週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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「さて」

「なんだ」

「先日のバルサ編に引き続き、今回はレアル・マドリーをお届けしようかと」

「一方の雄というやつやな」

「デポル戦での先発はこう」



「去年見たような光景やな」

「マドリーだけを取り出すとこう」



「やっぱり去年と同じやな」

「去年と同じであるということは、強さも弱さも去年と同じということになる」

「つまり、昨シーズンの予言編で書かれたことが、今年も起こる可能性が非常に高いと」

「まあそういうことになる」

「マドリーの問題点としては、中盤で走れる選手がいないので中盤で前と後ろにぱっくり割れるというのが一番大きかった」

「そこから攻めてくる相手を、大金を注ぎ込んで集めたディフェンスとカシージャスのセーブで耐え、カウンターから前に残った選手が決める、というのが勝ちパターンやな」

「ここ数年のマドリーは、カウンター、セットプレー、サイドチェンジ、この3つで無理やり守備の歪みを乗り越えて勝っている」

「去年はそれにロビーニョのドリブルという要素が加わった」

「ところがその彼はシティに移籍」

「会長のカルデロンによると、”彼が泣いて頼むもんだから移籍させた”ということらしい」

「負け惜しみに聞こえるのは気のせいかね」

「どうやろな」

「去年のマドリーは、特にカウンターから、ロビーニョ、ラウール、ファン・ニステルローイの3人で点を取れるのが強みだったが、その1人が欠けたことになる」

「その代わりはロベンなのだが」

「他の2人と噛み合っていない」

「この試合では、1人で決めに行き過ぎていた」

「この辺りが改善されないと攻撃面で相当苦労することになる」

「おまけに、スナイデルがいないとフリーキックもさして脅威ではない」

「その点では、ファン・デル・ファールトをどこかで使うしかないかね」

「おまけに、彼がいないと、長いサイドチェンジを正確に通す選手にも欠ける」

「それもファン・デル・ファールトで補うことは可能やな」

「現状では、必殺技がどれも封じられていて、今後も苦労するのは確実やな」

「ファンのイライラは続くと」

「ちなみに、劣勢だったマドリーの交代は一度、80分に2人同時に行われた」

80分


「ラウール、グティが下がってドレンテ、デ・ラ・レーか」

「その2人が同時に下がるというのも、ちょっとセンチメンタルな気分やな」

「どんな気分や」

「まあ、これで良くなるということもなく、次の試合でどうなるのかが注目である」

「どうにもならん中でどうにかせなならんから、シュスターも大変やで」

「シュスターといえば、去年で辞めなかったのが不思議ちゃうか」

「スカウティングを元に、相手に合わせてきちんと対応を取るのが彼の流儀で、基本的に一つの戦いしかできないマドリーを指揮するのは合わないと思うけどな」

「去年、シュスターらしく戦ったのはクラシコくらいやな」

「今シーズンも、監督も辛く、観客にも辛い試合が続くやろな」

「観客はもうすでに切れかかってたけどな」

「その不満の的になっているのは、イグアインとディアラ」

「イグアインはちょっとしたミスで、”この下手糞”、”なんであんなのが居るんだ”と罵倒され、ディアラは、”あいつは本当に下手だ”と感嘆を表す句法が出る」

「ベルナベウの人々は、趣味に合わない選手に対してはとことん厳しいからな」

「イタリアから来たサムエルなんかは、それで潰されたようなもんやしな」

「マドリーにとっては、アウェーの方がプレーしやすい、という状況が今年も続くのか」

「なんか去年とほんまに一緒やな」

「始まったばかりだから、今後に期待をしたいところではある」

「マドリーがつまらんと、リーガ全体の勢いがつかんところはあるしな」

「一方のデポル」



「勝ちまくっていた、去年の後半とはがらりと変わった」
http://shukyu-keikaku.net/partido/0708/28_dep-mad/index.html


「5バックをやめて4バック」

「ごく一般的な1-4-4-1-1に戻った」

「トップはミスタ」

「一度得点王を取った後、どのチームでも控え暮らしが続いた」

「この試合では、先制点を頭で奪う活躍」

「アトレチコ時代も、一瞬の動きでマークを外し、シュートを決める技術は光っていたので、今シーズンの働きに注目したい」

「その後ろにベルドゥ」

「シャビ、イニエスタ、セスク系統の選手で、トップ下とボランチの中間に属する」

「実際にバルセロナの下部組織出身でもある」

「右はパブロ・アルバレス」

「非常に良く動き、パスにおいては、蹴る直前まで意図を隠すことができる」

「左にグアルダド」

「この試合では、セットプレーからの見事なクロスで2点をアシストした」

「しかし、動きの中では判断ミスとパスミスが多い」

「今後、それがどれほど良くなるかが鍵であり、それがデポル自体のパフォーマンスにも影響する」

「ボランチは右にセルヒオ」

「とにかく上手い」

「ボールを持つ時間と離すタイミングが絶妙やな」

「自分に引き付けなければいけない時は、十分に引き付けるし、相手に囲まれた状態でも一瞬のパスフェイクや体の向きの変化でパスを出す時間を稼ぎ出すことができる」

「昔から上手かったけど、歳を経ていいワインになった感じやな」

「今のうちに、そのプレーを味わっておきたい」

「セルヒオのやや左後ろにデ・グスマン」

「とにかく守備面でよくなった」

「体を合わせる場面で、強引に相手の前に捻じ込んでいくシーンなどは、マウロ・シウバを思い起こさせる」

「意味不明なパスミスは相変わらずやけどな」

「ドリブルも以前より控え目やな」

「右サイドバックにラウレ」

「この選手はデータ取得中ということで」

「左サイドバックはフィリペ」

「ドリブルとボールキープ、クロスについては良いのがわかっている」

「守備面でもロベンを縦に行かせなかった」

「ただ、この試合では、グアルダドのヘルプがよく行き届いていたので、純粋な一対一での対応や、ポジショニングなどは今後見ていきたいところではある」

「センターバックの右はロポ」

「暴れん坊ロポやな」

「警告と退場の多さで有名ではある」

「ただし、競り合いや空中戦には滅法強い」

「しかし、最終ラインでのパスミスやコントロールミスもお手の物である」

「その左にゼ・カストロ」

「彼については、去年かなり詳しく解説した記憶がある」

これや、これや、これやな」

「まとめると、ボールを持って組み立てればリーガでも抜群だが、守備者として致命的に弱い」

「ハイボールにも競り合いにも弱く、ポジショニングはずれ、読みも外れる」

「いいことなしやな」

「去年は、結局、”さらば、ゼ・カストロ?”という副題がついた試合を最後に、本当に使われなくなった」

「デポルのセンターバックの組み合わせはじつに興味深い」

「ロポとゼ・カストロ、まるで正反対の特徴を持っている」

「これはいいコンビになるのではないかと」

「淡い期待を抱いてもいいが、47分、ファン・ニステルローイに決められたシーンで、下がるラウールを簡単にフリーにしてしまっている」

「基本的に、守備を最初に考えるロティーナに外されないように頑張っていただきたいと」

「いうところで」

「それにしても、ゼ・カストロ大好きやな」

「組み立てがきちんとできるセンターバックというのは極めて貴重だから、なるべく消えて欲しくないんやな」

「そういえばや」

「なんや」

「ふとサンプドリアの試合を見たのだが、左のセンターバックが良い組み立てをし、極めて正確なロングパスを蹴っていた」

「アッカルディか」

「調べたところ、これまでそれほど試合に出場していない」

「なんか問題があるのかね」

「遅いとか、空中での競り合いに弱いとか、大体そのような理由だとは思うが、なにしろ過去の試合を見たことがないのでなんとも言えない」

「もしご存知の方がいらっしゃいましたら」

「お教え願えれば幸いであると」

「いうところで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」


おまけ:
デポル交代後
79分


61分 ミスタ → リキ
73分 リキ → ブラボ
79分 パブロ・アルバレス → フアン・ロドリゲス
「さて」

「うむ」

「無事に0809シーズンもはじまって」

「心がうきうきする昨今ではあるが」

「バルセロナはヌマンシアに負け」

「マドリーはデポルに負け」

「実に華々しい開幕戦となった」

「マドリーがリアソルでデポルに勝てないのは恒例行事やけどな」

「今回は、とりあえずバルセロナの方から見て行こうかと思う」

「先発はこうやな」



「ヌマンシアの方は、1-4-1-4-1」

「バルサの方は、まあ1-4-1-2-3と言っていい」

「ただし、一般的なそれとは内容が異なる」

「その辺りを見ていくとして」

「バルサだけを取り出すとこう」



「一目でわかる弱点はこう」



「メシとアンリ、以前はロナウジーニョを使うと、その後ろにスペースが残る」

「このため、相手は楽にボールをキープすることができる」

「そこをふさごうと思うと、ボランチの脇が空く」

「おまけに右サイドバックを上げるのでセンターバックは前と横にスペースを抱える」

「これらの地点を早く攻められるとバルサはアップアップになる」

「この点に関しては、2シーズン前から手を変え品を変え書かれておりますので」

こちらの一覧から、ここ2年のバルサに関する文章をお読みいただければより良くわかるのではないかと」

「ちなみに、この試合唯一の得点は、矢印の流れで決まった」



「センターサークル付近でダニエウ・アウベスがコントロールミス」

「それがプジョルの前のスペースに引いたフォワード、ブリトに渡る」

「コントロールから右サイド奥に大きく展開」

「ベルビスが受けて前にドリブル」

「逆サイドへセンタリング」

「走りこんだマリオがコントロールからシュート」

「バルデスの右上を抜けファーサイド上隅に決まった」

「これは、ヌマンシアとしては狙い通りやな」

「早いタイミングでアウベスの裏に出してそこにベルビスが走りこむ、という筋を再三狙っていた」

「特にチョミン・ナゴレからそこへのパスは冴えていた」

「縦に出た後、逆サイドまでセンタリングを飛ばすのも練習通りで、それが見事に決まっている」

「このような方法は、2シーズン前からバルサ攻略の基本手筋で、蹴球計画でも何度もとりあげていた」

「それが今シーズンもまた見られるとは思もわなんだな」

「バルサはリードされたまま56分を迎える」

「なにかせなあかんということで」

「トゥレを下げてフレブを入れる」

56分


「ふむ」

「グァルディオラはこうするのか、という感じやろ」

「メシが中に入る」

「ライカールト時代も、点が欲しくなるとロナウジーニョを同じような位置に置くことはままあった」

「そして、シャビが中盤の底とは目新しい」

「昨シーズンまでは、イニエスタが底で、シャビはその前に入るのが普通だった」

「グァルディオラは逆ということであるな」

「このポジションに、いわゆる攻撃をオーガナイズすることのできる選手を置くことが攻めにおいて非常に重要である、という考えであり、それに適任なのは、シャビである、ということやな」

「昔の自分の位置にシャビを置いたと」

「そういうことになる」

「”シャビを後継者に指名”とか見出しをつければいいのか」

「それはベタ過ぎるやろ」

「長いパスに関しては、明らかにグァルディオラの方が上手かったけどな」

「まあ、この日のバルサの攻め方なら、あまり長いボールは必要ない」

「前回にあるように、スリートップ系のシステムでは、ボランチから後方より、ウィングにタイミングの良いパスを当てる必要がある」

「具体的には、下の形を作り出すためやな」



「バルサは右に攻めていて、ボールを持って前を向いているメシとディフェンスの間に十分な距離がある」



「ここから一気にドリブルで仕掛けて、ディフェンスラインを崩す」

「まあ、そのためにウィングは存在する」

「昔のオーフェルマルスのようなプレーやな」

「懐かしいな」

「ところが、この日のバルサは、下の写真のように選手が中に中に入る」



「エリア付近は大混雑」

「図面上のウィングが中に入るとなれば、そこに長いボールを当てる必要もない」

「この試合に関しては、”サイドを使わないから中央にスペースがなくなって攻撃が詰まるんだ”という形の反省が行われるのは間違いない」

「しかし、もう一つ大切なことは、縦の距離も非常によくなかった」



「フォワードと後ろの選手の距離が近すぎて、スペースを消すわけやな」

「おまけに、プレーの選択の幅も狭まる」

「あと5m後ろにいれば、ディフェンスとの距離も取れて味方が引くスペースも残るし、技も仕掛けやすい」

「この、”縦の距離を適切に保つ”というのは、有効な攻撃を仕掛ける上で、サイドを広く使うことと同様かそれ以上に重要なことなので、ぜひ注目していただきたいところやな」

「例えば、ユーロのスペイン代表は、横は狭かったけれども、縦にはいい距離を保っていた」



「横について言及されることは多いけれども、縦についてはまだあまり触れられることがないので、どんどん使っていくと違いが出せていいのではないかと」

「なにを流行らせようとしてんねん」

「縦の距離に注目してみると、例えば、ペナルティーエリア手前10mからラインの裏にボールを落とす時、ゴールエリアの縁に落とすと、ペナルティーエリアの縁から走りこんだ選手にちょうどいい、というような事がわかる」

「ディフェンスラインがちょうどペナルティーエリアの線にある時の話か」

「そのようなことがわかれば、ボールを受けた時に軽く浮かせてミドル、と見せかけて裏に落とす、というようなアイディアがうまれてくるので、一層サッカーが楽しくなる」

「道を歩きながらそんな妄想をするのも面白いわけやな」

「サッカーは一面、イメージとアイディアのスポーツやから、妄想力は大切になる」

「ほんまかいな」

「それはさておき、試合に戻る」

「フレブ登場後も得点は動かず、61分にアンリを下げてボージャン、66分にイニエスタを下げてケイタを入れる」

66分


「これもまた物珍しい形であるな」

「まず、ケイタがシャビの前にいる」

「これは、監督の守備より組み立てという思想をよく反映している」

「おまけに、ケイタが右にいる」

「彼は左利きで、これまでは左ボランチで見ることが多かった」

「果たしてどうかと思われたが」

「この試合では十分は働きをした」

「しかしながら、無得点のまま試合終了」

「バルサは、初黒星を飾った」

「飾るもんじゃないけどな」

「なにはともあれ、下の先発では今年も前と同じ理由で駄目だろう、というのは見えた」



「それではこれからどうするか」

「下の控え選手とともに考えてみましょう」



「というのが次なるお題やな」

「続きは」

こちらから」
「さて」

「開幕戦におけるバルセロナの先発をこれからどうするか」



「下の控え選手達とともに考えてみましょう」



「というお題なわけやな」

「去年のバルサの大きな問題は、サイドで走れる選手がいない、中盤を支える選手がいない、両サイドバックの組み立てが下手すぎる、というものだった」

「フレブ、ケイタ、アウベスを取ったのはそれを改善するためやな」

「アビダルを残したのは微妙やけどな」

「彼については、開幕戦で、パスを出す前のフェイクを色々と試していて、去年より相手と正面を向いてかけひきをしようという意欲が見られた」

「監督からなんか言われたんかね」

「その可能性は高いな」

「それはそれとして、チームを組み立てる際、まず最初にメシの存在を考えざるをえない」



「これまでのところ、右から中央にドリブルで切れ込んでからのプレーが一番よい」

「となると、それを中心にして組み立てざるを得ない」

「使う以上はそうやな」

「ロナウジーニョやリケルメと同じで、中途半端に使うとたちまち穴の方が目立ちはじめる」

「そうなると、彼の裏をカバーする選手が必要になる」

「ロナウジーニョにとっての、デコ、モタ、ダービッツといった選手やな」

「それならケイタでよかろうという話になる」



「ついでに、センターバックの右側にマルティン・カセレスを置く」

「彼はサイドへのカバーが早くて速い」

「こうしておけば、サイドの穴を埋めやすい」

「スピードのない、シャビ、マルケスを置くよりはるかに安心できる」

「次にアウベスについて考える」



「彼は、オーバーラップに置いて、外だけでなく、中へ入ることも多い」

「ところが、バルサでこれをやると、メシのドリブルコースをふさいでしまう」

「セビージャでは、ナバスとのコンビで中でも外でも上手くいっていた」

「バルサでは、チームの都合上、中への動きを少なくし、メシのフォローに徹した方がよい」

「続いて、前線の組み合わせを考える」



「中央のフォワードとしては、メシの動きに合わせて、ラインの裏に出る選手が望ましい」

「エトーでよろしかろう」

「左の選手は、守備において中盤を助けるために上下に大きく動くことができ、サイドで我慢できる選手が望ましい」

「フレブか」

「ここにアンリを使うと、持久力に問題が生じる」

「エトーとも重なる気配が強いしな」

「例えば、この試合では、21分45秒からのプレーで、右サイドを突破したシャビのセンタリングに対して、エトーとアンリがまったく同じスペースに飛び込むシーンがある」

「両方ファーからニアに飛び込んで点で合わせようとした」

「1人が飛び込んで1人がその裏で待つ方がスペースの使い方としてはよい」

「まあ、それもあり、左はフレブでよろしかろうと」

「最後に、その後ろを考える」

「左のバックと、ボランチか」

「ディフェンスラインは、マルケスとアビダル」



「マルケスは後方からの球出しに必要やし、アビダルは上げずに使うなら、スペースのある状態での長いパスはいい」

「そして、ボランチは、トゥレとイニエスタでどうするか」

「どうするかってどうするんや」

「やってみんとわからん」

「トゥレの方がええような気がするけどな」

「イニエスタやと、前と同じように、ロングボールで競られて守備が崩れる可能性があるのはあるが、捨て難い一面もある」

「やってみないとわからないということか」

「結論はこうなる」



「控えを考えると、下の形か」



「メシ、フレブ、アウベス、マルケスは代えが難しい」

「エトーとアンリもどうなんやろな」

「なんにしても、下の先発ではここ2シーズンの過ちを繰り返してしまうことは必定なので」



「どうにかする必要がある」

「例えば、とにかく守ることを中心に考えれば、下のような配置も可能になる」



「これはこれで上手くいく可能性はある」

「ロナウジーニョがアンリになっただけのような布陣やな」

「おまけにメシも使わない」

「それだけでも、議論の的になりかねない」

「かといって、彼を中心に組むと、怪我が恐い」

「毎年大きな怪我をするでな」

「どうなることやら」

「お楽しみと」

「自分でバルサ問題に対する解答を考えてみるのは、頭の体操としても面白いので」

「ぜひ挑戦していただければと」



「今期の場合、まず前線でアンリとメシを使うか使わないか、使うならどのように動かすか」

「次に、それにどのような中盤を組み合わせるか」

「最後にディフェンスラインの機能をどうするか」

「例えば、アウベスをどう動かすか、マルケスを使うならどこで使うか」

「といった道筋で考えるとやりやすいのではないかと」

「しかし、あれやな」

「なんや」

「後ろからじゃなくて、前から考えて行く方がわかりやすいのがバルサらしいな」

「お家柄かね」

「よい選手配置やシステムがあればお教えいただきたいというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」
「デル・ボスケが監督に就任した緒戦」

「ヨーロッパチャンピオンになった後の戦いが注目されるスペイン代表」

「結果的に0-3で勝利を収めた」

「まずはめでたしめでたしと」

「内容的にも興味深かったこともありよろしかったのではないかと」

「先発はこうやな」



「スペインだけを取り出すと次のようになる」



「先発はユーロとほぼ同じ」

「ユーロでは、最初のロシア戦から準決勝まで、先発は基本的にこれやな」

「怪我のマルチェナの代わりにアルビオルが入っている点だけが違う」

「システムも選手配置も、完全に前任者を引き継いでいる」

「この辺はデル・ボスケらしい」

「基本的に、現状を無理に代えず、徐々に自分の望む状態にするのが得意技やからな」

「レアル・マドリーで、トシャックの後を継いだ時も、システムや配置はほとんどそのままで、干されてくさっていた選手を上手く使うことでチーム全体のモチベーションを上げる方法を取っていた」

「まあ、しかし、本人の頭の中ではアラゴネスと違うアイディアがあるはずやな」

「当然やな」

「それを最初から出さない辺りが政治的というかなんというか」

「見方を変えれば、アラゴネスに敬意を表した先発ということもできる」

「前半のスペインはよろしくない展開だった」

「デンマークにディフェンスラインから長いパスを通されたのがその原因やな」



「このメンバーのスペイン代表は、長いボールを使うユーロのスウェーデン戦のような展開を最も苦手としている」

「おまけに、すでに公式戦が始まってるデンマークの選手に対し、スペインの方は大部分がまだシーズン前」

「走り負けるのは当然といえば当然やな」

「長く蹴られてキープされた後、サイドを突かれて全体がさげらるような流れが続くと、スペインは非常につらい」

「つらい前半をなんとか0-0でしのぎ」

「期待の後半」

「どんなデル・ボスケの特徴が出るかと思っていると」

「こうなった」

46分


「ディエゴ・カペルが左、とシャビ・アロンソがセナの横に入り、シャビがトップ下、イニエスタが右の1-4-2-3-1か」

「ベンチに下がったのはビジャとシルバ」

「49分に先制すると、62分に次のようになる」

62分


「グィサとカソルラが入り、トーレスとイニエスタが下がる」

「これは、非常に典型的な1-4-2-3-1の選手配置やな」

「確かに」

「このシステムにおける、いわゆる教科書的な役割分担は下のようになる」



「まず、ボランチでは、片方が中盤をカバーし、もう一方がボールをさばきながら前に出る」

「カバーするのがセナで、さばくのがアロンソ」

「サイドの選手は、サイドを縦にえぐり、守備においては、相手サイドバックにプレッシャーをかけつつ、中盤をフォローし味方サイドバックを助ける」

「縦に長い距離を速く走る必要があり、ドリブルも上手い方が良い」

「それがカペルとカソルラ」

「トップ下は、ラインの間でボールを受けてパスを散らしつつ、フォワードをフォローしてラストパス、シュートを狙う」

「それがシャビ」

「トップは、ラインの裏を狙うことでスペースを生み出し、左右に動き縦に入るボールを受けてつなぐ」

「当然、ゴールも狙う」

「それがグィサ」

「各ポジションに、選手の特徴がきちんとはまっている」

「特に、このシステムを攻撃面で機能させるには、下のパスが必要になる」



「ボランチから左右のサイドの選手へのパス、ディフェンスラインからのクロスのパス」

「このシステムや、サイドを重視した3トップ系のシステムにおいて、このパスが出ないと、選手を前に置く理由が非常に薄くなる」

「むしろその裏をつかれてアップアップになることが多い」

「逆に、これが通り、相手をサイドから押し込むと、守備も非常に楽になる」

「サイドの高い位置に選手を置くことと、そこにクロスに長いパスを合わせる選手の存在はセットである必要があるので、覚えておかれるとよろしいかと」

「以上が教科書的な説明であるが」

「スペイン代表は、右サイドの具合が少し異なる」

「下の形やな」



「右前のカソルラは中に入ることが多く、その外にセルヒオ・ラモスが出て最後からの攻撃を担当する」

「その辺は、ユーロプレビューで見たアラゴネスのアイディアと同じやな」

「セルヒオ・ラモスの上がる能力をいかそうということやな」

「そして、セナは中盤をカバーする役割でありながら、パスを出す能力にも優れる」

「その証拠といってはなんだが、前半のデンマークは、トマソンが非常に気を使ってセナをマークしていた」

「準決勝のロシア、決勝のドイツともに、セナのパスが発端となって失点をしたことを考えると当然といえば当然かね」

「アシストの一つ前のパスや、崩すきっかけになるパスをセナが出すからフリーにすると危ない」

「通常、カバーを担当する選手というのは、ボールを持つと何をやっていいのかよくわからないことが多い」

「その中で、両方の能力を高いレベルで持ち合わせたセナの存在は非常に大きい」

「それにしても、上のシステムと配置が、デル・ボスケの基本になると見ていいのかね」

「おそらくそうやと思うが、今後に注目したいところではあるな」

「73分にシャビがミドルを決めて75分に再び交代」

75分


「イラオラ、レイナが入り、セルヒオ・ラモス、カシージャスが下がる」

「実は、この時、ピッチ上にレアル・マドリーの選手が1人もいない」

「それはどうでもええやろ」

「いや、かなり珍しいと思うで」

「そんなことより、イラオラおめでとうやで」

「やっと代表のピッチに立てたな」

「4年前から代表になってもおかしくない働きだったんやけどな」

「右を上げるという方針なら彼は実にええな」

「長いパスやクロスでもいい球筋だったので今後にも期待が持てる」

「セルヒオ・ラモスから先発を奪うのは難しいとは思うけどな」

「そういえば、この試合でも、ラモスは、左サイドを崩された後のクロスに対して鬼のような働きをした」

「ユーロのイタリア戦でもそうだった」

「あれを見るとちょっと他の選手を使う気がおきない」

「無駄にファールをしない、大ポカをしない、キックが上手い、という点ではイラオラが勝ってるんやけどな」

「まずは控えに食い込んでチャンスを待ちたいところではある」

「そういえば、レイナの父親も代表ゴールキーパーだったが常に控えだったらしい」

「有名な話ではあるな」

「控えといえば、今、代表に呼ばれていない選手で、今後、呼ばれる可能性のある選手はどんな感じやろな」

「つらつらと考えるに、下のようになる」



「ふむ」

「うむ」

「キーパーはディエゴ・ロペスか」

「ビジャレアルでのプレーを見ると代表も近かろう」

「ハルケはなんでだ」

「ディフェンスラインからの組み立てをより良くするためにハルケに期待したいんやな」

「左のコイキリはええな」

「小さいのが難点だが、実にいい守備をする」

「クロスも今ひとつやけどな」

「ブルーノは、潰せてさばける選手として代表まで成長しないものかと」

「プレシーズンでは、ビジャレアルで左サイドバックとしてプレーしていた」

「右はスサエタ、へスース・ナバス、フアン・ロドリゲス」

「スサエタ、ナバスは、サイドでも中でプレーできるからチームに合う」

「へスース・ナバスについて、デル・ボスケは、”彼は右でもいいけど、トップ下でこそもっといきる選手だ”と言っていたから、呼ばれると面白い」

「その発言については、ナバスのどこを見てそう思ったのか、非常に聞いてみたいところではあるな」

「フアン・ロドリゲスは中盤から前ならどこでもプレーでき、おまけにチームを支えるために走り続けるから、デル・ボスケ好みかもしれん」

「昔のソラーリやジェレミ、マクマナマンみたいな役割やな」

「左は、クエバス、リエーラ、セラーノか」

「うむ」

「リエーラとセラーノは気分の波が激しすぎて使うのは難しくないかね」

「そこでクエバスに期待したいところではある」

「アトレチコの左サイドで、右利きで左サイドを縦に抜けるタイプやな」

「その意味では、シモンとの類似点が多い」

「ほんで、トップにネグレドと」

「ワントップとして非常に優秀やな」

「こうして見ると、代表の外の選手にも楽しみが多い」

「スペイン代表は楽しみが一杯と」

「監督の今後の働きも楽しみやしな」

「そういえば、この試合で、後半、1-4-2-3-1に変えたのは、守備的にも上手かった」



「相手のディフェンスラインによくプレッシャーがかかるようになり、相手の狙いである長いパスを出しにくくさせた」

「これは、単純に前方に選手が増えたこともあるが、サイドにカソルラ、カペルという詰めの早い選手が入ったことも大きい」

「こういう相手の狙いに合わせた対応というのは、デル・ボスケは非常に上手い」

「そんなこんなに注目しつつ」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」


---おまけ
スペインの一点目





サイドからの展開も上手いが、中央でトーレスにパスを出した後のイニエスタの動きと、それによりフリーになったトーレスが一度前を向いた後、ボールを中に返した点は非常に見事だった。
シュートを決めたシャビ・アロンソは、トーレスの前に出たあとの切り返しを予測して動いたと推察される。

トーレスがラインの裏に抜けた後、赤い点線のようにディフェンスが飛び込んだ。
しかし、これは良くない。この状態で、バウンドしているボールに対して飛び込むとソンブレロ(頭を越す浮き球)で逆を取られる。
アングルのほとんどない場所から、ボレーシュートを打たれる危険性と、ソンブレロでフリーになられる危険性を比較すると、かぶせるように詰めてシュートを打たせた方がよい。
頭でわかっていても飛び込みたくなる場面ではある。
「さて」

「ついに我々の出番か」

「技術問題に関しては簡潔に書くため通常文だったらしいが、試みに我々が担当するらしい」

「ちなみに、今回と同じ内容で普通文のものがこちらにありますので」

「読み比べていただけると面白いかと」

「ほんまに面白いのかね」

「わからんけどな」

「とにかく、前回までに、組み立てを上手くやるには、相手との距離を保たなければならない。それを保つためには、ディフェンスの足を横にそろえさせればよい、ということがわかった」

「サッカーも戦いなんだから、相手と向かい合わずして勝利はないということやな」

「次は、どうやって足をそろえさせるかが問題やな」

「うむ」

「基本的に、守備が足を横に揃える利点は横の動きに強くなることやな」

「足を前後に置いて横に動くのは無理というものやな」

「ボールとの距離を詰めようとすると、足を前後に動かさないとしょうがない」

「ところがそうすると重大な隙ができる」

「というのが下の写真やな」

「今、赤が右に攻めている」

「矢印のようなパスが出て、ディフェンダーがそれに詰める」



「写真が画質の関係で見にくい場合は、クリックすると拡大する仕掛けがある」



「下の写真で、攻撃側が完全に前を向く」



「ところが、ディフェンスは止まらない」

「そして、右足を着地する」



「わかりにくいが、地面についているのは右足であるな」

「左足は、体の後ろにある」

「よくわからない場合は、クリックして拡大を」

「ボールを持った選手はパスモーションを起こす」

「これに対し、ディフェンスはコースを読み、左足を横に開くことでカットを試みる」









「上の4枚で右足を軸にして、左足を開いている」

「わかりにくい場合は、保存してパラパラマンガにしていただければと」

「なんにしても、このディフェンスの動きは無茶やな」

「前にダッシュしてきたから、その方向に慣性がついている」

「その状態で右足を踏ん張って左足を開こうとしても、体は前に流れ続ける」

「パスコース 足は左に 身は前に」

「なんや」

「昔の偉い人が詠んだ歌や」

「そんな状態だから、軸足が踏ん張りきれずに前に流れる」

「ケンケンみたいに飛ぶしかない」

「そんな無茶な体勢でカットできるわけもなく」



「ボールは、足先を通過し、完全にバランスを崩す。」







「上の流れで、パスを出した選手とパスの間の角は実に小さい」

「それにもかかわらず、ディフェンスは触れることすらできない」

「これが前に出る弱点やな」

「図にすると下のようになる」



「図の上のように、前に出ると、横へのパスに対応できない」

「よって、カットできる範囲が極端に狭い」

「しかし、下側のように足をそろえておくと横の動きに強い」

「そうなるとカットできる範囲が広くなる」

「ディフェンスとしては、パスコースを限定するのは非常に重要で、前に出るとそれができなくなる」

「それを避けるためには止まらざるをえない」

「そして足を横にそろえる」

「攻撃側としては、これで距離が保たれる」

「めでたしめでたし」

「つまり、相手の足をそろえさせたければ、正対してパスフェイクを使えばいいということやな」

「そうなる」

「ちなみに、文末に守備側が足をそろえた状態の例がありますので」

「お時間のある方はご覧下さい」

「パスがより大きな角度で出されているのがわかるのではないかと」

「以上がパスの例で、相手を止める技はそれだけではない」

「ドリブルやな」

「その場合、前に出るディフェンスの地面につく足が大切になる」

「次に地面につく足を攻めるわけやな」

「下で、白い選手が左サイドでボールを持ち、赤い選手がそれに飛び込む場合を見る」



「詰める側の左足が着地する」





「次に、ディフェンスは、右足を前に出す」

「白い選手は、それがどこに着地するかを見ながら待っている」



「画面手前に少し体を倒した後、ディフェンスの右足の上を軽い浮き球で抜く」

















「素晴らしい流れやな」

「前に出るディフェンダーに対しては、次に着地する足の横や上を狙えば抜くことができる」

「逆に言えば、それをフェイントに使えば、ディフェンスは近づくことができない」

「距離を保つことができて、めでたしめでたしと」

「サイドでのドリブルに対しては、ワンサイドカットとかが絡んでくるから、足が本当に横にそろう保障はないけどな」

「なんにしても、距離をとることはできる」

「そういうことやな」

「ちなみに、上のようなドリブルをパッシブなドリブルという」

「受動的な、ということやな」

「その名の通り受身で、相手が飛び込んでくるのを待って抜く」

「となると、アクティブなドリブルもあるわけか」

「能動的なドリブルというやつで、自分から前に進み抜いていく」

「いわゆるドリブルやな」

「実は、この二つは違う技術といってもいい」

「そうかね」

「基本的に、アクティブなドリブルが上手い選手はパッシブなドリブルも上手い」

「そりゃそうやろな」

「ところが逆は必ずしもそうではない」

「待っている分にはいいけど、自分からしかけようとするとバランスを崩してしまうような選手やな」

「相手との距離を取る、という意味では、パッシブなドリブルをきちんとできる必要がある」

「そうなれば、飛び込むのが恐くなるから距離が保てると」

「そういうことになる」

「これまでのことをまとめると、まず、組み立てを良くするためには、相手と正対し、距離を保てばよい」

「次に、距離を保つためには、相手の足を横にそろえさせればよい。」

「そして、足をそろえさせるためには、正対して、パスフェイク、もしくは、ドリブルフェイクを用いればよい」

「さらには、相手の飛び込みを防ぐためには、パッシブなドリブルの技術が必要である」

「とまあ、このような話になる」

「しかし、なんで今回は、同じ内容を、違う文体でわざわざ書いたんやろな」

「それは色々あるらしい」

「色々とはなんや」

「まず、資料価値の問題がある」

「説明したまえ」

「多分、一度読むなら、我々の方が面白おかしくてよいと思われる」

「そんなに誉められてもこまるけどな」

「ただ、資料として読み返す時に邪魔くさい」

「邪魔くさいとはなんだ」

「後から、参照する時に、会話調やと、それ自体がスペースを取り過ぎて、何が骨かわかりにくい」

「失礼な」

「それは、コーナーキックに関する文章ではっきりしたらしい」

「むう」

「次に、信用度の問題がある」

「なんじゃそりゃ」

「要するに、ステーキ用としては薄くて、焼いただけではステーキなのかそうでないのか微妙な肉があるとするやろ」

「なんの話や」

「それを、鉄板皿の上に載せて、横にポテトフライとにんじんのバター炒めとアスパラガスでも添えて出せば、人はなんとなくステーキだと思うわけや」

「某ステーキハウスチェーンのようなもんか」

「ところが、同じ肉を、普通の皿に載せて、横にポテトサラダとケチャップスパゲッティ少々とキャベツの千切りを添えて出せば、人は焼肉定食としか思わない」

「おかずの付け合せにスパゲッティが出るのはなんでなんやろな」

「そして、恐ろしいことに、皿と付け合せの差で値段にも差が出る」

「ステーキ1200円、焼肉定食890円か」

「そんな感じやな」

「鉄板の差やな」

「皿でそんなに値段がかわるかいな」

「つまり見た目は重要だと」

「ステーキがぼったくりやっちゅう話やで」

「結局何が言いたい」

「サッカーの文章も同じで、中身は変わらないのに、書き方で信憑性に差があるように思われてしまう、ということや」

「どっちがどっちや」

「なにが」

「だから、わしらの会話と真面目な文章だと、どっちがステーキでどっちが焼肉定食や」

「そらお前、わしらが焼肉に決まっておろう」

「そうか」

「どうした」

「寂しいな」

「ほんまか」

「嘘やけどな」

「アホか」

「まあ、サッカーの文章は焼肉の方がええな」

「おいしくて安くてボリュームたっぷりというのはサッカー自体がそうやしな」

「ステーキ的な文章は、意味があって書くならともかく、無理に盛り上げたり、無理に感動にもっていったり、無理に詩的にしたようなのはきついな」

「形成肉を高値で売りつけられるようなもんやからな」

「やっぱり、普通の肉を食いたいしな」

「そんなこんなで」

「サッカーは焼肉がいいというところで」

「そんなまとめか」

「あかんか」

「あかんな」

「そういえばや」

「なんや」

「会話で書く弱点は、こういう感じで話がどんどん脱線するというのもあるねんな」

「真面目調やとそれはできんからな」

「はたしてどうなるのか」

「今後次第というところで」

「また次回」

「ごきげんよう」



付録:
足を横にそろえたディフェンダーと正対した後のパス。
より大きい角度のパスが出ている。


















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