週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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「さて」

「なんじゃ」

「今日は去年の12月の終わりまでのチームデータなどを見てみようかと思う」

「それもまた突然やな」

「エル・パイスという新聞の12月30日か31日に様々なデータの上位3チームが載っていたから、それをもとになにか話ができないかと思うわけだ」

「去年のことは去年で終らして欲しいけどな」

「まあそう言うな」

「うむ」

「まず得点の上位3チームは次のようになる」

得点
レアル・マドリー 37
バルセロナ 32
セビージャ 32

「去年ということは、17節までのデータということやな」

「そうなる」

「まあ順当といえば順当やな」

「次にシュートの数を見る」

シュート数
バルセロナ 262
セビージャ 255
ヘタッフェ 251

「バルセロナはそんなに攻めてる印象でもないのに1位なんやな」

「それが印象とデータの差というやつや」

「マドリーは、得点が1位のわりに、ヘタッフェよりシュート数が少ないというのもおもろいな」

「それに関しては、1点を取るために必要とするシュートの数が面白い」

シュート/得点
レアル・マドリー 5.9
ビジャレアル 6.9
エスパニョール 7.3

「マドリーは1点を取るのに5.9本のシュートを必要とするということやな」

「まあそういうことや」

「マドリーはダントツやんか」

「あまり攻めなくてもワンチャンスで点を取る、というマドリーのイメージ通りのデータがよく出ているわけやな」

「これ、バルサはどのくらいなんや」

「262割る32で8.2やな」

「マドリーと比べると相当効率が悪い感じか」

「まあ、崩さないで打つシュートやミドルが多いとそうなるところではある」

「それかフォワードが下手でもそうなるけどな」

「次に、自分達が打たれたシュートの数を見てみると、これまた面白い」

「いわゆる被シュート数というやつやな」

被シュート数
レアル・マドリー 255
ベティス 255
アスレチック 249

「これはまたすごいな」

「レアル・マドリーがベティスとならんでトップ」

「7ポイント差で首位に立つチームが18位のチームと同じだけシュートを打たれるというのもびっくりやで」

「中盤にスペースを空けるのを恐れず、相手に攻めさせておいてそれを受け切るマドリーの男前振りが際立つデータやな」

「さらに言えば、これで失点が少ないというのも恐ろしい」

失点
バルセロナ 13
レアル・マドリー 14
アスレチック 18

「マドリーは見事やな」

「ちょっと常識外れのデータやで、これは」

「普通失点の少ないチームというのは打たれるシュートも少ないもんなんやけどな」

「これだけ打たれてこの少なさ」

「ゴールキーパーの苦労がしのばれるわけやな」

「ちなみに、奪ったボールの数と失ったボールの数のデータはこうなる」

奪ったボールの数
レアル・マドリー 983
ベティス 982
マジョルカ 972

失ったボールの数
マジョルカ 1372
レアル・マドリー 1361
エスパニョール 1340

「マドリーの奪ったボールの数の多さにディフェンダーの苦労を見ることができ、失ったボールの多さにパスのつながらない現状を見ることもできる」

「それにしてはボール保持分数はええやろ」

「こうやな」

ボール保持分数
バルセロナ 555
レアル・マドリー 447
ビジャレアル 432

「バルサが圧倒的ながらマドリーも2位」

「ボールをよく失うわりによくボールをキープしているというデータも面白いな」

「後ろではキープできるけど、中盤から前でパスがつながらないとこういう感じになりやすい」

「それにしてもあれやな」

「なんや」

「マドリーはいいデータにしろ悪いデータにしろ、ありとあらゆるところに顔をだすな」

「いわゆる統計王やな」

「マドリーのプレーというのは、良くシュートを打たれるわりに失点が少なく、あまりシュートを打たないわりに得点が多い。ボールを良く奪う代わりになくすことも多い、という感じかね」

「それに対するバルサは、ボールを良くキープして、シュートも良く打つわりにゴールが遠い。ただし、失点は非常に少ない」

「こんなデータを頭に入れて試合を見るのも楽しいのではないかというところで」

「今回はこのあたりで」

「また次回」

「ごきげんよう」

「さて」

「どうした」

「最近おもうんやけどな」

「なにをや」

「サッカーの中で、コーナーキックというのは寂しい立場にある気がしてならんのや」

「それまた奇妙な思いつきやな」

「例えば試合を録画したとするやろ」

「ふむ」

「すると、再生する時にプレーが止まっているところを早送りしたりするやろ」

「選手が怪我した時とかは特にそうやな」

「コーナーキックも、ボールが外に出てから蹴られるまでわりと時間がかかるからよう早送りされるわけや」

「確かにそうやな」

「そこで、早送りをし過ぎることがよくある」

「そりゃ、あるわな」

「しかし、止めそこなってコーナーキックが蹴られたとしても、ゴールが入らない限り巻き戻さない人が多い」

「多いのか?」

「非常に多い」

「誰が調べたんや、そんなこと」

「これに加えて、流れの中から決まるゴールには興味を引かれるが、コーナーキックからのゴールに関心の薄い人も非常に多い」

「まあ、今週のベストゴールにコーナーキックが選ばれることはまずないしな」

「さらには、試合場で見ている時も、コーナーキックの合間にビールを取ろうとして見逃したり、焼きそばを食べるのに夢中で見逃したりする人が非常に多い」

「だからそれを誰が調べたのかと」

「そんな寂しい立場に置かれたコーナーキックに対してなんとか興味を持てないものか、というのがこの企画のそこにあるわけだ」

「それにしても、なんでそんなにコーナーキックに愛を感じているのかがよくわからんのやけどな」

「そりゃ愛は理屈で理解できたらあかんものと相場が決まっている」

「深いような深くないような」

「まあ、要するに、コーナーキックの時、そのチームが何を狙って、そのために何をしようとしているのかがわかれば、試合を見る楽しみが1つ増えて、また1つサッカーが楽しくなるんちゃうか、ということやねんけどな」

「最初からそういうたらええねん」

「それに、コーナーの構造を理解すれば、色々とお得なんやで」

「お得かね」

「まず、見る人は試合が楽しくなるやろ」

「それはさっき聞いたな」

「次に、プレーする人はコーナーでどう動けば点になるかわかるわけやから、迷わずにすむやろ」

「まあそうかね」

「おまけに、相手コーナーに対してどこを押さえればいいかわかるから失点を防ぐことができる」

「それはかなり重要やな」

「さらにいえば、いきなりコーチをすることになっても、自信をもって教えることができる」

「いきなりコーチをするとはどういう状況かと」

「まあ、仮に今コーチをしているとしても、コーナーキックの研究というのはわりと抜けがちなところやから、役に立つと思うわけや」

「それはまた色々と盛りだくさんやな」

「盛りだくさんかつお得なわけや」

「お得感にもなにかこだわりがあるのか」

「そういうわけではないけどな」

「さよか」

「まあ、前振りはこのぐらいにしてそるそろ始めてもええか?」

「別にかまへんで」

「まずは、用語の定義からいこか」

「えらく真面目な方面から入るんやな」

「まずは、コーナーキックの軌道に関して、オープン、クローズ、ショートという単語がある」

「この感じか」



「オープンとはゴールから遠ざかる軌道で蹴られるもの」

「クローズはゴールに近づく軌道で蹴られるもの」

「ショートは短く蹴られるもの」

「大きく以上の3つがある」

「右サイドのコーナーキックからオープンに蹴られる場合、右足を使うことが多く、クローズに蹴る場合は左足を使うことが多い」

「多いというか、ほぼ常にそうやな」

「たまに例外があるけどな」

「とにかく、この3種類について知るためには、データを集めるしかない」

「そのデータがどこから出てくるのかというのが問題やな」

「それは、2006-07シーズンのスペインリーグにおける20節から38節までの全ゴールのデータからコーナーキックだけを取り出して議論するわけやな」

「なぜそれを選んだのかね」

「EL MUNDO という新聞社がその時期の全ゴールを動画データとして公開していて便利だから、それをありがたく使わせていただくわけや」

「そのデータは、日本からのアクセスが制限されているのが問題やな」

「確かに」

「それでまず何のデータからいくのかね」

「上で3種類の軌道が出てきたから、その割合からいこか」

「うむ」

「コーナーキックから決まった全ゴールは、文末の表のように48本あり、軌道別の割合は次の図のようになっている」



「オープンが33%、クローズが54%、ショートが13%か」

「ちなみに、これは”蹴られた全体の数での割合”ではなくて、”ゴールにつながったコーナーキックにおける割合”なのでそこは注意していただきたいかと」

「要するに、外れたコーナーについては、どの割合で蹴られたかわからないということやな」

「そういうことや」

「やっぱり、クローズから決まる数が一番多いな」

「そうやな」

「しかし、例えば、クローズに蹴られた回数が200回で決まったのが26本だから成功率13%、オープンに蹴られた回数が100回で決まったのが16本だから成功率16%、とかなんとか、そういうデータが欲しいところやな」

「外れたものも含めて全体を調べるとなると、それは個人では無理なので、ぜひ企業の方々にやっていただきたいところではある」

「そうか」

「それはそれとして、ゴールが決まる割合としては、クローズ、オープン、ショートの順番になる」

「試される回数もその順番やろうから、予想通りといえば予想通りやな」

「次に、右足と左足の比率を見てみると図のようになる」



「右足が67%で左足が33%か」

「つまりは、右足が三分の二で左足が三分の一ということやな」

「これも全体のコーナーキックに占める右足の左足の割合がわからないとなんとも言えへんデータやな」

「小ネタ程度には使えるけどな」

「どこで使うかは疑問やな」

「次のデータは、コーナーキックが蹴られた後、最初のタッチで決まるか、それとも2回以上のタッチを経て決まるかというやつや」

「最初で決まるというのは、コーナーを一発のヘッドでどかんと決めるとか、一発のボレーでびしっと決めるとか、そういうプレーやな」

「2回以上というのは、ニアでそらしてファーで決めるとか、ヘディングが相手に当たって跳ね返りを押し込むとか、まあそういうプレーになる」

「グラフはこうか」



「なにも書いてない黄色い部分はなんや」

「直接決まったコーナーキックで全体の4%存在するらしい」

「スペインでいうところのゴール・オリンピコというやつか」

「そうやな」

「しかし、1回で決まるプレーというのは半分ちょっとしかないんやな」

「まあ、ショートコーナーは必ず2回以上のタッチで決まるから、その影響が大きいわな」

「ショートを抜かすと、1回で決まるものが25、2回以上で決まるものが15で、5対3の割合になる」

「ふむ」

「これをさらに詳しく見て、オープンとクローズにおける1回で決まる割合と2回以上で決まる割合を比べると、面白いことがわかる」

「この図やな」



「見てのとおり、オープンでは、1回と2回以上の割合が接近しているのに対して、クローズではその比率が大きく離れている」

「オープンでは2回以上で決まるの割合が多く、クローズでは1回で決まる割合が多い、ということか」

「つまり、前者ではセカンドプレーに対する対応がより重要になるということやな」

「これを試合を見る立場で応用すれば、オープンに蹴られる時は、誰が最初にヘディングをするか、ということに加えて、そのヘディングは誰のもとに行くのか、というのを気にしながら見ると面白いということになる」

「コーナーキックの鑑賞ポイントの一つやな」

「おまけとついでに、オープンとクローズにおける右足で決まる割合と左足で決まる割合を比べてみる」

「この図か」



「オープンに占める左足の割合は25%で、クローズは38%になる」

「これはまた微妙なデータやな」

「一応、オープンに蹴られるフリーキックで左足の割合が小さく、クローズに蹴られる時に左足の割合が大きいとはいえる」

「となるとオープンに左足で蹴られるコーナーを見たときに、”おお、これは珍しい”とでも叫べばいいわけか」

「そういうことでもあるが、そういうことでもないかもしれない」

「なんやそのはっきりしない立場は」

「この傾向は、もっとサンプルの数を増やしたら変わるかもしれないので、なんともいえないんや」

「それやったら、前のデータで、オープンの方がクローズよりセカンドプレーで決まる確率が大きい、というのもいい切れなくなるのと違うかね」

「いや、それはより詳しくデータを見ると理論的に当然だという結論が出てくるので、いい切ってしまって問題ないんや」

「ほんまかいな」

「ほんまや」

「では今後それを楽しみすることにして」

「今回はこの辺で」

「ちなみに、次回は手始めとしてショートコーナーの分析から始めようと思う」

「なんでショートから入るんや」

「一番数が少ないから、慣れるためにちょうどいいんや」

「ほんまかいな」

「ほんまや」

「では、次回の、ショートコーナー編を楽しみにして」

「今回はこの辺りで」

「ご機嫌よう」




実線:ボールの動き
点線:選手の動き



「さて」

「なんだ」

「来年から、コーナーキックを好きになろう!という企画を始まるわけだが」

「ほほう」

「とりあえずは、肩ならしとして、コーナーキックの時に使われる技などを見ていこうと思う」

「サッカーで肩をならしてもしょうがないとは思うけどな」

「まずは、サッカーで点を取ろうと思ったらフリーなスペース、つまり、相手がいない空間を攻めると良い」

「まあそうやな」

「次に、フリーなプレイヤー、つまり、相手に守備をされていない選手がシュートを打つと良い」

「そりゃ守備がいない方が落ち着いて打てるからな」

「さらには、その選手達がアタッキングイメージ、つまり、誰がスペースを空けて、そこに誰が飛び込み、それに対してどのようなボールを合わせ、後ろはどうフォローするか、といったようなことをチームの全員がわかっていれば良い」

「横文字大好きやな」

「うむ」

「ちなみにここでは相手がマンツーマン、つまり、1人の攻撃に対して1人の守備者をつけていることを前提に話を進めようと思う」

「ゾーンはゾーンでまた別ものやしな」

「そうなんやな」

「それで、最初はスペースをつくる方法から考えるわけか」

「その通り」

「つくる方法といっても、人が動いた場所に他の人間を入れるのが普通やな」

「下の感じやな」



「赤い方が攻撃で、1と2の選手が前に動くと、それをマークしているAとBの選手も一緒に動く」

「そうすると彼らがいた場所に誰もいない空間が残る」



「その空間Zのことを”スペース”とか”フリーなスペース”とか呼ぶ」

「そして、それをつくることを、”クリエイティング・スペース”とか”スペースをつくる”とか言うわけやな」

「しかしあれだ」

「なんだ」

「フリーなスペースというのもおかしな言葉やな」

「なんでや」

「スペースというのは本来なにもないことになっていて、それにわざわざフリーとかつけると夜の夜空みたいになるやろ」

「ある種の強調法だと思えばええやろ」

「まあなんにしても、このようにスペースをつくる方法で一番くらいに有名なのは次のクロスムーブやろな」



「要するに交差するわけやな」

「1にAが、2にBがついていくと最終的にこうなる」



「中央にスペースが残ると」

「そこに後ろや横から人が入ればチャンスになる」

「うむ」

「その入る選手がフリーであれば得点につながりやすい」

「そこで、次にシュートを打つ選手のマークを外す方法を考えるわけやな」

「その通り」

「よく知られている方法としては3つのものがある」

「横文字でいうと、ピックアップ、スタック、クイックやな」

「まずピックアップは、シュートを打つ選手をマークしている相手の進路を他の選手が妨害する」

「例えば、次の配置から始まるとする」



「ここから1が右に動くとAも右に動く」

「そのAの進路に2が入り進路を妨害する」



「それが次の図やな」



「1はそのまま右に動き、2は左に動く」



「1をマークするAは2とBを迂回しなければならないので、1について行くことができない」



「結果1はフリーになる」

「1が最後にいる場所にスペースを作っておけば、フリーな選手がフリーなスペースに入ることになる」

「下の感じやな」



「ここでは3,4がつくったスペースにフリーの1が飛び込むことになる」

「そこにボールが合えば、めでたしめでたしやな」

「世の中簡単なもんや」

「理屈はな」

「確かに」

「お次は、スタックという方法で、これは選手を重ね合わせることでマークにつきにくくさせる」

「こんな形やな」



「1と2が縦に密着しておくと、1を見るべきAは近くでマークすることができない」

「1が右に行くのか左にいくのかわからないので、Bの後ろからマークするしかない」


「そこから、1は例えば次のように動く」



「縦から横やな」

「すると、Aはこれについていくことができない」

「最初の距離が開いているから距離を詰め切れないわけやな」

「結果こうなる」



「1はフリーであると」

「このように、スタックを使う時は縦へから横に変化する動きを組み合わせると良い」

「そして、横に動いた先にスペースをつくっておけばさらに良い」



「3が縦に動いた後に1が入るわけやな」

「これもまためでたしめでたしな結末なわけや」

「選手をフリーにするさらなる方法としては、クイックというものがある」

「これは1人で行う単純な方法で、シュートを打つ選手が突然止まるかわずかに方向転換をすることによりマークを外す技やな」

「例えば、シュートを打つ選手、すなわち1は縦に走る」



「この時、すでにボールは蹴られている」

「ここで1は全力で停止し、ジャンプする」



「Aは急激な速度の変化についていけないため1は瞬間的にフリーになる」

「そこへぴったりボールが合えば得点が生まれる」



「ここでは、1が止まるタイミングとボールが来るタイミングがどんぴしゃで合うことが大切やな」

「止まって飛んだ瞬間、ボールが頭の前に現れるのが望ましい」

「ちょうど、バレーボールのクイックに近い感覚やな」

「だからこれをこれクイックと呼ぶわけやな」

「この技も、スペースをつくる動きと組み合わされることが多く、例えばこうなる」



「2が空けたスペースに1が入るわけやな」

「実はこのコーナーキックはお得で、今まではスペースを空ける選手も含めると最低3人必要だったけど、この場合2人でいい」

「ただし、ジャンプとボールのタイミングを合わせるのが難しい」

「しかしながら、コーナーキックを少ない人数で行いたい時、例えば1点差で勝っている後半戦などでは威力を発揮する」

「そういう時にはいいな」

「普段も十分使える技やしな」

「以上で、ピックアップ、スタック、クイックの説明は終了やな」

「最後に1つ、”押さえ”という技が残っている」

「なんやそれは」

「これは、コーナーキックというかサッカー全体において非常に重要な技なんや」

「ほう」

「下のような状況があったとする」



「これはどういうことや」

「ショートコーナーが蹴られた後、ファーサイドで攻撃2人に対して守備が1人になった状況をあらわしている」

「ファーでの2対1というやつやな」

「そこからクロスが上がり、1の選手がギリギリ触れるか触れないかのボールに対してヘディングを行うことがよくある」



「まあそれはあるわな」

「しかし、そのような場合、1の選手はヘディングをせずにディフェンスを飛ばせないようにするのが正しい」



「なんでや」

「1がギリギリということは、後ろの2は余裕でヘディングができる。しかし、1もヘディング可能であることからディフェンスは1に寄ってくる」

「そうやな」

「ディフェンスと競り合いながらギリギリのボールをシュートするより、フリーの選手が打つ方が入る確率は高いに決まっているので、この場合、1はヘディングに行くと見せかけてディフェンスの体を押さえてスルーするのが正しい」

「ふむ」

「これは当たり前の話だけれど、後ろが見えずにボールに飛びつき、結果的に味方のチャンスをクリアしてしまう選手が非常に多い」

「そうなんか」

「この”押さえと”いう技術は基本として選手はマスターした方がいいし、子供の頃から指導していただきたいと思うわけだ」

「さよか」

「プレーの中からのセンタリングにしろ、フリーキックにしろ、コーナーキックにしろ、これを使えば簡単にフリーの選手をつくれるのに気付かない選手があまりにも多い」

「じゃあ、ファーポストの前あたりで横からの高いボールを受ける時は、飛ばしをアイディアとして持てということやな」

「まさに」

「まとめとしては、フリーにする方法として、ピックアップ、スタック、クイックに加えて”押さえ”を押さえておきたいという話か」

「いかにも」

「これで、フリーなスペースをつくる、フリーな選手をつくる、というお題が済んだ」

「次はチームとしてのイメージやな」

「コーナーキックで一番簡単かつ基本的なのは、ボールの軌道の下に選手をならべることやな」

「こんな感じか」



「この場合では、①であらわされるボール軌道の下に選手がならんでいる」

「こうしておけば、ボールの高さがずれても、軌道さえ正しければヘディングにつながる可能性が高い」

「このためには、センタリングが蹴られる前から走りこむ選手がどこに来るかを知っていなければならない」

「①の軌道にボールが来ることを知っていれば、例えば下のように動くことが可能になるわけやな」



「このような動きは、まだ蹴られていないボールの軌道に対するイメージをチーム全体で共有していなければできない」

「はやい話が、ボールがどう飛んでくるか知っていてその下にみんなで入り込めば点になりやすいということやな」

「まあそういうことではある」

「このあたりの話は、ここここに違う形でまとめられていますので」

「ご一読いただければというところ」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」

1-4-3-1-2の良さが出てムルシアが同点に追いついた試合

試合開始
両者ともに綺麗な1-4-4-2だった。



後半開始
ムルシアの右サイドにいたアベルが中央に入り、1-4-3-1-2に近い形になる。



1-4-3-1-2の守備における特徴



長所:
ディフェンスラインの前方、中央部分に3人配置されるため、フォワードへの放り込みに対して強い
前線が3人になるため、ロングボールの出所にプレッシャーをかけやすい

短所:
ディフェンスラインの前方、サイドライン部分にスペースが空きやすい
サイドを押し込まれた後のサイドチェンジに弱い

つまり、中央に放り込んで来る相手に強く、サイドに飛ばしてくる相手には弱い。
アスレチックは中央のジョレンテに放り込むことが多い。
また、サイドのガビロンド、ダビー・ロペスもボールキープに優れるが縦突破は少ない。
加えて、右サイドバックのエスポジトは攻撃への寄与が薄い。
つまり、中央が強く、相対的にサイドが強いアスレチックに対して有効な布陣といえる。
逆に、サイドにロビーニョがいるレアル・マドリー、メッシがいるバルセロナ、へスース・ナバスとダニエウ・アウベスがいるセビージャなどには不利なシステムである。
また、このシステムを遂行するためには、自軍のサイドバックの守備が堅いこと、中盤左右の選手の運動量が多いことが必要である。

システムの運用上鍵となる選手



印のついた選手が重要である。


1-4-3-1-2の攻撃における特徴



長所:
このシステムは、サイドに相手を誘い込む効果がある。
その裏のスペースを使い、カウンターを仕掛ける手が有力になる。

短所:
相手が引いた場合、サイドのスペースをうまく使えない。
中央に攻撃が偏る。

基本的にカウンターに向いたシステムである。
前線の選手は、ロングボールを受ける場面が多い。
このため、サイドに流れて受ける能力、中央への長いボールを受ける能力が必要になる。
アベル、ゴイトン、バイアーノともにこの役割に適合している。
アベル、ゴイトンはサイドに流れて良い働きをする。

ムルシアのルーカス・アルカラーは、試合終了に向けてシステムを1-4-1-4-1に近い形に変更し、最後は引き分けを目指した。

まとめ図

3Dでバチスタのゴール振り返る(Marca)

一昔前の3Dサッカーゲームのようなキャラクターがクラシコでのゴールを再現。
視点を変更して楽しむことができる。
上記ページの「Jornada17:……」という部分をクリックしてスタート。
わりと重いのでお気をつけて。


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