週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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「注目のドイツが登場した」

「優勝候補の一つやな」

「その噂に違わず、完封勝利を収めたのではあるがだ」

「なんだ」

「負けたポーランドが実にいいチームだった」

「それは言えるな」

「今回はその辺りを見ていこうかと思うわけや」

「よかろう」

「まず、先発はこう」



「ドイツは1-4-4-2、ポーランドは1-4-2-3-1」

「開始直後は、確かにこの配置だった」

「しかしながら、ポーランドはすぐに下の図に変わる」



「最初は、トップに9番のジェラフスキ、その下に8番のクジヌベク、左に7番のスモラレクだったものが、時計回りに一つづつずれた」

「これは、どいういう意図やったんやろな」

「この後の交代から判断すると、スモラレクではラームをマークしきれないので、クジヌベクを当てようという意図だったと思われる」

「ちなみに、このクジヌベクという選手のポジション移動がこの試合の鍵を握る」

「まさにキーマンだったので、8番、クジヌベクの名前は覚えておかれるとよろしいかと」

「それはさておき、ポーランドの攻撃における構造はこうなっていた」



「下から上に攻めているわけやな」

「まず最初に目を引くのは、ボランチ、18番のレワンドフスキからのサイドへの展開やな」

「あまりにもキックが上手すぎて目が飛び出そうだった」

「そんなおおげさな」

「いや、あれだけの速度と精度で蹴れる選手は今のリーガにはいない」

「1-4-2-3-1や、1-4-3-3のようなシステムは、サイド前方の選手に長い斜めボールが通らないと意味がないから、その点では選手とシステムの相性はええな」

「もう一つの特徴は、左サイドバックから右サイドバックへの矢のようなサイドチェンジで、そこから早く縦に送ることで相手を崩す」

「4番のゴラニスキから13番へのワシレフスキへのボールやな」

「ちなみに、ゴラニスキは右利きや」

「ポーランドの攻撃が上手く行くのは、主にこの二つのパターンからになる」

「ただ、少々残念なこともある」

「第一のパターンで、レワンドフスキのボールを受ける、サイドの両選手やな」

「右が17番のウォボジンスキ、左が上でも出てきた8番のクジヌベク」

「この二人は、長いボールのコントロールに難がある」

「せっかくいいパスが来たのに、トラップが流れる」

「ワンコントロールで詰めてくる相手と正対して、そこから仕掛けていけばなんぼでもええ形が作れるのに、コントロールに手間をかけるもんだから、せっかくパスで得た時間的な余裕を無駄にしてしまう」

「もったいないオバケが出るな」

「さらに、左のグジヌベクはラームとの1対1でまったく勝てない」

「右のウォボジンスキは、どうにかコントロールした後の仕掛けではいい働きを見せていた」

「仕掛けていける選手なだけに、トラップの粗がなんとも惜しい」

「なんにしても、前半は、1-0とドイツのリードで終わる」

「開始後にドイツが攻めて、その後ポーランドが押し返す流れだった」

「そして、後半は、これまた面白い展開だった」

「リードを奪われたポーランドは、後半開始からゲレイロを投入する」



「トップ下やな」

「ゲレイロとはスペインっぽい名前であるな、と思っていたら、ブラジル人らしい」

「スペイン系やとゲレーロやろ」

「この選手が非常にいい味を出していた」

「下の形やな」



「中央から右に流れて、ワシレフスキからのボールを受けると、とにかくグニャグニャと左足でボールをキープする」

「その場で足踏みをするようにドリブルができるのは、ポーランドで彼一人やな」

「そこから、真っ直ぐ縦に突破したり、逆サイドに展開したり、相手を引きつけて周囲にスペースを作ったりする」

「ポーランドに足りなかった要素を一人で追加した感じだった」

「彼の活躍もあり、ポーランドは非常にいい時間を迎えた」

「ところが、65分にピシュチェクを入れてから様相が一変する」



「ゲレイロを左に置き、8番のクジヌベクを左のトップのような場所に置いた」

「これはどうしたことかと」

「クジヌベクは、ゲレイロと比較して狭いスペースでボールを扱える選手じゃないから、ぼろぼろとボールを失くす。おまけに、ゲレイロは後ろに走ると対した選手じゃないからラームに対する左サイドにも穴が空く」

「どう見ても、いいことなしやな」

「実際に、この後の時間はドイツに流れが移って、追加点まで奪われる」

「監督のベーンハッカーの意図が非常に気になる」

「右に流れすぎて、右の中盤と重なっていたから、それを解消しようとしたのかもしれん」

「結局、73分に点を取られた後、75分の交代ではポジションを元にもどしていることからも、非常な謎が残る」



「まあ、単純に失敗だったということちゃうかね」

「相手を一点から崩している時は、それを変えずに、むしろ補強する形の方がいいということやな」

「右で重なるなら、むしろ右の選手を中に入れて、逆サイドでは8番のクジヌベクよりもボールを受けて勝負できる選手、シュートまでいける選手、例えばスモラレクを入れる形とかやな」



「この方が良い可能性は高い」

「ポーランドにとって、65分から75分までは、魔の10分だったともいえるわけやな」

「実にもったいなかった」

「また、もったいないオバケか」

「ポーランドは強いが、あとっちょと人材が足りないのもおしい」

「トップにクローゼ、左サイドにポドルスキーでも借りてこられたら、抜群にいいチームなんちゃうか」

「それを借りたり買ったりできないから、手持ちの駒のみで戦うところに代表戦の醍醐味があるとは思うねんけどな」

「そういえばや」

「なんや」

「クローゼといえば、キックオフのすぐ後に、ラインの裏に抜け出してキーパーと1対1になった場面があったやろ」

「ゴメスにパスを出して、届かなかったシーンか」

「あれについて、スペインのテレビ局のページで、”ゴメスが完全にフリーで外した”と書いてあったわけや」

「そうなんか」

「あれは完全にクローゼのミスなので、その解説がこちらにあるというところで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」

ラインの裏に抜けたクローゼは、ボールを触りながら前に進む。

PKエリアに入る直前で、右足でボールに触り、右足で着地する。



以下、着地一歩ごとに見る。



次に右足を着地した時点で、ボールとの距離が空きすぎている。



本来は、この次がシュートのための踏み込みになるべきである。
しかし、ボールが離れすぎているためにそれができない。



これ以上前に進むと、キーパーとの距離が縮まり過ぎる。
よって、苦し紛れに横パスを選択した。
この時、ボールまでの距離があるため、体を大きく伸ばしてパスを出すことになった。



体が伸びた状態では、ボールに与える力をコントロールするのが難しい。
このため、パスが強すぎた。
ゴメスが届かなかったのは、それが原因である。



要するに、下の図においてボールを前に出しすぎたため、このプレーは失敗した。



下の状態からシュートを打てれば、クローゼは確実に決める自信があるはずであり、本人もそのつもりだった。



赤いシュートをフェイクにして、白いコースでもいいし、この場合はキーパーがニアに寄りすぎているので逆もよい。

このプレーは、ラン・ウィズ・ザ・ボールにおけるボールタッチの重要性をあらわしている。
このようなミスは、プロでも非常に多い。
「いよいよユーロが開幕した」

「毎日サッカーが見られる至福の期間であるな」

「サッカーファンにとっては、寝不足で体調がおかしくなる期間であるとも言われている」

「最初にとりあげる試合は、ポルトガル対トルコ」

「先発はこう」



「ポルトガルは、1-4-1-4-1」

「この試合の要点をまとめると次のようになる」



「なんだこれは」

「ポルトガルは守備的にエムレを押さえることに腐心していて、モウティーニョが主にマークしていた」

「トルコはエムレのキープとパスから穴を空けてくるチームやからな」

「トルコの側としては、トウンジャイが鍵で、彼のところにシュートチャンスやシュートチャンスになる一つ前のボールが回ってくるものの、高確率でミスをしていた」

「それが赤い線の意味か」

「そうやな」

「わかりにくいで」

「そうかもわからん」

「ポルトガルの方の問題といえば、下の感じか」



「なんや、これは」

「まず、シモン、クリスティーアノ・ロナウドが両方左好きで悩ましい」

「二人とも左の方が明らかに破壊力があるのは確かやな」

「この試合でも、いいプレーはほとんど左からやしな」

「試合中よくサイドを変えるが、右に行った選手が余る傾向がある」

「あとは、守備面で、中盤から前の選手にボジングワまでどんどん上がるから、最初のプレッシャーを抜けられると中盤が薄い」

「まあ、戻りが早いからそれほどもろくはならんけどな」

「おまけにセンターバックが抜群にいいから、多少薄くなっても耐えられる」

「カルバーリョとペペはええな」

「全世界垂涎ものやな」

「さらに、この試合では、ペペが先制点を決めた」

「それもセットプレーではなく、往年のリベロのように最後尾からするすると上がっていき、最後はスルーパスを受けて決めた」

「やりすぎやな」

「そのプレーで、興味深いテクニックがあったので、それを以下にご紹介しようかと」

「うむ」

「まず、下の状態から、ペペが中央へドリブルでしかける」



「赤い方がポルトガルで、中央のボールを持った選手がペペ」

「この時、前で引いているフォワードはヌーノ・ゴメスやな」

「ヌーノ・ゴメスは、ディフェンスに隠れて見えにくいが、頭がちょっと出ている」

「次に、ペペはフォワードにパスを送って前に出る」



「その結果、下のようになる」



「ボールを持っている赤い選手がヌーノ・ゴメス、ペペその手前に走りこんでいる」

「この形から、一番考えられるプレーはなにかというと」

「下のワンツーやな」



「ペペがヌーノに渡し、それを再びペペに返す」

「これをこれ、ワンツーという」

「ところが、この場面では、ワンツーはワンツーでも、そうはならなかった」

「果たしてどのようなパスが出たのか」

「下の写真をヒントに考えていただきたい」



「正解はこちら
「さて、下の状態から、どのようなパスが出たかといえば」



「縦に出た」



「これはどういうメカニズムかといえば、次のようになる」



「まず、赤い矢印が見え見えのワンツーのパスコースで、ここにフェイントを入れられると、ディフェンスはそちら方向につられる」

「体勢を見ると、右方向、黄色い矢印の方向に体重が移動しているのがわかる」

「その逆を取るから白い方向へのパスが通る」

「普通、ディフェンスはここを一番ケアするから、まず通らない」

「結局、下のようにペペがラインの後ろに抜け出した」







「これは、下のように、二つのパスの見合いを利用したことが鍵になっている」



「ここで一つ面白いことがある」

「なにがや」

「実は、敵のフォワードであるニハットもこれと同じ文脈のパスをリーガで見せている」

「ほう」

「以下の流れやな」

「まず、ピレスが中へドリブルで切れ込む」



「中央上の黄色い選手がニハットやな」

「そこから、彼にパスが出る」



「中央へ切れ込んでサイドにパスというのは、ペペの時と同じパターンやな」

「ボールを受けたニハットは、追ってくるディフェンスをかわすため、マイナスに切り返す」



「最終的に、下の状態になる」



「これが問題なわけや」

「そうなんか」

「その一瞬後の状態を、別角度から見ると、下のようになる」



「ふむ」

「ここからどのようなパスが出たか、というのが問題なわけや」

「正解は」

こちら
「さて」

「下の状態からどのようなパスが出たかというと」



「下の形か」



「これも、中への赤いパスを見せてその裏を通している」







「メカニズムは、ペペの時といっしょやな」



「最初にパスをくれた味方にパスを戻すと見せかけて縦へパスを出す。というパターンやな」

「こっちの方が2ラインを越しているだけに難易度が高い」

「難易度は高いといっても、アイディアはまったく一緒である。というところがポイントなわけや」

「ワンツーで、横に出せるなら、そこを囮にして、もう一つか二つ裏を狙え、ということか」

「口でいうとそうなる」

「その辺りのことを、次の文で詳しく見てみたいわけやな」


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