週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
芸風は100%つっこみ ~きれるイケル君~ (2004.10.20) その昔のレアル・マドリーの芸風は一人ボケ、一人ツッコミだった。 例えば、ラージョ・バジェカーノ(マドリーのチーム、弱い)との対戦で、二点リードされ、一点差に迫ったと思ったら一人退場者を出し、その後いきなりやる気を出して2-3と勝利したのが好例である。 一人でボケておいて、事態が悪化するや必死にそれをカバーする。 これが一つの味になっていた。 時代は流れて、去年からのマドリーはマジボケと呼ばれる芸風に姿を変えた。 なにしろボケがマジなものだから、後でツッコミでフォローしようとしても間に合わない。 関西方面では、マジボケは恥ずかしいものであるとの認識があるが、それが昨シーズン後半に引き起こされた崩壊劇の真相だった。 今年のプレシーズンからのマドリーの動きを見ると、サムエル、ウッドゲイトの獲得、ボランチで先発するセラデス等に見られるように、前線のボケをなんとか後ろでカバーする方針でチームを運営してきた。 しかし、昨日のディナモ・キエフ戦では、試合開始から、中盤の底にジダン、グティをボランチに並べた。 攻め(ボールを持っている時)をツッコミと考えると、この二人のツッコミ指数はほぼ100%である。 しかしながら守備(ボールを持っていない時)のこの二人はボケボケもいいところで、世に言うWボケに他ならない。 それが計算されたボケならば問題ないのだが、二人とも本気なのが困りもの。 昨日の試合ではディナモのディフェンスラインからパスが一本サイドに出るとドフリー。 簡単に前に進んで中にパス、ドフリー。 ボランチが守備に来ないもんだから簡単にシュートにつなげて、イケルがパラドン。 トップレベルの試合では在り得ないはずのシーンが何度も繰り返された。 要するに、キエフ戦のマドリーは、100%ツッコミのマジボケ。 ボールを持てば、ほぼ完璧につなぎ、相手をてんてこ舞いに躍らせることができる。 しかし、それを失った瞬間、小学生並みの守備組織しか持たない。 スーパーセーブを連発し、チームを救い、ヒーローであったはずのキーパー、イケル・カシージャスが試合後、不満を前面に表し文句を呟きながらピッチを後にしたのは印象的な姿だった。 あるテレビ局は、「彼は奇跡を起こすことに疲れている(エスタ・カンサード・デ・アセール・ミラグロス)」と言っていたが、確かにそうなのかもしれない。 しかしながら、ファンとして試合を見るならば、この日のマドリーの方が面白いような気もする。 とにかくボールを持ったら最強で、それをなくしたらゴメンなさい。 で、後は、シュートミスを祈るのみ。 そのすっきりとした男前な姿の方が、攻めるか守るかはっきりとしない、どっちつかずのマドリーよりもマドリーらしいと思われる。 苦労を一身に背負うであろう、カシージャスには申し訳ないのですが。 (2021/08/19) インタビューにて思う (2004.10.13) スペインではサッカーがナンバーワンスポーツであり、テレビで選手のインタビューが流れる時間は長い。そしてそのインタビューは大概スペイン語でなされる。当たり前ですが。 スペインではインタビューに字幕をつけない。例えば、日本では、ほんのちょっと発音が不明瞭だっただけで、ご丁寧に字幕がつくが、ここでは一切そのような努力は行なわれない。 例えばプジョルがカタラン(カタルーニャ語)でインタビューを受ける時にはちゃんとテロップが流れるが、本人がカステジャーノ(いわゆるスペイン語)を喋っている、とみなされた場合には必ず文字無しで放送される。 一瞬聞くと当然のような気がするのですが、スペインリーグにいる選手はなにもスペイン語を母国とする選手ばかりではない。 インタビューが聞き取りにくい選手は数多くおるのですが、その中でもポルトガル語圏、とくにブラジル人のスペイン語は抜群にわかりにくい。 ポルトガル語とスペイン語は似ているらしく、マドリードからリスボンに一年間出張していた人が、最後までまともなポルトガル語を覚えずに押し通して帰ってくることができる位のものである。 この似ている、ということが曲者で、スペインに来たポルトガル語の人間も、何となく言葉が通じてしまう為に、何年たってもポルトガル風カステジャーノを喋りつづける。 例えば、ホームを意味する「カサ」はどう聞いても「カザ」だし、プレーするを意味する「フガール」は「ジュガール」にしか聞こえない。 この微妙な単語の違いに、ブラジル風ポルトガル語のやや不明瞭な発音が加算されると何がなんだかさっぱりわからなくなる。 個人的にいくらインタビューを聞いてもサッパリわからなかったのはジャウミーニャ。 デポルティーボで監督のイルレタに頭突きを食らわせた元清水エスパルスの選手であるが、そのフニャフニャとした音と非常に多い摩擦音のお陰でカステジャーノがさっぱりカステジャーノに聞こえない。 彼の言っている事は半分ぐらいしかわからなかったのだが、その言葉の80%近くがわからなかった謎発音の第一人者はドナト。 ドナトと聞いてすぐに顔が思い浮かぶ方は結構なリーガマニアだと思うのですが、年を経て渋みを増した正方形のモアイのような顔をした元デポルティーボの選手で、その四角い体と見た目からマウロシウバと区別がつかない、と言われたものであります。 この人はブラジルで生まれながら「神のお導き」で1990年にスペイン国籍を取得、スペイン代表としてもプレーしている。 つまり彼はスペイン人なのだが、その喋るスペイン語は極めてブラジル風であり、非常に聞き取り難い。 これは自分の言語能力が不足している為だと思っておったのですが、ある日、スペイン在住十数年、公立語学学校のニベル5(最上級クラス)を卒業し、バスク語も勉強している語学堪能な人にこの悩みを相談したら、 「あら、そんなの私だってわからないわよ」 と軽く一蹴されてしまった。 サッカー仲間のスペイン人に聞いても皆、「マス・オ・メノス(大体)わかる」としか答えなかった。 となると、果たして公共電波にのったドナトのインタビューは一体どれほどの価値があったのか、悩みは尽きない。 さらに上の人物から、ドナト以上に意味不明なスペイン語を喋る人物がいると聞いた。 それはジオバンニで、バルセロナにいた長身のトップ下、マドリードとのデルビでゴールを決めたのをハイライトに、尻すぼみに活躍がなくなりオリンピアコスに移籍した選手を指す。 そんな彼も当然?ブラジル人であり、彼のインタビューにはさすがのスペインのテレビ局も字幕をつけたのつけなかったの、という伝説が残る程の人物である。 とは言え、ブラジル人全てが謎の発音をするわけではない。個人的に最もわかりやすいスペイン語を喋っていたのはデニウソンで、流石にスペイン人女優と浮名を流しただけのことはある、と一人合点したことがある。 考えてみるとマドリードにいるロナウド、ロベルト・カルロスの言葉は相対的に聞き取りやすい。 ジャウミーニャ、ドナトはポルトガル語の基礎になったといわれるガジェゴ(ガリシア語)を喋るラ・コルーニャの選手だし、ジオバンニはカタランのバルセロナにいた。 バルセロナに居たオランダ人達が軒並み不可思議なカステジャーノを喋っていたことを考えあわせても、環境の影響だと考えられなくもない。 セルタ・デ・ビゴ(ガリシア地方のチーム)に居たエドゥ(ブラジル人)は結構わかりやすいのですが。 (2021/08/18) リーガの選手は悪食か? (2004.10.06) 本日お昼のニュースで、「カメルーンに帰っていたエトー(バルセロナ)が、ガストロエンテリティスで倒れてパリの病院へ運ばれた」という、一瞬聞いただけでは何のことやらわからないニュースが飛び込んできましたが、今回は謎のガストロエンテリティス(Gastroenteritis)について考えてみようかと。 Gastroenteritisを辞書を引くと胃腸炎、となっているのですが、なんとなく腹痛の凄い奴のような気がする以外、その真価がわからない。 そこで、困った時にはインターネット、ということで検索してみると、 --- http://mmh.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?url=106/s106.html 胃腸炎とは、通常は感染によって起こる、食欲不振、悪心、嘔吐、軽症から重症までの下痢、けいれん、腹部の不快感などをもたらす一連の症状に対する一般的な用語である。(以下略) ▲診断 胃腸炎の診断は通常は症状だけで明白だが、原因はそうではないことも多い。時には家族の他のメンバーや同僚が、類似の症状で最近病気のこともある。また、冷蔵庫から出して長時間放置してあったマヨネーズや生の魚介類などのような、十分に加熱していなかったり、腐敗していたり、あるいは汚染された食品を病気の原因として突き止める場合もある。最近の旅行、特に海外旅行が手がかりとなることもある。(以下略) --- とある。 おそろしく範囲の広い病気である。 個人的に、昔から、これにやられるスペインリーグの選手がやたらと多いような気がしていたので、www.marca.es の下を、 gastroenteritis で調べてみる。 とすると、出るわ出るわで60件もひっかかる。 これが多いかどうか、時間範囲を確定しないとなんとも言えないのだが、この10月の分だけで、少なくとも、ディエゴ・トリスタン、エトー、アイトール(レクレアティーボ)の3人が被害にあっている。 今は10月6日なのだから、なかなかのハイペースである。 日本でサッカーをしている時は、そんな病名で試合を休む人間を聞いたことがなかったのだが、はたして自分に目が付いていなかったのか、それともただの腹痛で片付けられていたのか、はたまたスペイン特有の症状なのか、サッパリわからない。 さらに気になってスペインの医療関係サイトを調べてみると、 「ガストロエンテリティスの予防法」というページがあり、一部を抜粋すると、 -- http://www.tdh.state.tx.us/ideas/factsht/gastrosp.htm ・常に手を洗いましょう 食べ物を用意する前 トイレの後 ・生肉は避けましょう、火を完全に通すこと ・バクテリアが成長しないように、冷たい食べ物は冷たく保ち、温かい食べ物は熱しましょう ・生モノに触れたまな板、調理用具は綺麗にしてから使いましょう -- 等々、小学校のクラス目標のようなことが延々と書かれている。 そう言えば、日本語の胃腸炎の説明にも「腐敗していたり、あるいは汚染された食品」云々と書いてあった。 ならば、これで多数の選手が倒れるスペイン。 リーガの選手は恐ろしい割合で悪食なのであろうか。 しかしながら年に数億稼ぐ彼らがそんなわけもない。 かくなる上はどんな病気も説明してしまう万能単語、「ストレス」に因を求めるしかないような気もするが、それなら、日本でももっと選手が倒れてもいいような気がする。 となると、やっぱり彼らは悪食である、のであろうか。 真相は藪の中であります。 (2021/08/16) ひまわりの種 (2004.09.29) 最近フラーレンサッカーニュースに、「ひまわりの種をつまむカシージャス」という話題があったのですが、あれを読んで、「そうか、スペイン人はあの固いひまわりの種を丸ごとばりばりと食べるのか」と納得してしている人がいるとかいないとか。 もちろんそんなことはございません。梅干の種をわると柔らかい部分があるように、ひまわりの種も歯で外を割り、同じような部分を食べるのであります。 なれない日本人がこれをやると、薄い殻が歯と歯の間に挟まったり、殻のかけらを食べたり、様々な障害が起きるのですが、子供の頃から修行をつんだスペイン人は抜群に上手い。 前歯の間にひまわりの種をはさんだ、と思う間もなく一瞬で縦に殻を断ち切り中身を吸い出してカスを吐き出す。 正に一瞬の間に行なわれるこの動作は、芸術的ですらある。 このピパスと呼ばれるひまわりの種は、映画におけるポップコーンよりもサッカー観戦の必需品で、スペイン人が立ち去ったシートの下には山のような種の殻と銀紙が転がっているのが常である。 ちなみにこの国では、「観戦料に掃除代も含まれている」と思われているので、「来た時よりも美しく」といった観念は一切通用しない。 それはさて置き、カスと共に残される銀紙はボカディージョを包むために使用される。 ボカディージョとはわりかし知られているスペイン風サンドイッチで、日本で一般にフランスパンと呼ばれる適当な長さのスペインパンを水平に切断し、その間に任意のものを挟んだ食べ物を指す。 任意といっても、もちろん食べ物を挟むわけで、一般にはトルティージャ(スペイン風オムレツ、またの名をトルティーリャ)、ハモン(生ハム)、ケッソ(チーズ)が用いられる。 バルと呼ばれるスタンディングバー兼居酒屋に行けば、ローマ風イカと、よくわからない名前のついたイカのリングフライを挟んだものや、ボケロネスというカタクチイワシの酢漬けサンドもよく見るが、サッカー場ではあまり見かけない。 以前、プレー中のカシージャスに様々なものが投げつけられる事件がありましたが、スペインの必然として、銀紙に包まれたボカディージョも投げ込まれた。 それを手に取ったカシージャスは、おもむろに包みをあけ、パンを持ち上げて中身を確認していた。 邪魔ものを拾ってどけるのは当然として、なぜわざわざ中身を確認する必要があったのか、非常に謎である。 確認の結果は、トルティージャだったらしいのですが、もし高級生ハムだったら食べる気だったのか、やっぱり謎である。 投げ込みついでで言えば、その昔、モノ(サル)というあだ名を持つモノ・ブルゴス(アルゼンチン、アトレチコ、キーパー)がグランドに嫌がらせで投げ込まれたバナナを拾い上げて食べる、という極めて大度なパフォーマンスを見せ、世の話題をさらったことがある。 それはともかく、サッカー場におけるボカディージョは、遅い時間に食べるスペイン人の夜ご飯であることが多い。 試合開始が8時、ハーフタイムが大体8時50分。そして15分の間に夜飯としてパンをかじる。 はたして、それを投げた人は、夜ご飯を食べ損ねたのか、それとも食べかけを投げ込んだのか、少し気になるところではあります。 もしスペインでサッカー観戦をする機会があり、完全に地元民に溶け込みたいと思ったら、ボカディージョ(トルティージャ入りが望ましい)とピパス、そしてミネラルウォーターを用意し、その辺のスーパーのビニール袋で持っていくと雰囲気を満喫できるのではなかろうかと。 注意点としては、ペットボトルに蓋がついていると投げ込み防止のために蓋だけ没収されてしまうので、蓋は最初から取ってポケットにしまっておき、持ち物チェックを通過してから閉めると、ちょと得した気分で観戦できます。 お試しの程を。 (2021/08/14) 記者会見を斜めに見ると (2004.09.22) 皆様ご存知のように、去る月曜日は9月20日、レアル・マドリードはホセ・アントニオ・カマーチョの辞表を受け入れ、そのセグンド(副官)であったガルシア・レモンを後任監督に任命いたしました。 そして、このガルシア・レモンの就任記者会見は極めて興味深い内容のものとなりました。 その一部を抜粋すると、 「私がここにいるのはまず第一にカマーチョに要請されたためであるし、次に会長から要請されたからである。それが唯一の理由であることを理解していただきたい。」 「私は魔法の杖をもっているわけではない。選手達が反応を起こさねばならない。このシルコ(サーカス)は彼らが主人公なのだし、反応を起こす義務がある。ピッチ上でそれを示す義務がある。彼らとて石ではないし、(この状況により)傷ついている。」 「カマーチョの路線を踏襲していく。急激な改革など期待しないで欲しい。カシージャスが左サイドバックに入ったり、ロナウドがポルテーロになったり、うーん、セラーデスが審判をマークしたり、こういったことは期待しないでくれ。」 こういった言葉が発せられたのでありますが、実に面白い。 下衆の勘繰りを行なって意訳すると、 「いや、わしが監督をやりたい、といったわけではなく、皆にいわれて仕方なくひきうけてん。とりあえず普通にやるから、結果がどうなっても責めんといてな」 とまぁ、このように聞こえるような気もするのでありますが、おそらくそれほど間違っていないでしょう。 選手達がどうこう、という言葉は、選手に責任を転嫁(最近はつかってはいけない単語らしい)するというよりも、噂の裏付けをした、つまり、選手達がカマーチョに反目して追い出した、という噂を裏付けるものではないかと思われます。 そうでなければ、その後、 「私はベストゥアリオ(ロッカールーム)でカマーチョに敬意を欠く態度を見たことがない。だから私も彼らの尊敬を得るであろうし、それについては確信している」 といった言葉を残すこともないのではないかと思われます。 なんか、こう、レアル・マドリードがつまらないと人生がつまらないんですな、個人的に。 ここ最近のマドリードは、「ボケと突っ込みがあって強い」とまぁ、つねにピッチ上で笑いとプレーを提供してくれていたのですが、去年からはあまりにもプレーがひどくて笑えない状態が続いている。 ネタはピッチの中で提供して頂きたいと思っているのですが。 はて。 (2021/08/03) |
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