カルバーリョ、エシエンを相手にすると勝ち目が非常に薄い」

「実際に、試合でも勝てなかった」

「1-4-1-4-1を相手にすると、どうしても入れる場所がなくて長く蹴らざるを得ない場面が増える。そこで目標がないのは厳しい」

「ロナウドが競った方がなんぼかましやということか」

「そうやな」

「次に、ロナウドを左に置くと、エシエンに対するマークの問題が出る」



「エシエンがおとなしくしてるうちは、攻めるロナウド、守るエシエンであんまり問題はないねんけどな」

「例えば、マンチェスターが狙い通りに先制した場合、それを取り返すためにチェルシーは攻める。攻めに入った場合、必ずエシエンが上がってくるから、それを放っておくわけにはいかない」

「彼のオーバーラップから得点が生まれるのは、良く見る姿やからな」

「そうなると、誰かがマークする必要がある」

「この形やとロナウドがつかなしゃあない」

「となると、守備での負担が重くなる」

「守備に走らされると、攻撃が鈍る」

「ロナウドを左に置くと、果たしてその辺がどうなのか、という不安が残る」

「そのような状態をさけるなら、最初から下の図でええやないかということになる」



「つまりは予想の先発なわけか」

「そうやな」

「しかし、ファーガソンのクリスティアーノ・ロナウドに対する信頼はすごいと思わんかね」

「確かに」

「もし、この状態が頻繁に起こったら試合にならへんわけやしな」



「これが起こらない、つまり、クリスティアーノ・ロナウドがエシエンに1対1で負けることは絶対にないし、マケレレやジョー・コールがヘルプに来たとしてもボールを失わない、という確信がないとこの先発は組めない」

「チェルシーは、マルダを使って安全指向。マンチェスターは、最初から有り金の8割を賭けるような大胆な起用」

「果たして、その結果どうなったかというと」

「前半は見事にマンUのペースになった」

「鍵は26分の先制点」

「ブラウンからのクロスを逆サイドでロナウドがヘディング」



「見事に決まって1-0」

「左サイドに置いたロナウドがまさにぴったりとはまった得点だった」

「エシエンは、ロナウドのヘディングを警戒するあまり、前に入ろう入ろうとしてクロスに対してかぶってしまった」

「かぶるというのは、要するに、頭の上を越されるということやな」

「それにしても、ピッタリな起用やな」

「それはそうだが、クロスが上がる前の段階で、ランパードが届かないボールに詰めすぎてかわされたミスも見逃せないところやで」

「この後は、先制点を取られて前に出るチェルシーの裏を取ってカウンター」

「34分のクリスティアーノ・ロナウド、42分のルーニーからのクロスは両方点になっておかしくなかった」

「これは、先に強気に張ったユナイテッドが優ったかとおもいきや」

「一番悪い時間に同点に追いつかれる」

「チェルシーのゴールが、まさに前半終了間際の45分に決まる」



「マルダのドリブルをリオ・ファーディナンドがギリギリでクリア」

「そのボールが、ちょうどいい形でランパードの頭に合う」

「右にできていたスペースに流し、エシエンが走りこむ」

「ゴールまでの距離は30m」

「しかし、迷わずシュート」

「それがディフェンスに当る」

「当ったボールは、傍にいたファーディナンドの背中を直撃」

「うまいぐあいに走りこんでくるランパードの前にこぼれる」

「前に出るキーパーの鼻先でシュート」

「ゴールネットを揺らした」

「うむ」

「しかしなんだ」

「なんだ」

「これはすごいな」

「チェルシーにとってはとんでもない幸運やな」

「相手に当ったボールが3回も都合のいい場所に飛んでいる」

「ビリヤードでも難しいという話やで」

「そりゃ、3クッションは難しいわな」

「そして、これで、展開ががらりと変わる」

「後半は完全にチェルシーのものだった」

「マンチェスターは、前に急ぎすぎて悪い形でボールを失う。急いだボールがつながったとしても受けた選手が孤立してしまう。孤立した状態を無理なドリブルで打開しようとしてまた悪い形でボールを失う。という実によくない流れになった」



「いわゆる悪循環というやつな」

「正に」

「おまけに、エシエンが頻繁に上がるようになって、ロナウドが後ろに走る機会が増えた」

「前に見たこのパターンやな」



「それもあって、ロナウドのパフォーマンスは時間を追うごとに悪くなっていった」

「こうなると交代が注目されるわけだが」

「最初の交代はマンチェスターで、86分、スコールズに代えてギグスを入れた」



「ふむ」

「なかなか含蓄深い交代やな」

「ロナウドを守備の負担から開放するために、ギグスを左に入れるのかと思ったら、トップ下のような位置に入った」

「ロナウドはあくまでも左で行くと」

「次の交代はチェルシーで、92分、つまり延長2分にマルダに代えてカルーを入れた」



「これも、ふむ、という感じやな」

「下がるのはジョー・コールの方が一般的やな」

「彼が一番持久力に欠ける、という判断の交代がこれまでは多かった」

「ところが、この日はマルダが先」

「それだけ出来がよかったということやな」

「ところが、ジョー・コールはそのすぐ後に足を痛めてアネルカと交代する」



「体力がついていかへんかったんやろか」

「どうやろな」

「ユナイテッドは101分にルーニーに代えてナニ」



「そして、120分、つまり、30分の延長の最後の最後に両チーム一人づつ交代を行う」



「マンUがブラウンからアンデルソン、チェルシーはマケレレからベレッチやな」

「ちなみに、チェルシーのドログバはその5分前に相手にビンタをかました罪で退場している」

「テベスの挑発にのった形やな」

「それはそれとして、最後の交代だが」

「完全にPK狙いやな」

「PKの苦手な選手、ブラウンとマケレレを、より得意な選手、アンデルソンとベレッチに代えたわけやな」

「PKの結果、マンチェスターが優勝」

「ファン・デル・サルもチェクもPKが得意なキーパーではないから、キッカーが甘いコースに蹴るかミスを犯すかで決まる可能性が大で、一番のジョーカーを引いたのはテリーだった」

「5人目で、決めれば勝ちだったはずのキックを外した」

「あれはきつい」

「きついな」

「5人目までで、ユナイテッドで外していたのはクリスティアーノ・ロナウドで、チェルシーで外したのはテリー。チームが勝ったロナウドは次に切り替えられるけど、テリーはそうもいかない」

「試合終了後は泣きじゃくっていて、精神的に壊れた状態だった」

「120分トータルでは、テリーの方がむしろいいプレーをしていただけになんとも言えない気分になる」

「ロナウドは、守備の負担もあって、どんどん下降線やったしな」

「その点で言えば、ファーガソンの采配では、先発からロナウドを左で使うことに関する勝算はどうだったのか、そして、ロナウドを左から中央に移す交代を行わなかった理由はなんだったのか。この二つのことが非常に気にかかる」

「誰かインタービューで聞いて欲しいところやな」

「そんなこんなで」

「今年は、ドラマチックかつ残酷な幕切れであったというところで」

「また次回」

「ユーロにて」

「ご機嫌よう」

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