週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「先日のリバプール対チェルシーに続いて、こちらも引き分けに終わった」
「向こうは1-1、こちらは0-0か」 「残念ながらバルサはホームで得点することができなかった」 「そのかわりといってはなんだが、アウェーゴールを失ったわけでもない」 「それは心強い点ではある」 「とりあえず先発はこうやな」 「この形から、マンチェスターはとにかく守りを固めてきた」 「ディフェンスライン非常に低かったな」 「下の感じか」 「バルセロナがボールを持つと、全体を下げて最終ラインはペナルティーエリアの前、5.5m付近に形成されていた」 「いわゆる半月マークの少し上辺りやな」 「そして、中盤の4人のラインはその8mほど前」 「これは、守備を敷くゾーンとしては、一番下がった形になる」 「これ以上下げると、ペナルティーエリアにかかってしまうからな」 「例えば、普段のリバプールだと、相手にプレッシャーをかけていくのがハーフライン付近で、最終ラインはピッチの広さにもよるけれども、ペナルティーエリアから15m以上離れた場所にある」 「マンチェスターとしては、バルサのフォワード陣、エトーとメシが裏に出るスペースを与えたくなかったんやろな」 「うまいことラインの裏にパスを落とす選手も多いしな」 「そして、引いて4-4のラインを作った前でテベスがトゥレをマークする」 「半分マンツーマンのような形で、まずトゥレに張り付いてパスレシーブを邪魔した後、パスコースを切りながらボールに詰める形やな」 「そして、その前ではクリスティアーノ・ロナウドが一人ぼっち」 「基本10人で守って、カウンターからロナウドの一撃を狙う、実にわかりやすい作戦やな」 「しかし、最近の傾向からして、ここまでべったり引くチームは珍しいで」 「確かにな」 「それを崩す立場のバルサは、今シーズンで一番ボールが回っていた」 「下の形か」 「まず、点線で囲まれたゾーンで実によくボールが動いた」 「ユナイテッドが引いていたから、そこにスペースが空くのは当たり前といえば当たり前やな」 「かつ、左サイドにいたイニエスタが、しばしば中央に入ることで、守備のバランスを崩していた」 「相手の方は、ゾーンをまたいで動くイニエスタを捕まえきれてなかった」 「そして、マルケスからゾーンの間を突くパスもよく決まっていた」 「プレッシャーもかけられてなかったしな」 「それにしても、彼はもともと組み立ての上手い選手なのに、今シーズンは変なミスが多かったやろ」 「それはそうやな」 「久しぶりにさばくマルケスが戻ってきて、非常にいい具合だった」 「ただし、彼を使うと、クリスティアーノ・ロナウドに対してスピードのミスマッチが生じるのが問題ではある」 「とはいっても、バルサは後ろからのパスが安定しないと力が半減するから彼は大切やな」 「そういえば、後ろからのパスといえば、ミリートがマルケスに頼りっきりだったのが気になるところではある」 「彼は緊張しいやからな」 「緊張しいというか、プレッシャーのかかる状況になればなるほど絶対にミスを犯さないようにプレーするから、パスがどんどん縮こまっていく傾向にある」 「一般的に組み立てが上手いという評価を受けているけど、その点が不安なところやな」 「サラゴサでも隣にセルヒオがいると任せっぱなしの場面が多かったしな」 「この試合でも開始早々ものすごいハンドでPKを取られた」 「あれは緊張と関係あるのかね」 「ないのか」 「ちょっと意味のわからんプレーではあったけどな」 「ちょっとどころじゃないやろ」 「下の感じやな」 「写真は前回に引き続き、エル・ムンド紙のものだが」 「ほんまに、ものすごいハンドやな」 「これが開始1分という恐ろしさ」 「しかし、退場にならんでよかったと思うで」 「ボールが枠に飛んでたら、確実に退場やな」 「なんにせよ、マンチェスターにPKが与えられてキッカーはクリスティアーノ・ロナウド」 「絶体絶命の大ピンチ」 「守るはバルデス」 「コースを読んで右に飛ぶ」 「ところがボールは無常にも左へ」 「これはいかんと思いきや」 「枠を外れてあらぬ方向へ」 「バルサは九死に一生を得た」 「これは大きかった」 「正に大きかった」 「点数が入らなかったこともそうだが、クリスティアーノ・ロナウドをのせなかったという点でも大きい」 「今の彼に気分良くプレーされたのでは止めようがないしな」 「結局、0-0で進み、61分にバルサが先に動く」 「メシを代えてボージャンか」 「ボージャンが左、イニエスタが右に入る」 「これはどうだったかという話やな」 「相手を崩す最初のとっかかりを作っていたのは、左からのイニエスタだっただけに、それを移動させたのはどうかということやな」 「ボージャンを右、イニエスタを左でよかったはずや」 「その15分後には下のようになる」 「デコが外れてアンリが入り、左にアンリ、右にボージャン、イニエスタは中盤に下がる」 「デコは久しぶりの実戦にもかかわらず十分な働きだった」 「ただ、ここで注目なのは、むしろマンチェスターの方やろ」 「右のルーニーが外れて、ナニが入った」 「それと同時に、クリスティアーノ・ロナウドの動きが変化していて、完全にマルケスをマークするようになった」 「この形のバルサ潰しの常道といえば常道やな」 「その前までとは明らかに守備での位置取りが変わっている」 「最終的に、このまま得点は動かずにタイムアップ」 「0-0のスコアレス・ドローで終わる」 「結局、どうやったんやろな」 「なにが」 「どっちがいい試合をしたんやろな」 「それはマンチェスター・ユナイテッドやろ」 「そうなんかね」 「最初に見たように、徹底的に守り倒す予定でやってきて、本当に守って帰ったわけやしな」 「おまけに、バルサにほとんど決定的なチャンスを作らせなかった」 「イニエスタのヒールからエトーが抜け出した場面と、ブラウンの大ミスからこれまたエトーが抜け出した場面かね」 「前者はシュートがそれ、後者はキャリックの素晴らしいディフェンスでことなきを得た」 「ちなみに、この試合でのバルセロナのオフサイドは0回」 「まあ、あれだけ引かれたら飛び出そうにも飛び出せへんしな」 「裏のスペースを消して、ペナルティーエリア前のゾーンで激しく潰して、決定機を作らせない、というユナイテッドの思惑通りで、バルサはボールを持ってエリアの周辺までは迫るが、その先に進めなかった」 「名を捨てて実を取る作戦が見事に遂行されたということやな」 「これで、第二戦はどうなるかという話なわけだが」 「どうやろな」 「実は、最近のバルサは引いた相手よりも前に出てくる相手の方が苦手なだけに予断を許さない状況やな」 「相手が攻めてくるとサイドバックを上げすぎる穴と中盤のスペースを突かれてすぐにガタガタになる癖がある」 「リーガで、いわゆる下位チームに勝ちきれないのもそこに大きな原因がある」 「相手が出て来た時に、カウンターできっちりしとめられたらええねんけどな」 「これまでは、それができないからこそ非常に苦労してきた」 「果たしてその辺りがどうなるか」 「注目というところで」 「また次回」 「ごきげんよう」 |
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