週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「またバルサか」 「そういうな」 「そろそろみんな飽きてくるころやで」 「わしも前回を区切りにバルサのことは当分やめようと思ってはいたんや」 「そうやろ」 「ところが、この試合は色々と恐ろしいというか、おかしなことが起こったから、避けて通るのはもったいない」 「ほんまか」 「ほんまや」 「しゃあないな」 「とりあえず、先発はこう」 「こりゃあかんな」 「あかんやろ」 「エスパニョールは布陣的にあかんやろ」 「なぜこの布陣が駄目なのか」 「それは一応、戦術問題ということで」 「解答は最後にありますので」 「よろしければご覧下さい」 「というわけで」 「前半は、予定通りに、エスパニョールが滅多打ちにされる」 「ところが、19分にコロのゴールでリードする」 「あら」 「まあ」 「サッカーは恐いな」 「ビクトル・バルデスは、相当怒っていたけどな」 「ハイボールに前に出ようとしたら、ルイス・ガルシアの肘打ちに邪魔されたからやな」 「ルール上、ファールやな」 「しかし笛は鳴らず」 「とりあえず肘を出すのも大切だということが証明される」 「この試合のメディーナ・カンタレッホは酷いジャッジであった」 「彼が国際審判だったのがようわからんな」 「審判としては、ペレス・ブルルの方が遥かにいいと思うんやけどな」 「それはさて置き」 「エスパニョールの1点リードで試合は進み」 「前半ロスタイム」 「ネネーが退場する」 「荒れた状態でハーフタイム」 「後半どうなるかと思っていると」 46分 「おやおや」 「エスパニョールはタムードを外して、アンヘルを入れて1-4-4-1」 「まともな形やな」 「バルサは3バック」 「それにしても、変な形やな」 「それだけを取り出すとこう」 46分 「この中盤から前はなんだ」 「メシが中に入ってシャビが前に出て、グジョンセンは右や左に動いてポジションがようわからん」 「後半開始から8分後にエトーが入ってこう」 53分 「4トップか」 「数で言えば、1-2-3-1-4やな」 「そうやな」 「ここから、たまにアンリが右ウィングになったりする」 「この布陣は、負けてる状態で、相手が1人少なくてワントップなら、前の3バックより良い」 「1トップなら2人で対処できるし、どうせ押し込むからサイドは上げても走り負けなければ良い」 「しかし、グジョンセンは便利やな」 「遂に左サイドバックにも手を出したか」 「すぐにケイタと変わるけどな」 「しかし、バルサは、46分に変えたと思ったら、53分にまた変えて、配置をいじり過ぎやろ」 「4トップに変化するなら、前半の形からでええな」 「上から、サイドバックを一段上げて、グジョンセンを一つ上げれば、下の4トップとほぼ同じ布陣になる」 「なんで3バックを挟んだかというと」 「おそらく下の形を警戒している」 「エスパニョールの1-4-3-2か」 「ただ、こうなる可能性は、ほとんどない」 「1点リードした10人のチームが前に2人残すとも思えんな」 「まあ、それを言うと、試合開始から1-4-3-1-2にするのも意外すぎる布陣だから、それが気になったのかもしれん」 「しかし、これまでのところ、グアルディオラは、わりと動きたがりやな」 「アイディアがあると、それを実行せずにはおれない気配がする」 「それはいいとしても、この試合では、チームがバタバタになってしまった感は否めない」 「それでも、アンリのゴールで追いつき、最後は微妙なPKを吹いてもらってバルサの勝利」 「めでたしめでたし」 「違うやろ」 「エスパニョールとしてはたまったもんじゃないな」 「特に、ハルケ、パレッハのセンターバックコンビは、前半は戦術ミスから、後半は1人足りないことからボコボコにされてながら、本当に良いプレーを見せてたから、気分的には同点で終わって欲しかったところやな」 「やっぱり、ペレス・ブルルを国際審判にするべきやな」 「だからそれは話が別だと」 「そういえばや」 「なんや」 「以前に質問で、ピケは右側にボールを蹴る癖があるのか?というのを頂いていたわけだが」 「ふむ」 「その可能性はある、というのを以下に述べて終わろうかと」 「ほほう」 「まず、ピケは、キックの後、バランスを崩す場面が多い」 「この写真はなんだ」 「ピケが蹴った後の体勢で、後ろや横に重心が傾いたり流れたりしている」 「ふむ」 「特に、右足にボールを持ち、正面に向いた状態から、左にパスコースを変化させた場合にバランスを崩すことが多い」 「それが右の写真か」 「そうやな」 「そうか」 「例えば、マルケスだとそのようなことはない」 「これは、二つとも正面より左にボールを出した後かね」 「見ての通り、片足できちんとバランスを保っている」 「この後の写真はないのか」 「なんでや」 「ピケの写真は、マルケスと比べて、時間的にもっと後の写真やろ」 「そうやけど、画面のスイッチの関係でないんや」 「残念やな」 「カメラの角度がなるべく一緒の絵も探したんだが、見つからへんかったんやな」 「結論として、ピケは正面を向いて、体の左側にパスを出す場合に、バランスを保ちづらい、ということか」 「これがゆえに、左右を比較して、右にパスを出す方が楽なのではないか、というのが一応の仮説だ」 「さよか」 「左様だ」 「あくまでも仮説か」 「仮説だ」 「そんなこんなで」 「また次回まで」 「ご機嫌よう」 「の前に、戦術問題の解答や」 「そうやったな」 「こちらからというとろころで」 「また次回」 「ご機嫌よう」
題材:スペインリーグ0809シーズン 第5節 エスパニョール 1-2 バルセロナ
両チームの先発は下のようであった。 エスパニョールの布陣は、バルセロナ対策として誤っている。 その理由を述べよ。 解答 スペースの関係をわかりやすくするために選手を縮小すると下のようになる。 1-4-3-1-2、もしくは、1-4-4-2菱形では、サイドにスペースが空きやすい。 バルセロナのサイドバックがボールを持った際、前に壁がない状態になり、ウィングへのパスが通りやすい。 この結果、メシ、イニエスタが周囲にスペースのある状態でボールを持つことが多くなる。 前を向いた両名を止めることは難しく、サイドから簡単に押し込まれ、ピンチを迎える。 試合前半、イニエスタのドリブルが非常に目立った。 スリートップ系のシステムは、ウィングが前を向いて仕掛ける時に最も威力を発揮する。 そこにボールを呼び込むティンティン・マルケスの布陣は誤っている。 エスパニョールの狙いは、前からプレスをかけることであった。 しかし、ブスケツ、シャビの点でボールが不安定化せず、そこからサイドにボールを回されると大穴が空く。 ここで、タムードがアウベスをマークすれ、シャビにバックパスのコースを与える。 今度は左サイドを止めようがない。 この試合で、ディフェンスラインにプレスをかけてミスを誘う、というコンセプトは無効であった。 また、一度ボールが落ち着くと、サイドの穴が大きな負担となった。 1-4-4-2で、ピケ、プジョルにボールを持たせる方が遥かに良い。 前半の両チームのデータを比べると、センタリングがエスパニョールの2、バルセロナは10。シュートは、3対9であり、バルサが大きく優位に立った。 またその数値以上に、バルセロナが圧倒していた。 エスパニョールの1点リードで、前半が終わったことは、稀な確率を引き当てた結果である。
「さて」
「バルサ対ベティスであるが」 「またバルサかね」 「毎週やっているような気がするが、とりあえず、これまでバルサ対策を2枚の絵にまとめておこうと思ってな」 「さよか」 「それに今回は、個人技術がメインといえばメインだ」 「先発はこう」 「この形で戦うなら、バルサがボールを持った時は下のように組むと良い」 「意味は後で考えるとして」 「自分達がボールを持った時は、こう組む」 「以上の二つが、一番わかりやすくバルサを困らせることができる」 「まず、バルサがボールを持った時の意味は下のようになる」 「一人のフォワードがマルケス前に立ってパスレシーブを妨害し、ボールを持たれた場合は前へのパスコースを切る」 「もう一人は、トゥレ、もしくはブスケツをマークする」 「こうすることによって、アビダル、カセレスにボールを持たせる」 「カセレスはプジョルでもよい」 「ここから縦、イニエスタに入るボールに対しては、サイドバックが背中から貼り付き削る」 「逆に、下のようになってはいけない」 「アビダル、トゥレにプレッシャーをかけた時、もしマルケスへのパスが出る状況であれば、カセレスに詰めない方がいい」 「わざとカセレスにパスを出させ、マルケスへのパスをコースを切りながら下がった方がよい」 「2点取られるまでのベティスは、マルケスをフリーにしすぎだった」 「何を考えてたんやろな」 「わからん」 「次に、ボールを奪った後は、下のように組む」 「後ろでボールを回す間に、前線に4人貼り付けるわけやな」 「そして、赤いゾーンへ、斜めに長いボールを入れていく」 「そこを第一の狙いにしながら、変化をつけていくわけやな」 「ちなみに、下のようになってはいけない」 「中盤に引いてきて、パスコースを多くつくる」 「普通の行動だが、今のバルサを相手にする場合は、飛ばした方が確実によい」 「後半のベティスを見ると、その意味がよくわかる」 「バルサが右サイドバックを上げ、マルケスを右に使う場合は、相手が下の二枚の絵のようになっているかどうか、というのにまず注目するとよい」 「これが大枠やな」 「そこから選手配置などを詰めていけばよい」 「一方のバルサはどうするかというと」 「右を上げないか、そこへのカバーを厚くする他ない」 「その点については、こちらというところで」 「お待ちかねの個人技編に移ろうかと」 「いや、お待ちかねではないと思うが」 「こちらから」 「どうぞ」
「さて」
「個人技術のお時間なわけだが」 「今日の題材は、マドリー対スポルティングから取ったものになる」 「下の流れで、白いチームは右から左に攻めており、今、一番右の選手から左へパスが出る」 「ボールコントロールの後、中に折り返す」 「コントロールからシュート」 「一言でいうと、長い壁パスのようなプレーであるな」 「ここで、ボールを中に折り返した選手、つまり、下の写真でボールを持った選手がどのような技術を用いたかを見る」 「最初のコントロールの後、セカンドタッチは次のようになる」 「ここで大切なのは、ボールを相手に向けて押し出していることである」 「下の状況において、ディフェンスは縦へのドリブルを切ろうとする」 「これに対し、ボールを相手に向けて押し出しすことで、ディフェンスは止まらざるをえなくなる」 「これにより、相手を受身にすることができ、先手を取ることができる」 「また、正対することにより、後ろから味方が飛び込むための時間を作り出すことに通じる」 「いわゆる、”間”と呼ばれるものやな」 「つまり、スペースではなく、相手に向かうことは、先手を取ると同時に、間を作り出す効果がある」 「正対した後は、次のようになる」 「相手の両足が整う前に、次の技を仕掛ける」 「この場合、体を左に傾けることで、縦への突破を見せ、それと同時に、股抜きを見せている」 「ディフェンスは、足を狭めて股抜きを防ごうとしている」 「しかし、真のパスは右方向に出る」 「ここでは、インフロントキックからインサイドによる方向変換技術が使われている」 「まず、下の写真から足を前に押し出せば、股の間を抜くパスが出る」 「しかし、そこで足首を前に押し出すことにより、パスの角度が変わる」 「非常に小さい動きでパスの方向を変えることができるため、相手は直前までその意図に気づかない」 「この場合、体を左に傾けていることで、より角度の変化がつけやすい」 「重要な技術であるわりに、習得も難しくない」 「最終的に、次の状態でボールが渡る」 「この時のパスは、スピードが非常に遅く、スペースに置くように出されている」 「これは、前に走る味方がなるべくコントロールしやすいようにするためである」 「前に走りながら、90度方向からのパスをコントロールするのは難しい。このため、パスのスピードはできるだけ遅い方がよい」 「理想的には、スペースで止まっている方が良い」 「パスを出した選手は、それを実現させるため、股抜きを見せている」 「相手が待っている状態の場合、その横を遅いパスで抜くことは難しい」 「パスカットの危険性が高まる。」 「しかし、下のように、足を閉じさせてしまえば、その横に遅いパスを出してもカットされる心配はない」 「つまり、股抜きのフェイントは、横に遅いパスを出す準備として使用されている」 「このプレーは、結果から逆算してつくられている」 「後ろから走りこむ選手に対して、スペースに置くような、なるべく遅いパスを出したい」 「しかし、遅いパスではカットされる危険がある」 「それを避けるために、股抜きで相手の足を逆に動かす」 「最後のイメージに向けて、プレーが作られていると見てよい」 「以上」 「真面目な説明終わり」 「えらい長かったな」 「こら読む方もしんどいで」 「なんにしても、結果のイメージからプレーを組み立てるというのは、大切やな」 「サッカーにおいて、一番大切な技術というかテクニックというか資質というか」 「プロとアマとか、上手い下手の差は、その差に起因する部分が大きい」 「例えば、将棋や囲碁でもそうやな」 「あそこに石が欲しい、とか、この形にしたい、と思ってから読んでいくのとそうでないのでは雲泥の差やからな」 「最後に一歩いるから今は打てない、とかやな」 「ひどい人間になると、読めてもいないうちから次の一手で勝てるのがわかるらしい」 「ほんまかいな」 「実際に見たことがあるからほんまやで」 「この場合、サビオラは、下の場面あたりで、最後のイメージが読めてたんかね」 「自分へのパスが出された瞬間か、そのあたりやろな」 「それで、後はそれに向けて詰めていくと」 「このプレーは、確かに詰め将棋っぽいな」 「相手方向にボールを押し出す、先手を取る、正対して間を作る、体を左に傾ける、股抜きを見せる、相手の足を動かす、パスコースを変える、遅い球を通す」 「実に論理的というかなんというか」 「ディフェンスに、対処法はあったのかね」 「股抜きフェイクに引っかかる振りをして、遅いパスを狙って足を出す、とかかね」 「ただ、それをやると、本当に股抜きをくらってボールに追いつかれてシュートを打たれる、というのが最悪やな」 「守備が、最も恥とする決められ方やしな」 「その辺はイメージとイメージの戦いかね」 「そんなこんなで」 「今回はこの辺で」 「おまけに、ラウールの蹴る直前までその意図が読めないシュートの映像がありますので」 「よろしければこちらから」 「というところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」
インステップのフォームから、浮き球を蹴る。
連続写真で見ても、蹴るまで、浮き球が来るとはわからない。 キーパーの重心の変化に注目すると、完全に裏を取られていることがわかる。 パスコースを変える技術において、異なるコースに蹴る際のフォームを極限まで同じにすることが重要であることを見た。 その点において、非常にレベルが高い。 |
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