週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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・軸足側に旋回しながらの楔型と弓型インステップキックの比較
(クリスティアーノ・ロナウド、0809チャンピオンズリーグ決勝バルセロナ戦、0910CLグループリーグマルセイユ戦)

同じ選手による、シュート地点の類似した、楔型と弓型を比較する。
左側が楔型、右側が弓型である。
楔形は、軸足側に旋回しながらのもの。
弓型は、「遠距離からのインステップキック」「遠距離からのインステップキック」で見たものと同じである。

-シュート地点



-モーション


































以前、左の蹴り方を弓型と楔形の複合と分類したが、この比較から見ると楔型からの派生とする方が妥当であると考えられる。

-踏み込みの姿勢



一見良く似ていおり、両者ともに弓型にそっている。しかし、詳細に見ると、左の楔型の方が体が立っていることがわかる。

-体の傾き







楔型は、縦へと沈み込んでいく。これに対し、弓型は上体が後ろにのけぞる。

-インパクト





楔形は、体がボールにかぶさる。弓型は上体が後ろに残る。


・楔型、足の拡大

軸足が一度沈んだ後、上に伸びる様子が見える。


















・楔型、フォロースルー

体が縦に折れる。この前の動きに興味がもたれるが、映像はない。





・楔型、ボールを捕らえる場所





次に、楔型で体全体を傾斜させて蹴る例を見る
これまでに出た楔型、弓型の特徴をまとめる。
それらの詳しい内容は、インステップキック目次からご覧いただきたい。

・楔型のインステップキック


動作
縦に潰れるように踏み込み、地面からの反発を利用して蹴る。
重心が楔型に動く。

利点
歩行からの接続が自然である
短時間に大きな力を発揮できる
小さな動きで打つことができる
小さなスペースから打つことができる
シュートにタイミングを合わせづらい
地表面の影響を受けにくい
無回転で蹴りやすい
伸張反射を利用しやすい

小さな動きで、強いボールを蹴る目的に適している。


・弓型のインステップキック


上半身、下半身で弓状にそり。、筋肉を長く引っ張ることで蹴る。

小さな最大の力で強いボールを蹴ることができる
フェイント動作に適している
動作のコントロールに向く

モーションが大きく、フェイントに適している。蹴るまでの動作が大きく、時間がかかることを利用して、その間にキック面を変える、蹴り足の角度を変えるなど、動きに修正を加える目的に適している。

この2つは、蹴り方、モーション、メカニズムが完全に異なる。
したがって、同じインステップとせず、個別に扱う必要がある。


終わりに

楔型の例として重要な資料となったバルボ、エウゼビオを取り扱うことができたのは、”Balbo Balbo Balbo! 選手名鑑-バルボ”の次の一文がきっかけだった。

「この頃日本の中田英寿とチームメイトであったが、中田によるとバルボはボールを蹴る際に、軸足をボールよりかなり前に踏み込むことで非常に強烈なキックをしていたと絶賛し、参考にしていたと後に語っている。」

エウゼビオと釜本にも同種の逸話があることを思い出し、バルボとエウゼビオが楔型で蹴っていたのではないかという疑問が論を進めるきっかけとなった。
サイト作成者様に感謝いたします。
また、参考にさせていただいたサイト、ページ、書籍の作成者様に感謝いたします。

最後になりましたが、この文が、よりサッカーを楽しまれるきっかけになれば幸いです。


---参考サイト、文献---

ためになる用語集、プライオメトリックトレーニング (Plyometric Training)

Plyometrics

Ossa Pedis(足の骨、足骨)

Balbo Balbo Balbo!選手名鑑-バルボ

・PROFESSIONAL 勝者の条件、ドゥンガ、1998、経済界

Abel Balbo goal

Best of Pele

Depor 1 - Getafe 0

Eusebio, The King

Juninho, Free kick Master

elmundo.es Deportes

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インステップキック、目次へ
前回は、楔型とその他の動作の関連について見た。
ここでは、様々なインステップキックと楔型、弓型との関係を見る。

・弓型と楔型の複合、ポルティージョ

軸足方向に旋回しながら大きくそり、着地からの動作は縦へ動く。
弓型と楔型の複合的な動作を示す。













このような動きは、他の選手にも見られる。


・弓型と楔型の複合、エウゼビオ

上のポルティージョと同じく、軸足側に旋回しながら胸をそらし、着地から縦に動く。




















軸足側に旋回して蹴る場合、このような動きになりやすいと考えられる。


・楔型でより軸足側へ蹴る、ディエゴ・ミリート

体を立てた踏み込みは、楔型を示している。
軸足のつま先を外に回し、蹴り足の膝を外側から入れることでより軸足側へ蹴っている。









・弓型インステップ、縦旋回、フォルラン

弓型では、蹴り足が軸足の周りを旋回するように動く。
このキックでは、状態を横に寝かせることで、その旋回を縦方向に向ける。











下の形で踏み込んだ場合、地面からの力を利用した伸張反射をどれほど利用できるのか、興味の持たれるところである。




・弓型インステップ、縦旋回、ビクトル

上のフォルランほど極端ではないが、上体が横になる様子が見える。















・弓型による遠距離からのフリーキック、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ
(映像出展:Juninho, Free kick Master

前に見たバラガンと良く似た弓型である。
(動画0分0秒)






















・弓型の変形によるフリーキック、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ
(動画1分54秒 )

手を大きく振り上げ、胸をそらし、斜めに踏み込む様子は完全に弓型を示している。



しかし、インパクト、フォロースルーの様子は非常に異なる。

-インパクト


蹴り足が横を向き、靴の底が地面を向いている。

-フォロースルー




軸足が斜め前に飛ぶように動く。

ボールの下側から、おそらく、親指につらなる骨に乗せるように蹴っている。
非常に珍しいインステップキックだと考えられる。











































次回は、インステップキックに関するまとめを見る。
前回は、インステップの指導について考えた
ここでは、楔形と他の動作の関連について見る。

・楔型とトゥキック、ペレ

以下は、トゥキックでシュートを打つ例である。
縦に踏み込んで、上体と蹴り足が上下から近づく。
これは、楔型の蹴り方と類似している。
逆に、楔型はトゥで強く蹴る場合とメカニズムが似ているため歩行からの接続が自然であるともいえる























・楔型とインフロント、セードルフ

歩いている状態からそのまま縦に踏み込み、インフロントでクロスを上げる。
動作が小さく、前方のディフェンダーが、まったく対応できていない点も注目である。

























・楔型とボレー、クン・アグエロ

縦の動きでハーフボレーを行う例である。
大きく振りかぶって蹴るよりも、このような小さなモーションの方が浮いたボールを捕らえやすい。














以上はすべて、歩行からの接続を自然に行う、相手に動作の起こりを見せない、小さな動きで蹴る、という目的のために縦方向への踏み込みと地面を踏む力を利用したキックが用いられている。
その点で楔型と同系に分類される。

次に、様々なインステップキックと楔型、弓型との関係を見る。
これまで、インステップキックの練習法について見た。
ここでは、指導について考える。

・インステップの種類

これまで見てきたように、インステップキックには大別して楔型と弓型の2種類ある。
これらをインステップの代表とするのは、以下の理由による。

まず、この2つは、物理的に強いキックを蹴るメカニズムの両極端に属する。一方は、力のピーク値を上げ、もう一方は、力を持続的に発揮する。
次に、この2つの型は、一般に良く観測される。また、後に見るように様々なインステップのバリエーションは、これらからの派生、もしくは、複合として理解されうる。

技術の土台として習得するのに好適であると考えられる。


・楔型と弓型の分離

楔型と弓型は、その蹴り方、メカニズムにおいて完全に異なる。

しかしながら、これまで、同じインステップキックとして一括りにされてきた。
このため、現場、技術書、技術研究すべての段階において混乱が見られる。

スペインでは、インステップを練習する際、”クエルポ・エンシーマ”という声をよく耳にする。クエルポは体であり、エンシーマとは上という意味である。
つまり、上体をボールの上にかぶせろ、ということである。
これは、楔型において適切な指導である。



左は、楔型のインステップである。
選手から見て、体をボールにかぶせる形になっている。
右は、弓型のインステップである。
どの角度から見ても、体をボールにかぶせる形にはならない。下の図においてもそれは明らかである。



楔型においては、インパクトにおいて確かに上体をボールの上に置く形になる。



例えば、斜めから助走し、手を開いて胸をそらせて踏み込め、と指導するならば、弓型を教えていることになる。
しかし、選手がボールを浮かせると、”クエルポ・エンシーマ”という声が飛ぶ。
これは、矛盾である。
このように、2つの型をミックスした指導は、いたずらに選手を混乱させ、成長を阻害する可能性が高い。
明快に区別されるべきである。

これと類似する混乱は、技術書レベルにも見られる。
助走の方向一つにしても、斜め45度という本もあれば、真っ直ぐが良いと書かれた本もある。
これは、楔型と弓型を同じインステップとして扱うことから来る混乱である。
両者は、完全に異なるシステム、メカニズムに属するため、分けて考えるべきである。

また、インステップキックに関する研究レポートも、両者を区別せずに書かれている場合、そのデータの取り扱いに注意を要する。


・優先順位

楔型を優先して教える方がよいと考えられる。

まず、楔型には弓型にない利点が多い。

歩行からの接続が自然である
小さな動きで打つことができる
小さなスペースから打つことができる
シュートにタイミングを合わせづらい
軸足が地表面の影響を受けにくい

これらのメリットは、ゴール前の狭いスペースからシュートを打つ場合、特に重要である。

次に、楔型の動きは、行動の開始が小さいため、相手から意図を見抜かれにくくなる。これは、後に見るように、他の動作にも応用可能である。

伸張反射を利用する動きは、一般的に習得しにくい。これを先に覚えることは、他の動きにおいても同反射を利用する可能性を開く。

以上が楔型を優先すべきであるとする理由である。


・教え方

楔型においては、真っ直ぐ、タイミング、リラックスといった大枠が非常に大切である。
軸足はボールから何cmといった指導は必要ないものと考えられる。また、細かすぎる指導が選手の未来にとって有用であるかどうか、非常に疑問である。


・発見と定着

細かな指導とは逆に、技術は選手自信に「発見」させるべきであるとする指導理論も存在する。
確かにそれが理想だが、これは非常に時間がかかり、どのタイミングでどれだけのことを教えるかという問題が常につきまとう。
発見をうながすためには、それに適した条件を与えればよいとされる。
楔型を例にとるならば、それを発見するのに適した条件とは、滑りやすい地面を与えることである。
滑りやすい地面では、軸足を上から踏み込まざるを得ない。このことは、楔型の動きにつながる。
このような条件を与えるもっとも単純な方法は、スパイクではなく普通の底の靴で練習することである。
スパイクを脱ぐことは、楔型を学んだ後、その技術を定着させることにも適しおり、良い方法であると考えられる。

余談ではあるが、子供にスパイクを与え、それをひっかけやすい地面を与えることは、力任せに動く癖をつけることにつながりかねない。
立派な道具を与えることが、選手の未来にとって有用であるかどうか、これもまた非常に疑問である。
この点については、ドゥンガの「勝者の条件」という本で指摘されているので、ご一読いただきたい。


・正しいインステップキック

インサイドキックにおいては、無駄な存在であるパター型のインサイドに対して、あえて「正しいインサイドキック」という表現を用いた。

「正しいインステップキック」というものが存在するのか、と考えた場合、楔型と弓型はそれぞれメリット、デメリットがあり、両者ともに存在意義があるものと考えられる。

次に、上で述べた、楔型が他の動作と関連する例を見る。


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