週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
*この文章は、こちらのコメントを元に書かれています。
映像出典:宇佐美 貴史 5人抜きドリブル ここから、2人の守備者の間にコースを取る。 これは、スラローム的行動である。 左に切り返す。 この時、ボールは、守備者の右足やや外側へ動いていると思われる。 スラロームよりの正対ともいえるし、正対よりのスラロームともいえる。 手前の守備者が左足に体重を乗せた横を抜ける。 ここでのコース取りは、完全に正対である。 守備者に対して真っ直ぐ進むことで、2対1を強要している。 左へ切り返し。 この後、左側の守備者へ進む。 このコース取りも正対である。 上の図において、守備者は両足をそろえ腰を落としている。 これは、正対から左右に選択肢が存在するときの典型的な反応である。 この場合、保持者から見て左にパス、右にドリブルのオプションが存在する。 この後、正対を基調としてプレーするなら、例えば、下のようなコースを取る。 ここから左右に抜いた場合、下のような位置からシュートを打つことができると考えられる。 実際には、下のように動いている。 進入正対を行おうとした可能性も残るが、全体として中央の守備者を避ける方向であり、これはスラロームに分類される。 サッカーにおいては、ペナルティーエリア付近、ゴールに近い地点ほど正対することが重要になる。 正対することで、自らスペースを無駄にすることがなくなり、また、守備者を抜いた後に余裕ができるため、シュートを決めやすくなる。 スラロームを行った場合、角度を苦しくしながら、スピードを上げなければならない。 これはこれまでに見た通りである。 上の素晴らしいプレーが、最終的にゴールとして完結しなかった大きな要因は、最後の段階でスラロームを行ったためだと考えられる。 正対とマラドーナの5人抜き
*この文章は、こちらのコメントを元に書かれています。
ロナウドは、ボールが近い距離にある時、準備動作をはっきり行う 次の図では、中央右下の黄色い選手がロナウドである。 中央上側で、2人の選手がハイボールを競り合う。 軽く飛んで沈む準備動作が見られる。 次の例では、画面左上の黄色い選手がロナウドである。 ボールの接近に従い、連続的に準備動作を行っている。 次の例は、ロナウドが、小さな準備動作により動き出すことが可能か否かに関するものである。 右側中央の黄色い選手がロナウドである。 コクの後ろに投げるフェイントに釣られ、右に動き出している。 ここで最初に前へ動き出す準備動作は、十分に小さいものであると考えられる。 次は、準備動作の見られない例を見る。 右下の黄色い選手がロナウドである。 下の図から、方向を変えながら前に加速する。 足は前後に開いており、軽く飛んで両足を揃えるような動作は見られない。 おそらく、ロナウドは、ボールが遠く、前方に十分なスペースがある状況では、あまり準備動作を行わないものと予測される。 その理由は、前方へ走りながらの急激な方向転換に自信を持っているためだと考えられる。 以下はその例である。 左端の黄色い選手がロナウドである。 キーパーのキックに対し、急激に方向を変えている。 ロナウドは、ボールが近い距離にある時、細かく準備動作を行う。 また、動き出しは十分に小さい動作で行うことができる。 推測として、前方に十分なスペースがある時、直進しながら方向を変えようとする。 これを書くにあたって参考にしたのは、1998年ワールドカップのブラジル対オランダ戦、96-97シーズンの5対4でバルセロナがアトレチコに勝ったコパ・デル・レイ、ロナウドがハットトリックを決めたバレンシア戦である。 これは、予備動作を行わずに動き出すことがあるとすれば、膝を怪我する前の方が可能性が高いと考えたためである。 ・おまけ 下がりながら方向を変え、前にダッシュするロナウド 前方へ走るロナウドのフォーム 正対と宇佐美貴史5人抜きドリブル
一般に、ボールを「トラップ」する際、接触する足を引くように教える。
これが完全に間違いであることを示すと共に、正しいコントロール法を見る。 -正しい動きと間違った動きの比較 ・正しいコントロールとは 正しいコントロールは、以下の要素で構成される。 -正しいコントロールの要素 ・地面と足でボールを押さえる ・逆回転の重要性 ・足首の変形 ・重心移動 これらを用いることにより、足を引く動作では絶対に得られない、様々な利点が得られる。 -正しいコントロールの利点 ・勝手に止まるメカニズム ・方向の変化 ・次のプレーへ移る ・接触時間、バランス ・見合いとコントロール ・まとめ 次に、間違いである引くトラップと正しい方法をシュートの場面で比較する。 -コントロールの違い、引くトラップの問題点 ・シュートへつなぐコントロール、問題編 ・シュートへつなぐコントロール、正解編 ・印象の理由 ・引くことの嘘 以上のように、引く動作ではボールをコントロールすることができず、それを行う選手は例外なく下手である。 次のような、誤った指導は根絶されなければならない。 -誤ったトラップ論 誤った指導法、パター型と引くトラップ 嘘の言い分、現実を理屈に閉じ込めること 引くトラップとパター型インサイドの嘘は、共に間違った理屈に現実を無理やり押し込むことから生じている。 また、蛇足ではあるが、コントロールにおいても、最も大切なことは正対である。 コントロールの方向、距離、回転を決めるものは、次のプレーのアイディアである。 そのアイディアの中に正対が入っていなければ、どんなに上手くボールをコントロールできたとしても、結局は下手なプレーを繰り返すしかない。 この点は、注意が必要である。 *続き:空中にあるボールのコントロール
これまで、トラップにおいて引くことが誤りであることを見てきた。
引くことを中心とする限り、本当にボールをコントロールすることはできない。 ここでは、なぜそのような嘘が広まっているのか、その理由を見る。 以下の話がよくわからない場合、「正しいコントロールとは」からお読みいただきたい。 一つには、その方法にもっともらしい理屈がくっついていることによる。 「ボールを止めるためには、その運動量をゼロにすればよい。そのためには、力を一定時間加えればよく、一定時間力を加えるためには一定時間ボールと接触する必要がある。それを達成するには、ボールの動きに合わせて足を引けばよい」 これなどは、その代表的なものである。 しかし、サッカーにおいては、コントロールに時間をかけない方が良い。 時間がかかればかかるほど、次のプレーに移るタイミングが遅れるし、例えば相手との接触にも弱くなる。 そこを突き詰めるのが、技術的な探求というものであり、最初から時間をかけることを前提としたメカニズムを採用しては話にならない。 また、これの派生として、次のような理屈も良く聞かれる。 「ボールと足の衝突において、反発係数eを小さくするほど止めやすくなる。そのためには、足をリラックスさせれば良い。トラップにおいては脱力が極めて重要である」 これは、言われるまでもなく、ほとんどの選手が感覚として承知していることである。 しかし、間違った理論では次のような結論に到る。 「上の二つを組み合わせれば、ボールはより良く止まる。つまり、足をリラックスさせて引けばよい」 接触面付近を操作により意図的に引くことは、その周辺の筋肉を周辺を緊張させることにつながる。 これは、以前に見た通りである。 その結果、ボールが足から離れやすくなる。 反発を抑えるという方針は正しいが、引くという動作と組み合わせることにより実行上の困難をともなった理論となる。 このような間違いが起こる原因は、物理の教科書にあり、運動量と反発係数が一般的に隣り合った章で扱われることによる。 また、これらの理論の大きな問題は、物体を点とみなす、いわゆる質点系の議論を現実に持ち込んでいる点にある。 正しい方法では、ボールが丸いこと、下に地面があることを利用してコントロールを行う。 ボールが丸いからこそ、上から押さえてそのまま下に足を下ろすことが可能であり、その過程で逆回転がかかる。 下に地面があるからこそ、足との間にボールを挟んで勢いを殺すことができ、足首の柔軟性を十分に活用することができる。 ボールと足を点とみなし、それが横に動くことだけを考えただけでは、これらの要素は完全に抜け落ちる。 これは、いわゆる「科学的な説明」において常に注意すべき点である。 「科学的」もしくは、「物理的」な説明においては、現実をある種の単純化したものに置き換える、いわゆる「モデル化」と呼ばれる作業が行われる。 その段階で重要な要素を落としてしまった場合、後の理論がいかに正しくても一切意味がない。 しかしながら、「科学的」な議論を行う時、現実の雑多な要素を正確にモデルに取り入れることは非常に難しい。 このため、ほとんどの場合、理論化の過程において「現実の理屈への押し込み」という現象が起きる。 これは、現実に起きている要素のうち、自分が取り扱うことのできる要素だけを拾い上げて議論することである。 すなわち、自分の扱うことのできない部分を捨て去り、可能な部分だけを取り出して議論し、わかった気になるというものである。 この方法は、非常に広く行われている反面、極めて危険であり、一歩間違うととんでもない珍妙な理論が出来上がる。 そして、それに対抗するものがない状況では、嘘が大手を振ってまかり通ってしまうことがある。 今ではどうかわからぬが、以前は、日本において、以下のような理論が本当に存在した。 「運動方程式は、時間の反転に対して不変である。よって、ある運動が存在すれば、逆回しの運動も起こりうる。止まっているボールを動かすのはキックである。動いているボールを止めるのはトラップである。つまり、キックの反転動作がトラップである」 これは、前回に見た、キックの逆がトラップであるという主張を補強していた。 これを進化させたバージョンは、次のようになる。 「ラグランジェアンが時間の反転に対して不変ならば、そこから導かれる運動方程式も時間の反転に対して不変である。よって、ある運動が存在すれば、逆回しの運動も起こりうる。止まっているボールを動かすのはキックである。動いているボールを止めるのはトラップである。つまり、キックの反転動作がトラップである」 まことに恐るべき理論である。 しかし、現実に、下のような過程でボールは止まり、それがピッチ上で日常的に行われている。 この逆回しでキックを蹴る選手がいるとは思われない。 「そのようなトラップは誤っている。理論的にキックの逆回しが正しいのだから、それが正統である。誤った現実は正さなければならない」 頑固な原理主義者ならこのように主張する可能性もある。 しかし、理論的に見ても、コントロール動作において時間反転に不変なラグランジェアンを仮定する根拠は一切なく、その主張自体に何の意味もない。 ごく素朴に見て、トラップはキックの反対ではない。 これは、普通にサッカーをプレーする子供なら、自然に持つ感覚であろう。 ところが、それを上のような理屈を振りかざして押しつぶし、引くトラップを強要していた時代が本当にあったのである。 そして、おそらく、前回の例から推察して今も一部でこれは続いている。 完全な現実の理屈への押し込みであり、このような無茶は、基本的に不幸しか生まない。 これまで、様々な「科学的」な技術論や動作論が生み出されてきた。 しかし、それを取り入れるか否かについては、非常な注意が必要である。 そうでなければ、結局、一つの嘘を別の嘘で置き換えただけで終わる。 選手の正しい感覚を、嘘の理屈で上から潰すことだけはあってはならない。 次に、コントロールに関する目次を見る。
これまで、足を引くトラップが嘘であり、それでは本当の意味でボールをコントロールできないことを見た。
しかし、引くことでボールを止めようとする行動は、世間一般に流布している。 それは、間違った指導論が蔓延しているためである。 その一つとして、キックとトラップを関連づけたものが存在する。 その説くところは次のようである。 「止まったボールを動かすのがキックである。動いたボールを止めるのがトラップである。つまり、キックの逆動作がトラップである」 ほとんど笑い話のような主張である。 しかし、これは、かつて本当に実在した「指導論」である。 この主張は、パター型のインサイドと組み合わせて用いられることが多い。 キックをパター型で蹴り、その逆動作のようにトラップを行う。 例えば、キックを下のように蹴る。 蹴り足の膝を横に大きく開く、典型的なパター型である。 この蹴り方は、完全に嘘の蹴り方であり、練習すればするほどサッカーが下手になる。 この点の詳しい説明は、「正しいインサイドキックとは」をご覧いただきたい。 この選手のトラップは下のようになる。 最初に、足をボールに対して大きく差し出す。 これはそこから足を引いて止めようとするためである。 いわば、パター型の逆回しである。 この動作により、自らバランスを崩した状態になる。 次のトラップも同様である。 前の例と同じく、足を大きく前に差し出している。 一度この体勢を取ってしまうと、次の行動に素早く移ることが非常に難しくなる。 この点は、これまでに見た通りである。 また、この選手は、横から来たボールを前に持ち出すとき、次のようなトラップを行う。 動作上の特徴は、ボールとの接触にあたって、膝を大きく外に開くことである。 これを行うと、足の軌道は模式的に下のようになる。 足を斜めにすることで、接触面を斜めに向け、同時に、足とボールをなるべく平行に動かすことで衝突をやわらげようとする。 ほぼ同じ動作を、以前、別の選手で見た。 この白い選手は、以下のように、足をボール方向に差し出し、それを引くトラップを行う。 同じ選手のインサイドキックは、次のようになる。 典型的なパター型である。 上の2人は、パター型のインサイド、引いて止めるトラップという共通した技術的特徴を持つ。 これは、子供の頃に誤った指導を受け、それを信じたためである。 その時の指導は、おそらく、「インサイドはパターのように蹴りなさい、そして、トラップはその逆として行いなさい」というものであったと想像される。 結果として、両者ともに技術的に非常に低いレベルに留まっている。 パター型で蹴る以上、パスが下手にならざるをえず、引いて止める以上、ボールを本当の意味でコントロールすることはできない。 このような選手を下手にするだけの指導は、即刻止めるべきである。 上の形で下手になった場合、責任は嘘を教えたコーチ、もしくは周囲の大人にある。 一方で、世の中には嘘の指導論を正当化する「科学的」な説明が存在しており、これが混乱に拍車をかけている。 次にそれを見る。 |
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