週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
ひまわりの種 (2004.09.29) 最近フラーレンサッカーニュースに、「ひまわりの種をつまむカシージャス」という話題があったのですが、あれを読んで、「そうか、スペイン人はあの固いひまわりの種を丸ごとばりばりと食べるのか」と納得してしている人がいるとかいないとか。 もちろんそんなことはございません。梅干の種をわると柔らかい部分があるように、ひまわりの種も歯で外を割り、同じような部分を食べるのであります。 なれない日本人がこれをやると、薄い殻が歯と歯の間に挟まったり、殻のかけらを食べたり、様々な障害が起きるのですが、子供の頃から修行をつんだスペイン人は抜群に上手い。 前歯の間にひまわりの種をはさんだ、と思う間もなく一瞬で縦に殻を断ち切り中身を吸い出してカスを吐き出す。 正に一瞬の間に行なわれるこの動作は、芸術的ですらある。 このピパスと呼ばれるひまわりの種は、映画におけるポップコーンよりもサッカー観戦の必需品で、スペイン人が立ち去ったシートの下には山のような種の殻と銀紙が転がっているのが常である。 ちなみにこの国では、「観戦料に掃除代も含まれている」と思われているので、「来た時よりも美しく」といった観念は一切通用しない。 それはさて置き、カスと共に残される銀紙はボカディージョを包むために使用される。 ボカディージョとはわりかし知られているスペイン風サンドイッチで、日本で一般にフランスパンと呼ばれる適当な長さのスペインパンを水平に切断し、その間に任意のものを挟んだ食べ物を指す。 任意といっても、もちろん食べ物を挟むわけで、一般にはトルティージャ(スペイン風オムレツ、またの名をトルティーリャ)、ハモン(生ハム)、ケッソ(チーズ)が用いられる。 バルと呼ばれるスタンディングバー兼居酒屋に行けば、ローマ風イカと、よくわからない名前のついたイカのリングフライを挟んだものや、ボケロネスというカタクチイワシの酢漬けサンドもよく見るが、サッカー場ではあまり見かけない。 以前、プレー中のカシージャスに様々なものが投げつけられる事件がありましたが、スペインの必然として、銀紙に包まれたボカディージョも投げ込まれた。 それを手に取ったカシージャスは、おもむろに包みをあけ、パンを持ち上げて中身を確認していた。 邪魔ものを拾ってどけるのは当然として、なぜわざわざ中身を確認する必要があったのか、非常に謎である。 確認の結果は、トルティージャだったらしいのですが、もし高級生ハムだったら食べる気だったのか、やっぱり謎である。 投げ込みついでで言えば、その昔、モノ(サル)というあだ名を持つモノ・ブルゴス(アルゼンチン、アトレチコ、キーパー)がグランドに嫌がらせで投げ込まれたバナナを拾い上げて食べる、という極めて大度なパフォーマンスを見せ、世の話題をさらったことがある。 それはともかく、サッカー場におけるボカディージョは、遅い時間に食べるスペイン人の夜ご飯であることが多い。 試合開始が8時、ハーフタイムが大体8時50分。そして15分の間に夜飯としてパンをかじる。 はたして、それを投げた人は、夜ご飯を食べ損ねたのか、それとも食べかけを投げ込んだのか、少し気になるところではあります。 もしスペインでサッカー観戦をする機会があり、完全に地元民に溶け込みたいと思ったら、ボカディージョ(トルティージャ入りが望ましい)とピパス、そしてミネラルウォーターを用意し、その辺のスーパーのビニール袋で持っていくと雰囲気を満喫できるのではなかろうかと。 注意点としては、ペットボトルに蓋がついていると投げ込み防止のために蓋だけ没収されてしまうので、蓋は最初から取ってポケットにしまっておき、持ち物チェックを通過してから閉めると、ちょと得した気分で観戦できます。 お試しの程を。 (2021/08/14) |
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