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スペインリーグ38節 デポルティーボ・ラコルーニャ 0-2 ビジャレアル

左サイドから、中央にボールを持ち込んだ選手がマイナス方向へ切り返した。









図示すると次のようになる。



問1:
この後、シュートを打つ。
どのようなコースへ打つか、最も一般的なものを答えよ。

問1解答
問1:



この後、シュートを打つ。
どのようなコースへ打つか、最も一般的なものを答えよ。

問1解答:

最もよく見られるのは、ファーサイド、上側への巻くシュートである。



近年ではアンリが最も得意としている。

問2:

マティアス・フェルナンデスは、ファーサイドには打たなかった。
どのようなシュートを打ったか、下のインパクトの瞬間の写真を参考に考えよ。



問2解答

前問
問2:



マティアス・フェルナンデスは、上の状況からファーサイドには打たなかった。
どのようなシュートを打ったか、下のインパクトの瞬間の写真を参考に考えよ。




問2解答:

シュートブロックに来るディフェンスの足の下を通し、ニアに打った。









シュート軌道を見ると、ディフェンスを突き抜けているように見える。



このシュートは、3つの死角を利用している。
一つ目は、この形から一般的にはファーサイドに打つという心理の死角である。
二つ目は、キーパーはディフェンスがニアへのシュートコースを切ると思う、信頼の死角である。
三つ目は、ディフェンスの体により、ボールが見えにくいという意味での死角である。
これらは、下図のようにあらわされる。



一般的に赤い矢印のようなシュートが予想され、黄色いゾーンについては、ディフェンスが切るものと期待される。
ディフェンスの足がインパクトの瞬間を隠すため、キーパーは反応が遅れる。

また、この場合は、下を通すディフェンスの足を意図的に上げさせている。
一枚目の写真では、赤いコースにシュートを打つモーションで入り、二枚目の写真で足を反して下を抜いている。
ディフェンスがフェイントにつれられ足を高く上げているのがわかる。





キーパーは、一般的に下図のような状況において、黒い影の部分をディフェンスが切ると信じる。



このため、足の下や間を抜くシュートは非常に入りやすい。
このようなシュートは、昔はスーケル、現在はディエゴ・ミリートやフォルランが得意としている。
彼らは、わざとシュートモーションを遅らせることでディフェンスを引き付け、足を開かせてからそこを抜くことも多い。
そこまでできれば、確実に一流である。

参考:フォルランのシュート

第1問

補足:練習方法など
「リーガもついに38節」

「いわゆる最終節を迎えた」

「長かったような短かったような」

「短かったような長かったような」

「そんな最後の試合はデポル対ビジャレアル」

「終わってみればビジャレアルの完封勝ちだった」

「先発はこう」



「デポルはいつもの1-5-4-1」

「ビジャレアルは1-4-3-1-2やな」

「珍しいといえば珍しい」

「メンバー的にも珍しいな」

「ベンチに、いわゆるレギュラークラスが控えていて、普段あまり先発しない、トマソン、ギジェ、マティアス・フェルナンデス、アンヘル、ブルーノなどが出ている」

「これは、2位確定が確定して、この試合に勝っても負けても順位変動がないことが関係している」

「控え選手をなるべく多く出して、慰労と来シーズンへの布石のためやな」

「今シーズンのビジャレアルは、苦しみながらも2位の座を手に入れた」

「おまけにバルサに10ポイントもの差をつけた」

「それはバルサがひどすぎただけやけどな」

「まあな」

「ただ、ビジャレアルは楽に勝ってきたかというと、そんなことはない」

「最終的に勝ちを収めた、レクレアティーボ戦ヘタッフェ戦を見ても、前半は非常に苦しい試合だった」

「それを戦術と個人の能力、集団でのパスワークでカバーして順位を上げてきた」

「リケルメ、フォルランがいたころの爆発的な強さはないけれども、チームとしての勝利という意味では以前にも増して素晴らしいシーズンだった」

「確かに」

「しかし、今シーズンも、びっくりするくらいよくボールをつないでいた」

「今のスペインリーグであれだけ大切に回すのはビジャレアルとバジャドリーくらいなもんやな」

「そのパスを受けるにおいて、ビジャレアルには一つの特徴がある」

「ほう」

「例えば下のような場面やな」

「まず、ボールを持った選手がサイドへターンする」



「ターンした後、縦パスを送るフェイントをかける」



「そう見せかけて中央へ向きなおる」

「この時、中央の選手が後ろに下がる」



「そこへ横パス」



「ダイレクトで逆のスペースへ展開する」



「このような次第か」

「そうやな」

「これがどうした」

「その前に、この後の展開を見ていただきたい」

「後というと、下の図の後か」



「パスを受けた選手は、左へトラップする」



「そこから中央へパス」

「受ける選手は左サイド側から右サイド側に動く」



「結果、こうなる」



「上の二つの流れには、下のような共通点がある」





「ほうほう」

「最初のプレーでは、プレーが前に流れているのに対して、ボールを受ける選手は後ろに動いている」



「二番目のプレーでは、プレーが左に流れているのに対して、ボールを受ける選手は右に動いている」



「なるほどな」

「これは、パスを回すとか、ボールをつないで攻める時に非常に重要で、プレーの流れと逆に動く選手の存在によってボールを停滞させずに動かすことができる」

「みんなが同じ方向に動いたらどこかで詰まるからな」

「これはビジャレアルのオフ・ザ・ボール、つまり、ボールを持っていない場所での動きに置いてよく出てくるパターンなんやな」

「下もそうか」

「まず、左サイドからのパスを中央で受けて、右方向へコントロール」



「これに対して、中央前側の選手は、左に動いてボールを受ける」



「結果、こうなる」



「流れ図としては下の形か」



「原理はさっきの二つと一緒やろ」

「そうやな」

「これは、いわゆる”反航系”と呼ばれるパターンになる」

「プレーのベクトルと受ける選手の動きのベクトルが反対向きだから反航ということか」

「そういうことやな」

「安直やな」

「ほっとけ」

「そうもいかん」

「なんにせよ、これを行う時には、一般的に、パスを出す選手が、出したい方向と逆側にボールをコントロールすると上手くいく」

「どういうことや」

「例えば、下の最初の例では、右からくるボールを左にコントロールしてから右に出しているし、次の例では、左から来るボールを右にコントロールしてから左に出している」





「コントロールした方向にディフェンスの注意は集中するから、その逆に出せば通りやすい、ということか」

「それに、こうしておけば、自然と90度方向にパスがでるので、死角に入りやすい」

「90度については、こちらこちらをご覧いただくとして」

「この、コントロールのすぐ後に逆へパスを出す、という技は、反航系だけでなく普通の場面でも使用可能で、下のようになる」

「下か」

「まず、中から左サイドへのパスを左へコントロール」



「左にコントロールしたボールを、右方向、つまり中央側へと戻す」



「前の二つと同じパターンではあるな」

「ようするに、最後のパスを出す直前のボールのコントロールそのものがフェイントになっているという話や」

「そうか」

「ちなみに、ここからビジャレアルの1点目が入る」

「その1点目なんやけどな」

「なんや」

「それに関する、簡単な個人技問題を作ってみたので、興味のある方は解いていただければと」

こちらからご覧になれますので」

「どうぞよろしく」

「というわけで」

「プレーの流れに対して反航してボールを受ける。パスを出したい方向と逆にボールをコントロールする。これらの技は、簡単かつ有効である」

「以上が、本日の骨子ですので」

「試合を見る時や、実際にプレーする中で活用していただければというところで」

「また次回」

「ごきげんよう」
ユーロ2008にむけて、スペイン代表23人が発表された。
ポジション別に図示すると次のようになる。



特徴は、サイドが薄く、ボランチ系の選手が多いことである。
また、中盤に守備を得意とする選手が少ない。
監督のアラゴネスは、予選においてイニエスタをサイドで起用することが多かった。
彼を左に置くとして、下のような配置が考えられる。



しかし、シルバの右サイドがやや無理である。
セルヒオ・ガルシアが右のバックアップであるとすると、下のようになる。



ここからの動きは以下のようになる。



1-4-4-2で、左の中盤が中に入り、その外をサイドバックがフォローするパターンである。
このようなシステムでは、左からの崩しが鍵になる。
左の中盤にジダン、リケルメなどを配して成功した例がある。
イニエスタ、セスクのパフォーマンスが注目される。
左サイドバックのカプデビラは、クロスに優れる。しかし、1対1でのドリブル勝負は苦手としている。ダビー・ナバーロはなおさらである。
その点、攻撃に不安が残る。

得点を取るための変化は下のようになる。



アラゴネスは、点が欲しくなるとサイドからの突破を重視する傾向がある。
このため、1-4-3-3や1-4-2-4が勝負手となる。
左にシウバかビジャ、右でカソルラ、セルヒオ・ガルシアが予想される。

守備の変化は下のようになる。



中盤の守備は、センターバックのマルチェナとアルビオルを上げて補う。
後半の放り込み対策などで有効である。
また、1-4-1-4-1なども考えられる。



アラゴネスの好みと召集メンバーからして、キックオフからの3バック系は考えにくい。
後半、最後の勝負をかける1-3-4-3か、10人になっても攻める1-3-4-2などの状況でしか使用されないだろう。

システムについては、フランス戦のように、中盤にシウバ、セスク、シャビ、イニエスタと並べる可能性もある。



アルベルダをマルチェナなどに代えてこれが試される可能性もあるが、上手くいかないであろう。

これまで、フェルナンド・トレースは代表において満足な活躍ができなかった。
主な問題点は、体のバランスが悪さから、簡単なシュートで体勢が崩れて外していたこと、及び、相手に引かれた狭いゾーンでボールを受けることができなかったことであった。(参考:スペイン対ウクライナ、トーレスのバランスについて)
体のバランスについては改善が見られ、プレミアにおいて、以前なら外していたキーパーとの一対一を決めている。
この点については、どのようなトレーニングで修整されたのか、非常に興味が持たれる。
狭いゾーンでのプレーについては、体のバランスが改善されたにも関わらず、それほど良くなっていない。
スペースを潰してくる相手に対するプレーが注目される。


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