週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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映像出典:http://www.youtube.com/watch?v=8gzvqN26I5Q

これまで、同じモーションから、インサイドとインステップを使ってキックの方向を変える技術をいくつか見た。
具体的には、

インサイド表→インサイド裏
インサイド表→インサイド表
インステップ→インサイド表
インステップ→インサイド裏

といったものである。
ここでは、これにインフロントを加える。
インステップからインフロントで方向を変える、いわば、ステップフロントと呼ぶべき技術である。

実際に使われた場面を見る。

画面上部から、中央にパスが出る。



右足で中央方向にコントロール。



前進しながらニアサイドに向き直る。



ニアに踏み込みながらインパクト。



ニア側に倒れるキーパーの逆を取る。



上の流れを拡大する。



コントロールで内側へ。






ニアに向き直る。




ニアへ踏み込み。






キーパーは右足に体重をのせている。




インパクト







後方から見る。
軸足の動きと、蹴り足がニアからファーへ方向を変更する様子に注目されたい。










ここから、軸足のつま先が一気に体の外側へと開く。






軸足の右側にあったつま先が、左側にきている。





以下、キーパーが右足に体重をかけ、画面右へと動く。




インパクト










実際にニアにシュートを打つように見える。
軸足の踏み変えが非常に遅い。
方向を大きく変える。
以上の点で、非常に素晴らしい技術の実行である。

次に、同じ形のシュートを別の選手が行う例を見る。
「さて」

「デルビ・マドリレーニョは引き分け」

「珍しくアトレチコの勝ち試合だっただけに残念だった」

「確かにアトレチコ有利というのは、近年珍しい」

「先発はこう」



「この試合では、フォルランとフンテラールが得点を決めた」

「2つとも良いゴールであった」

「おまけに、決める技術として、共通したキック面の変更が使われており、教科書的に非常に重要である」

「うむ」

「そういうわけで、今回は個人技が主ですので、こちらからご覧下さい」

「全体編はもう終わりか」

「そうなる」

「さびしいもんやな」

「戦術的に言えば、この試合より、ビジャレアル対エスパニョール戦の方が考えさせられるものだったと思うんやけどな」

「下か」



「後半、1点負けているエスパニョールが、デ・ラ・ペーニャを下げた場面やな」

「この変更は、前回で見た通り、点が欲しい場合の常套手段になる」

「理論通りと」

「ちなみに、この試合では、トップでタムードが先発していた」

「これも、ペーニャとの相性を考えると当然で、前回の話の通りではある」

「青いエスパニョールは理屈通りなのではあるが」

「黄色いビジャレアルの方がおかしい」

「おかしいというか、極めて不思議な形やな」

「トップ下のイバガサを、デ・ラ・ペーニャにマンツーにつけるのはいいとして、システムが1-4-3-1-2なのは、ちょっと異常やな」

「これまた前回の話にあるように、これだとサイドを呼び込む可能性が高い」

「エスパニョールは、正にそのサイドが強い」

「特にネネーの左が強く、後半のビジャレアルはここからぼっこぼこにやられていた」

「戦術の基本の基本は、相手の強い点に自分の弱い点を当てないことなのに、ビジャレアルはそれをやってしまっている」

「なんでなんやろな」

「ペレグリーニは、普段その辺りは非常に慎重な監督で、今回に限ってなぜこう組んだのか、実に聞いてみたい」

「サイドを守ろうと思っても向いた選手がいないし、それならカウンターの反発力を残す形で組んだ方がいい、ということなんかね」

「そうなんかね」

「どうやろな」

「そんな疑問を残しつつ」

「個人技編はこちらから」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「さて」

「マドリーはエスパニョールに勝ち」

「バルサはアトレチコに劇的に破れ」

「その差は4ポイント」

「リーガも盛り上がって実に素晴らしい」

「そうなんかね」

「そりゃ、いつまでも大差がついてるよりは、望ましい状態であるのと違うかね」

「かもわからん」

「そこで、本日は、エスパニョールに注目しながら、システムと天才の関係などを見て行こうかと」

「脈絡がわからんがよかろう」

「先発はこう」



「マドリーは1-4-1-4-1か」

「そうやな」

「エスパニョールは、1-4-2-3-1」

「それを取り出すとこうなる」



「よろしい配置やな」

「左右にネネーとルイス・アルシアがいて、ボランチのモイセス・ウルタドも優秀だし、ハルケは組み立て抜群、パレッハは守備の厳しさに加えてボールを持ってもばたつかない」

「それに加えてトップ下にはデ・ラ・ペーニャ」

「弱いはずがない構成ではある」

「それなのに下から2番目19位」

「ティンティン・マルケスの時代に無理をしたつけかね」

「それはわからんが、今のチームでも、どうしても組み合わせが良くない部分がある」

「下の部分か」



「デ・ラ・ペーニャは、前を向いたら一瞬でラインの裏を取るパスを出すことができる」

「受ける人がいれば、それで点が入る」

「ところが、イバン・アロンソは裏に抜けるのが得意ではない」

「これでは、トップ下にペーニャを置く意味が半減する」

「半減どころではないと思うけどな」

「イバン・アロンソはディフェンスを背負ってのプレーがいい」

「しかし、それでは噛み合わせが悪く、両者にとってよろしくない」

「やはり、下のように組みたい」



「前にタムードか」

「ラインの裏に出るセンスにおいて得がたい選手やしな」

「デ・ラ・ペーニャとの相性も抜群」

「ロナウドを最初の恋人とするなら、第二の恋人」

「普段も非常に仲がいい」

「とまあそんな話は置いておいてや」

「実際に、この試合では、62分に交代が行われ、この形になった」

「その相性のよさというのは、65分22秒に、ペーニャのパスからタムードが裏に抜けるシーンにも見られますので、よろしければご覧下さい」

「オフサイドやったけどな」

「あのプレーが生じることに意味があるねん」

「この交代は、デ・ラ・ペーニャの攻撃才能を利用するために行われたと言えるわけだが」

「その才能をさらに発揮させる方法がある」



「禁じ手やな」

「ペーニャ・ボランチ説」

「前に送るパスコースの多さという点で、前とは比較にならない」



「この試合では、リードを奪われた73分に、ラモンに代えてコロを入れ、実際に下の形になった」



「やはり、この位置からの展開力は見事だった」

「良くなった理由は、ラスから離れたことも大きい」

「デ・ラ・ペーニャは、ラスを前に置いた際、距離を保つのに非常に苦労していた」

「彼が一対一で苦しむというのはほとんどない」

「逆に言えば、ラスの能力の高さが垣間見られる事実ではある」

「買ってよかったラサナ・ディアラ」

「なんの標語かね」

「この試合の後半に見られた2つの形は、デ・ラ・ペーニャの才能をいかす、という意味において、良い解になっていると考えられる」





「より輝くのは下の形やな」

「しかし、これをやると、守りはがたがたになる」

「デ・ラ・ペーニャは120%ほどの確率で守備向きではないからな」

「守備向きではないというか、守備をしない方がいいというか」

「守備者に一番大切なのは忍耐という要素で、それをまったく持たない彼をディフェンスラインの前に置くとなにが起こるかわからない」

「バルベルデやロティーナが下の形を試しても、どうにも上手くいかなかったことを見ると、普段は上で戦い、どうしても点が欲しい場合のオプションで下を使う、というのが安定解だと思われる」

「他に、攻撃に抜群の才能を持つが、守備に大穴がある選手を有効に活用する方法としては、下の形が有名やな」



「リケルメやロナウジーニョをいかした形か」

「エスパニョールでも、ルイス・フェルナンデスがこれを用いてデ・ラ・ペーニャを使い、非常にいい結果を出したことがある」

「なんかあれやな」

「なにがなんや」

「この図を見ると、今のチームでこそ、これをやると上手く行きそうな気がするな」

「それぞれのポジションに求められる能力を備えた選手が揃っている」

「これはぜひ一度試してもらいたいところやな」

「それは無理かもしらんが、リケルメやペーニャのような天才をいかす場合は、上の3つのシステムを憶えておけば便利なので」

「ぜひテスト対策に使っていただければと」

「ちなみに、普通のシステム論からすると、下のようにも組みたくなるが、あまり上手くいかない」



「これをやる時は、相手のサイドからの攻撃が弱ければ弱いほどよい」



「スペースの多いサイドを崩されなければ、中央の厚みが効いて来る」

「理論的には、そのはずやな」

「しかし、大体の場合、サイドを押し込まれて下の形になる」



「後ろが下がるスピードに前の三人がついていけず、中盤がぱっかりと空く」

「こうなると、結局カウンター中心の戦いをすることになる」

「シュスターのマドリーは、わざとこれを狙って勝っていた」

「それを狙う時は、最初に相手に攻めさせるわけだから、守備によほどの自信がないとできない」

「マドリーはその点、非常に強かった」

「最近は、ラスを買ったおかげで益々強くなった」



「この6人は凄いな」

「守備において、それぞれの分野で世界一かそれに近い選手しかいない」

「昔、バルサのロナウジーニョ、メシ、エトー、アンリを指して、クアトロ・ファンタスティコスと呼んでいたが、これこそセイス・マグニフィコスやな」

「ファンタスティック・フォーに荒野の6人か」

「7人じゃないのが残念ではある」

「残念といえば、ペペにハルケのような組み立て能力があればと思うことはままある」

「それをやると、ただの反則キャラになってしまうで」

「そうやけど、完璧に果てしなく近い選手、というのを一度見てみたいやんか」

「それやったら、ハルケではなく、マルケスをくっつけたらええやろ」

「それやと、ちょっとやり過ぎかなと思ってな」

「不思議な遠慮やな」

「相手との駆け引き、同じモーションからボールの軌道を変える技の多彩さという点で、やはり、マルケスに一日の長がある」

「ハルケとゼ・カストロにはぜひ頑張っていただきたいと思う今日この頃やな」

「そういえばや」

「なんや」

「マルケスで言えば、ちょっと面白い写真を見つけたんやけどな」


http://www.marca.com/2009/02/05/futbol/copa_rey/1233872806.html

「マルカのコパの記事か」

「これ、上半身と下半身が見事に捻れてるやろ」

「そうやな」

「このことは、デ・ラ・ペーニャの話に通じると思うんや」

「この写真か」



「これはパスで相手を騙す時のインパクトで、上半身と下半身があっちむいてほいをしている」

「上下を分離させることができれば相手を騙しやすい」

「マルケスもパスによる組み立てが上手いことを考えると、2つ上の写真は、その能力の秘密の一端を語っておるのではないかと思うわけや」

組み立ての上手下手において、相手を騙すのは本質的に重要やしな」

「そういう話や」

「マルケスついででいえば、バルサは上手くいっていない」

「アトレチコにも負けて、4試合ほど勝ちがない」

「そのアトレチコ戦で一番気になるのは、サイドを下げた点にある」



「スリートップというより、1-4-1-4-1か」

「バルサはこれをやると絶対に駄目で、苦しくても前のように前からプレスをかけた方がいい」

「それで上手くいかんから下げたんやろ」

「それはそうやけどや」

「この前のリヨンなんか、完全にバルサの右狙いで、中央で3本ほど短いパスをつないだら、ほとんど見ないでそちらのサイドに長く出していた」

「そこに、必ず流れたベンゼマか上がったグロッソがいる」

「やっぱり穴を埋めたくなるのは仕方がない」

「でも今さら下げても自信なさげな姿をさらすだけやから、今までやってきたことを貫いた方がいいとは思わんかね」

「理想論やな」

「そんなこんながどうなるか」

「コパ、リーガ、チャンピオンズと続く勝負の期間」

「今後を注目しながら」

「また次回」

「ごきげんよう」



おまけ:怒るデ・ラ・ペーニャ

下の配置で、デ・ラ・ペーニャがフリーである時、サイドから1人交わして中に切れ込んだネネーがクロスを上げた。
これにデ・ラ・ペーニャは激怒した。


「さて」

「ここでは、デ・ラ・ペーニャがいかに天才であるかという点を見て行くわけやな」

「まず、画面右側のデ・ラ・ペーニャから右サイドへ長いパスが出る」



「その後、下のような流れになる」






「ディフェンスにクリアされる」

「全然天才的じゃないな」

「まあ、そうなんやけど、下の図が鍵になる」



「マルケスがクリアした瞬間やな」

「体勢を見ると、かなりギリギリであることがわかる」

「のけぞった感じの姿勢やな」

「デ・ラ・ペーニャのパスというのは、実は、下の形を狙っている」



「もし、マルケスがすんでのところで届かなかった場合、頭でクリアにいった分、抜けたボールに対する守備はできない」

「ペーニャのパスというのは、わざとこれを狙っていて、ディフェンスにとって、ギリギリでクリアできるかできないかの位置にボールを出し、意図的にかぶらせる」

「かぶる、というのは、高いパスをクリアしようとしたのに、ボールに触れることができずに裏に抜ける、という意味やな」

「取れそうな餌をまいて、実は取れずに罠にかかる、という感じやな」

「まあ、ほんまにそんなことができるのか、という話やけどな」

「本当にうまい選手というのは、これができるんや」

「でも、お前、ペーニャのパスは、50mくらいあって、ディフェンスをギリギリ越えるということは、頭の上5cmを通るいうことやろ」

「そんな感じやな」

「そんなもん、アイディアがあっても、実現不可能やろ」

「普通はそうやな」

「信じられへんという話や」

「昔、ラス・ロサスというフットサルのプラタだったチームに、ガビという選手がいてやな」

「突然どうした」

「この選手が、強烈に上手くて、30m位の距離から、わざとディフェンスがクリアできそうな高さのパスを出して空振らせ、ゴールにつなげる、という技を実際にやっていた」

「そんな個人的な記憶を持ち出されても困る」

「そりゃそうやな」

「皆様におかれましては」

「上のようなパスを本当にデ・ラ・ペーニャが狙っているのか否か」

「チェックしながらご覧になるのも一興ではないかと」

「普通は下のようになるところで」



「デ・ラ・ペーニャはこれを狙う」



「これが一つ、シャビとデ・ラ・ペーニャの差でもあって、シャビは基本的に上を確実に出す中からチャンスを狙う」

「ペーニャは、見えた瞬間に出して、下のように、一発で決めに行く」

「そんな違いがあるというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「さて」

前回は、シャビのプレーで、インサイドでのパスとアウトでの切り返しが見合いになっているものを見た」

「一方を止めようと思うと、もう一方を止められなくなるから、相手はうかつに近寄ることができない」

「ところが、昔のシャビは、うかつにも近寄られることがあった」

「というのが下の図になる」

「ずいぶん前の映像で、多分、6~7年前のベティス戦だと考えられる」

「今、左下の赤っぽい選手から、中央、マイナスにパスが出る」



「これをシャビが受ける」



「ボールをコントロールする」





「ここで、体の正面が相手を向く」



「さらに横を向きながら」




「パスフェイクをかけて」





「アウトで切り返し」



「ところが、相手はそのまま寄ってきて」





「絡みつかれる」






「最後には体を前に入れられてしまい」





「ファールで引き倒す」



「これは、プレーとして良くない」

「ボールをコントロールした時点では、十分に相手との距離がある」



「今のシャビなら、まず相手に絡まれることはない」

「ボールをコントロール、ボールを横に動かして相手を向いてパスフェイク、パスフェイクからアウト切り返し、という流れは共通しているのに、昔は絡まれて、今は絡まれない」

「その差はなにかというと」

「前への踏み込みやな」




「これが今で、しっかり体の前方に踏み込んでいる」

「ところが、昔のプレーではそれがなく、横に流れている」

「わかりにくい場合は、例によって、パラパラ漫画にしていただければと」

「体の正面を相手に向けても、プレーのベクトル自体が前を向かなければ、相手を止める効果は少ない、ということやな」

「それどころか、自分の体勢を崩して、むしろ相手を呼び込むことになりかねない」

「正対してはみるけど、どうも相手に飛び込まれてボールを失ってしまう、だから恐くてできない、ということは往々にしてある」

「そのような場合は、一度前にプレーのベクトルを向ける、すなわち、前へ踏み込む、もしくは、ボールを軽く前に突く、という行動を取った後に技を仕掛けるとよい」

「と、そのようなことがシャビのプレーから見えますので」

「ぜひ試していただければと」

「これまでの話をまとめると下の図のようになる」



「今回のシャビのプレーにおいては、まず①のインサイドの表で出すパスが基本になる」

「この時、前へ踏み込むことが非常に重要である」

「そこから、インサイドの表から裏の変換を用いることで、②方向へのパスを出すことができる」

「これは、今回は出ていないが、以前の話から、シャビはそれが可能であることがわかる」

「そして、それらのパスをフェイクにして、同じ体勢から、③の方向にアウトで切り返すことができる」

「切り返した後は、アウトでパスを戻すか、もう一度90度方向に切り返すこともできる」

「以上の行動が見合い、つまり、一つを止めると別のものが止められない構造になっているため、シャビからボールを奪うことができない」

「つまり、シャビはキープ力がある」

「とまあ、そのような結論になる」

「そんなこんなで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」

「おまけで、デ・ラ・ペーニャの天才性についての文がこちらにありますので」

「よろしければどうぞ」


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