週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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無回転、曲がるインステップの一例

ボールを蹴る場所:
足の親指をそらせると、筋が浮き上がる。
その筋を、付け根から手前になぞると、徐々に上昇し、ある地点から下がり始める。
その峠にあたる、一番飛び出た骨の先端部分を使ってボールを蹴る。
この骨の名前を、内側楔状骨(うちがわけつじょうこつ)という。

練習1:蹴り上げ
内側楔状骨の突端部分で、ボールを無回転で垂直に蹴り上げる。
最初は、なるべく力を抜いて行う。
慣れないうちに強く蹴ろうとすると、ボールをこすり回転が加わる。
力を抜き、ボールと足の間の反発を利用し、弱い力で、なるべく高く上げる。
この練習では、インパクトで足首をロックするタイミング、ボールと足が相互に作用する感覚をつかむことができる。
慣れたら、徐々に強く蹴る。
無回転のボールが、真っ直ぐ高い空に吸い込まれていくようになればよい。

練習2:ボレー
軽く浮かせたボールを、内側楔状骨で捕らえる。
この時も、無回転のボールを蹴るため、力を抜いた状態からはじめる。
硬い骨で蹴る、とがった場所で蹴る、この2つにより、それほど力を加えなくても速いシュートを打つことができる。
慣れてきたら、徐々に強く蹴る。
この時、骨の先端をボールの中心からずらすことにより、曲がるボールを蹴ることができる。

練習3:地面から蹴る
手続きは上と同じである。
注意する点は、足の大きさにより、この部位で蹴りやすい人と、そうではない人がいることである。
26cm程度であれば、傾けることにより蹴ることができる。
それ以上の場合、大きくなればなるほど、つま先で地面を蹴りやすくなる。
肉体的な条件により、用いることのできる技術が変わる一例である。

この部位で蹴るメリット
・硬い部分で蹴るため、反発を利用しやすい
・先端部分で蹴るため、ボールを変形させやすい
・上記2つを利用することで、強いボールを蹴りやすい

この部位で蹴るデメリット
・変化をコントロールしにくい
・地面のボールに対して蹴りにくい場合がある

また、この部位と、親指の付け根とは、5.5cm程度離れている。
2つの場所で蹴ることができれば、蹴り足とボールとの距離がずれた場合、部位を変化させることである程度の対処が可能になる。

一般に足の甲で蹴るものをインステップキックと呼ぶ。
ただ、足の甲は広い。
内側楔状骨は、あまり強調されることのない部位であるが、それとその周囲で蹴ることにより様々な軌道のシュートを打つことができる。
また、背の低い人の中には、ここを基本として蹴る人もいる。
練習して損のない技術だと考えられる。
また、これ以外の部位での蹴り方を工夫することも意味のあることであろう。
「さてさて」

「新年明けて最初の試合は、マドリー対ビジャレアル」

「なんともめでたい組み合わせやな」

「結果は1-0でマドリーの勝ち」

「危うい試合ながらも、バレンシア戦に続いて再び3ポイントを獲得」

「薄氷を踏んでも割らない見事な試合かと」

「見事なのかね」

「今回は、主にマドリーについて、構成と戦術面から眺めてみようかと」

「最近はやりの個人技はなしか」

「残念ながら」

「そうか」

「図を多く、言葉を少なく、パラパラ漫画のような形式ですので、お屠蘇を片手にご覧いただければと」

「三が日はもう終わってるけどな」

「先発はこちら」



「マドリーはやはり1-4-4-x方面に向かうようやな」

「妥当なところやな」

「この構成の攻撃における狙いはこう」



「フンテラールにロングボール、後は、右サイドをロベンとラモスで縦へ」

「要するに、セビージャ型の焼き直しやな」

「フアンデが監督である以上、こうなるわな」

「そこで有効な攻め筋は下の形」



「シュナイダーからのサイドチェンジなどから右にボールを移し、ロベンのドリブルかセルヒオ・ラモスのクロス」

「フンテラールへのロングボールは、ゴンサロ1人で対処できるので恐くない」

「上の形を止めるには、相手としては図の右を固めたい」

「ところが、この日のビジャレアルはこう」



「一応1-4-1-3-2だが、ピレスがどうしても前残りになる関係で青い部分が空く」

「それとマドリーの狙いを合わせる」



「これはいかん」

「相手の強い場所と自分の弱い場所が当たると、大体悪いことが起こる」

「31分のロベンのゴールは、正にこれで、ロベン、ラモスでカプデビラのところに1対2を作られて、エグレンが必死でヘルプに行くが中に切れ込むロベンにかわされ、そのままミドルを決められた」

「バレンシア戦のマドリーとペペの復活を考え合わせると、マドリーが右をこの2人組むことは十分に予想の範囲内である」

「にもかかわらず、あえてビジャレアルは上のように組んだ」

「これはいかなることかと」

「バルセロナ戦では、アウベスの押さえにカニを入れて、ピレスは前に置いた」



「マドリーは低く見られたのかね」

「それはどうかわからんが、右を押し込まれても、その裏を突いて元を取ろうという考えであったことは間違いない」



「奪ったボールを、前に残ったピレスに入れて、サイドに流れるロッシにつないで攻める、といった流れやな」

「しかし、これは、まったく有効ではなかった」

「ペペが危険すぎた」

「ロッシがサイドに流れたとしても、スピードで振り切ることはできず、さらには追いつかれた後、手もなく潰されていた」

「あれは正に性能の差やな」

「でかくて機敏で速くて強い。さすがに30億のセンターバックだけのことはある」

「ぺぺの肉体は、ほとんど兵器やからな」

「そんなこともあり、開始からしばらくは、完全にマドリーのペースだった」

「ラインを高く保ち、前からプレスをかけ、相手の穴をつく」

「非常によろしい立ち上がりだったわけだが」

「前半の途中あたりからどうにも雲行きが怪しくなる」

「一筆であらわすと次のようになる」



「一筆ではないな」

「これがかの有名な、”中盤がぱっくり空く病”やな」

「中盤が2人残る分、今までと少し違う意味があるねんけどな」

「デル・ボスケとマケレレが去り、ベッカムが来て以来、この病気について毎年のように書いている気がするのは気のせいかね」

「近いような遠い過去やな」

「雲行きは怪しいまま、マドリーが1点リードして前半を終える」

「ハーフタイム後、ニハットが下がり、ジョレンテが入る」

46分:ニハット→ジョレンテ


「ジョレンテは、最初ぺぺの側にいたが、その後位置を変える」

「後半開始からは、完全にビジャレアルの試合で、マドリーは自軍のエリアに押し込められ状態が続く」

「これはいかんと56分」

「フンテラールに変わってドレンテが入る」

56分:フンテラール→ドレンテ


「ドレンテで左サイドを防ぎ、シュナイダーを中盤に近づけて穴をふさごう、ということやな」

「旗色が悪くなると、フォワードの1人を引かせてガチガチに固めるあたりもセビージャ時代と同じやな」

「その辺りに興味を持たれた方は、こちらをお読みいただければと」

「攻めのビジャレアル、カウンターのマドリーで時は流れ、得点は動かない」

「負けてるビジャレアルは、イバガサを投入」

69分:セナ→イバガサ


「ベティス戦でも見たように、点が欲しい時にはイバガサが出て来る」

「77分にマドリー、79分にビジャレアルが動く」

77分:ラス→ファン・デル・ファールト、79分:ピレス→カニ


「ここで、ラス・ディアラをファン・デル・ファールトに代える理由は、カードや体調がらみ以外だとよくわからんのやけどな」

「そして、89分にやや意外な交代が行われる」

「ロベンが下がってメッツェルダー」

89分:ロベン→メッツェルダー


「後ろ3人に赤丸がついているのは、その位置関係がよくわからなかったことによる」

「この状況でロベンを下げるのは当然やな」

「1点勝ってる状態で、動けないロベンを置く必要はないしな」

「ロスタイムに、相手が放り込みをかけてくるのはよくあることだから、後ろを厚くすることも理にかなっている」

「おまけに、この交代で時間も少し浪費できるしな」

「ところが観客はブーイング」

「これがベルナベウというかなんというか」

「こういう交代は、彼らにとてみっともないことこの上ない」

「ビジャレアル程度を相手にそこまでしないと勝てないのか、というのが許し難いんやな」

「そういうえば、昔もこんな事件があったな」

「あったな」

「カマーチョとルシェンブルゴの間の監督で……」

「マドリーファンでも名前を思い出せない、影の薄い人や」

「だれやっけ」

「ガルシア・レモンや」

「そんな名前やったな」

「チャンピオンズリーグのバイヤー・レバークゼン戦で、引き分けを狙って、交代で時間を浪費しようとしたら、勝利を望んでいた観客がひきつけを起こして、場内大ブーイングに包まれた」

「詳しくは、こちらの、”ソラーリをどうするつもりよ?”という文をお読みいただければと」

「ガルシア・レモンといえば、最後は非常に寂しいものだった

「なんにせよ、ベルナベウの観客の美意識というかそういうものは、実に堅固で、それに反したものに対する批判も凄まじい」

「批判というか、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式で、その人物自体への憎悪に近い感情になるのが恐ろしい」

「最近の監督で、その犠牲になったのが、ガルシア・レモンであり、カペッロなわけやな」

「カペッロなんか、2回監督を引き受けて、2回とも優勝して、2回とも裏口から追われるように去らなければならなかった」

「そのサッカーがどうしても観衆の趣味に合わなかったのが原因やな」

「はたしてフアンデは大丈夫か」

「今後も注目であると」

「実は、今、リーガでマドリーに一番ふさわしい監督は、ビジャレアルのペレグリーニではないかと思うんやけどな」

「お父さんキャラナンバーワンか」

「人からチームを作り、選手を喜んで任務につかせることができる意味でもナンバーワンやで」

「面白いかもわからん」

「最後に、このマドリーに対する、相手チームの対策を考えて終わろうか」

「一度考えられてから以下を読まれるとよろしのではないかと」















「基本は、耐久勝負で、体力勝ちやな」

「特にベルナベウでそれをやれば、我慢が切れた観衆がマドリーにブーイングを始めるからより有利になる」

「システムは、1-4-1-4-1が一番楽やな」



「こうしておけば、マドリーのメインの攻め筋を止めやすい」

「まず、ロベンとセルヒオ・ラモスに対して、3対2で数的優位を作りやすい」



「次に、ロベンが中に切れ込むと、中盤の1、紫の円で囲まれた選手が丁度いい守備位置にいる」

「もし縦に突破されたとしても、その選手がマイナスへのパスを切りやすい」



「ロベンに対する安全弁になる」

「ボールを奪って攻めるときは、1-4-1-4-1の基本通りやな」



「ワントップへの長いボールか、縦に抜けるサイドに合わせることを最初に狙う」

「ぺぺとカンナバーロなら、ワントップは、カンナバーロを相手に競った方がいい」

「もし、サイドを抜けたら、中が薄い状態でセンタリングを上げるより、一度スペースに戻ってキープする方を優先させる」

「そうなると、マドリーの両サイド、シュナイダーとロベンが後ろに走らざるを得なくなるので、全体を押し下げることができ、さらにその2人の体力を削ることができる」

「うまく押し下げたら、次は、下のように守ればいい」



「ガゴ、ラスを近くでマークして、守備ラインでは、なるべくカンナバーロ、ハインツェにボールを持たせるようにする」

「マドリーとしては、ハインツェをマルセロに代える方が攻撃的にはいいが、それをやると守備で穴ができやすくなるので悩ましい」

「個人の能力に自信のあるチームは、下のように組んでもよい」



「1-4-4-1-1か」

「1-4-1-4-1が一番安直でいいと思うけどな」

「前半きちんと耐えて、後半マドリーの病気が出たところでサイドやトップに攻めに効く選手を入れて勝負に出る、というのが基本かね」

「おそらく」

「今のチーム構成では、マドリーはこれをやられると、必ず苦労する」

「ではどうするか」

「なるべく今のマドリーのメンバーを残して、フアンデのやりやすいように変えるとして、それぞれポジションに典型的な選手を入れると、下のような感じになる」



「基本的に、セビージャ時代の構造と特徴のパクリか」

「果たしてどういう補強があるのか」

「これまた楽しみというところで」

「また次回」

「ごきげんよう」
インサイドキックの間の変換の実例を見るとともに、相手を騙すために必要な条件を見る。

下の形から、スルーパスが通りゴールが決まる。









ここでは、スルーパスにおいて、「正しいインサイドキックとは」で見た表から裏への変換が使われている。



インサイドでの赤いパスを見せて、ディフェンスを黄色側につり、足を返して白いパスを通す。
これは、以前に見た、下の図と同じである。




下図における蹴り方を拡大する。



ここでは、相手を騙すために重要な、蹴り手の体の向き、踏み込みの方向、ボールと足の配置、に注目していただきたい。
また、ディフェンスがフェイントにひっかかる様子にも注目していただきたい。

体を左方向に向ける。



正面方向に踏み出す。






上の図で、ボールと足は、そのまま左に蹴ることができる配置になっている。

軸足が着地する。



ここから、縦方向に足を返す。
図の左側に位置するディフェンダーは、左方向へ動く、










スルーパスが通る



上の流れで、守備者は左側へのパスフェイントにつられている。

それは、インパクトにいたるまでの、体の向き、踏み込み、足とボールの配置、そのすべてが本当に左に蹴ることのできる状態、動作であったためである。

体の向き


踏み込み


足とボールの配置


また、相手を騙すためには、体と軸足が、なるべく最後までフェイントの方向を向いている方がよい。

以下にそれを見る。


・蹴る時の姿勢と才能、練習での意識

インパクト時の姿勢を、「胸より上側および軸足の下側」と「それ以外の部分」に分ける。

胸より上側および軸足の下側


図の左側を向いている。

それ以外の部分


正面ゴール方向を向いている。
1つの体の中に、まったく異なる2つの方向が同居しているのが下図である。



下の矢印のように、まったく別の方向を向いている。



インパクトの瞬間、胸より上側および軸足の下側が、フェイントの方向をむいていることは、相手を騙すにあたって、非常に大きな効果がある。



これらが、早い段階で蹴る方向に向けば、ディフェンスに対応されやすくなる。
その意味で、上の蹴り方は理想的である。
上手く相手を騙すためには、これを真似るとよいが、そのためには才能が必要になる。

まず、通常、下の体勢を取ること自体が無理である。



一般的に、ここまで上半身と下半身を分離させることはできない。
さらには、この無理な体勢の後、自然な着地を行うことは困難である。



この例では、蹴る前後は自然な体勢であり、間に極めて無理な状態が入っているとは思われない





無理な動作を自然に行うことには、才能が大きく関わってくる。

このように、下図の赤線近辺から上下の動きを分離できる選手は、相手の裏を取る行動に向いている。



そのような能力は、トレーニングによって鍛えなければならない。
そのような練習は、ダンスにおいて頻繁に見られる。
例えば、クラシックバレーのバーレッスンにも見られるし、他のダンスの準備運動において、胸から上だけを前後左右に動かすものや、肩の線を固定して、上半身だけをひねる動作もそれにあたる。

リズム体操のようなものを練習に取り入れているチームもあるが、手足をバタバタさせる動きより、上下を分離させることを意識した動きを取り入れる方が、実際のフェイント能力を向上させることにつながる。

ダンス、サッカーという単語の並びからは、サンバ、ブラジルという言葉が思い浮かぶ。
果たして、サンバとブラジル選手のフェイント能力の高さに関連があるのか、興味を引かれるところである。

サッカーが上手くなるためにダンスをせよ、とは言えぬが、準備運動などに、そのような動きを取り入れることは有益であると考えられる。
例えば、ジャンプをして下半身をひねる動作にしても、なるべく胸から上が動かぬよう、するどく大きくひねることを意識するだけでも、長期的な成果は異なるはずである。

普段の練習の中では、キックの際、軸足と上半身をなるべく最後までフェイントの方向に向けるように心がけるとよい。
そのことで、必然的に上下のずれは大きくなる。
また、ロッシカカーのように、軸足の向きを変えながら着地しなければならない場合も、なるべく最後までその動きを遅らせた方がよい。
遅らせれば遅らせるほど、技術的に難しくなるが、相手を騙しやすくなる。
これは、この文の続きである。

赤い線がフェイントのシュートコース、黒い線が実際のシュートコースをあらわす。

ペナルティースポット付近からその後方で有効な技術

インステップで軸足側に蹴るフェイントから、インサイドで蹴り足側に蹴る






ゴールエリア角近辺で有効な技術

インステップで蹴り足側に蹴るフェイントから、インサイドで軸足側に蹴る





以上の技術は、上の状況でしか使えないものではない。

最初のものは、より角度のない場所から決めた例もある。



この動画の5分8秒からのソクラテスのゴールがそれにあたる。

二番目の蹴り方は、体の正面に対して、90度に近い角度に蹴るにおいて便利である。
このため、中央付近でも体が外を向いた状態でファーに打つ場合などに利用可能である。



また、インステップによるシュートフェイクからのパスにも利用できるはずである。
この辺りの応用は、各自工夫されたい。

上の有効範囲は、ドリブルで持ち込み、キーパーと一対一になることを想定した場合のものである。
これは、この文の続きである。

インステップでニアサイドに蹴る踏み込みから、軸足を外に開き、インサイドでファーサイドに蹴る

遠景









仕組み


赤い線がフェイントのシュートコース、黒い線が実際のシュートコース

逆を取られたキーパー



軸足を開く様子




インパクトの瞬間



シュートフォーム













膝の開き

蹴り足の膝が、最大に外を向いた状態




下の選手の方が、より強くひねっている。
これは、シュート位置の差による。




下の選手の方が、より前方へボールを蹴る必要がある。
このため、強くひねる必要が生じる。

この蹴り方は、下のゾーンで有効である。



ゴールから遠いゾーンでこれを用いると、より強いひねりが必要になる。
また、ボールがゴールからそれる軌道を描くため、遠いほど外れやすくなる。

続き


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