週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「バルサはホームで引き分け」 「2試合で勝ち点1の15位」 「よろしくない状況であるな」 「まさに」 「この日の先発はこう」 「ラシンは1-4-4-2」 「綺麗に3ラインを作る」 「バルサはいつものやつやな」 「一応、1-4-1-2-3だが、見慣れない選手が幾人か出ている」 「ピケ、セルヒオ・ブスケツ、ペドロ辺りがそうかね」 「ペドロはペドリートとも言う」 「小さいペドロ、とか、ペドロちゃんといった意味やな」 「それはさて置き、やはり注目はセルヒオ・ブスケツ」 「チームの要になる部分に彼が置かれた」 「いわゆる中盤の底で、監督であるグァルディオラの現役時代のポジションやな」 「そこで、今回は彼に注目しつつ、ここのところ取り上げてきた、組み立ての上手、下手、サッカーの上手、下手を見ていこうと思うわけや」 「よかろう」 「まず、結論から始めると、ブスケツは上手い」 「特に組み立てにおいて、抜群の能力を持っている」 「論より証拠ということで、次の流れをみていただきたい」 「ディフェンスからのパスを受けて、ブスケツが前に出す」 「センターサークル付近でボールを受けたのがブスケツやな」 「これは、非常に上手い」 「最初の段階で、ブスケツはセンターサークル内、相手の2人のフォワードの間でパスを呼ぶ」 「これは実は恐い」 「ここから前を向いてパスを出そうとすると、2人に挟まれる」 「蹴る直前の写真がこれやな」 「相手のフォワードが寄せて来ている」 「この距離だと、パスをコントロールして反転する段階で、ほんの少しミスを犯せばボールを奪われる」 「そして、この位置でミスをすると、失点の可能性が非常に高くなる」 「だから、自信のない選手だと、前を向かずにバックパスを出す」 「むしろ、自信のない選手だと、最初の段階でボールを呼ばない」 「ところが、ブスケツは、相手のど真ん中でボールを呼び簡単に前を向く」 「これはよほど自分の技術に確信があると見ていい」 「これがデビュー戦と聞くとなおのことびっくりする」 「そして、前を向いた後のパスも極めて正確で、非常にいい場所へボールをあずけている」 「ブスケツ1人で相手のフォワードとミッドフィールダーの2つのラインを通した勘定になる」 「これをやられては、守備としてはたまったもんじゃない」 「この場面からして、ブスケツは技術が高く、組み立てに自信のある選手であろう、というのは想像がつく」 「下の流れも組み立てとして上手い」 「今、右サイドからブスケツにバックパスが出る」 「それを受けて横に出すわけですが」 「その間の何が上手いのか」 「考えながらごらんいただければと」 「この形の鍵は、下の図で、横パスを受けた選手と、それに対して詰める選手の間に、十分な距離がある」 「以前にもあるように、組み立てが上手いか、下手かの大きな差は、パスを受けた選手と一番近いディフェンダーとの距離の差にある」 「もちろん、遠ければ遠いほどよい」 「この場合、なぜ遠いかというと、下の理由がある」 「ブスケツは、赤い矢印のパスを出すフェイントをかけており、このため、丸で囲まれた選手は前に出ることができなかった」 「いわゆるピン止めという奴やな」 「赤いパスコースにピン止めされて、そこからずれることができない」 「これが下手な選手だとどうなるかというと」 「まずは、パスフェイントで相手をピン止めする、というアイディアがない場合やな」 「ディフェンダーはより早く前へのスタートをきることができるので、横パスを受けた選手は、より近い位置にディフェンスを迎えることになる」 「次に、パスでピン止めするアイディアはあるが、パスコースの変更が下手な場合やな」 「この場合、キック表面を、インフロントからインサイドに変えてパスコースを変えるわけだが」 「技術的に下手であれば、より早い段階でその意図を見抜かれてしまう」 「以前、パスの方向を変える技術で見たように、2つの違うコースに蹴るモーションは、なるべく最後まで一致してしていなければならない」 「この場合のブスケツは、きちんとパスフェイクを入れ、しかもその意図が最後の最後まで読まれていない、という意味で上手い」 「受ける選手が、なるべく楽な状況で持てるように、気遣いのあるパスやな」 「おまけに、右利きの彼が左足でそれをやったところに価値がある」 「ところでや」 「なんや」 「今までの話からすると、ブスケツの逆のフェイントも試したくなる」 「どういうことや」 「横に出すパスをフェイントにして、縦に出す」 「これは、有名なグティパターンやな」 「早い話がそうやけどな」 「この状況では、守備が過剰に反応しないだろうから、ちょっと使いづらいな」 「ちなみに、グティパターンというのは、下の形で」 「こちらに詳しい解説もありますので、ぜひご一読いただければと」 「それはそれとして、ブスケツは上手い」 「いいところは、少ないタッチでパスを回すイメージとビジョンがあり、浮き球のコントロールが上手く、サポートの動きもよい」 「おまけにスライディングタックルも上手い」 「現状で弱点といえば、空中を飛ぶパスかね」 「グラウンダーのパスは非常に良いのだが、ミドルレンジの浮かせたパスは今ひとつやな」 「距離が今ひとつあわんな」 「正確に蹴ろうとすると遅くて短いパスになるし、強く蹴ると飛びすぎる」 「図の赤い線のような感じやな」 「少なくとも、この試合では、3回そのようなパスを蹴って、ことごとく失敗した」 「果たしてそれが本質的なものなのかどうか」 「今後も注目と」 「後は、競り合いを嫌うそぶりがあるので、それもチェックポイントやな」 「ところで、グァルディオラは彼を使い続けるのかね」 「いかにも好みの選手であるし、低い位置からの組み立てにおいて彼を越える選手はほとんどいないので、使うのではなかろうかと」 「そんなところで」 「バルサもマドリーも予想通りのまずい試合を続けている中」 「新しい才能が出てきたリーガ」 「その辺りを楽しみにしながら」 「今回はこの辺で」 「また次回」 「ご機嫌よう」
ピン止め
こういう技術に自信のある選手は、目の前の相手より
ゴールを狙う味方を気にしながらプレーできるからいいですね。 ためを作ってからパスを通せる選手が、フィールドの中央とサイドにいるといいですね。 中で相手を惹きつけられれば、そのラインの裏を取ることができます。 (ドリブルでもパスフェイクでも)外で相手を呼び込むことができれば、 ゴールエリアや逆サイドでフリーの選手が生まれる確率が上がり、 相手が中を固めて外に人数掛けなければゴールラインまで行ってCKを取りにいける確率が上がります。 なるべくオープンに選手が散らばって、気の利いたパスが出せれば 「パスを受けた選手と一番近いディフェンダーとの距離」をとる事は容易になりそうですね。 普通はピッチの「横」幅をいっぱいに使うものですが、 EUROでのスペインはDFラインをむやみに上げずトーレスが裏をねらい 中に人数を掛けることでことで「縦」の幅を生み出していたのが印象的でした。 バイタルエリアのケアとボール回しとカウンターが独特の形で成立していた気がします。 バルサは相手がツートップならアウヴェスを上げるんですかね。 Re:ピン止め
おっしゃるようなプレーで、周囲を楽にする選手がいると見ていても楽しいですね。
ユーロのスペイン代表は色々な意味で独特でした。 バルサは1-3-4-3を試すようです。 関連記事:スポルティング・リスボン戦 http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/387/
エトーの変化?
昨シーズン後半あたりから、エトーがDFラインの裏やホットゾーンに飛び込まなくなった気がするのですが、どうでしょうか?スルーパスを受けるため飛び出すよりも、足元にボールを要求することが多くなったように個人的には思えます。ロナウジーニョが在籍していた頃から、彼が欠場時には「俺が代わりをする」と言っているかのように足元でボールを受けて仕掛けることが多かったと記憶しています。ロナウジーニョが完全に抜けたことで、その傾向が強まった気がします。それとも、監督の指示による影響なのでしょうか?
質問を纏めますと、(1)エトーのプレー・スタイルに変化は見受けられますでしょうか?(2)もし実際に変化があるとしたら、その変化は(a)彼自身の意識の変化によるもの、(b)監督から前線での基準点となるように要求されてのもののうちどちらなのでしょうか?まだまだ判断材料が乏しいため回答は難しいかもしれませんが、管理人様のご意見が伺えれば幸いです。 ちなみに、こちらのサイトの個人技の記事に触発されて、本格的にサッカーを始めました。草サッカーですが。ありがとうございます。 Re:エトーの変化?
コメントありがとうございます。
ラシン戦を見直してみましたが、私のわかる範囲において、エトーの動きに大きな変化は見られません。 ロナウジーニョがいた時代と比較して、彼の動き出しに対してパスが出ない回数は増えていると思います。 エトーは他のフォワードと比較して、オフサイドにかかる回数の少ない選手なのですが、年度による変化が気になったので調べてみました。 文末のような結果になりました。 サッカーを始められたと聞き、非常に嬉しく思いっています。 プレーするのは本当に楽しいものですし、 どうせプレーするならもっと上手くやれる方が楽しいものです。 そのような面で役に立つ記事を書けたら、と思っています。 これからもよろしくお願いします。 オフサイドに関するデータ エトー 年度 分数 数 間隔 0304 2774 10 277 0405 2856 22 130 0506 3019 21 144 0607 1478 19 77.8 0708 1408 16 88 分数:プレー時間 数:オフサイド数 間隔:一つのオフサイドにかかる平均時間(分数÷数) *注:0304はマジョルカ、0506にチャンピオンズリーグ制覇 0607年度データ ビジャ 48.3分 グィサ 59分 ファン・N 63.1分 D・ミリート 82.3分
ご返答ありがとうございます
丁寧なご返答ありがとうございます。私の思い過ごしだったようですね。最近のエトーを見ていて、昔のような危険性が少し見受けられなくなったような気がしたのですが。周りがエトーを活かせていない部分もあるのですね。
職業柄、データを統計手法を使って弄くり倒しているので、このようなデータで示していただけると分かりやすいです。現実と乖離した見せ掛けのデータは問題ですが。 サッカーを実際にプレーすることに関しては、まだまだ満足なボールタッチも出来ない状態です。足りないテクニックを蹴球計画様の記事を参考にしたプレーの質でカバーしようとしています。本当に有効な動きが出来ているのか不明ですが。。。これからも、戦術・個人技を問わず、記事の更新を楽しみにしています。 ちなみに、S・リスボン戦の記事も読ませていただきましたが、今年もバルサ・ファンにとっては頭の痛い日々が続きそうですね。両翼にイニエスタとフレブ、トップ下にメッシを置いた4-4-1-1とか試して欲しいのですが。長文失礼致しました。 Re:ご返答ありがとうございます
バルセロナは、ベティスに勝ちましたが、やはり不安定な挙動を示しています。
確かに、イニエスタを左に置いた1-4-4-2系のシステムは一度試して欲しいところです。 プレーの方もぜひ頑張って下さい。 またよろしくお願いします。
ブスケツについて
いつも興味深く拝見しております。サッカー初心者の私にとってどの記事も驚きと発見の連続です。
初心者なのでとても恐縮なのですが、本文に登場したブスケツについてお伺いしたいです。もともとトゥーレ・ヤヤを差し置いてなぜこのひょろっとした若者をグァルディオラが重宝するのか不思議でしたが、その理由のひとつが組み立ての上手さにあるということが本文でよくわかりました。しかし、守備的な観点によると彼はどのようなレベルにあるのでしょうか。単純なボール奪取力ならトゥーレ・ヤヤや現在のチームメイトであるマスチェラーノの方が上のような印象が私にはあります。ハイボールに対する対応や1対1の守備においてもブスケツに強い印象はありません。身長はありますがフィジカルが強いとも思えません。彼は守備のポジショニングが良いと雑誌か何かで書いていたような気もするのですが、具体的にどのような場面でどのようなポジショニングをとったのかはわかりません。 グァルディオラが上記の2人よりブスケツにプライオリティを置いているのは明らかな気がしますが、それは守備の弱さを補ってあまりあるほどの組み立ての上手さをバスセロナというチームが欲しているのでしょうか。それとも実際は素人目にはわからないだけで守備においても相当な技術の持ち主なんでしょうか。是非お教えいただきたいです。 Re:ブスケツについて
トゥレとブスケツの守備比較ですが、自分ではどちらが上手いとも断言できません。
ただ、トゥレは守備が上手い選手ではありません。むしろ下手な部類です。 まず、性格的に前に行きすぎる傾向があり、守備を忘れて上がります。 これは、コートジボアール代表でゾコラと組んでいた時に顕著に見られました。 この2人は、互いに控えるということができず、さらに自分に自信を持ち過ぎなため、どんどん前にでてディフェンスラインの前を大きく空けていました。 また、我慢できないため、ボールを簡単に取りに行き過ぎる傾向があります。 そこでかわされると、それ以上追わず後ろ任せにしてしまうことが多くあります。 これは、シティの試合で良く見られます。 これは、何度か書きましたが、トゥレは本質的に攻撃の選手です。 使うなら、古い話になりますが、バルサで言えばアーセナルとの決勝でファンボメルがいた位置、守備の前にいる中盤の一つ右前が最適だと思います。 そこであれば、彼が穴を開けてもエジミウソン、オレゲル、戻るジュリのカバーを期待でき、トゥレはその後に帰ることが可能になるからです。 少なくともマンチーニはトゥレをそのように見ていると思います。 彼は単純に2人のボランチの片側にトゥレを置くことをせず、トップ下や1-4-1-4-1の中盤の1の前で使うことを行っています。 例えば、先のアウェーでのナポリ戦では後者でした。 ただ、トゥレをその位置で使うには狭いスペースのプレー、最後のパス、特にスルーパスの見え方とタッチに難点があるように思われます。 その点に優れていれば、トゥレのポジションは簡単に決まり、マンチーニの苦労はかなり軽減すると見ています。 そんな中でフォワード顔負けのゴールを決めるからこそトゥレだとも言えるのですが。 バルサのやり方で、守備ラインの前に一人置くなら、トゥレよりブスケツだと思います。 少なくとも前に行きっぱなしや我慢が出来ずにやられる心配をせずにすみます。 また、マスチェラーノとブスケツであれば、難しい状況になってもボールを失いにくく、最悪でもファールをもらってくれると期待できるブスケツになるのではないかと思います。
守備について
上記のブスケツとトゥレの件、丁寧に返信していただきありがとうございます。
なるほど、トゥレのそのような性質にも関係することなんですね。その中でも興味深いのは性格の部分です。「技術が思考を規定する」という項がありましたが、「嗜好(志向?性格)がポジションを規定する」ということもあるのかなとも思いました。 前々回大会でしたか、CL準決でバルサがチェルシーとあたった時にトゥレがCBをしてドログバと対等にやりあっているのを見て(素人目にはそう見えました)、守備も上手い選手だなぁと感心した覚えがあります。どんなに守備にうってつけの能力を備えていても、性格上攻撃が好きな選手は本質的に攻撃の選手にならざるをえないのですね。 しかし、そこで疑問なのですが結局守備の上手い下手というのはどういうことなのでしょうか??個人的にミランのファンなのでミランの試合はよく見ていますが、いわゆる守備的といわれる選手でもアンブロジーニより明らかにガットゥーゾの方が守備は上手いです。また最近ではファンボメルの守備もとても上手く感じます(たまに読みがはずれて大惨事を招きますが)。最近はさすがに衰えを感じざるをえませんがネスタも素晴らしいと思います。一方でアントニーニの守備はいただけません。このように自分の中で守備に関して判断することはあるのですが、なかなかそれを理論的には説明できません。 蹴球計画さんの多くの記事から、「正対」を基準とした攻撃時の本質的な上手さ下手さを知り、目から鱗というほどのおもいをしました。ぜひまた何かの機会に、守備が上手い下手とは、いったいどういうことなのかお教えいただきたいです。 |
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