週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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これまで、インステップキックの練習法について見た。
ここでは、指導について考える。

・インステップの種類

これまで見てきたように、インステップキックには大別して楔型と弓型の2種類ある。
これらをインステップの代表とするのは、以下の理由による。

まず、この2つは、物理的に強いキックを蹴るメカニズムの両極端に属する。一方は、力のピーク値を上げ、もう一方は、力を持続的に発揮する。
次に、この2つの型は、一般に良く観測される。また、後に見るように様々なインステップのバリエーションは、これらからの派生、もしくは、複合として理解されうる。

技術の土台として習得するのに好適であると考えられる。


・楔型と弓型の分離

楔型と弓型は、その蹴り方、メカニズムにおいて完全に異なる。

しかしながら、これまで、同じインステップキックとして一括りにされてきた。
このため、現場、技術書、技術研究すべての段階において混乱が見られる。

スペインでは、インステップを練習する際、”クエルポ・エンシーマ”という声をよく耳にする。クエルポは体であり、エンシーマとは上という意味である。
つまり、上体をボールの上にかぶせろ、ということである。
これは、楔型において適切な指導である。



左は、楔型のインステップである。
選手から見て、体をボールにかぶせる形になっている。
右は、弓型のインステップである。
どの角度から見ても、体をボールにかぶせる形にはならない。下の図においてもそれは明らかである。



楔型においては、インパクトにおいて確かに上体をボールの上に置く形になる。



例えば、斜めから助走し、手を開いて胸をそらせて踏み込め、と指導するならば、弓型を教えていることになる。
しかし、選手がボールを浮かせると、”クエルポ・エンシーマ”という声が飛ぶ。
これは、矛盾である。
このように、2つの型をミックスした指導は、いたずらに選手を混乱させ、成長を阻害する可能性が高い。
明快に区別されるべきである。

これと類似する混乱は、技術書レベルにも見られる。
助走の方向一つにしても、斜め45度という本もあれば、真っ直ぐが良いと書かれた本もある。
これは、楔型と弓型を同じインステップとして扱うことから来る混乱である。
両者は、完全に異なるシステム、メカニズムに属するため、分けて考えるべきである。

また、インステップキックに関する研究レポートも、両者を区別せずに書かれている場合、そのデータの取り扱いに注意を要する。


・優先順位

楔型を優先して教える方がよいと考えられる。

まず、楔型には弓型にない利点が多い。

歩行からの接続が自然である
小さな動きで打つことができる
小さなスペースから打つことができる
シュートにタイミングを合わせづらい
軸足が地表面の影響を受けにくい

これらのメリットは、ゴール前の狭いスペースからシュートを打つ場合、特に重要である。

次に、楔型の動きは、行動の開始が小さいため、相手から意図を見抜かれにくくなる。これは、後に見るように、他の動作にも応用可能である。

伸張反射を利用する動きは、一般的に習得しにくい。これを先に覚えることは、他の動きにおいても同反射を利用する可能性を開く。

以上が楔型を優先すべきであるとする理由である。


・教え方

楔型においては、真っ直ぐ、タイミング、リラックスといった大枠が非常に大切である。
軸足はボールから何cmといった指導は必要ないものと考えられる。また、細かすぎる指導が選手の未来にとって有用であるかどうか、非常に疑問である。


・発見と定着

細かな指導とは逆に、技術は選手自信に「発見」させるべきであるとする指導理論も存在する。
確かにそれが理想だが、これは非常に時間がかかり、どのタイミングでどれだけのことを教えるかという問題が常につきまとう。
発見をうながすためには、それに適した条件を与えればよいとされる。
楔型を例にとるならば、それを発見するのに適した条件とは、滑りやすい地面を与えることである。
滑りやすい地面では、軸足を上から踏み込まざるを得ない。このことは、楔型の動きにつながる。
このような条件を与えるもっとも単純な方法は、スパイクではなく普通の底の靴で練習することである。
スパイクを脱ぐことは、楔型を学んだ後、その技術を定着させることにも適しおり、良い方法であると考えられる。

余談ではあるが、子供にスパイクを与え、それをひっかけやすい地面を与えることは、力任せに動く癖をつけることにつながりかねない。
立派な道具を与えることが、選手の未来にとって有用であるかどうか、これもまた非常に疑問である。
この点については、ドゥンガの「勝者の条件」という本で指摘されているので、ご一読いただきたい。


・正しいインステップキック

インサイドキックにおいては、無駄な存在であるパター型のインサイドに対して、あえて「正しいインサイドキック」という表現を用いた。

「正しいインステップキック」というものが存在するのか、と考えた場合、楔型と弓型はそれぞれメリット、デメリットがあり、両者ともに存在意義があるものと考えられる。

次に、上で述べた、楔型が他の動作と関連する例を見る。

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