週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
以前、インステップに少なくとも2つの型があることを見た。
一般的なインステップ クリスティアーノ・ロナウドのインステップ 前者は、弓なりにそり、それを前方へ動かす。 後者は、重心が上下へ楔状に動く。 この特徴から、それぞれを、弓型のインステップ、楔型のインステップと名づける。 弓型のインステップ 楔型のインステップ ここでは、2つの型による、より遠距離からのシュートを見る。 ・弓型を用いたロングシュート (クリスティアーノ・ロナウド、2009年9月30日、チャンピオンズリーグ、マルセイユ戦) -シュート地点 -モーション 腕を開く 右足着地、軸足(左足)の踏み込み開始 軸足着地 これは、一般的に見られるインステップのモーションである。 その点を明確にするため、前回のモイセス・ウルタドと比較する。 -比較 インパクトまでの動きは酷似しており、これは、クリスティアーノ・ロナウドのキックが、弓型のインステップであることを示している。 このキックを正面から見る。 手のモーションが大きく、振り上げた蹴り足が、軸足の外側から外側へ、弧を描くように動いている。 次に、別の選手の弓型インステップを使ったロングシュートを見る。
「さて」
「前回に引き続きレアル・マドリーのお話」 「その時の結論として、下のような図があった」 「マドリーは、サイドで走る選手が足りない、マルセロの守備がまず過ぎる、センターバックの組み立てが上手くない、といった点が問題となるであろう」 「ということを踏まえた上でセビージャ戦を見ると、えらいことになっていた」 「先発はこう」 「うむ」 「なんとも見事な配置になっている」 「左にグティ、マルセロの前にグティ」 「ただでさえ空きやすいサイドにグティを置き、守備の弱いマルセロと組ませる」 「その結果は、想像するだに恐ろしい」 「おまけに、その対面は、へスース・ナバスにコンコ」 「以前、アトレチコとの対戦でも出たように、セビージャはリーガで1、2を争うサイドの強さを誇っている」 「怖や怖や」 「というわけで、その恐怖を具体的に見ていこうかと」 「まさに怖いもの見たさやな」 「下の図において、ボールが白円で囲まれている」 「白がセビージャで、、黒っぽいのがマドリー」 「青い矢印の先にいるのがマルセロで、オレンジの先がグティ」 「ここから、ボールを持った選手がパスを出すと」 「下の状態になる」 「あら」 「なんかの魔法みたいやな」 「突然、サイドで相手選手がフリーになっている」 「何が起こったかを拡大して見てみると」 「レナトが浮かせたパスを出す」 「グティが右、マルセロが左にいるのだが」 「余裕で裏を取られ」 「キーパーと一対一」 「カシージャスがかろうじて防ぐ」 「すごいディフェンスやな」 「グティとマルセロの2人は、かけらの役にも立っていない」 「次に、マルセロ単体でのプレーを見てみる」 「例によって、白い丸がボールで、青い矢印の先がマルセロ」 「サイドへのパスモーションが入る」 「それに反応したマルセロだが」 「背中側を通され」 「裏を取られる」 「見事なやられぷりやな」 「まあ、ここは、パスを出したレナトが上手かったとも言える」 「いわゆる、表表変換が見事に決まっている」 「次に、マルセロ対ドリブルを見てみる」 「下の形で、へスース・ナバスがボールを持つ」 「マルセロが応対に出るが」 「下のようになる」 「また魔法か」 「へスース・ナバスにとって、マルセロの守備というのは紙のようなもので、典型的には下のような形で簡単に縦に抜けることができた」 「最後、マルセロのポーズがえらいことになっとるな」 「ドリブルに対して、まったく抵抗できていない」 「まあ、相手がへスース・ナバスでは仕方がない」 「次は、マルセロ対ポジショニング」 「ライン際で、アドリアーノが縦にパスを送る」 「それが前に通った直後が下の図」 「白いボールに対して、マルセロのポジションが明らかにおかしい」 「簡単に裏を取られ、ペナルティーエリア横に侵入を許す」 「最初のポジショニングがずれていたとしか考えられんな」 「これはいかなることかと」 「多分、前でボールに触ろうとして間に合わなかったとか、そういう感じなんちゃうか」 「次に、マルセロ対ミスタッチ」 「後ろを向いたマルセロがボールを持っている」 「サイドにボールタッチ」 「ナバスにからまれる」 「ボールをかきだされ」 「前に加速される」 「裏を取られてエリア横」 「イージーやな」 「色々とイージーやな」 「まあ、相手がナバスやし」 「自分のミスでボールを失って相手が誰もかれも関係ないやろ」 「まあそれはそうやけどな」 「この試合のマルセロは、酷いの一言に尽きる」 「しかしやな」 「なんや」 「酷い酷いと言うが、上の話なんか、全部ひとまとめにしても、次のプレーには勝てへんで」 「セビージャの先制点の場面か」 「ペロッティが内側にドリブル」 「この時、マルセロは青い矢印の先」 「以後、黒いユニフォームの一番上の選手がマルセロになりますので、その動きにご注目いただければと」 「ペロッティからサイドバックのフェルナンド・ナバーロへパス」 「もちろんドフリー」 「サイドハーフでもインテリオールでもなんでもいいから下がって来い、というのは置いといて」 「ナバーロがクロス」 「マルセロはボールに向けて動く」 「当然の反応やな」 「ところが、途中から様子が変わる」 「ここまでは正常だが」 「ここでいったん止まる」 「そして、右足を引き始める」 「一枚絵だとわかりにくいが、ぱらぱら漫画にすると明らかに後退しようとする様が見て取れる」 「結果」 「ナバスのヘディング」 「マドリーの失点と相成った」 「しかし、これは、ものすごいプレーやな」 「なにしろ、相手に競ることすらできていない」 「おまけに、競ってもいないのに最後は転んでいる」 「これは、後ろに下がろうとしたところにナバスが来て、あわてて前に行こうとして転んだと考えられる」 「おまけに、初期状態を考えると最終状態で体を合わせてもいないということ自体が不可思議である」 「最初は、明らかにナバスよりボールの近くにいる」 「最後はこう」 「前に入られ、自身はジャンプすらしていない」 「この状況では、後ろから手で抑えられて飛ばれ頭でやられる、というパターンがよくあるが、それならマルセロの体はナバスの前にないといけない」 「もう無茶苦茶やで」 「なんで、途中で後ろに下がろうとしたんやろな」 「多分、マルセロとしては、ボールをすかしてサイドに流して追いつき、前につなごうと考えたんやと思うで」 「それはそれで、ものすごい状況認識の甘さなんちゃうかね」 「こういうクロスに、相手のサイドが斜めに入ってくるのは常識中の常識ではある」 「酷いというかなんというか」 「まあ、プロのプレーではないわな」 「プロというか、高校生にしても酷過ぎるで」 「この得点を見たときは、目の前が真っ暗になって卒倒しそうになったけどな」 「多分、それはカシージャスが一番そうやったんちゃうか」 「凄まじいセーブで止めまくって、こんなアホなプレーで失点したらやってられんわな」 「おまけに、2点目もコーナーから、ゴール前、ドフリーでのヘディング」 「どのくらいドフリーかというと」 「なんとも形容のしようがない」 「見事なもんやな」 「ほんまに真面目に守るのがアホらしくなる」 「カシージャスもさすがにそう思ったのか、この失点の後、ポストを蹴るしぐさが見られた」 「それは珍しいな」 「彼は、ポストをゴールを守る仲間のように思ってるはずなんやけどな」 「そら、仲間を蹴ったらあかんな」 「でも友達は蹴る」 「サッカーとは不思議なものであるな」 「なんにせよ、この試合は、弱いサイドをさらに弱くするとどれだけ悪いことがおこるか、という見本であった」 「問題点がすぐに火達磨になるあたり、マドリーはさすがやな」 「ネタの回収が早い」 「ちなみに、ここではマルセロを主に見てきたが、相方であったグティもなかなか破壊的なプレーぶりだった」 「まさに、彼のエッセンスを凝縮したプレーが随所に見られた」 「そんなこんながそのうちに上がるとは思いますが」 「今回はこの辺りで」 「また次回」 「ご機嫌よう」 おまけ:選手変化
キックのほぼ同じ段階を並べる
以上より、最初に述べた以下の結論が得られる。 クリスティアーノ・ロナウドのインステップ 縦に潰れるように反りをつくり、上半身をほとんど引かない。 そこから肋骨下側を急激に折り、キック後は上へ跳ねる。 よく見られるインステップ 上半身、下半身で弓状に反る。 反りを逆にするように全体を動かす。 比較 前者は、上下の動きが強調され、後者は横への動きが強調される。 前者は、以下の特徴を持つ。 歩行からの接続が自然である 小さな動きで打つことができる 小さなスペースから打つことができる シュートにタイミングを合わせづらい 地表面の影響を受けにくい キックにおいて、軸足がすべると失敗する。 横の動きが大きいほど、地表面の影響を受けやすく、すべる可能性が高まる。 ビジャレアル戦において、同じ系統の動きから、より軸足側へ蹴る例が見られる。 また、参考のためにカカーのインステップを置く。 以上の続きとして、遠距離からのインステップキックがある。 |
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