週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
[85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95]
「オランダ大勝利」

「まさに」

「とにかく、この試合は結果よりなにより、オランダの交代が注目を集めた」

「先発はこう」



「オランダはイタリア戦と同じ」

「フランスは、右にゴブ、前線にアンリとリベリー、左サイドバックにエブラ」

「これで、フランスにボールを前に運ぶ構造ができた」

「下の形やな」



「鍵は、左のエブラと、前方やや左に入ったリベリーでマルダを含めた3人でボールを前に運ぶ」

「その後、リベリのドリブルやそこからの展開やらで相手を崩すわけやな」

「これで、前回の脳波停止状態サッカーから脱却を図った」



「つなげないアビダルを外したのはポイントやな」

「まあ、昔のジダンの代わりにリベリを入れたといえなくもない」

「確かに、以前ジダンが果たしていた役割をリベリが担っているわな」

「試合はというと、前半9分にいきなりオランダが先制」

「コーナーキックからカイトが決めた」

「その後は、追うフランスがオランダゴールを目指した」

「たとえばリベリーのこのようなプレーやな」

「前半は1-0で終わり、後半に入る」

「はたして、両監督がどう動いてくるかと思っていると」

「オランダのファン・バステンが先に動いた」

「後半の開始から、エンヘラールを下げて、ロベンを入れた」



「実は、フランスもアンリとリベリーの位置を入れ換えているが、それをかすませるオランダの交代やな」

「ロベンが左前に入り、ファン・デル・ファールトが左のボランチのような位置に入る」

「うむ」

「これはすごい」

「まさに」

「ファン・デル・ファールトがその位置に入っても、体を寄せていけないからボールを取ることは難しく、おまけに高さもないからハイボールにも弱い」

「例えば、トゥラランがドリブルでしかけてきても、とてもじゃないけど奪うことができない」



「ロベンが下がっても守備に効かないことを考えると、オランダの中盤はすっ通しになった」

「フランスとしては、ボールを前に運ぶ構造もなにも考える必要はなく、前に行ける状態だった」

「まさに叩きあいというに相応しい状況やな」

「そして、53分にフランスはチャンスを迎える」

「ラインの裏に抜け出したアンリがキーパーと完全な1対1」

「しかし、ループシュートはバーを越える」

「ビデオはこちら

「55分にオランダが再び交代」

「少しは守備を固めるかと思いきや」

「カイトに代えてファン・ペルシ」



「またもフォワードというか、ウィングが出てきた」

「この意味は簡単やな」

「中盤は空いておりますのでご自由にお通り下さい。ただし、そちらも後ろががらがらになるので、そこから反撃させていただきます、ということか」



「ファン・デル・ファールトが中盤の下にいるのも、ここでボールをキープして長いパスを出せた方が、カウンターに都合がいいからであるな」

「その意味は簡単やけど、やってることはものすごい」

「まあ、これをやると、反撃できるとはいっても、相手に先に殴られるからな」

「そこで同点に追いつかれると、一気に試合がひっくりかえる可能性は高い」

「それでもあえてこれをやると」

「一種の博打だが、結果は大当たりで、オランダは次々と追加点を奪った」

これや、これや、これやな」

「オランダは、イタリア戦に引き続き、再びカウンターの切れ味の恐ろしさを見せつけた」

「しかし、この交代は、ファン・バステンという人でしかできない」

「そうかもわからん」

「メリット、デメリットが極端やからな」

「メリットは、カウンターで点を奪う可能性が増すことと、同点に追いつかれた後も反撃の糸口を残してることやな」

「デメリットは、相手に先に攻められて失点する可能性が飛躍的に増すこと、追いつかれると、相手を勢いに乗せてしまうことやな」

「普通、これは悪く出るのが怖くてできない」

「よほどの性格の人しかできんな」

「この日のオランダの交代はこう」



「上半分から下半分に変化した」

「男らしく切り合いましょうという手やな」

「対して、フランスの交代はこう」



「型どおりといえば型どおりやな」

「たとえば、上の交代以外で勝負にいくとして、トゥラランかマケレレを外して、そこにリベリーなどを置くこともできる」

「監督が非常に慎重な性格だけに、そうはしない」

「例えば、ルーマニア戦でも、本当に慎重な采配を見せた」

「今のイタリア監督も、そういう性格であるな」

「第一戦では、下のような交代だった」



「ここで大事なのは、代わった選手より、代わらなかった選手の方やな」

「特に、中盤のガットゥーゾ、アンブロジーニを代えなかったことが注目点になる」

「その時、イタリアは、オランダに負けていて、例えばガットゥウーゾをパスをつなげる選手に変えることはごく自然な発想だった」

「それを敢えてしないということは、イタリア監督のドナドニは、中盤の守備の信奉者であり、こっちがバランスを崩さなければ、相手がバランスを崩し、カウンターとロングボールでいずれ点が入るという考えの持ち主であることがわかる」

「ところが、この日の先発と交代はこう」



「これは、バランスとカウンターとロングボールの信者とは思えない布陣になっている」

「きっと、散々非難を浴びたことが影響したんやな」

「しかし、これは良くない」

「そうかね」

「方針というのは、それを決める人が自信を持って指示するとしないとでは、同じ言葉で伝えても影響力がまるで違う。監督の信念を外圧で変えたとすると、たとえそれが理屈としてよりよい方針であったとしてもチームにとってマイナスになる」

「誰もがファン・バステンになれるわけではないということかね」

「フランスのドメネクや、イタリアのドナドニに同じよう前に出ろといってもどだい無理な話やで」

「マドリー時代のカペッロは、どんなに批判されてもディアラとエメルソンを先発させてグティを控えで使い続けたし、後任のシュスターは中盤の守備のバランスがおかしいときでもガゴを使い続けたようなもんか」

「その例えはかえってわかりにくくないか」

「そうか?」

「まあ、なんにしても、監督というのは信念と共に心中するしかない存在で、たとえどんなに状況に即して正しい戦術であっても、それを自信を持って指示できないようであれば、別の方策を取った方がいい」

「ファン・バステンの交代を攻撃サッカーやらスペクタクルとして賞賛するのは簡単やけど、それを他の人間が単純に真似したり、他の人間に押し付けたりするととんでもないことになるわけやな」

「現実問題として、ファン・バステンのような交代は、表が出ているうちはいいけど、一つ裏目に出るとえらいことになる」

「相手に先に点を取られた時の話か」

「そこでどうなるかというのは、非常に興味がある」

「なんにしても、リスクのある交代を堂々と指示できることが世界一のフォワードと呼ばれた人の凄みなわけやな」

「それはそうやけど、負けたら終わりのトーナメントに入っても同じことをやるのかどうかは注目やと思うで」

「それはあるな」

「そんなこんなで」

「また次回」

「日本から上のビデオが見られるかどうか、教えていただければ幸いというところで」

「今回はこの辺で」

「ご機嫌よう」


参考:ルーマニアの交代


「イタリアとルーマニアは引き分け」

「イタリアは厳しい状況になった」

「まあ、負けなくてよかった、という試合ではあった」

「ブッフォンが絶体絶命のPKを止めた」

「逆に、ムトゥのPKを止められたルーマニアは、予選突破の確率を飛躍的に高めるチャンスを逃した」

「先発はこうやな」



「ルーマニアは、右の二人が最初の試合と違うものの、方針としては同じ」

「コチシュに代わって先発したコドレアはいい選手やな」

「相手を引きつけてプレーできる点がええな」

「対するイタリアはまるで別のチームやな」

「形としては、1-4-3-2-1で、デロッシが中央で、ピルロがその右。ペロッタは二人より左のやや高い位置にいる」

「カモラネーシとデル・ピエロでは、カモラネーシの方がサイドに開き、デル・ピエーロは左にはいるものの、より中央でトップ下からフォワードとして動く」

「前の試合から選手が5人変わり、中盤は丸ごと配置を変えて前線も姿を変えている」

「なかなか思い切った手やな」

「果たしてこれがどうなのかという議論は後でするとしてや」

「25分に、ルーマニアの中盤の底にいたラドイが負傷退場する」

「ジカが入ってこうなる」



「ラドイは、センターバックと中盤へのカバーを担う大切な選手であったわけだが、前方の組み合わせからいうと、こちらの方がいい可能性もある」

「キヴより動けるジカが入る方が左を支えやすい」

「ムトゥが相変わらず行きっぱなしになるからな」

第一戦で、ルーマニアは1-4-1-4-1のはずなのに、ムトゥが勝手に上がって中に入るから変な形に見える、という話があったわけだが」

「この試合でもそれは続いた」

「ルーマニアの中盤でのマークの関係を見ると、ジカがピルロを見て、コドレアがペロッタを見ることになっている」



「ここで、ザンブロッタが上がってきたら誰がマークをするのでしょうか、というと」

「ムトゥがやらねばしょうがない」

「ところが下がらない」

「下がる気もない」

「ザンブロッタがおとなしいならそれでいいが、前に出てくると困ったことになる」

「イタリアが右を攻めると、下のような動きになる」



「カモラネーシが右サイドに出て、ピルロがフォロー。デル・ピエーロがニアに入り、トニがファーに逃げる。その裏からペロッタが突っ込んでくる」

「デル・ピエロがニア、トニがファーという動きは、クロスを上げるサイドが逆になっても変わらない」

「結果、下のような配置になる」



「ラツが、カモラネーシとザンブロッタの二人を見るはめになり、ドフリーで中央へ蹴られる」

「それを、トニがファーから落として、デル・ピエロやペロッタにわたす」

「典型的には、そのような流れになる」

「そして、ルーマニアは、この状態で何度も何度もピンチを迎えた」

「その原因はというと」

「上の図で、赤丸で囲まれたムトゥ以外にない」

「なんで中央に残っているのか、意味不明やな」

「ボールを追いかけたくないから、言い訳のためにわざと中央に入るんやな」

「1-4-4-1-1で、下のようにディフェンスするなら、その位置でええねんけどな」



「ところが、ルーマニアはそうではない。そうではないにもかかわらず、左を空けて、同じ形からなんどもやられるというのは理屈に合わない」



「この状態が続くということは、監督の頭がおかしいか、ムトゥの動きがおかしいか、どっちかやな」

「当然、おかしいのはムトゥの動きで、後半開始から下のようになる」



「ちゃんとサイドに下がったわけであるな」

「ちゃんと下がった」

「よかったな」

「これを確認するには10分で十分で、前半最後の5分と後半開始5分を見比べていただければ、ほとんど自明にわかるかと」

「サイドにいる時に、ちらっちらっといつもザンブロッタの位置を確認するようになっている」

「それにしても、ムトゥは本当にディフェンスに向かない」

「普段は相手の位置を確認しているのに、ボールが近くに来るとそれに注意がいって簡単に裏を取られる」

「中央に絞ってピルロを守備した後、ボールがサイドに流れても、もう一度追わない」

「左サイドバックのラツが、中央に絞って守備をしているのに、”おーい、ザンブロッタがいったぞ。マーク頼むぞ”と声をかけて立ち止まる」

「そこは君が追わなあかんて、といった状況でも、ラツに声だけかけて放してしまうのはディフェンスとしては迷惑至極やな」

「なんかほほえましい姿ではあるけどな」

「なんにしても困ったもんや」

「攻撃向きの選手にありがちな現象ではある」

「リーガでも守備を一番理解していない選手はロナウジーニョやしな」

「攻撃というのは、”なんでお前がそこにおるねん”とか、”なんでそこにパスがでるねん”といったことが必要で、守備でそれが出ると困る」

「なんでお前がそこにいるんだ、とか、なんでそこを通されるんだ、といったことが起こると、守備は一瞬で崩壊する」

「グティが守備にまったく向かないのも同様のことやな」

デポルティーボ戦で、そんな場面がはっきりでてたな」

「しかし、ムトゥが前半のように動くと、いくら他ががんばっても側面に穴の空いた容器のようなもんで、水漏れがとまらんから、いっそのこと切ってしまった方がよくないかね」

「そうはいっても、ルーマニアが良い攻撃をするときは、どこかでムトゥがからんでいるから、そうもいかない」

「マイナスを越えるプラスがあればええねんけどな」

「まあしゃあないで」

「監督は苦労してるやろうな」

「それに、この試合で先制点を決めたのも彼やしな」

「ザンブロッタのキーパーへのバックパスをさらってゴール」

「イタリアは追う立場になった」

「そうなると、交代が注目される」

「結果はこう」



「先発の変更と合わせて、これもどうなんやろな」

「その点については、オランダ対フランスの交代と合わせて考えるといいと思うんやな」

「そうなんか」

「オランダ対フランスは、こちら

「またそちらで」

「ごきげんよう」
「ドイツが敗れたこの一戦」

「びっくりやったな」

「結果にも驚いたが、内容はさらに驚きだった」

「ドイツは途中までなにもできなかった」

「先発はこう」



「クロアチアは、この形で前からプレッシャーをかけていく」

「24分にクロアチアが先制」

「これは不思議な得点だった」

「下の流れやな」

「まず、サイドから中で引いたフォワードにパス」



「フォワードは、下がりながらボールを保持」



「そこからサイドへ戻す」



「中央へクロスを上げる」



「これに対して、オレンジで囲まれたヤンセンとその後ろの青いスルナが反応する」



「ヤンセンはセルナよりボールに近い位置にいるように見えるが」



「後ろから決められてしまう」



「これは、通常、ありえないゴールやな」

「そうかね」

「まず、ヤンセンはクロスに対してセルナよりも良い位置にいたのに決められたというのがありえない」

「まあ、相手を見失ったというわけではないな」

「もう一つは、流れとしてありえない」

「ほう」

「まず、中央にボールが入った状況を考える」



「青が攻めで、赤が守りやな」

「ペナルティーエリア前でキープされると、ディフェンスはそこに集まる」

「当然やな」

「そうすると、その裏の赤いゾーンが空く」

「当たり前やな」

「これをカバーしようとすると、サイドの選手が中に入らざるを得ない」



「必然やな」

「そうなると、今度はその裏の赤いゾーンが空く」

「ドミノ倒しみたいなもんか」

「サイドディフェンスがそれを埋めるために下がると、下のように前を取られる」



「よくある光景であるな」

「つまり、中から外にボールが出た後というのは、逆サイドで下の二つが見合いになっている」



「常識やな」

「上の流れで不思議ことは、ヤンセンは裏を取られたわけでもないし、前に入られたわけでもないのにやられたいうことやな」

「ふむ」

「スペースの関係というのは下のようになっていて、①から②にボールが渡ると、③が空く。これは、サイドバックなら誰でも知っていて、クロスに対して十分にそこを意識している」



「ヤンセンも、もちろんそれがわかって動いているのが、上の一連の写真でわかるな」

「わかっていてやられたのが不思議やろ」

「まあそうやけど、そんな時は、ヤンセンの行動を拡大して見るとええんちゃうか」

「それは、こうやな」



「クリアできるポジションやな」

「それがこうなる」



「ボールは、白い選手の股間の下か」

「その股間の下に足を入れられてシュートを打たれる」



「ふむ」

「どういうことかと」

「あれやな」

「なんや」

「一枚目から二枚目へのつながりが読めんな」

「なぜかボールを通り越している」

「目測を誤ったのかね」

「誤るようなボールでもないし、難しい状況でもないし、そこでなにを間違えたかが謎やな」

「本人に聞かねばなるまい」

「そんなこんなの謎を残したものの、クロアチアが先制したことには変わりない」

「先制した後のクロアチアは方針を変更する」



「1-4-4-1-1で、自陣に引いた」

「明快なカウンター狙いということやな」

「この引いた相手をドイツはまったく崩せない」

「そこで、46分にヤンセンを下げてオドンコーを入れる」



「ラームが左に来て、フリッツが右サイドバックに下がるのか」

「65分にはゴメスを下げてシュバインシュタイガーを入れる」



「左に入ったわけやな」

「この配置というのは、なぜか懐かしい」

「それは、ドイツワールドカップのせいやな」



アルゼンチン戦やな」

「違うのは右サイドの二人だけという一致の良さ」

「結局、左サイドからクロスを上げる、という手段でしかドイツはチャンスを作れなかった」

「右がオドンコーじゃどうにもならんで」

「彼は本当に下手やからな」

「ボールを持ってない時に速いだけで、現段階では、サイドの選手の悪い見本でしかない」

「まず、空いている場所があると反射的にそこに走ってしまい、せっかくのスペースを潰してしまう。」

「スペースをとっておくということができない体質やな」

「そして、ボールを持っても相手に向かっていけない。ドリブルも反射的にスペースに流れる」

「ベティスでもよくあるな」

「そして、自分でスピードを上げ過ぎて、その上げ過ぎたことでミスをおかす」

「つらいな」

「サイドの選手が下手になるための条件をすべて満たしている」

「つらいな」

「ベティスでレギュラーになれないのも当然で、その選手がなぜドイツ代表に呼ばれるのか不思議やな」

「そういう時は、大体使い方の問題や」

「使い方か」

「例えば、ザンブロッタがそうで、バルセロナのように細かいつなぎを要求して使うと、こんな下手な選手はいないように見えるけど、イタリア代表のように、守った後、時々長い距離を走って思いっきりセンタリングを上げて戻ってくるような使い方をすれば、実に素晴らしい選手に見える」

「それにしても、オドンコーはないで」

「えらいこだわるな」

「この試合で出したパスのデータを見ると、オドンコーが20本で、シュバンシュタイガー24本なんや」

「ほほう」

「20分も先に出てきた選手が負けるというのはいかなることかと」

「今のドイツは、左利きやから、右に回る回数が少なくなるんやろな」

「チャンスになるのは、左を縦に行ったラームが、逆に切り返してクロス、中で頭で叩くというのが多いな」



「ドイツの1点も、まさにそこからうまれた」

「そういえばや」

「なんや」

「その時のポドルスキーのボレーで、一つ面白いことがあるので、それを見てみたいと思うんやけどな」

「また個人技術か」

「あかんか」

「あかんことないけどな」

「それはこちらというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「さて」

「ポドルスキーのボレーシュートについてやな」

「簡単に言うと、彼はペナルティーエリアの左側から打つ時、右に踏み込んで逆に打つ」

「下の写真がそれやな」



「これは、クロアチア戦で、落ちてくるボールに対して、赤い矢印の方向に踏み込んでいるのがわかる」

「ちと見にくいけど、右のファーポスト方向やな」

「しかし、実際のシュートは左のニア方向に飛ぶ」



「ゴールが決まった場面を見ると、キーパーはニア側に倒れている」



「これをやられると、ゴールキーパーとしては止めるのが非常に難しい」

「ファーを捨てて最初からニアに飛ぶわけにもいかんしな」

「次は、前回のポーランド戦」



「右方向に踏み込んで」

「左方向に打つ」



「キーパーはやはりニア側に倒れる」



「得意技なんやろな」

「これも、前回のパスに続き、良い選手も、ある特定の状況では、大体いつも同じ技術を用いて状況を打開しているということの補強になるのではないかと思うわけやな」

「この二つのゴールは、こちらこちらでごらんになれますので、比較していただければと」

「そんなこんなで」

「また次回」

「今回は、愚痴編はなしか」

「ポーランド対スイスで、あれをPKにするなら、今後あの手のプレーはすべてPKにせな怒るで、という愚痴は言いたいところやな」

「あれか」

「ビデオはこちら

「というところで」

「今回はこの辺で」

「ご機嫌よう」
チェコ 1-3 ポルトガル

「ポルトガルが、トルコ戦に続いて勝利」

「早々とグループリーグ突破を決めた」

「強いな」

「確かに強い」

「しかし、この試合は楽ではなかった」

「楽ではないというより、非常に苦しい時間が多かった」

「とりあえず、先発からやな」



「とりあえずビールみたいなもんやな」

「双方1-4-1-4-1」

「数字は同じでも中身はまったくちがうところが面白い」

「ポルトガルは、中盤でのつなぎを重視し、チェコは相手を中盤で食い止めてカウンターを狙っている」

「チェコは、3番のポラークと17番のマテヨフスキーがデコとモウティーニョを執拗にマークしていた」

「そこがポルトガルの要やしな」

「前半はというと、チェコが良かった」

「チェコが良かったというか、ポルトガルが自分の首をしめたというか」

「なんというか」

「クリスティアーノ・ロナウドが鳴かず飛ばずだったこともあるが、プティとデコが前に急ぎすぎで、特にデコに狙いすぎかつ無理しすぎのパスが目立った」

「例えば下のパスやな」



「ポルトガルは下に攻めている」

「デコは、マイナスにドリブルをして、ピンクのパスをフェイントにして、青い方向に出す」

「これは、中盤での手筋で、相手の逆を取ることができる」

「下がるドリブルをすると、相手は背中からプレッシャーをかけてくる。そこで前にパスを出すことにより裏を取る」

「青い丸で囲まれた選手はそれにひっかかるからそれはそれでいい」

「ところが、一つ怖い意味がある」

「赤い丸で囲まれた選手の動向やな」

「彼が前に出てこれをカットされると、カウンターからものすごいピンチになることが多い」

「パスを出す先の、一つ後ろのディフェンダーの動向をつかんでいないと危ない実例やな」

「さらに、狙いすぎの例としては下のようなパスがある」



「ゾーンの間に置いておくパスというやつやな」

「相手ゾーンの中にボールを止めるように出して、それを味方が拾うというパスで、上手い選手ほどこれを狙う」

「ところが、前半のデコは天才すぎて、とんでもなく狭いゾーンでそれをやっていた」

「ゾーンが狭ければ、いかに上手く間に置いたとしても、敵に回収される確率が高くなる」

「敵に回収されれば、速攻から逆襲をくらう」

「それが前半のポルトガルやな」

「無理筋を狙う、変な形でボールを失くす、速攻をくらう、ディフェンスが後追いになる、ピンチ、という流れは非常によろしくなかった」

「逆に言えば、チェコは非常によろしかったと」

「まあそうなる」

「これを、後半からどう修整するかといえば簡単で、無理に前に出さず、じっくりパスを回した後、相手の崩れを見てしかけていけばいい」

「ビデオをお持ちの方は、前半と後半開始からのデコだけに注目してごらんになるとそれがよくわかるのではなかろうかと」

「これで、明らかにプレーの良くなったポルトガルは、63分に勝ち越し点を奪う」

「さて、これでどうなるかと思っていると」

「チェコは、67分と72分に交代を行い、マテヨフスキーをブルチェクに、ガラセクをコーラーに代えた」



「でっかいコーラー登場やな」

「これにポルトガルは応手を放つ」

「でっかいコーラー登場の3分後にモウティーニョを下げて、メイラを入れる」



「この狙いは明白で、高さには高さを、ということやな」

「コーラーが下がってハイボールを受けるなら、メイラがそれに競りかける。センターバックの前で高いボールを受けようとするなら、メイラがその前で壁になる」



「これはフィリパオで良く見る交代やな」

「相手が放り込み来る時は、後ろにヘディングの強い選手を入れる」

「もう一つは、下の意味やな」



「サイドからの放り込みに対して、センターバックの間に入ると」

「これも良くある対策ではある」

「昔、レアルマドリーで、中盤のエルゲラがイエーロとパボンの間や脇に入っていたのと同じ感じか」

「話が古いな」

「チェコは、試合終了までハイボールをしつこく送ったものの、ポルトガルはそれをしのぎきった」

「しのぐばかりか、終了間際には、デコの絶妙な技から追加点をあげた」

「素早いフリーキックやな」

「それはこちらからご覧いただくとして」

「ポルトガルとしては、前半苦しんだ部分を後半修整して勝ち越し。相手の勝負手も見事に受けきった、見事な勝利だった」

「苦労しただけに意義深かったのではないかと」

「ただ、この試合で、いくつかポルトガルの弱点が見えた」

「一つは、セットプレーに対する守備やな」

「チェコのセットプレーは多くの場合、危険な状況を生み出していて、唯一の得点もコーナーキックからだった」

「もう一つは、テクニックにおぼれがちなところ」

「前半か」

「さらには、ペペとボジングワの間」




「左サイドからペペの頭を越すようにセンタリングを上げられると、上の図の赤い部分が空く」

「例えば、ペペの前にフォワードを入れて、ボジングワの裏から選手をロールインさせるといった筋を狙われると苦労する」



「この辺りは、狙って行きたいところやな」

「最後に、一つ問題を」

「なんやいきなり」

「下のような流れがありました。最終的にどのようなパスが出たでしょうか。というのがそれやねんけどな」







「ふむ」

「初日の、ポルトガル対トルコを読まれた方はおわかりになるのではないかと」

「正解は」

「webで」

「ちゃうやろ」

こちら


Copyright (C) 2005-2006 SAMURAI-FACTORY ALL RIGHTS RESERVED.
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
(05/21)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
studio c60
HP:
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター