週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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「さて」

「第1節に引き続き、マドリーとデポル」

「1-0でマドリーの勝ち」

「先発はこう」



「ふむ」

「両者ともに特徴的な布陣ではある」

「特にデポルの方が特徴的というか、挑戦的な布陣やな」



「第1節では下の形」



「まったく違う」

「その意図が気にかかる」

「まず、守備では下のようになる」



「左にいるロベンに対しては、マヌエル・パブロにデ・グスマンがヘルプに行くことで押さえる」

「こちらのサイドは、きちんと守備を整えている」

「しかし、逆サイドはえらいことになっている」

「上がってくるセルヒオ・ラモスに当たるのは、バレロンとベルドゥ」

「守備的には非常にまずい」

「そのかわりといってはなんだが、フィリペを加えたサイドでの三角はボールを失わない」



「セルヒオ・ラモスが上がれば、必然的にそこが空く」



「ラモスがいてもそこは空くけどな」

「ただしそこを埋めるのはラスとペペ」

「強敵やな」

「デポルの側としては、上がるラモスからの攻撃、特にセンタリングから失点しないか否か、ベルドゥ、バレロンがラスの守備を越えて攻撃を組み立てられるか否かが鍵だった」

「思想としては、守って期を待つより、きっちり切り合って行こう、ということやな」

「結果は、どうだったかというと」

「十分な分かれだったのではないかと」

「マドリーの方がシュートは多かったものの、デポルにもよいチャンスがあった」

「守備屋といわれるロティーナの男前布陣は成功したと言える」

「ただ、マドリーの側としては、そう組まれると、あることをしたくなる」

「あることとは何かというと」

「非常に単純なことやけどな」

「下のようにしたくなる」



「ロベンを右に回す」



「こっちの方が最近としては普通の配置やな」

「その意味は簡単で、上で見たように、ここはデポルの守備がゆるい」



「まず、バレロン、ベルドゥはもともと守備向きではない上に、ここからセルヒオ・ラモスが上がってくると、バレロンがつく必要がある」

「ところが、体力的にも速度的にもつききれるわけがない」

「おまけに、ロポよりもゼ・カストロの方が守備的に弱い」

「まさに狙い目やな」

「ゼ・カストロの守備については、をごらんいただければと」

「彼の守備のおそろしさはあいかわらずやな」

「31分にイグアインを削ったファールなんか、読みが遅れて出足が遅れて、挙句の果てに相手の足を駆り飛ばしてるしな」

「あれはレッドでもええくらいやで」

「ボール持たせたら非常にいいからぜひ今後とも頑張って欲しいところやけどな」

「相変わらずゼ・カストロ好きやな」

「センターバックの足元が駄目だと、結局単調なサッカーが強いという結論になるのがいややねん」

「その意味では、彼とハルケにはぜひ上に行ってもらってらいたいところではある」

「うむ」

「ところでや」

「なんや」

「マドリーが下のように組むと、デポルとしてはいかにもまずい」



「まずいわな」

「そこであることをやりたくなる」

「また単純問題か」

「サッカーでは、その単純なことが大切なんやって」

「ほんまかいな」

「ほんまやで」

「要するに、右に回ったロベンを、最小限の変更で止めればええんやろ」

「そうやな」

「第一手はこれしかないやろ」



「デ・グスマンとベルドゥの位置を入れ替える」

「結局、この試合では、これが安定形になる」

「ロベンは、デ・グスマンが来るたびにサイドを変えてもええねんけどな」

「それだと無駄な移動で疲れるし、チームが落ち着かへんやろ」

「そうかもしれんけどやな」

「ちなみに、両者全部の交代を使った後は、下のようになる」



「注目はドレンテやな」

「完全に観衆の恨みをかっている」

「バルサ戦のシュートを外した後、よくブーイングをされてはいたが」

「最近はドリブルでこけたら笑い者にされてしまう」

「ベルナベウ名物、選手潰しか」

「イバン・カンポ、ムニティス、サムエルなんかがそれでおかしくなった歴史もある」

「イグアインも一時そうだったが持ち直した例もあるので」

「果たして今後どうなるか」

「注目というところで」

「今回はこの辺で」

「文章担当者帰国のため、更新が遅れたことをお詫びしつつ」

「また次回」

「ごきげんよう」

「さて」

「アルメリア対アトレチコは引き分け」

「アトレチコはどうも調子が上がらない」

「苦労している部分は、去年までとかわらんのやけどな」

「先発はこう」



「アトレチコの特徴は、フォワードがロングボール、ハイボールに弱いことがある」



「ただし、地上からボールが来れば、サイドのシモン、シマナを含めて、非常にうまい」

「だから、アトレチコの課題は、その4人にいかにいい形でボールを渡すかにあるわけだが」

「赤で囲まれた選手達が非常な難点になる」

「下手というかなんというか」

「パブロとアスンソンの組み立ては論外として、問題はバネガやな」

「ラウール・ガルシア、マニシェ、アスンソンと比べて、組み立ては彼が一番上手い」

「組み立ての上手、下手については、こちらをご覧頂くことにして」

「ただ、いいパスもあるが、ミスも非常に多い」

「そのプラスとマイナスを考えると、どうにも微妙な存在やな」

「ここで彼を使うなら、ここを、もっと真面目に補強しておけばええと思わんか」

「どういうことや」

「要するに、バネガの使われ方は、去年までのフラドと一緒や」

「サイドかトップ下で使われつつ、組み立てがピンチになると、いわゆるテクニシャンが中央に配置されるパターンやな」

「それで、去年までは、その後ろの選手としてクレベル・サンタナがいて、それをアスンソンに変えている」

「そうやな」

「クレベル・サンタナの問題が組み立てにあったのは明らかなのに、同様か、それ以上に下手なアスンソンを買うというのは理由がわからない」

「肉体的な能力は抜群やけどな」

「おまけに、アギーレは前からボールを追い込むのが好きやろ」

「確かに」

「前線から走って走ってボールを不安定化させて、遂に奪い取る」

「ふむ」

「ところが、その奪ったところがアスンソンかパブロだと、その直後にボールがなくなる」

「つらいわな」

「結果を見ると、単なる走り損の体力損になってしまう」

「そういえなくもない」

「後ろにウィファルシが入った分、去年までよりはいいが、前の強さを今ひとつ生かしきれない構成は相変わらずで、頭が痛い」

「その点、アルメリアは楽でええな」



「まず、中盤の中央での組み立がいい」

「ソリアーノもいいし、イリネイを使っている辺りがええな」

「パスをつながせたら大したもんやしな」

「以前、ラージョ・バジェカーノで活躍していたので、ご存知の方も多いかと」

「まあ、チームと一緒にセグンダBにまで落ちてしまったんやけどな」

「しかし、不思議やな」

「何が」

「イリネイの能力なら、他のチームからいくらでもオファーがあると思うんやけど、なんでセグンダBでプレーしたんやろな」

「それは、金が良かったかららしい」

「ラージョでか」

「あそこは、他と比較して、十分にお金持ちらしいで」

「そうなんか」

「おまけに、イリネイは、運転もできないのに高級車を持っていて、駐車場内で走らせて喜んでいたらしい」

「おもろい人やな」

「さらに言うと、公道での運転はできないから、普段の練習へは、地下鉄を利用していたらしい」

「どこからの情報や」

「ラージョにいた人から、そんな話を聞いたことがある」

「さよか」

「それはさて置き、アルメリアの中盤はハイメ・オルティスも良く、前線はさらに良い」



「ネグレドとウチェは強烈やな」

「とりあえず、ハイボールに非常に強い」

「これがあると、後ろの組み立て能力が低くても、困ったらロングボールという必殺技が使えるので相手を押し戻しやすい」

「さらには、足元にボールを受けても取られない」

「ネグレドは3人に囲まれてもつなげるし、ウチェはスルーパスまで上手い」

「その様子は、53分にペレラノが退場してから顕著になる」

53分:ペレラノ退場、57分:イリネイ→チコ


「ネグレドを1人前に残し、ウチェが中盤に下がる」

「この後、人数の少ないはずのアルメリアは、それをあまり感じさせないプレーを見せた」

「それができるためには、ワントップが活躍しなければ無理やな」

「そこにボールが入って、味方に出てこないと、押されっぱなしになる」

「その点で、ネグレドは、あいかわらずの力を見せた」

「パブロと競り合って負けず、ペレアに当たられて微動だにせず、アスンソンに体を合わされてもきちんとつなぐ」

「上の3人に負けないなら、世界中どこにいってもやっていける」

「そんなネグレドを見て思うことが一つある」

「うむ」

「マドリーは、いったい何をやっているのか」

「前線でファン・ニステルローイのかわりを探すなら、ネグレドでええんちゃうんか、という話やな」

「もともと、マドリーの下部組織出身やしな」

「フンテラールを買った最初から、はたしてネグレドよりも優秀なのか、というのが疑問だったのだが、今のところスピード以外では勝てへんで」

「まあ、売る売らないのことは、時期とかタイミングが重要やしな」

「おまけに、サイドで走る選手が不足していると言うなら、マタやファンフランは今どこにいるのかという話やな」

「そのファンフランは、オサスナでマドリーを相手に大活躍」

「2度、完全なPKを奪いながら、2度ともダイブと見なされた」

「おまけに、それが原因でイエロー2枚」

「もちろん退場」

「まれにみる惨劇だった」

「それはそれとして」

「試合は、1-1のまま、終盤を迎える」

「1人多いアトレチコは、ぜひ勝っておきたい」

59分:アスンソン→ラウール・ガルシア
62分:ペレア→セイタリディス


「アスンソンをラウール・ガルシアに代えたのは、より長いボールを左右に散らしたい、ということやけど、ペレアがセイタリディスはなんでやろな」

「イエローを一枚もらっていて、さらにはクルトゥワと無闇に熱いバトルを繰り広げていたから、退場を心配して代えたと思うで」

「そうなんかね」

「それでも点は動かず、76分に勝負手が出る」

76分:パブロ→ミゲル・デ・ラス・クエバス


「前線に人を増やして強引に攻めていく」

「アギーレは、点が欲しいと、こういう配置を良く取る」

「攻めたい時に、アスンソンとパブロを外したのは象徴的ではあるな」

「互いにチャンスがあるも、ゴールは生まれず」

「ウーゴ・サンチェス、ハビエル・アギーレ、メキシコ人監督同士の対決は、痛み分けに終わった」

「いや、より痛いのはアトレチコの方やけどな」

「ボランチの構成を変えようとして、おかしくなりかかっているアトレチコの今後やいかに」

「監督が変わって、前に出る勢いが出たアルメリアの今後やいかに」

「そんなこんなを注目しながら」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「さて」

「派手な試合であったな」

「3対3の同点」

「よく得点が入った」

「色々あったけど、結局もとのもくあみのような試合だった」

「先発はこう」



「ビジャレアルは、イバガサが先発なのがちょっと意外やな」

「それよりなによりアルベルダが右サイドバックであるということに注目せなあかんやろ」

「去年は、アリスメンディがそこをやってたから、インパクト的にはどっこいどっこいやな」

「前半は、つなぐビジャレアルに対して、バレンシアのカウンターがばかばか決まった」

「絶対にリスクを犯さず、ひたすら守って相手の隙を突くことが心情の今のバレンシアにとって、どんどん前に来るビジャレアルは、合口のいい相手ではある」

「スコアもあっという間に2-0とリードした」

「大丈夫かビジャレアルと思っていると、前半終了にかけて持ち直してくる」

「そして、ハーフタイム直前にコーナーキックからフエンテスがゴール」

「2-1で後半へ」

22分:ゴンサロ→フエンテス、46分:エグレン→エジミウソン


「開始からエジミウソンが入る」

「ちなみに、前半途中でゴンサロが怪我をした関係で、センターバックにフエンテスが入っていた」

「しかし、エグレンをエジミウソンに代えたのはなんでかね」

「外から見ていると、イエローをもらっていたので、そこでの守備が甘くなることを嫌った、という理由しか思い浮かばない」

「後半になると、バレンシアの守備組織がゆるみ、ビジャレアルのチャンスが多くなる」

「ただ、カウンターで裏を取られた時の危うさというのは変わらず、バレンシアにも十分にチャンスがあった」

「60分過ぎから、次々と交代が行われ、下のような配置に変わる」

61分:モレッティ→デル・オルノ、63分:ブルーノ→ピレス
65分:フェルナンデス→マドゥーロ、72分:アルビオル→エドゥ


「ビジャレアルは、ピレスとイバガサを中盤に揃えて、両サイドバックを上げる」

「点が欲しい時のいつものやつやな」

「これからがエキサイティングで、まずは、76分にピレスとイバガサの絡みからジョレンテが抜け出してシュート」

「一度は止められるが、跳ね返りを叩いて2-2の同点」

「勢いに乗るビジャレアル、と言いたいところだが、その直後、79分にコーナーからエドゥが決めて3-2」

「再びバレンシアがリードを奪う」

「亀作戦+セットプレーのバレンシアが勝利を収めるかに思われたが」

「83分、カプデビラが、相手ペナルティーエリアでドリブルを始める」

「彼が、相手のペナルティーエリアでしかけるというだけでも事件やな」

「しかも、あろうことか、ホアキンが切り返すカプデビラの体を押さえて倒し、PKの笛が鳴る」

「吹いたのは、高名なメディーナ・カンタレッホ」

「これをロッシが決めて同点」

「そのまま終了」

「実に様々な出来事があった後半であった」

「ここ3試合のビジャレアルは、1引き分け2敗」

「成績はようないな」

「確かにそうやけど、試合内容を見ると、色々な意味で本当に良くできたチームやと思うで」

「予算を見ると特にそうやな」

「まず、マルカの年鑑を信用するとして、ビジャレアルの今年の予算は、1ユーロ120円計算で76.6億円」

「それを1として、他の上位チームと比較すると次のようになる」

レアル・マドリー 6.3
バルセロナ 5.9
アトレチコ 2.7
バレンシア 1.9
セビージャ 1.4

「全て、ビジャレアルよりお金持ちやな」

「そして、ここ3試合は、バルセロナ、レアル・マドリー、バレンシア」

「その前に負けたセビージャにしても、ビジャレアルよりは予算が多いのか」

「ここ3試合で、一番貧乏なバレンシアでも、69億円ほど予算が多い」

「レアル・マドリーなんか、400億円以上予算が多い」

「頭でそんなもんだろうと知ってはいても、改めて見ると脳味噌がくらくらする数字やな」

「子供銀行みたいな金額やしな」

「まあ、そんな中で、守備一辺倒にならず、切り合って良い試合や互角に近い試合ができるというのは恐ろしい話やで」

「相対的に少ない予算の中で、ええ選手を揃えてるのが大きいのかね」



「ゴールキーパーからディフェンスラインは実にいい」

「ゴンサロに怪我が少なければ、ゴディンの読みの空振りが少なければ、アンヘルのクロスがもっと正確なら、カプデビラがインサイドキックをちゃんと蹴ってくれれば、とか色々あるけど、十分な選手が揃っている」

「ボランチなんか、これ以上の選手を4人擁したチームはほとんど存在しない」

「特に、単体としては、エグレンがヒットやな」

「こんないい選手がおったのかというくらいええ選手やな」

「ただ、チーム全体とボランチの関係を見ると、あやしいところがある」



「左サイドとの関係やな」

「例えば、ピレスを使うと、どうしても前にいきっぱなしになることが多いので、その裏のスペースを左のボランチが埋めざるをえない」

「そのような任務には、走力があって、小回りが効いて、体の付け合いに強い選手が望ましい」

「例えば、ロナウジーニョの後ろを押さえていたダービッツ、ビジャレアルでいえば、リケルメの後ろを押さえていたソリンのような選手やな」

「ところが、今はエグレン」

「拠点向きやな」

「サイドに走る選手がいて、エグレンを中央に置き、中盤の芯としてゾーンを抑えるような使い方が向いている」

「左サイドに走って走って90分という選手がいないのも、戦術的にはつらい」



「例えば、バルサのアウベス、マドリーのセルヒオ・ラモスのように、長い距離を平気で上がってくる選手に対して、守備面で苦労する」

「1人マタのような選手がいれば、戦術面で幅がでるのでいい」

「後は、フォワードに決定的な選手がいないのが一番つらい」

「去年、同じことを言って、大いに外した人がおったけどな」

「ニハットが大復活して18点決めるとは予見できなかった」

「それでも同じことを言うのかね」

「ビジャレアルが順位を争うチームにいるのは、マドリーのファン・ニステルローイ、バルサのエトー、バレンシアのビジといった選手やから、誰かが突然悟りでもひらかない限り、やっぱりつらいと思うで」

「いいフォワードには金がかかる、というのはあるけどな」

「予算の差が一番もろに出るのがこのポジションやから、しょうがないといえばしょうがないねんけどな」

「しかし、チーム構成を見ると、リケルメがいたころに比べて、つらい部分が多いな」

「それでも、チャンピオンズを戦いながら、リーガでチャンピオンズを狙える位置にいるというのは見事なもんやで」

「成績だけでなく、ピッチ上では、苦労しながらもきちんとボールをつなぐサッカーをしている」

「ペレグリーニは偉大であると」

「そういうまとめかね」

「あかんか」

「あかんことないけど」

「ならええわ」

「ところで、この試合で1つ思ったんやけどな」

「なんや」

「ペレグリー二は、苦労するのがわかっていて、サッカーをプレーすることを主眼にチームを組んでるわけや」

「そうやな」

「一方のバレンシアのエメリは、金も選手もありながら、教科書から抜け出てきたようなみもふたもないカウンター+セットプレーのサッカーをするわけや」

「理論派やな」

「はたして、どっちにしたところで結果は大して差はないから、それなら少しでも世の中が面白くなる方向に向かって欲しい、と思うわけやけどな」

「言いたいことがわからんのだが」

「この試合、前半のはじめの方がバレンシアで、後半になるほど、差がなくなったやろ」

「そうやな」

「それは、バレンシアは組織による守備と攻撃を重視していて、時間がたつほどそれを保つ体力が切れて不利になっていったわけや」

「それは、1つの理由やな」

「ビジャレアルの方は、きちんとボールをつなぐ技術を重視していて、そういう選手をそろえて、そういう訓練をしている」

「それがどうした」

「技術も、時間の経過とともにそのレベルが落ちるものだが、その落ち方は体力よりは少ない」

「疲れて動けなくなる度合いより、疲労による技術の劣化の方が少ないということか」

「それを概念図にすると次のようになる」



「これはなんや」

「チームのパフォーマンスを体力+技術であわらしたもので、Valがバレンシア、Vilがビジャレアルで、元気な時と疲れた時について描かれている」

「それはいいとして、意味がよくわからんわけや」

「元気なうちは、体力に頼る部分の大きいバレンシアの方が有利だけど、疲れると体力がごっそり減って、技術に頼る部分の大きいビジャレアルと同じようなパフォーマンスになる、とうことをあらわしてる」

「グラフの減り具合は、どうやって決まるんや」

「体力は比で減る、この場合だと、両者半分になる。技術は差で減る、この場合だと両者同じ量だけ減っている」

「また怪しいモデルを」

「言いたいことは、疲れた時を考えると、両方たいして変わらんということや」

「でもそれやったら、前半上に行ける分、バレンシアの方が有利やろ」

「そう思うやろ」

「なんやひっかけか」

「そこに、士気、つまり、やる気やモチベーションの高さというのを加えると下のようになる」



「わかったようなわからんような図やな」

「選手の根本にあるやる気は、疲労により変化しないという考え方やな」

「なんでバレンシアよりビジャレアルの方が士気が高いのかね」

「そりゃお前、選手にとってどっちのサッカーをやってみたいかを考えたら、当たり前のことやろ」

「そんなアホな」

「息をひそめて守りを固めて窒息するようなサッカーより、相手と切り合う心意気を持ったサッカーの方が、大抵の選手にとってやる気になるやろ」

「イタリアは違うかもしれんで」

「ここはスペインや」

「そうやけどな」

「おまけに、疲れた状況で、自分達にとって悪い事態が起こった時にどうなるかを考えると、次のようになる」



「バレンシアの士気は減って、ビジャレアルは増えるのか」

「例えば、0-0で来ていて、75分に失点した場合、ひたすら守備をしていたバレンシアはがっくり来るだろうし、そこからの反発力にしても、最初から点を取る気でいるビジャレアルの方が強かろうと思うわけや」

「それはあるかもわからんな」

「それやこれやを考えると、結局、世の中最後は大して変わらへんのやから、ごにょごにょ理屈をこねんと、初めての人が見ても面白いサッカーをやればええのに、という話や」

「まあ、上のモデルが正しい根拠がなにもないのだけが弱点やな」

「それは話が逆や」

「何が」

「世の中そんなもんちゃうか、という話が先にあって、それを視覚化するために適当なモデルをでっちあげただけやから、話が逆や」

「それにしても、極論やな」

「金のことを考えても、そうやと思うけどな」

「大金がかかってるからこそ、危険を犯さず、石橋を叩いて行かなあかんのやろ」

「それが間違いで、クラブも企業やねんから金を稼がなあかん、金を稼ぐには商品を売らなあかん、売る商品は試合なんやからそれに魅力がないとあかん、魅力というのは一つに初めての人が見ても面白いサッカーをする、ということやと思わんかね」

「そうきたか」

「放映権料と広告スポンサー料で食ってるようなもんやから、これかは、コンテンツの魅力を高めていかんと生き残っていけへんと思うで」

「なんか、どっかで聞きかじった言葉を並べてるだけやろ」

「ようわかったな」

「それに、カウンター+セットプレーはサッカーの最適解の一つやから、それを否定することはできんやろ」

「このタイプのチームの恐怖は、バレンシア対バレンシアになったときで、両方リスクを犯さないなら、なんとも言えない試合になる」

「そうかね」

「さらに言えば、こういうサッカーだと、監督がずーっと選手の尻を叩いていなければいかんようになるから、エメリも擦り切れてしまうのではないかと思うわけや」

「それは、今後見ていかんとわからん話やな」

「そうやけどな」

「そんなことより、この試合を見て、ふと下の配置が思い浮かんだんやけどな」



「アホというかなんというか」

「面白いやろ」

「アホほどマニアックなだけやな」

「果たしてこれらの選手に共通することは何か」

「おわかりになる方は」

「重度のリーガマニアかと」







「さて」

「正解は、全員アストゥリアス人であるということやな」



「アストゥリアスというのはスペインの北の海岸線の真ん中西側にある」

「オビエドとかがある地方やな」

「なんでそんな想像が浮かんだんや」

「なんか、共通項があるような気がせんかね」

「とりあえず、みんな働き者であるということやな」

「マークをすれば最後まで外さないし、味方がピンチと見ると足がつっても反吐が出ても助けに戻る」

「話がきたないな」

「おまけに、両足とも利く選手が多い」

「カソルラ、ルイス・エンリケのレベルは非常に高いし、ビジャもそうやな」

「そんなところで、ふと気になったわけや」

「サンプルが少ないから、なんとも言えんところやけどな」

「その辺りがどうかということも考えつつ」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」

「今回の個人技編はこちらにありますので」

「よろしければそちらもどうぞ」

「さてさて」

「新年明けて最初の試合は、マドリー対ビジャレアル」

「なんともめでたい組み合わせやな」

「結果は1-0でマドリーの勝ち」

「危うい試合ながらも、バレンシア戦に続いて再び3ポイントを獲得」

「薄氷を踏んでも割らない見事な試合かと」

「見事なのかね」

「今回は、主にマドリーについて、構成と戦術面から眺めてみようかと」

「最近はやりの個人技はなしか」

「残念ながら」

「そうか」

「図を多く、言葉を少なく、パラパラ漫画のような形式ですので、お屠蘇を片手にご覧いただければと」

「三が日はもう終わってるけどな」

「先発はこちら」



「マドリーはやはり1-4-4-x方面に向かうようやな」

「妥当なところやな」

「この構成の攻撃における狙いはこう」



「フンテラールにロングボール、後は、右サイドをロベンとラモスで縦へ」

「要するに、セビージャ型の焼き直しやな」

「フアンデが監督である以上、こうなるわな」

「そこで有効な攻め筋は下の形」



「シュナイダーからのサイドチェンジなどから右にボールを移し、ロベンのドリブルかセルヒオ・ラモスのクロス」

「フンテラールへのロングボールは、ゴンサロ1人で対処できるので恐くない」

「上の形を止めるには、相手としては図の右を固めたい」

「ところが、この日のビジャレアルはこう」



「一応1-4-1-3-2だが、ピレスがどうしても前残りになる関係で青い部分が空く」

「それとマドリーの狙いを合わせる」



「これはいかん」

「相手の強い場所と自分の弱い場所が当たると、大体悪いことが起こる」

「31分のロベンのゴールは、正にこれで、ロベン、ラモスでカプデビラのところに1対2を作られて、エグレンが必死でヘルプに行くが中に切れ込むロベンにかわされ、そのままミドルを決められた」

「バレンシア戦のマドリーとペペの復活を考え合わせると、マドリーが右をこの2人組むことは十分に予想の範囲内である」

「にもかかわらず、あえてビジャレアルは上のように組んだ」

「これはいかなることかと」

「バルセロナ戦では、アウベスの押さえにカニを入れて、ピレスは前に置いた」



「マドリーは低く見られたのかね」

「それはどうかわからんが、右を押し込まれても、その裏を突いて元を取ろうという考えであったことは間違いない」



「奪ったボールを、前に残ったピレスに入れて、サイドに流れるロッシにつないで攻める、といった流れやな」

「しかし、これは、まったく有効ではなかった」

「ペペが危険すぎた」

「ロッシがサイドに流れたとしても、スピードで振り切ることはできず、さらには追いつかれた後、手もなく潰されていた」

「あれは正に性能の差やな」

「でかくて機敏で速くて強い。さすがに30億のセンターバックだけのことはある」

「ぺぺの肉体は、ほとんど兵器やからな」

「そんなこともあり、開始からしばらくは、完全にマドリーのペースだった」

「ラインを高く保ち、前からプレスをかけ、相手の穴をつく」

「非常によろしい立ち上がりだったわけだが」

「前半の途中あたりからどうにも雲行きが怪しくなる」

「一筆であらわすと次のようになる」



「一筆ではないな」

「これがかの有名な、”中盤がぱっくり空く病”やな」

「中盤が2人残る分、今までと少し違う意味があるねんけどな」

「デル・ボスケとマケレレが去り、ベッカムが来て以来、この病気について毎年のように書いている気がするのは気のせいかね」

「近いような遠い過去やな」

「雲行きは怪しいまま、マドリーが1点リードして前半を終える」

「ハーフタイム後、ニハットが下がり、ジョレンテが入る」

46分:ニハット→ジョレンテ


「ジョレンテは、最初ぺぺの側にいたが、その後位置を変える」

「後半開始からは、完全にビジャレアルの試合で、マドリーは自軍のエリアに押し込められ状態が続く」

「これはいかんと56分」

「フンテラールに変わってドレンテが入る」

56分:フンテラール→ドレンテ


「ドレンテで左サイドを防ぎ、シュナイダーを中盤に近づけて穴をふさごう、ということやな」

「旗色が悪くなると、フォワードの1人を引かせてガチガチに固めるあたりもセビージャ時代と同じやな」

「その辺りに興味を持たれた方は、こちらをお読みいただければと」

「攻めのビジャレアル、カウンターのマドリーで時は流れ、得点は動かない」

「負けてるビジャレアルは、イバガサを投入」

69分:セナ→イバガサ


「ベティス戦でも見たように、点が欲しい時にはイバガサが出て来る」

「77分にマドリー、79分にビジャレアルが動く」

77分:ラス→ファン・デル・ファールト、79分:ピレス→カニ


「ここで、ラス・ディアラをファン・デル・ファールトに代える理由は、カードや体調がらみ以外だとよくわからんのやけどな」

「そして、89分にやや意外な交代が行われる」

「ロベンが下がってメッツェルダー」

89分:ロベン→メッツェルダー


「後ろ3人に赤丸がついているのは、その位置関係がよくわからなかったことによる」

「この状況でロベンを下げるのは当然やな」

「1点勝ってる状態で、動けないロベンを置く必要はないしな」

「ロスタイムに、相手が放り込みをかけてくるのはよくあることだから、後ろを厚くすることも理にかなっている」

「おまけに、この交代で時間も少し浪費できるしな」

「ところが観客はブーイング」

「これがベルナベウというかなんというか」

「こういう交代は、彼らにとてみっともないことこの上ない」

「ビジャレアル程度を相手にそこまでしないと勝てないのか、というのが許し難いんやな」

「そういうえば、昔もこんな事件があったな」

「あったな」

「カマーチョとルシェンブルゴの間の監督で……」

「マドリーファンでも名前を思い出せない、影の薄い人や」

「だれやっけ」

「ガルシア・レモンや」

「そんな名前やったな」

「チャンピオンズリーグのバイヤー・レバークゼン戦で、引き分けを狙って、交代で時間を浪費しようとしたら、勝利を望んでいた観客がひきつけを起こして、場内大ブーイングに包まれた」

「詳しくは、こちらの、”ソラーリをどうするつもりよ?”という文をお読みいただければと」

「ガルシア・レモンといえば、最後は非常に寂しいものだった

「なんにせよ、ベルナベウの観客の美意識というかそういうものは、実に堅固で、それに反したものに対する批判も凄まじい」

「批判というか、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式で、その人物自体への憎悪に近い感情になるのが恐ろしい」

「最近の監督で、その犠牲になったのが、ガルシア・レモンであり、カペッロなわけやな」

「カペッロなんか、2回監督を引き受けて、2回とも優勝して、2回とも裏口から追われるように去らなければならなかった」

「そのサッカーがどうしても観衆の趣味に合わなかったのが原因やな」

「はたしてフアンデは大丈夫か」

「今後も注目であると」

「実は、今、リーガでマドリーに一番ふさわしい監督は、ビジャレアルのペレグリーニではないかと思うんやけどな」

「お父さんキャラナンバーワンか」

「人からチームを作り、選手を喜んで任務につかせることができる意味でもナンバーワンやで」

「面白いかもわからん」

「最後に、このマドリーに対する、相手チームの対策を考えて終わろうか」

「一度考えられてから以下を読まれるとよろしのではないかと」















「基本は、耐久勝負で、体力勝ちやな」

「特にベルナベウでそれをやれば、我慢が切れた観衆がマドリーにブーイングを始めるからより有利になる」

「システムは、1-4-1-4-1が一番楽やな」



「こうしておけば、マドリーのメインの攻め筋を止めやすい」

「まず、ロベンとセルヒオ・ラモスに対して、3対2で数的優位を作りやすい」



「次に、ロベンが中に切れ込むと、中盤の1、紫の円で囲まれた選手が丁度いい守備位置にいる」

「もし縦に突破されたとしても、その選手がマイナスへのパスを切りやすい」



「ロベンに対する安全弁になる」

「ボールを奪って攻めるときは、1-4-1-4-1の基本通りやな」



「ワントップへの長いボールか、縦に抜けるサイドに合わせることを最初に狙う」

「ぺぺとカンナバーロなら、ワントップは、カンナバーロを相手に競った方がいい」

「もし、サイドを抜けたら、中が薄い状態でセンタリングを上げるより、一度スペースに戻ってキープする方を優先させる」

「そうなると、マドリーの両サイド、シュナイダーとロベンが後ろに走らざるを得なくなるので、全体を押し下げることができ、さらにその2人の体力を削ることができる」

「うまく押し下げたら、次は、下のように守ればいい」



「ガゴ、ラスを近くでマークして、守備ラインでは、なるべくカンナバーロ、ハインツェにボールを持たせるようにする」

「マドリーとしては、ハインツェをマルセロに代える方が攻撃的にはいいが、それをやると守備で穴ができやすくなるので悩ましい」

「個人の能力に自信のあるチームは、下のように組んでもよい」



「1-4-4-1-1か」

「1-4-1-4-1が一番安直でいいと思うけどな」

「前半きちんと耐えて、後半マドリーの病気が出たところでサイドやトップに攻めに効く選手を入れて勝負に出る、というのが基本かね」

「おそらく」

「今のチーム構成では、マドリーはこれをやられると、必ず苦労する」

「ではどうするか」

「なるべく今のマドリーのメンバーを残して、フアンデのやりやすいように変えるとして、それぞれポジションに典型的な選手を入れると、下のような感じになる」



「基本的に、セビージャ時代の構造と特徴のパクリか」

「果たしてどういう補強があるのか」

「これまた楽しみというところで」

「また次回」

「ごきげんよう」
「さて」

「ビジャレアル対バルサは、1対2でバルサの勝ち」

「ビジャレアルでもあかんか」

「あかんらしい」

「先発はこう」



「ペレグリーニは、この形から切り合いを選んだ」

「バジャドリーと同じように、前からプレッシャーをかけていく作戦やな」

「前回のクラシコで見たように、バルサに対しては、プジョル、アビダルを空けて守った方がいい」

「しかし、前に出るビジャレアル」

「興味深い」

「現時点で、バルサと切り合ってどうにかなりそうなのは、黄色いユニフォームのこのチームしかないしな」

「ただ、いくらビジャレアルが良くできたチームだといっても、攻め合うのは恐いはずやねんけどな」

「選手構成を見ると、受けに回らない方がいい事情はある」



「鍵は、左中盤の選手にある」

「攻めか守りかで言えば、全部攻め駒やな」

「ここに、ボールキープとパス能力の高い選手を配しているのがチームとしての特徴になる」

「そこから崩して、相手を押し込めれば良い展開になるが、バルサに対する場合、ダニエウ・アウベスとの関係でまずいことが起きる」

「前線へ上がるアウベスに対処するには、ここの選手が下がるしかない」

「しかし、アウベスは、スピードに加えて恐るべき持久力を備えている」

「その彼と走り合うと、大概の選手はボロボロになる」

「セビージャのアドリアーノでもふらふらになるのに、ピレスやイバガサではまず付ききれない」

「この試合で先発したカニは、後半の71分に交代したが、ベンチに戻った時、完全に肩で息をしていた」

「アウベス恐るべしやな」

「ビジャレアルとしては、ここは空けたくないところだが、守備向きの選手を入れてしまうと、相手に合わせることで自分の強みを消すことになるので悩ましい」

「相手が戦力的に上位の時は、それでも相手の弱点を突く形で受けた方がいいことが多いねんけどな」

「その中で、ペレグリーノが敢えて選んだのは前で戦うという方法で、ホームということを考えれば、やはりビジャレアルにはそうして欲しいところではある」

「ええ試合になったしな」

「最初にチャンスをつかんだのは、さすがにバルサやったけどな」

「アンリがエリア内で2度決定機を迎える」

「それをなんとかしのいだ18分」

「ロッシが完璧なチャンスを迎える」



「正にキーパーとの一対一」

「これはもらったと思ったら」

「外れてしまう」



「うむ」

「これは、どこかで見覚えのある風景なわけやな」

「クラシコのドレンテでもこんなことがあったな」

「これを見て思うのが、一対一というのは、これほど決まらないものだったかということなわけや」

「キーパーのバルデスが上手いのか、シュートをする方が下手なのか、それとも他に原因があるのか」

「今回は、その辺りを探りながら、この状況で基本となる技術はなにか、どうやったらこのようながっかりシーンを減らすことができるか、ということを探って行きたい」

「長い前振りやったな」

「まず、クラシコの場合から見る」

「フリーの状態でキーパーに向かう」



「体の正面に向けて、軸足の踏み切りを開始する」





「上の状態で、キーパーはすでに右に倒れかかっている」

「キッカーの軸足は、まだ着地していない」





「ボールを体の正面に蹴る」





「バルデスのセーブに阻まれる」



「いやはや」

「いったい何をやっているのかと」

「真っ直ぐ走りながら、真っ直ぐ踏み込んで真っ直ぐに蹴る」

「心が真っ直ぐなのはいいが、これではコースを読まれて当たり前やな」

「キーパーが、非常に早い段階で体を倒し始めていることが、読みやすかったことを証明している」

「これでは100回やって100回止められる」

「プロでこんな蹴り方をするというのも意外やな」

「ニアにインサイドで蹴るなら、踏み込みの段階で何かファーへのフェイントが入るはずだが、それがまったくない」

「技術的にお粗末といわざるを得ない」

「それに、遠目から見ると下のような位置だったのだから、シュートが苦手ならせめてドリブルでしかけて欲しかったとも思う」



「つまり、このケースでは、キッカーの技術不足によりゴールに到らなかったといえる」

「次に、ビジャレアル対バルサの場合を見る」

「キーパーの姿勢に注目していただきたい」






「キーパーを拡大すると、下のような姿勢になっている」



「これは、完全に裏を取られたの図やな」

「自分の左を通るボールに反応するのに、左足に体重が乗っていては無理やしな」

「つまり、キーパーは完全に読みを外されていて、その点ではキッカーの方が勝利している」

「では、なぜ読みを外されたのか」

「次にそれを見てみる」

「この場合、キッカーは、インステップでニアに打つ踏み込みから、軸足を外に開いて着地し、インサイドでファーに蹴る技術を用いている」

「軸足をほぼ真っ直ぐに踏み込む」




「着地する足を外側に開いていく」

「開く様子は、ボールの陰に隠れてわかりにくい」





「蹴り足をやや外側から回し、インパクトに向けて足を外側にひねる」





「下の図において、軸足のかかとが手前、つま先が向こう側にあるのがわかる。これは、真っ直ぐに踏み込んだ足を、外側に開きながら着地したことを示している」

「ここから蹴り足の膝が大きく外に開く」






「これを見ると、この選手の技術レベルが非常に高いことがわかる」

「まず、軸足を外に開くのが遅いのが一つやな」

「上の図では、開く様子がよくわからないので、下の図を連続的に表示する方がわかりやすいのではないかと」





「上の図で、上半身だけ見るとほとんど方向に変化がないが、軸足のつま先は確かに外に動いている」

「上半身と下半身の動きを分離できるというのも、一つ上手い人の特徴やな」

「そして、足のひねり」



「膝が90度といっていいほどに外を向いている」

「軸足を外に開きながら、蹴り足の軌道を変え、さらに大きくひねりを加えるというのは動作として無茶で、その無茶な動作をいかにも自然にこなしている」

「体の各部分を連動させる能力も高いんやろな」

「上の流れは、非常に遅い段階までニアにシュートが来るように見える動作であり、それが理由でキーパーは逆を取られる」

「これだけ綺麗に蹴れれば、この選手にとって逆を取るのは簡単であろうと考えられる」

「しかし、問題は、これだけ綺麗に蹴って外れた、ということやな」






「今度は、その点が問題になる」

「外れる様子を探るために、上の写真で、ボールの軌道を追いかけて見る」

「例えば、最後の2枚を重ね合わせてみると下のようになる」



「2つのボールを結んだ線が、キッカーのロッシよりも前に来ており、これは、ボールが外側に切れていったことを示している」

「重ね合わせたわりに、エリアの線がずれているのは気のせいか」

「後に行くほど、画面に拡大が入るので、どうしてもずれるんや」

「あかんやんか」

「ボールが外に切れていくのは、上の4枚の絵を連続表示してもわかるのだが、最終的には動画をご覧になって確かめていただければと」

「そうきたか」

「ボールが切れる様子を表すと次のようになる」



「上で見たようなフォームで蹴れば、その方向に曲がるのは当然ではあるけどな」



「ニアからファーに向けて、足を旋回させるように蹴るわけだから、どうしても外側に切れていく」



「上の図で、蹴り足が黄色い軌道を動くとすると、インサイドで蹴った場合、正面に対して横に飛ぶのが自然な方向になる」

「水色の矢印がそれやな」

「ところが、実際には、白い矢印のように、より前方へ飛ぶ」

「蹴り足をひねるからそうなる」

「本来、もっと横に飛ぶものを、ひねりで無理やり前に飛ばしているわけで、それが一つの理由となり軌道がそれる」

「さらには、ひねりを強くすればするほど、制御が難しくなり、ほんの少しずれただけで本人が思うよりも大きくずれる」



「この場合、ロッシのイメージの中では赤い矢印のように決まるはずが、白い方向にそれた」

「この蹴り方では、ボールが外に切れやすいことを考えれば、もっと内側に蹴りたいところではある」



「それやと、ボールがキーパーの近くを通るからあかんやろ」

「そこが悩ましいところで、こうしてみると、この技術はこの位置からゴールを決めるのに不向きであると思われる」

「不可能ではないんやろうけどな」

「100点のキックなら決まるが、95点のキックでは決まらない、といった難しさが見える」

「それでは困るので、もっと楽に決める方法はないものか」

「それが次なる疑問になる」

「一つ、ほとんど同じような状況で決まったゴールがある」

「0708シーズン、マドリー対バジャドリーとの試合でロベンが決めたゴールがそれになる」

「バジャドリーが7点取られて沈んだことで有名な試合やな」

「それを見てみたい」

「下の位置でボールに触れる」



「キーパーへ向かう」




「体の正面をピッチの縦方向に向ける」





「この動作は、シュートに備えると同時に、スクリーンの役目を果たす」





「シュートの踏み込みを開始する」

「この場合、ファーにインステップで打つモーションで踏み込む」





「左胸を引き、ニアへのインサイドへ切りかえる」










「これは、以前から良く紹介している、ステップサイドというやつやな」

「フォワードの必須技術の一つでもある」

「上のロッシの蹴り方も、インステップからインサイドに切りかえているが、ちょうど方向が逆になる」

「ロッシは、インステップで蹴り足側に蹴るモーションから、インサイドで軸足側に蹴り、ロベンのは、インステップで軸足側に蹴るモーションから、インサイドで蹴り足側に蹴る」

「この位置から蹴るなら、ロベンの方が決めやすい」



「理由の一つは、インサイドで蹴ったボールが、キーパーを巻くように飛ぶことやな」

「曲がることでゴールに飛び込む軌道を描く」

「さっきは、曲がるとゴールから飛び出てしまった」



「これだと、キーパーを騙しても入らない可能性が残るが、上のであれば、キーパーを騙しさえすればまず入る」

「お気楽極楽な条件やな」

「さらに言えば、技術的にロベンの蹴り方の方が簡単でもあるから、同じような位置から蹴るのであればそちらの方が良い」

「その場合、シュートまでのコース取りでは、なるべく広いアングルが残るように、キーパーの正面に向かうとよい」



「また、このフェイントを決めるためには、ファーサイドにきちんとインステップで蹴れることが重要になる」



「これができないと、そのうちキーパーにばれてしまい、”こいつはファーは下手やから、ニアさえ切っておけばいい”ということになってしまう」

「練習としては、まず、インステップでファーの低い位置にきちんと決めることを優先し、途中までなるべく同じモーションからインサイドに切りかえられるようにするとよい」

「そこからの派生として、また抜きからニアを抜くシュート」



「ファーから股を抜くシュート」



「このようなものも練習されるとよい」

「とまあ」

「そのような次第であります」

「いや長かったな」

「しかし、このくだくだとした技術文章を最後まで読む人がどれほどいるのかというのは疑問なところやで」

「そうは言っても、上のことはかなり重要やと思うで」

「同じようにキーパーを騙したとしても、ゾーンによって、入りやすい騙し方と入りにくい騙し方がある」

「それを知っているか知らないかで、得点率ははっきりと変わるはずや」

「ロッシの蹴り方は、上のゾーンではあまり有効ではないとしても、別のゾーンでは有効やしな」

「この話を押し進めていくと、まず、ロベンのように、インステップで軸足側に蹴る振りから、インサイドで蹴り足側に変化させる方法は、下のゾーンで有効であることがわかる」



「その逆、ロッシのような蹴り方は、下のゾーンで有効になる」



「そういうことを知ってプレーするのと知らないのでは、やはり違いが出る」

「その辺りをご覧になりたい方は」

こちらからどうぞ」

「というところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」

「よい年末と」

「よい新年を」


おまけ:
交代






ゴールを除くシュートの分布


http://www.futbolsexta.com/equipo/detalle/0042

ビジャレアルのシュートは、7本中6本がエリア内から打たれている。


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