週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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リーガの選手は悪食か? (2004.10.06)

本日お昼のニュースで、「カメルーンに帰っていたエトー(バルセロナ)が、ガストロエンテリティスで倒れてパリの病院へ運ばれた」という、一瞬聞いただけでは何のことやらわからないニュースが飛び込んできましたが、今回は謎のガストロエンテリティス(Gastroenteritis)について考えてみようかと。

Gastroenteritisを辞書を引くと胃腸炎、となっているのですが、なんとなく腹痛の凄い奴のような気がする以外、その真価がわからない。

そこで、困った時にはインターネット、ということで検索してみると、

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http://mmh.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?url=106/s106.html

胃腸炎とは、通常は感染によって起こる、食欲不振、悪心、嘔吐、軽症から重症までの下痢、けいれん、腹部の不快感などをもたらす一連の症状に対する一般的な用語である。(以下略)

▲診断
 胃腸炎の診断は通常は症状だけで明白だが、原因はそうではないことも多い。時には家族の他のメンバーや同僚が、類似の症状で最近病気のこともある。また、冷蔵庫から出して長時間放置してあったマヨネーズや生の魚介類などのような、十分に加熱していなかったり、腐敗していたり、あるいは汚染された食品を病気の原因として突き止める場合もある。最近の旅行、特に海外旅行が手がかりとなることもある。(以下略)

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とある。
おそろしく範囲の広い病気である。

個人的に、昔から、これにやられるスペインリーグの選手がやたらと多いような気がしていたので、www.marca.es の下を、 gastroenteritis で調べてみる。
とすると、出るわ出るわで60件もひっかかる。
これが多いかどうか、時間範囲を確定しないとなんとも言えないのだが、この10月の分だけで、少なくとも、ディエゴ・トリスタン、エトー、アイトール(レクレアティーボ)の3人が被害にあっている。
今は10月6日なのだから、なかなかのハイペースである。

日本でサッカーをしている時は、そんな病名で試合を休む人間を聞いたことがなかったのだが、はたして自分に目が付いていなかったのか、それともただの腹痛で片付けられていたのか、はたまたスペイン特有の症状なのか、サッパリわからない。

さらに気になってスペインの医療関係サイトを調べてみると、
「ガストロエンテリティスの予防法」というページがあり、一部を抜粋すると、

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http://www.tdh.state.tx.us/ideas/factsht/gastrosp.htm

・常に手を洗いましょう
食べ物を用意する前
トイレの後
・生肉は避けましょう、火を完全に通すこと
・バクテリアが成長しないように、冷たい食べ物は冷たく保ち、温かい食べ物は熱しましょう
・生モノに触れたまな板、調理用具は綺麗にしてから使いましょう

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等々、小学校のクラス目標のようなことが延々と書かれている。
そう言えば、日本語の胃腸炎の説明にも「腐敗していたり、あるいは汚染された食品」云々と書いてあった。

ならば、これで多数の選手が倒れるスペイン。
リーガの選手は恐ろしい割合で悪食なのであろうか。

しかしながら年に数億稼ぐ彼らがそんなわけもない。
かくなる上はどんな病気も説明してしまう万能単語、「ストレス」に因を求めるしかないような気もするが、それなら、日本でももっと選手が倒れてもいいような気がする。
となると、やっぱり彼らは悪食である、のであろうか。

真相は藪の中であります。

(2021/08/16)


ひまわりの種 (2004.09.29)

最近フラーレンサッカーニュースに、「ひまわりの種をつまむカシージャス」という話題があったのですが、あれを読んで、「そうか、スペイン人はあの固いひまわりの種を丸ごとばりばりと食べるのか」と納得してしている人がいるとかいないとか。

もちろんそんなことはございません。梅干の種をわると柔らかい部分があるように、ひまわりの種も歯で外を割り、同じような部分を食べるのであります。

なれない日本人がこれをやると、薄い殻が歯と歯の間に挟まったり、殻のかけらを食べたり、様々な障害が起きるのですが、子供の頃から修行をつんだスペイン人は抜群に上手い。

前歯の間にひまわりの種をはさんだ、と思う間もなく一瞬で縦に殻を断ち切り中身を吸い出してカスを吐き出す。
正に一瞬の間に行なわれるこの動作は、芸術的ですらある。

このピパスと呼ばれるひまわりの種は、映画におけるポップコーンよりもサッカー観戦の必需品で、スペイン人が立ち去ったシートの下には山のような種の殻と銀紙が転がっているのが常である。
ちなみにこの国では、「観戦料に掃除代も含まれている」と思われているので、「来た時よりも美しく」といった観念は一切通用しない。

それはさて置き、カスと共に残される銀紙はボカディージョを包むために使用される。
ボカディージョとはわりかし知られているスペイン風サンドイッチで、日本で一般にフランスパンと呼ばれる適当な長さのスペインパンを水平に切断し、その間に任意のものを挟んだ食べ物を指す。

任意といっても、もちろん食べ物を挟むわけで、一般にはトルティージャ(スペイン風オムレツ、またの名をトルティーリャ)、ハモン(生ハム)、ケッソ(チーズ)が用いられる。

バルと呼ばれるスタンディングバー兼居酒屋に行けば、ローマ風イカと、よくわからない名前のついたイカのリングフライを挟んだものや、ボケロネスというカタクチイワシの酢漬けサンドもよく見るが、サッカー場ではあまり見かけない。

以前、プレー中のカシージャスに様々なものが投げつけられる事件がありましたが、スペインの必然として、銀紙に包まれたボカディージョも投げ込まれた。
それを手に取ったカシージャスは、おもむろに包みをあけ、パンを持ち上げて中身を確認していた。
邪魔ものを拾ってどけるのは当然として、なぜわざわざ中身を確認する必要があったのか、非常に謎である。
確認の結果は、トルティージャだったらしいのですが、もし高級生ハムだったら食べる気だったのか、やっぱり謎である。

投げ込みついでで言えば、その昔、モノ(サル)というあだ名を持つモノ・ブルゴス(アルゼンチン、アトレチコ、キーパー)がグランドに嫌がらせで投げ込まれたバナナを拾い上げて食べる、という極めて大度なパフォーマンスを見せ、世の話題をさらったことがある。

それはともかく、サッカー場におけるボカディージョは、遅い時間に食べるスペイン人の夜ご飯であることが多い。
試合開始が8時、ハーフタイムが大体8時50分。そして15分の間に夜飯としてパンをかじる。
はたして、それを投げた人は、夜ご飯を食べ損ねたのか、それとも食べかけを投げ込んだのか、少し気になるところではあります。

もしスペインでサッカー観戦をする機会があり、完全に地元民に溶け込みたいと思ったら、ボカディージョ(トルティージャ入りが望ましい)とピパス、そしてミネラルウォーターを用意し、その辺のスーパーのビニール袋で持っていくと雰囲気を満喫できるのではなかろうかと。

注意点としては、ペットボトルに蓋がついていると投げ込み防止のために蓋だけ没収されてしまうので、蓋は最初から取ってポケットにしまっておき、持ち物チェックを通過してから閉めると、ちょと得した気分で観戦できます。

お試しの程を。

(2021/08/14)


記者会見を斜めに見ると (2004.09.22)

皆様ご存知のように、去る月曜日は9月20日、レアル・マドリードはホセ・アントニオ・カマーチョの辞表を受け入れ、そのセグンド(副官)であったガルシア・レモンを後任監督に任命いたしました。
そして、このガルシア・レモンの就任記者会見は極めて興味深い内容のものとなりました。
その一部を抜粋すると、

「私がここにいるのはまず第一にカマーチョに要請されたためであるし、次に会長から要請されたからである。それが唯一の理由であることを理解していただきたい。」

「私は魔法の杖をもっているわけではない。選手達が反応を起こさねばならない。このシルコ(サーカス)は彼らが主人公なのだし、反応を起こす義務がある。ピッチ上でそれを示す義務がある。彼らとて石ではないし、(この状況により)傷ついている。」

「カマーチョの路線を踏襲していく。急激な改革など期待しないで欲しい。カシージャスが左サイドバックに入ったり、ロナウドがポルテーロになったり、うーん、セラーデスが審判をマークしたり、こういったことは期待しないでくれ。」

こういった言葉が発せられたのでありますが、実に面白い。
下衆の勘繰りを行なって意訳すると、

「いや、わしが監督をやりたい、といったわけではなく、皆にいわれて仕方なくひきうけてん。とりあえず普通にやるから、結果がどうなっても責めんといてな」

とまぁ、このように聞こえるような気もするのでありますが、おそらくそれほど間違っていないでしょう。

選手達がどうこう、という言葉は、選手に責任を転嫁(最近はつかってはいけない単語らしい)するというよりも、噂の裏付けをした、つまり、選手達がカマーチョに反目して追い出した、という噂を裏付けるものではないかと思われます。
そうでなければ、その後、

「私はベストゥアリオ(ロッカールーム)でカマーチョに敬意を欠く態度を見たことがない。だから私も彼らの尊敬を得るであろうし、それについては確信している」

といった言葉を残すこともないのではないかと思われます。

なんか、こう、レアル・マドリードがつまらないと人生がつまらないんですな、個人的に。
ここ最近のマドリードは、「ボケと突っ込みがあって強い」とまぁ、つねにピッチ上で笑いとプレーを提供してくれていたのですが、去年からはあまりにもプレーがひどくて笑えない状態が続いている。

ネタはピッチの中で提供して頂きたいと思っているのですが。

はて。

(2021/08/03)


ハビエル・ガルシア・ポルティージョ (2004.09.16)

数日前、c60ニュースでもお伝えしましたが、最近、父ポルティージョが「わしの息子がでていったのはアイツのせいなんじゃ」とラウールを非難する発言を行いました。

これについては、ポルティージョと父のつながりを理解しないとわかりにくいと思われますので、そのことについて書いてみようかと。

とにかくこの二人、父あるところにハビエル在り、ハビあるところに父親在り、と言われるほどに不可分な関係で結ばれていて、少年時代から週末毎の試合には勿論のこと、毎日の練習にも父親の姿がみられた。

まぁ、確かに、これはスペインでは珍しくもなんともない光景だが、この二人にはさらなる逸話がある。

ポルティージョはマドリード中心部から車で50分程の距離にあるアランフェスという町の出身である。そして彼は毎日車で練習場に通っていた。
レアルC時代ならともかく、十分な給料を貰う身分になったレアルB、トップチーム時代を通してそれは変わらなかった。
例えば午前と午後、二回のセッションがある場合、ポルティージョは午前の練習の後、わざわざ昼飯を父、家族と一緒に食べるためだけにアランフェスに帰り、そしてまた午後の練習、もしくはホテルでの集中のためにマドリードにやってくる。

いくら昼休みの長いスペインとはいえ、往復に二時間近く費やして飯を食いに帰る人間は珍しい。

このポルティージョ一家の結束の強さを抜きにして、あの父親の発言を読むと、なんかちょっとおかしい親父が妄言を吐いているように聞こえてしまうが、それは多分違う。

しかし、ここでふと逆の事実に思い当たる。

2シーズン前、出場機会の得られそうにもない状況に嫌気がさしたポルティージョは移籍を半分決意していた。その時、残留を決意させたのは、ラウール、イエーロの

「おまえは一生白いままで終わりたいのか、そうでないのか。」

という言葉だったと聞いている。

ラウールとイエーロ、二人と話し合って残留を決意したのであれば、なぜ今、ラウールが原因で出ていくのか。

上の話の情報源はレアル・マドリードを中心に取材している記者なのだが、はたして父ポルティージョの言葉が真実だとすると、どうにも腑に落ちない。

考えられる矛盾解決法としては、

1 記者が間違えている
2 父が間違えている
3 ここ最近ラウールとの仲がこじれた

以上の三つが考えられるが、はたして、どれが真実なのか。

個人的にはゲームの組み立てに参加するよりも、ゴールを決めることしか能が無く、そして、それを確実にやってのけるポルティージョはイングランド、イタリア向きだと思っていたので、今回のフィオレンティーナ移籍は彼にとってよろしいのではないかと思っているのですが。

はて。

(2021/07/31)


試合開始時刻に思う (2004.09.08)


スペインで庶民のサッカー中継が始まるのは、土曜日は9時半、日曜日は9時が一般的です。
勿論これは夜の9時で、終わるのは夜中の11時半やら11時。
これをスタジアムに見に行く場合、家を出るのは8時半、帰ってくるのは0時過ぎ、必然的にこのような結果となります。

なにやら遅いような気がしますが、どう考えても遅い。
その昔、イタリアはユベントスから移籍したジダンが、「いや、スペインに来て何がまいったって、試合開始時刻だね。なにしろ変な時間に始まるもんだから、最初のうちは試合中に眠くなって困ったもんさ」とインタビューで語っていた程遅い。

この不思議な試合時間の秘密は良く知られたシエスタ(昼寝)のお時間でして、スペインでは昼の2時~5時あたりに3時間前後の昼休みを取る。
このお陰で日本、アメリカ、その他のヨーロッパ諸国とは2時間から3時間ほど、午後の時間感覚にズレが生じ、それに合わせて試合開始時間も遅くなっている。
サッカーの場合だと、日本のゴールデンタイムと呼ばれる7時に試合開始する場合、2時間半ほどずれて9時半になる。

実は、この時間のずれ込み現象、プロサッカーだけでなくユース世代にも及んでおり、練習の時刻が異様に遅い。
まぁ生活習慣がそうなのだから当然と言えば当然なのですが。
例えば、去年見ていた14~15歳のチームは夜8時に練習が始まり9時半に終わっていたし、知り合いのチームでは練習の終了が夜の10時だった。
日本の習慣が抜けない人がこの生活を送ると、夜飯が11時近くになり非常につらい。練習前の6時に飯を食っても良いのですが、結局練習後に猛烈にお腹が空くので何かを食べざるを得ない。
スペイン人はもともと10時過ぎに飯を食うのでなんのつらさもないらしいのですが。

このペースに慣れるのはなかなか大変で、例えば週末の試合が朝の9時から始まると場合、その1時間前には集合しなければならない。となると起きるのはその1時間から1時間半前、要するに朝の6時半に起床せねばならない。
普通に考えて、通常夜の11時に飯を食う生活をしておきながら、突然早朝6時半に起きるのは極めて辛い。
はずなのだが、平日朝7時の列車は通勤客で満杯である。

この矛盾を解決する方法としては、

1 スペイン人は寝なくても生きていける
2 職場で適当に働くから寝る必要もない
3 スペインの会社員は他とは違い早寝早起きをしている

以上のどれかだと思うのですが、はたして。

以上のように、独特ともいえる生活習慣を持つスペインではあるが、最近はこれが崩れつつある。

昔、といってもまだ3年半ほど前、まだ通貨がペセタだった頃は昼の3時にマドリードの下町を歩こうものならまるでゴーストタウンを彷徨う気分にさせられた。
なにしろ食堂を除く商店は全てシャッターを閉め、道を歩く人もまばら。泥棒に会いたくなければシエスタの時間と深夜は街を歩くな、と言われたものである。
さらに付け加えるならば、日曜、祝日には商店は全滅、土曜日も大概のスーパーが午前中まで。
金曜日が祝日の場合、プエンテ(橋)と称して土曜日も休日扱いになるため3日間店がまったく開かない。
木曜日にうっかり買い物を忘れようものなら、そのままうっかり飢え死にしかねない世界だった。
個人的には、その頃の苦い記憶から金曜日が近付くと「買い物に行かないと」という焦りにも似た感情が湧きあがる。
しかし、最近は随分とお店事情も変わってきた。
昔は2時から5時半までキッチリ休んでいた近所のスーパーから中休みがなくなったし、近くに朝の8時から夜の2時まで開いている店もできたし、おまけに休日皆無で働く中国人雑貨店も増えた。

このところ、地価の上昇と経済成長の目ざましいスペインではありますが、経済とは効率の別名なのでこのような変化も当然と言えば当然ではあります。

これからは、ああここはスペインだなぁ、と感じさせる人の数々、どんなに行列が長くても昼の12時になるとお茶を飲みに消える警察の受け付け、たかだか切符一枚を買うために粘りに粘り、20分も窓口を占領するおばはん、自分の不注意で落としたくせに「いや、コップが手から逃げていったんだ」と言い張り責任を認めさせるのに1時間かかるおやじ、こういった人々が生きていきにくい社会になり、彼らは時と共に駆逐されていくのでしょう。

ここ最近のたった3年でも人の質の変化、例えば、地下鉄で突然知らない人と大声で会話を交わす場面が少なくなり、ただひたすらに本を読む人が増えた、といった現象が見られるわけですから、失われていくものを今のうちに目に焼き付けておかねばならないのかもしれません。

もし、サッカーの放映開始時刻が19時に統一される日が来るとしたら、それはスペインという言葉で連想される大部分の物事の死を意味しているような気がします。

(2021/07/25)



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