週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
35節まで
コーナーキックからのゴール 1 コーナーからのファーストタッチによるゴール 0 得点 失点 62 26 Aston Villa 1 - 2 Liverpool ラウルセン:オウンゴール ジェラード:フリーキック Liverpool 1 - 1 Chelsea カイト:エリア内で押し込む Sunderland 0 - 2 Liverpool シソコ:ミドルシュート ボロニン:カウンターから Liverpool 6 - 0 Derby County アロンソ:ミドル アロンソ:フリーキックを直接 ボロニン:トーレスのシュートのリバウンドを押し込む トーレス:ドリブルシュート バベル:左からのクロスをシュートフェイクから切り返し トーレス:クリアミスから1v1 Portsmouth 0 - 0 Liverpool Liverpool 0 - 0 Birmingham City Wigan Athletic 0 - 1 Liverpool ベナヨン :後ろ向きヒールで切り返し。シュートフェイクで二度目の切り返し Liverpool 2 - 2 Tottenham Hotspur ボロニン:フリーキックから押し込む トーレス:フィナンのクロスをヘッド Everton 1 - 2 Liverpool カイト:PK カイト:PK Liverpool 1 - 1 Arsenal ジェラード:リーセが横に流したボールをシュート Blackburn Rovers 0 - 0 Liverpool Liverpool 2 - 0 Fulham トーレス:レイナのロングキックから ジェラード:PK Newcastle United 0 - 3 Liverpool ジェラード:フリーキックからロングシュート カイト:コーナーキックからヒーピアのそらしを押し込む バベル:ジェラードの戻しから Liverpool 4 - 0 Bolton Wanderers ヒーピア:フリーキックから トーレス:1v1 ジェラード:PK バベル:カイトのシュートを押し込む Reading 3 - 1 Liverpool ジェラード:シュート Liverpool 0 - 1 Manchester United Liverpool 4 - 1 Portsmouth ベナヨン:ボレー ディスティン:オウンゴール トーレス:リバウンド トーレス:コーナーキックのクリアボールをサイドに展開してヘッド Derby County 1 - 2 Liverpool トーレス:ドリブルシュート ジェラード:リバウンド Manchester City 0 - 0 Liverpool Liverpool 1 - 1 Wigan Athletic トーレス:縦に抜けてシュート Middlesbrough 1 - 1 Liverpool トーレス:ロング Liverpool 2 - 2 Aston Villa ベナヨン:スルーパスから クラウチ:フリーキックから West Ham United 1 - 0 Liverpool Liverpool 3 - 0 Sunderland クラウチ:クロスをヘッド トーレス:1v1 ジェラード:PK Chelsea 0 - 0 Liverpool Liverpool 3 - 2 Middlesbrough トーレス:1v1、後ろからDFに当られて持ち直す トーレス:ミドル トーレス:カウンター、GKミス Bolton Wanderers 1 - 3 Liverpool ジェラード:GKのミスから バベル:リバウンドをニアに ファビオ・アウレリオ:コーナーキックのクリアをミドル Liverpool 4 - 0 West Ham United トーレス:フリックから裏へ抜け出して ジェラード:ミドル トーレス:コーナーキックのクリアからカイトがクロス トーレス:右からのクロスをボレー Liverpool 3 - 0 Newcastle United ペナン:DFのクリアが足に当ってゴール トーレス:左からのゴロクロスをすかしてシュート、昔ならこけてる ジェラード:トーレスからのスルーパス1v1 Liverpool 2 - 1 Reading マスチェラーノ:ミドル トーレス:FKから Manchester United 3 - 0 Liverpool Liverpool 1 - 0 Everton トーレス:コーナーキックのクリアから1v1 Arsenal 1 - 1 Liverpool クラウチ:ベナヨンのリターンから Liverpool 3 - 1 Blackburn Rovers ジェラード:ワンツーからマタを抜いて裏へ トーレス:ジェラードからクロスをヘッド ボロニン:ベナジュンスルーパス、クリア、リーセ、クロス、押し込み Fulham 0 - 2 Liverpool ペナン:スルーパスから1v1 クラウチ:ペナンからのパス、コントロール1v1
「先日のリバプール対チェルシーに続いて、こちらも引き分けに終わった」
「向こうは1-1、こちらは0-0か」 「残念ながらバルサはホームで得点することができなかった」 「そのかわりといってはなんだが、アウェーゴールを失ったわけでもない」 「それは心強い点ではある」 「とりあえず先発はこうやな」 「この形から、マンチェスターはとにかく守りを固めてきた」 「ディフェンスライン非常に低かったな」 「下の感じか」 「バルセロナがボールを持つと、全体を下げて最終ラインはペナルティーエリアの前、5.5m付近に形成されていた」 「いわゆる半月マークの少し上辺りやな」 「そして、中盤の4人のラインはその8mほど前」 「これは、守備を敷くゾーンとしては、一番下がった形になる」 「これ以上下げると、ペナルティーエリアにかかってしまうからな」 「例えば、普段のリバプールだと、相手にプレッシャーをかけていくのがハーフライン付近で、最終ラインはピッチの広さにもよるけれども、ペナルティーエリアから15m以上離れた場所にある」 「マンチェスターとしては、バルサのフォワード陣、エトーとメシが裏に出るスペースを与えたくなかったんやろな」 「うまいことラインの裏にパスを落とす選手も多いしな」 「そして、引いて4-4のラインを作った前でテベスがトゥレをマークする」 「半分マンツーマンのような形で、まずトゥレに張り付いてパスレシーブを邪魔した後、パスコースを切りながらボールに詰める形やな」 「そして、その前ではクリスティアーノ・ロナウドが一人ぼっち」 「基本10人で守って、カウンターからロナウドの一撃を狙う、実にわかりやすい作戦やな」 「しかし、最近の傾向からして、ここまでべったり引くチームは珍しいで」 「確かにな」 「それを崩す立場のバルサは、今シーズンで一番ボールが回っていた」 「下の形か」 「まず、点線で囲まれたゾーンで実によくボールが動いた」 「ユナイテッドが引いていたから、そこにスペースが空くのは当たり前といえば当たり前やな」 「かつ、左サイドにいたイニエスタが、しばしば中央に入ることで、守備のバランスを崩していた」 「相手の方は、ゾーンをまたいで動くイニエスタを捕まえきれてなかった」 「そして、マルケスからゾーンの間を突くパスもよく決まっていた」 「プレッシャーもかけられてなかったしな」 「それにしても、彼はもともと組み立ての上手い選手なのに、今シーズンは変なミスが多かったやろ」 「それはそうやな」 「久しぶりにさばくマルケスが戻ってきて、非常にいい具合だった」 「ただし、彼を使うと、クリスティアーノ・ロナウドに対してスピードのミスマッチが生じるのが問題ではある」 「とはいっても、バルサは後ろからのパスが安定しないと力が半減するから彼は大切やな」 「そういえば、後ろからのパスといえば、ミリートがマルケスに頼りっきりだったのが気になるところではある」 「彼は緊張しいやからな」 「緊張しいというか、プレッシャーのかかる状況になればなるほど絶対にミスを犯さないようにプレーするから、パスがどんどん縮こまっていく傾向にある」 「一般的に組み立てが上手いという評価を受けているけど、その点が不安なところやな」 「サラゴサでも隣にセルヒオがいると任せっぱなしの場面が多かったしな」 「この試合でも開始早々ものすごいハンドでPKを取られた」 「あれは緊張と関係あるのかね」 「ないのか」 「ちょっと意味のわからんプレーではあったけどな」 「ちょっとどころじゃないやろ」 「下の感じやな」 「写真は前回に引き続き、エル・ムンド紙のものだが」 「ほんまに、ものすごいハンドやな」 「これが開始1分という恐ろしさ」 「しかし、退場にならんでよかったと思うで」 「ボールが枠に飛んでたら、確実に退場やな」 「なんにせよ、マンチェスターにPKが与えられてキッカーはクリスティアーノ・ロナウド」 「絶体絶命の大ピンチ」 「守るはバルデス」 「コースを読んで右に飛ぶ」 「ところがボールは無常にも左へ」 「これはいかんと思いきや」 「枠を外れてあらぬ方向へ」 「バルサは九死に一生を得た」 「これは大きかった」 「正に大きかった」 「点数が入らなかったこともそうだが、クリスティアーノ・ロナウドをのせなかったという点でも大きい」 「今の彼に気分良くプレーされたのでは止めようがないしな」 「結局、0-0で進み、61分にバルサが先に動く」 「メシを代えてボージャンか」 「ボージャンが左、イニエスタが右に入る」 「これはどうだったかという話やな」 「相手を崩す最初のとっかかりを作っていたのは、左からのイニエスタだっただけに、それを移動させたのはどうかということやな」 「ボージャンを右、イニエスタを左でよかったはずや」 「その15分後には下のようになる」 「デコが外れてアンリが入り、左にアンリ、右にボージャン、イニエスタは中盤に下がる」 「デコは久しぶりの実戦にもかかわらず十分な働きだった」 「ただ、ここで注目なのは、むしろマンチェスターの方やろ」 「右のルーニーが外れて、ナニが入った」 「それと同時に、クリスティアーノ・ロナウドの動きが変化していて、完全にマルケスをマークするようになった」 「この形のバルサ潰しの常道といえば常道やな」 「その前までとは明らかに守備での位置取りが変わっている」 「最終的に、このまま得点は動かずにタイムアップ」 「0-0のスコアレス・ドローで終わる」 「結局、どうやったんやろな」 「なにが」 「どっちがいい試合をしたんやろな」 「それはマンチェスター・ユナイテッドやろ」 「そうなんかね」 「最初に見たように、徹底的に守り倒す予定でやってきて、本当に守って帰ったわけやしな」 「おまけに、バルサにほとんど決定的なチャンスを作らせなかった」 「イニエスタのヒールからエトーが抜け出した場面と、ブラウンの大ミスからこれまたエトーが抜け出した場面かね」 「前者はシュートがそれ、後者はキャリックの素晴らしいディフェンスでことなきを得た」 「ちなみに、この試合でのバルセロナのオフサイドは0回」 「まあ、あれだけ引かれたら飛び出そうにも飛び出せへんしな」 「裏のスペースを消して、ペナルティーエリア前のゾーンで激しく潰して、決定機を作らせない、というユナイテッドの思惑通りで、バルサはボールを持ってエリアの周辺までは迫るが、その先に進めなかった」 「名を捨てて実を取る作戦が見事に遂行されたということやな」 「これで、第二戦はどうなるかという話なわけだが」 「どうやろな」 「実は、最近のバルサは引いた相手よりも前に出てくる相手の方が苦手なだけに予断を許さない状況やな」 「相手が攻めてくるとサイドバックを上げすぎる穴と中盤のスペースを突かれてすぐにガタガタになる癖がある」 「リーガで、いわゆる下位チームに勝ちきれないのもそこに大きな原因がある」 「相手が出て来た時に、カウンターできっちりしとめられたらええねんけどな」 「これまでは、それができないからこそ非常に苦労してきた」 「果たしてその辺りがどうなるか」 「注目というところで」 「また次回」 「ごきげんよう」
「さて」
「プレミア対決の第一ラウンドは引き分けに終わった」 「引き分けということは、アウェーゴールを決めたチェルシーが有利やな」 「そうやな」 「ちなみに、そのゴールが決まったのは94分」 「なんともドラマティックやったな」 「おまけに、オウンゴール」 「リーセが、自分のゴールに完璧なヘディングシュートを決めた」 「ショックやったやろな」 「そらそうやで」 「チャンピオンズリーグの準決勝やしな」 「ところで、この得点に関しては二つ派閥があるように思われる」 「二つとはなんや」 「オウンゴールに対して、”あれはしょうがない”と思う派閥と、”足ならクリアできた”と思う派閥の二つやな」 「しょうがない派と足で行け派か」 「果たして、そのどちらが正しいのか、決着をつけてみようというのが今回の狙いやんやな」 「そうなんか」 「まずは、下の写真から見ていこうかと思う」 「もとの絵はエル・ムンド紙からやな」 「そうやな」 「これは、リーセがヘディングのモーションに入った瞬間か」 「そして、ヘディングの瞬間は次のようになる」 「ふむ」 「上の二つの写真で、カメラ位置はまったく変わっていないから、大体のボール軌道がわかる」 「ゴールに近づくボールなわけやな」 「逆にいえば、リーセからは離れていく」 「こういう状況でのクリアは難しい」 「ボールを追いかける状況では、そもそも足に当てるのも難しくなるしな」 「ブロック崩しと同じ原理やな」 「下手な人はボールを後ろから追いかけることが多く、上手い人ほどボールに向かって板を動かすからな」 「ゲーセンにあるエア・ホッケーでも同じことやな」 「ついでに言うと、この状況では、リーセが触る前にボールはワンバウンドしていてたので、クリアはさらに難しい」 「まあそうやな」 「実に厳しいシチュエーションなわけや」 「確かに、ディフェンスにとって厳しい状況ではあるが、なぜ足ではなく、頭で行ったのか、という疑問は残るやろ」 「それはこういうことやな」 「足か」 「足やな」 「これだと、右足を出すのは無理やな」 「この状態から右足を出しても、軌道に届かない。かといって、右足を地面に着いてしまうと、次には左足しか出せない」 「左足でのクリアは厳しいな」 「届くのは届くだろうけど、クリアボールの方向と強さをコントロールするのは難しい」 「これを右足でクリアしようと思うと、足を一回変えないとあかんな」 「すると、ボールはもう目の前を通り過ぎてしまう」 「下の感じか」 「そうなると、後ろのアネルカに叩かれて終わる」 「つまり、リーセは頭で行くしかなかったと」 「まあそういうことになる」 「しかしや」 「なんや」 「それなら、走りこむ前の段階で、右足でクリアできるように足を整えておけばよかったという話にならんかね」 「それは無理やろ」 「まあな」 「クロスに対して動き出す前は、アネルカをマークしなければならないから、動きはアネルカに対して良いポジションを取ることで決まる。そこで、クロスのコースを完璧にイメージして足の動きまで調整できるとしたら、それはすごいで」 「不可能かね」 「不可能ではないかもしれんが、神様にしかできんのとちゃうかね」 「つまり、結論は頭でいくしかないと」 「少なくとも、右足でのクリアは不可能やな」 「それにしても、これでチェルシーは大分有利になったな」 「後はホームで守り倒しても大丈夫やからな」 「果たして結果はどうなるか」 「お楽しみというところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」 おまけ:先発
「いわゆるバルセロナダービーだったわけだが」
「バルサは今節も勝てなかった」 「先発はこうやな」 「バルサはイニエスタやメシを温存か」 「水曜日にマンチェスター・ユナイテッド戦があるからな」 「おまけに、前回に見たトゥレを前に上げるバリエーションはまたもおあずけやな」 「残念ながらそうやな」 「もしかしたらマンチェスター戦に温存しているのかもわからんぞ」 「それやったら嬉しいけどな」 「エスパニョールは、リエーラが出ていない」 「ベンチスタートで後半には出てきた」 「スペイン代表に選ばれた頃の彼は実に自信に満ち溢れていて、一つ一つのプレーが確信に満ちていた」 「最近は、今ひとつ攻めていけないというか、無難なプレーに流れがちやな」 「何があったんやろな」 「タムードも怪我以降いまひとつで、3人の内2人が思わしくない」 「監督も頭の痛いところや」 「それはさて置き、この試合では一つ面白いプレーがあった」 「なんや」 「下のプレーやねんけどな」 「絵が小さいな」 「見にくい場合は、写真を押すと拡大されます」 「イニエスタが、ディフェンスに向かってドリブルをして、中央を押しこんだ場面やな」 「その通り」 「これがどうした」 「この、相手に向かってドリブルをする、という行動は、上手い選手と下手な選手の分かれ目であるわけや」 「前にもそんな話があったな」 「相手に向かう効能というのは、進行方向の両脇にスペースを残すことで、このスペースを自分の都合のいい場所に作れば、次のプレーが楽になる」 「それが上の最後の写真やな」 「実際のプレーは、次の写真の一番上のように進む」 「中にはたいてワンツーか」 「これは良くある形なわけや」 「この場合の常道と言ってもいいくらいやな」 「ところが、実は、2番目の写真のパターンも非常に有効なんやな」 「スルーパスか」 「このプレーを行うには、パスを受ける選手の動きが重要で、写真のように最初から浮いておくよりも、わざとディフェンスにマークをされやすい位置から少し下がる振りをして、縦に抜けた方がいい」 「要するに、下がることでマークを釣り出し、その裏を取るわけやな」 「模式的に書くと、下の形やな」 「ふむ」 「実は、相手がゾーンディフェンスの場合、このような形で、中盤の守備者を中央に向かって押し込んでいくと、縦にスルーパスが出る状況になりやすい」 「この手のスルーパスは、ジダンやデ・ラ・ペーニャの得意技やな」 「それが次の図やな」 「ジダンか」 「ジダンで、試合は、チャンピオンズリーグに勝った年のホームでのバイエルン戦や」 「ちょっと古いな」 「まず、一番上の写真ではサイドラインに近い位置でボールをもらう」 「次に中央を向いて、一番近いディフェンダーに向かってドリブルを開始するわけやな」 「これは、実はあまり普通の行動ではない」 「周囲に十分スペースがあるのに、わざわざ相手との距離を縮める必要はないな」 「実は、その狙いというのは、次の図でわかる」 「デフェンスの間を通すパス狙いか」 「この場合、一番上に示された3つの間を一発のパスで通すことを狙っている」 「いわゆる門狙いというやつやな」 「これが、”中盤の守備者を中央に向かって押し込んでいくと、縦にスルーパスが出る状況になりやすい”という文章の具体例なわけや」 「最初からゾーンの間を狙わず、そこを狭める選手に向かってドリブルすることで動けないようにして、おもむろに間を通すわけやな」 「おまけに、後ろの選手はカバーリングのために中央に動くから、縦にパスが通りやすい状況が生まれる」 「パスを出す方はそれでいいとして、受ける方もその意図をわかっていないとあかんな」 「それが2枚目の写真で、一度戻る動きをしたフォワードが、縦に出ることでこれを受けようとしている」 「ラウールやな」 「この場合、ラウールは、ジダンが中央へドリブルをした時点で、このパスを予想していたと思っていい」 「ほんまかいな」 「そうじゃないと、こうもいい場所に、こうもいい動きで入り込むのは難しいで」 「以心伝心か」 「出すも出したり、受けるも受けたり。両者ともに、匠の技というわけやな」 「でも、これは手筋として使えるな」 「ボールを持った選手が、中央の守備者に向かってドリブルをして、中へのパスフェイクから縦にスルーパス。この時、フォワードは一度下がってから縦に抜ける」 「これさえ知っておけば、タイミングを合わせるのはわりと簡単やな」 「皆様も一度試してみられてはいかがかと」 「ただし、最初の部分、つまり、相手に向かってドリブルを仕掛ける、ということができないと絵に描いた餅になるで」 「そこは、普段のミニゲームやらなにやらで、ボールを持ったら必ず一番近いディフェンダーに体を向けて相手を止める。といった行動を繰り返して度胸と技術を身につけて行くしかない」 「その辺りも試していただければというところで」 「また次回」 「ごきげんよう」
「バルセロナは、レクレと引き分けた」
「絶望的やな」 「何が」 「マドリーにまた2ポイント差をつけられて、残り6試合で9ポイント差。ほぼ絶望的な数字になっている」 「そっちか」 「他に何がある」 「プレー内容のことかと思ったんやけどな」 「内容的には、今後に向けて転換点になりそうな試合やったから、絶望的ではないと思うで」 「さよか」 「まずは先発やな」 「この図から、バルセロナだけを抜き出して上下を逆にすると、次のようになる」 「まあいつものバルサというかなんというか」 「メシ、アンリ、イニエスタがいない時の形やな」 「その代わりに、ジオバンニ、エスケーロ、グジョンセンが入っている」 「ところが、65分に交代が行われて、下の形になる」 「ほう」 「これはこれは」 「ついにトゥレが前に出たのか」 「これは、バルサのバランスを回復させるのはこれしかないから、4ヶ月前から見てみたいと思っていた布陣なわけや」 「まあ、トゥレは技術的にも性格的にも前の方が向いてるしな」 「その結果は上々だった」 「上々だったといっても、この交代の後に同点に追いつかれたわけだが」 「あれはハイボールに対する目測を誤ったバルデスの個人的なミスで、中盤のバランスとしては明らかに良くなっていた」 「そうかね」 「トゥレがこのポジションに入ると、特に攻めた後の守備が格段に安定する」 「まあ、ボールに体を寄せていけるからカウンターの出所を潰す能力は高いな」 「おまけにハイボールに対しても抜群に強いから、これまでバルサが苦手としていたロングボールによる飛ばし攻めにも強くなる」 「グジョンセンやイニエスタ、シャビよりも強いのは間違いないわな」 「この形からアンリが帰ってきたとなると、次のようになる可能性が高い」 「順当な配置やな」 「ところが、このままでは、下の場所に問題が出る」 「守備か攻撃かで言えば、攻撃に問題が出るな」 「いわゆる組み立てに難がある」 「その辺を思い切れば次の形がええかね」 「これはまた思いっきりやな」 「とにかくボールをさばけたらええという配置や」 「他のバランスは考えへんのかいな」 「3トップ系のシステムというのは、両ウィングにいい形でボールを渡さないと意味がないから、その意味ではこれが最高やな」 「矛盾はないといえばないけどな」 「もう一つの形としては、下の図も考えられる」 「イニエスタを左、トゥレを右に置くのか」 「この時の攻め筋は、次のようになる」 「左からか」 「左のアンリを引き金にする場合、マルケス、エジミウソンでそこにボールを送り、ドリブルを開始、エリアの角辺りで仕掛けて、縦に出た場合はエトー、メシ、トゥレがつめる。中に切り返したら、シュートもしくはイニエスタに渡して斜め奥にパス」 「パターンやな」 「いいパターンをいかに多く出すかというのは大切やからな」 「右から行くとしたら下の感じか」 「ガビ・ミリートとマルケスがメシに送って、中へドリブル。スルーパスにエトー、逆サイドへのパスをアンリ、後ろに戻してトゥレやな」 「それにワンツーを加えたり色々やな」 「これはこれでメシを十分に活用できる」 「この試合では、その点がいまいちやったしな」 「トゥレがエトーの後ろに入ってたな」 「普通のチームなら、サイドに開いて空いた中央に後ろから入るというのは非常にいいプレーなのだが、バルサの場合は違う」 「それをやってしまうと、メシがドリブルで入るスペースを味方が潰してしまうんやな」 「彼の一番得意なプレーを自分たちで消してしまってはつまらない」 「守備では下の形がええな」 「メシはなるべく下げずに、左サイドを下げた方がいい」 「メシは前に残ってこそ価値がある」 「ただ、それをやるとアンリの体力が持たないことは証明されている」 「3節がそうやな」 「そうなると、エトーに頼るしかない」 「左サイドを交代しつつ試合を進めるわけやな」 「これは、ロナウジーニョが左にいた時代も良く行っていた」 「負けたくない試合では、先発からこうなることも多かった」 「ただ、ここで問題になるのは、左サイドを下げて守るなら、下の形の方が良さそうなことやな」 「シャビを右にして、トゥレをマルケスの左に引くのか」 「この方が明らかに中央が固い」 「となると、この形か」 「中盤をシャビ+トゥレで組むか、トゥレ+イニエスタで組んだ方がいいかは実際にやってみないとわからない」 「理屈はあくまでも理屈やからな」 「ただ、理屈は大切で、これまでのバルサは理屈的にもダメで、やっぱりダメだった」 「マドリーもそうやな」 「なんにしても、チャンピオンズリーグの4強に残ったことが奇跡というか、驚愕すべき事実に近いバルセロナにとって、これから先に進むには、トゥレを上げるしかないやろな」 「今までの方法では、いつまでたっても前後がバラバラやしな」 「上の形をベースにして調整していくしかないと思うんやけどな」 「はたして、今後どうなっていくのか」 「注目というところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」 注:図中のD.ミリートはG.ミリートの誤りです。 お詫びして訂正いたします。 |
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