週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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文末のプレー表により、カプデビラの特徴を見る。
対象とした試合は、最初のロシア戦である。

カプデビラの良い点は、パスがぶれないことである。
ツータッチ以内でボールを動かし、受け手の利き足に送るものがほとんどである。
また、逆足である右でのパスのぶれも少ない。

・パス総数とぶれ
ワンタッチ 10 ぶれ 1
ツータッチ 15 ぶれ 1

・パスのブレからスペインがピンチになったもの 1
73分51秒:
ワンタッチでビジャの右足にパス、やや後ろにずれる。
ビジャのバックパスが直接パブリュチェンコに渡る。

上のプレーでピンチを招いた原因は、カプデビラのパスのずれというより、ビジャのパスミスといえる。
大きく見積もっても責任は5分5分であろう。
この試合において、カプデビラのパスのずれからスペインがピンチを招く場面が多かったという事実はない。

早くボールを動かす、少ないタッチで出すパスにぶれが少ない、受けての利き足に出すパスが多い。
カプデビラの持つこれらの特徴は、攻撃のリズムを切らないことにつながり、スペインにとって非常に貴重な存在だった。
また、この試合、スペインの1点目はカプデビラのダイレクトパスから始まり、2点目は、コーナーキックから彼が縦に運んだことから生まれた。
ボールを持っていない場面では、オーバーラップのタイミングの良さが目につく。
必要な時に必ずサイドからフォローしている。
また、その後の守備への戻りも早い。
65分0秒からのプレーなどはその典型である。
ただし、この試合では、戻った後、簡単にファールをする傾向が見られる。
守備においては、マークの切り換えの判断がよい。
1対1においては、22分05秒にセマクに抜かれピンチを招いた。
1試合で1度というのは非難されるべき数字ではない。

例えば、セルヒオ・ラモスには、次のようなミスがあった。
46分32秒 セルヒオ・ラモス、ジルコフに飛び込んでかわされる
56分22秒 セルヒオ・ラモス、自陣エリア近くで相手に潰される
88分19秒 セルヒオ・ラモス、自陣エリア前の相手にパス
特に、下の二つは致命的なミスである。

カプデビラについて、この試合からは、

・少ないタッチでパスを出す技術がある
・パスがぶれない
・受け手のことを考慮したパスを出す
・右足のパスもぶれない
・フォローのタイミングがよい
・戻りも早い
・マークの切り換えがよい
・ミスが少ない

という特徴が浮かぶ。

また、オーバーラップの後、ドリブル突破がないことから、それが苦手であることも推察される。
これが、他の試合でも通用するかどうかは、各自確認されたい。
他の試合についてプレー表を作られた方は、ぜひお教え下さい。


カプデビラ
グループリーグ、ロシア戦のプレー表

前半
3分18秒 サイドへの上がり、コントロールから待ってビジャにパス、ビジャ潰される
6分25秒 ワンタッチでシルバの左足にパス、オーバーテイク
8分6秒 ワンタッチでシャビの右足にパス
11分55秒 カウンターへのポジショニング
14分24秒 サイドからの上がり
15分45秒 ワンツーから前に出るアニュコフに背中で当たる
16分11秒 右から崩される、シルバ
17分18秒 ツータッチでイニエスタの右足にパス
19分46秒 ワンタッチ、<右足で>縦のスペースにパス、トーレスからゴール
22分05秒 セマクに抜かれてクロス、ロシアのシュートはポスト
23分44秒 サイドライン際を上がる
25分34秒 ツータッチでシルバの左足にパス
26分3秒 エリア近くまで上がる
26分17秒 ワンタッチでビジャの右足にバックパス
26分42秒 ツータッチでイケルへバックパス
27分52秒 ツータッチでシルバの左足にバックパス
27分55秒 敵陣、ワンタッチで前のビジャへ落とす、ビジャへファール
31分35秒 ヘディングでクリア、シウバへ、戻しをクリア(浮き球、プレッシャー下)、ロシア選手へ
30:33 プジョル、マルチェナ、ラインコントロール、カプデビラ上がりが遅れてラインを崩す
34分30秒 左サイド、アニュコフに対応
36分21秒 ワンタッチでマルチェナの右足にパス
38分42秒 ラインコントロール
43分12秒 スルーパスをクリア
43分44秒 敵コーナーキックからカウンター、イニエスタにつなぐ、ビジャへスルーパス、ゴール

後半
50分49秒 パスをカット
51分25秒 ワンタッチでトーレスの右足にパス20m強
51分39秒 パスをカット、ツータッチでシルバにパス
51分44秒 ワンタッチでビジャにパス、ディフェンスクリア、ビジャが拾う
52分22秒 相手が戻したボールをキープ、ゴールキックにつなげる
53分10秒 サイドラインへクリア
55分26秒 ワントラップからマルチェナの右足にパス、ターンしながら左足でキーパーへバックパス、イケルキックミス、ヘディングでクリア、相手に渡る
57分44秒 サイドから縦へクリア、直接相手へ
60分3秒 スリータッチで<右足で>シルバの左足にパス
60分5秒 ツータッチでマルチェナの右足にパス
61分33秒 ツータッチでマルチェナの右足にバックパス、マルチェナにプレス(パスにずれはないが、判断が甘い)
63分42秒 スリータッチでシャビの右足にパス
65分0秒 ワンタッチで相手に向かい、ツータッチ目でシルバの左足にパス、相手ペナルティーエリアにダッシュ
65分6秒 シルバのセンタリングが相手に渡る、カプデビラ一気に下がる
65分16秒 自陣のエリア前でディフェンス、ファールに見えるが取られず
70分30秒 ツータッチでシャビの右足へ
70分34秒 縦へ持ち込む、左へパス、クリアされる
71分56秒 ツータッチでシルバの左足にパス
73分51秒 ワンタッチでビジャの右足にパス、やや後ろ
77分36秒 ワンタッチでシャビ・アロンソの右足にパス
78分26秒 ツータッチでカソルラの左足にパス
78分32秒 スリータッチ、<右足で>セナの右足にパス
78分58秒 カソルラをフォロー(相手エリア横)
79分23秒 ファール、自陣エリア前
80分55秒 ミドルシュートに反応
86分34秒 ツータッチでシャビ・アロンソの右足にパス(ズレあり)
86分38秒 ツータッチで前にパス、相手に当たりスローイン
89分03秒 クロスをブロック
91分54秒 ツータッチでカソルラの左足にパス
91分54秒 ツータッチ、<右足>でシャビの右足にパス(プレスを抜ける)
93分09秒 フリーキック

*注
30:33 プジョル、マルチェナ、ラインコントロール、カプデビラ上がりが遅れてラインを崩す
以上のプレーを新たに見つけたたため付け加えました。
パスのぶれについての結論に影響はありません。(2008年7月6日)

Rg
日本でのカプテビラの評価&スペインの勝因分析
私が以前蹴球計画様に質問させていただきました、「ウイング云々」の解説者が書いた、スペインの勝因について書かれたコラムが出ました。ここ数日、盗作疑惑という別の話で物議を醸したのですが、それはさておき、

http://www.ocn.ne.jp/sports/soccer/magazine/0648.html

と、このように書いてあります。読みながら目が点になりました。

私、大会期間全てのスペイン代表の試合を見た上で、他の代表の試合も見ましたが、蹴球計画様がこの原稿で指摘されているとおり、カプテビラの安定と、ベストメンバーの稿や勝因の稿で指摘されているように、セルヒオ・ラモスが素晴らしいサイドバックであることは明らかだと思うのですが、それがこんな風に書かれる始末です。

ぺぺとカルバーリョがいましたから、CBの部分は頷けるとして、やはりカプテビラとセルヒオ・ラモスについては、短い寸評だったとしても合点が行きませんでした。

そこで、以前蹴球計画様にご教示していただきました、再現性や追試可能性で考えた場合、この評価は?しかつきません。その他にも?がたくさん着きます。


そう考えると、ここで触れられているデータのように、しっかりチェックした上でビデオを見直すと、全く逆の結論になります。

残念ですが、以前も質問いたしましたとおり、日本では、サッカー誌レベルでもこのような記事が横行していて、こうした記事を書いても高名を保てるというお寒い現状です。私も、サッカー誌ほぼ全てを買いましたが、勝因はアラゴネスが4-4-2に変えたからだとか、民族がどうのとか、そんなのが大半でした。

今後もご指摘いただきました点を胸に、サッカーを見て行きたいと考えております。

蹴球計画様がこうした論調に一石を投じる分析を続けて行かれることを切に祈っております。
y2008/07/06 00:44z NAME[ZERO] WEBLINK[] EDIT[]
Re:日本でのカプテビラの評価&スペインの勝因分析
盗作疑惑などというものがあったのですね。
該当の記事を拝見しました。

http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/365/
にそれに関する文章がありますので、ご一読願えればと思います。

スペインの勝因については、一つのことを言うと、
”ではなぜそれまで駄目だったのか”というより巨大な疑問が残ります。
システム、上手い選手を揃える、アラゴネスの強気かつ早めの交代、などです。
より深く考えるべき問題だと思います。

いつも情報をいただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
y2008/07/08 08:33z
カプ
>> また、オーバーラップの後、ドリブル突破がないことから、それが苦手であることも推察される。

事実です。
前世紀よりデポルを見てるのでカプデビラがロメロのサブだったころから知ってます。
たぶん現地人でスタジアムに足運んでる人間なら大体が知ってるんじゃないでしょうか。
相手陣地の半分くらいでボール受けたら選択肢はとりあえず後ろに下げることが多くて、「おまえは別にいても邪魔だからあがるなよ」ってコメントを聞いたことあります。
あとセンタリングも極めて少ないです。というか無いと思います。
デポルの左サイドバックの前任者がロメロだったせいもあって非常に極端に写ったものです。

カプデビラの守備面においてはありだと思ってます。
身体的にも強いし、いいカバーするし、書かれているようにミスが少ない。
与えられた仕事は必ずこなしますっていう、職人的なタイプと言っていいんじゃないかなと思ってます。
しかし個人的にはなんで代表のレギュラー張ってるかが理解しがたい。
守備は良いけど地味。攻撃はそこまで・・・・って感じがしてます。
右にセルヒオ・ラモスがいるのでバランス的にはちょうどいいのかも知れませんが。
しかし友人(スペイン人)に「確かに俺もカプデビラは代表でレギュラーってほどじゃないと思ってるけど、他に誰もいないだろ?」と言われ、違うコーチングライセンス取得に頑張ってる友人(スペイン人)に「確かに俺も代表レギュラーはどうかと思う。けど忠実で堅実に仕事する正真正銘の仕事人だし、もし8人のカプデビラに2人のクリエイティヴなプレーヤーがいれば俺スペインリーグ優勝出来る自信あるよ」って言われて非常に納得した覚えがあります。
y2008/07/06 04:20z NAME[とうん] WEBLINK[] EDIT[]
Re:カプ
カプデビラがドリブルで抜けないことはよく存じています。
その証拠としてプレビューをご覧下さい。
http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/307/
「しかし、1対1でのドリブル勝負は苦手としている」と書かれているはずです。
推察される、としたのは、ロシア戦では、実際にドリブルでしかけて止められる場面がなかったからです。
よって、このデータからは推察されるのみだ、という意味です。

代表のレギュラーであることが理解し難い、とのことですが、上のデータをもとに一度見直していただけませんでしょうか?
普通のパスのみならず、このユーロで、カプデビラは、記憶に残る得点シーンに一度ならず顔を出しています。それは、彼自信の素晴らしいパスもあり、タイミングのいいフォローもあります。
まず、最初のロシア戦の先制点において、右足ダイレクトで、スペースに抜けるパスを出し、トーレスのキープからビジャが決めました。
左利きのカプデビラが、逆足で出したとは思えない見事なパスでした。
また、スペインが苦しんだスウェーデン戦において試合終了間際にビジャへ見事なパスを出しました。あのパスを出すことができる選手はどれほどいるのでしょうか?
トーナメントのロシア戦では、最初のゴールにおいて、イニエスタを実にいいタイミングでフォローしています。彼の上がりにより、ロシアの右サイドバック、アニュコフはイニエスタへのマークを外しました。
さらには、ドイツ戦で、決勝点となったゴールは、カプデビラ、セナ、シャビ、トーレスとつながっています。
最初のカプデビラのパスがずれていたらあのゴールはありません。
もちろん、セナ、シャビのパスが素晴らしかったのは事実ですが、そのセナが次のプレーによどみなく移ることができたのは、カプデビラのパスがあればこそです。
そして、受け手の次のプレーを考えたパスを出すというのは、データにあるように、カプデビラの長所の一つです。

以上の点について、どのようにお考えでしょうか?

カプデビラは、確かに、シャビやセスク、イニエスタやシルバのように目立つパスを出すことはありません。
しかし、攻撃のタイミングを切らず、周囲のシャビ、シルバ、セスク、イニエスタに出すパスは、チームにとって非常に重要でした。
周囲にそれだけ上手い選手がいるのだから、カプデビラがなにかをする必要はありませんでした。
いわゆる、”いい選手”が次のプレーに移りやすい状態でパスを渡せば十分でした。
だからといって、それは、誰にでもできるわけではありません。
少ないタッチで、受け手が次のプレーに移り易いようにパスを出す、というのは決して簡単なことでありません。
特に、相手や心理的なプレッシャーを受ける実戦ではそうです。
また、守備を見ながら、いいタイミングで前線をフォローするというのも同じく簡単なことではありません。
しかし、カプデビラはそれを遂行しました。

彼は、スペインにおいても不当に低い評価を受けている選手の1人です。
それは、「マロ(下手)・イ(アンド)・トラバッハドール(働き者)」という色眼鏡で見られているからです。
できれば、スペイン人のお友達にも以上の点をお伝えいただけませんでしょうか?
その上で、ユーロのカプデビラのプレーを今一度検証していただけませんでしょうか?
もし、以上のことが、嘘である、もしくは事実に反するのであればお教えください。

今後ともよろしくお願いします。

*ロシア戦での2点目のプレーについて、誤認がありましたので修整しました。
y2008/07/07 04:40z


RgtH[
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