週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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クロアチアは前半、ロングボールを多用していた。
クロアチアが、前半に長いフィードで狙った場所は次のようであった。



上が日本のゴールである。
左右の守備の裏を狙うボールが多い。

この意図は、主に二つある。
一つは、ハイプレスをかわすことである。
日本は、高い位置でのプレスが強い。
これをまともにくらうとスペインでも沈没する。
プレスがかかる前に長いボールを蹴れば、被害は避けられる。

もう一つは、カンターを避けるためである。
ハイプレスをかけないとき、日本は引いて守る。
そこからのカウンターは速い。
ロングボールを出して、その結果を見て押し上げればカウンターをくらう可能性は低い。

クロアチアがこのような戦術を選んだのは、日本が守備を攻撃としているチームだからである。

ハイプレスもカウンターもまず守備があり、そこから鋭い攻撃がある。
このため、日本の攻撃を抑えるには望む守備をさせなければよい。
それがロングボールを多用した理由である。

その中で、日本が先制しクロアチアが追いつく。

後半になって、日本が戦術を変更する。

後方からのロングフィードをより多く行うようになった。



この大きな理由は、クロアチアのハイプレスを避けるためである。
日本が、後方から丁寧につなぐとクロアチアはプレスをかけてくる。
これに比べて、クロアチアはプレスが来る前にロングボールを出す。
そうなると、日本が一方的にハイプレスをくらう形になり不利である。
このため、ある程度ロングボールを混ぜざるをえない。
しかし、日本の前線はサイズに乏しく、これを受けるのに向いていない。
そのため、74分に酒井が右に入る。
これは、酒井が落としてそれを拾うためである。



ヘディングに強い選手を入れて競らせ、そのセカンドボールをつなぐ。
しかし、この戦術を用いると落とした後での競り合いが多くなる。
直接競るよりはましとはいえ、やはり前線のサイズがない日本には不利である。

このような展開になると、競り合いに強いフォワードが欲しくなる。
例えば大迫である。
この展開には抜群に向く選手である。
「なんで大迫がいないんだ!彼なら打開できるのに!!選手選考がおかしい!!!」
と思うのは、おそらく贅沢である。

今回の日本は、ドイツとスペインに勝てるようにつくられている。
自陣ゴール近くからつなぐ相手に、ハイプレスを極限まで高める。
そして、高い位置で奪って一気に攻める。
これを実現するために選手に必要なのは、プレスへの理解力、規律、モービリティ、持久力である。
このため、テクニック、サイズといった要素は後回しになる。
大迫をいれるとプレスに穴が開きやすくなる、といった判断がなされた場合、どうしても選ばれにくくなる。

ロングボールのオプションとして大迫を控えに置けばいい、というのは確かにある。
しかし、彼を控えにおけるのか、という問題がある。
加えて、前線に怪我人がでてもプレスを継続するためには、控えにも同様の選手を置きたい。
それを考えると大迫の枠を確保しにくい、という事情もある。

プラスとマイナスを考えたとき、プレスを優先して大迫を外し、ロングボールの一つのオプションとして酒井を置いて対応する、という結論になったのだろう。

取るものがあれば、捨てるものもある。

その結果として、今回の日本は、強いチームに強く、弱いチームに弱い。

ハイプレスを避けてロングボールを多用する、というのは弱いチームに多い戦術である。
例えば、コスタリカは後方で無理につながず長く蹴る。
そうなると、日本は一番のストロングポイントを使えないため、手を焼く。
手を焼くどころか、負ける。
これに対して、スペインは日本がプレスを得意としているのを承知で堂々とつないでくる。
その結果、日本が勝つ。
その勝ちは偶然ではなく、十分に用意された勝ちである。

最後の相手となったクロアチアは、決して弱いチームではない。
弱くないチームが、いわば謙虚なプランを用意し、日本のよさを消すことに重点を置いていた。
その結果、戦術面では常にアドバンテージを持って戦っていた。

一方の日本は、良さを消されて苦労した。
戦術的には劣勢だったが、先制点は日本だったし、120分戦って引き分けだった。

コスタリカに負け、クロアチアに引き分け、ドイツに勝ち、スペインに勝ち。
不思議な結果であり解釈に苦労するが、チーム設計から見れば、ある程度納得できるのではないだろうか。


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