週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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前回は、斜め上からくるボールをインサイドでコントロールする例を見た。

ここでは、より低い位置で空中にあるボール、いわゆるライナー性のものをコントロールする例を見る。


プレーの全体は以下のようになる。

左上の選手が右へパスを送る。


















コントロールの拡大図は次のようになる。





































ここでの特徴も、意図的な操作が一切ないことである。







軽く飛び、面を作った状態でボールが当たるのを待っている。
非常に受動的な動作であるといえる。

この場合も、選手側に操作の余地は十分にある。
例えば、膝から下を引いたり、膝を開くことによって、インサイドの面を後退させることは可能である。




さらにこの場合であれば、以前に見たように、膝を外に開きながら伸展させ、ボールと足を平行気味に動かすことも可能である。



ここでは、そのどれも行われていない。
この例も、操作可能な状態であっても、それをせず受動的な接触でボールをコントロールすることが可能であることを示している。

ここまでに見た例は、どれも一般に信じられている「引く」という動作と無縁である。
無縁であるにも関わらず、そのように認識されることは少ない。

次回は、その理由を見る。
前回まで、意図的な操作が難しい状況でのコントロールを見た。
ここでは、より操作の可能性のある状況でのコントロールを見る。

まず、斜め上からくるボールをインサイドで扱う例を見る。

画像元 Zinedine Zidane - Trick and Skills with Zizou ball Control (0:44)





























このコントロールの特徴も、まったく操作がないということである。
接触の直前から接触までは次のようになる。





この間、接触面を引くような動きは一切見られない。

この場合、前回とは異なり、選手側に操作の余地は十分にある。
例えば、膝から下を下に引いたり、膝を開くことによって、インサイドの面を後退させることは可能である。




しかし、そのような操作はまったく見られない。





接触面をつくり、ボールが当たるにまかせている。

この例は、操作可能な状態であっても、それをせず受動的な接触でボールをコントロールすることが可能であることを示している。

次に、より低い位置で空中にあるボール、いわゆるライナー性のものをコントロールする例を見る。
前回まで、意図的な操作を行わずにボールをコントロールする例を見た。

ここでは、そのメカニズムを考える。

通常、ロングボールを扱う場合、ボールの速さの方が人の速さよりも大きい。



図において、ピンクの矢印はボールの速度を、オレンジの矢印は受け手の速度を概念的に表している。

接触直前において、両者の速度は大きさが異なり、向きもずれた状態にある。



ボールとの接触が起こると、足先の変形が始まる。
この時、足先とボールは接触を保ったまま前方に動く。
その過程において、ボールは足先から進行方向と逆方向の力をうけ減速していく。



最終的に足先の変形が限界に達する。



この時、足先とボールはほぼ同じ速度と考えてよく、また、足先は変形の限界にあるため、体に対して静止しているとみなしてよい。

結果として、体全体の速度と、ボールの速度がほとんど一致した状態になる。
これは、両者の相対速度がゼロに近いことを意味している。

ここで接触が終われば、その後の体とボールの間の距離はほとんど変わらない。







現実として、両者の距離はほとんど変わっていない。
相対速度がゼロに近いことは、選手から見てボールが止まっていることを意味しており、次のプレーに移りやすい。

この過程が起こるために重要なことは、ボールと足先がある時間、一体化して動くことである。
そのためには、足がボールに伝える力は弾性的あることが望ましいと考えられる。
つまり、接触の最初においては非常に小さく、変形の増大とともに大きくなるような力である。

それを示唆する次のようなコントロールがある。(1:35)

画像元 Zinedine ZIDANE trapping compilation - christinayan





















このコントロールも受動的である。
その特徴は、ボールとの接触後、足首から先に振動が見られることである。
振動は静止画では判別しづらいが、連続表示、もしくは元動画の1分35秒より確認可能である。

そのような振動は、足の末端部分が緊張から開放されていない限り発生しないと考えられる。

また、振動が起こることは、なんらかの弾性的な力が働いていることを示している。

これまでに見たコントロールが現実に行われていることから推察して、足の末端部分が緊張から開放されてボールと接触する場合、受動的なコントロールが成功する要件が自然に満たされると考えられる。

次回は、これまでよりも意図的な操作が可能な状況におけるコントロールを見る。
前回まで、意図的な操作が困難な状況においても、受動的な接触によりボールがコントロールされうることを見た。

ここでも同様の例を見る。

画像元
Dennis Bergkamp vs Argentina 1998 WC As Seen On American TV

まず、画面左上の選手が画面右へ長いパスを出す。



これを、ペナルティーエリアの縁でフォワードがコントロールする。



コントロール過程の拡大図は以下のようになる。

















































前回までの例と同様、選手は足を前に置いて飛んでいるだけであり、ボールと接触する部分周辺の操作は見られない。

緩衝の様子は以下の二つの図にあらわれる。




足先がボールの進行方向へと変形していることがわかる。
ここでも前回までの例と同様、受動的な接触が行われている。

その直後、足とボールは離れた状態にある。



これは、それ以降ボールに対する操作が不可能であることを示している。

このコントロールの特徴は、接触の後、体とボールがほぼ同じ距離を保つことである。






















足を伸ばしてコントロールしたボールが、地面についた後、足を伸ばして切り返しができる位置にある。




これは、それまでの間、ボールと体が近い速度で動いていたことを示している。
もし、体が動いているのに、ボールが止まっていれば体は前に行き過ぎ、逆であれば、ボールが前に行き過ぎる。

接触の後、ボールと体がつかず離れずの距離を保ったことが、次のプレーへの移行を容易にしている。

これは、以前に見たコントロールでも同様である。






確かにつかず離れずの距離を保っている。

次の例は、ボールの方が体よりも遅い。このため、接触後、体に近づいていく。









それでも、次のプレーに移行可能な範囲に収まっている。






動きながらコントロールにおいては、ボールを地面に対して止めるのではなく、接触後、体と同じ速度にすることが重要であることが多い。

そうなれば、選手から見てボールが止まっている状況になり、次のプレーに移りやすい。

これまでに見た例においては、

コントロールにおいて意図的な操作を行う必要はない
足先、足首の変形によりコントロール可能である
接触後、体とボールの速度差が小さい状態に移行可能である

ということが言える。

次に、このようなコントロールにおけるメカニズムを考える。
前回は、空中にあり背後から来るボールをコントロールする例を見た。

以下に、同様のプレーを見る。

画像元 Zinedine ZIDANE trapping compilation - christinayan(1:30~)



































緩衝の様子は、以下に見られる。





接触から足とボールが一体化し、その後、足首が伸展する様子がわかる。




このプレーにおいても、ボールとの接触にあたって、意図的な操作は見られない。
むしろ、操作が見られるのは、ボールと接触するずっと以前である。





以上の過程において、膝から下を持ち上げ、ボールと接触に適した面をつくっている。
これは意図的に行われている。
しかし、その後はその体勢を保ち、ボールが当たるのを待っているだけである。






ボールとの接触を待ち、ボールに押されて足首が伸展するに任せている。
前回同様、非常に受動的な接触が行われている。










このような接触により、ボールは次のプレーが可能な状態に移る。
















これまでの二例は、意図的な操作が難しい状態でもコントロールは可能なこと、受動的な接触によりボールがコントロールされうることを示している。

次回は、同様の例で有名だと考えられるものを見る


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