週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
上手くなる観戦法 (2004/01/29) このコーナー最初のお題として、サッカーがよくわかるようになる、かもしれない観戦方法なんぞを御紹介しようかと。 ところで、皆さん、年間どの程度の試合をご覧になられますかいね。テレビ、スタジアム観戦を足して。 私が日本にいた頃は、100試合程でした。地上波、WOWOW、NHKBSで放送される試合をさらうようにして見た挙げ句、この数字でした。 1試合を巻き戻したり止めたりして見ると、その所要時間はほぼ2時間、年間200時間、8時間労働に換算すると、25日分の労働にあたるわけです。 おまけに面白い試合は3回以上見るわけですから、その総時間たるや膨大なものになります。 これだけの時を割くわけですから、その1回1回の観戦から最大の情報を得ねば割りにあわん、ような気がするではありませんか。 知り合いには、働きながら年間130試合を観戦するツワモノもおりました。 ならばですな、その各試合最大限に活用し、有用な情報を引き出せば、サッカーをより理解することができ、消費した時間も浮かばれるはずでございます。 よって、年の頭(と言ってももう遅いですが)に効率的な観戦法を考え、今年1年、サッカーを見る時間をより有意義に過ごそう、ってのが今回の企画であります。 なんか趣味のものに対して貧乏性のような気もしますが。 まずは、個人技術を堪能する観戦法。 フィールド上では毎日、おかしなことが起きています。 5m前方でジャストミートされたヘディングシュートを弾くイケル・カシージャス。 自分より遥かに体格で勝るルイス・エンリケをショルダータックルで弾き飛ばすゲオルゲ・ハジ。 180センチの選手を弾き飛ばす160センチ後半のバストゥーク。 シュートを撃つとキーパーが逆に飛ぶことの多いマイケル・オーウェン。 これらは普通、「ありえない」ことです。 これらの現象を、「彼は反応がいい」「彼は当たりに強い」「彼はシュートが上手い」、とまぁ、このように片付けることもできます。 が、そこで「なぜか」を考えて見ると新たな発見があります。 例えば、イケルは「沈み込み」と呼ばれる、シュートの瞬間に重心を下げ地面からの反作用を利用して体を素早く動かす技術に長けており、ハジはエンリケを誘導し片足立ちになった瞬間に当たるからこそ勝ち、バストゥークは敵のイメージする衝突点をずらす技を持ち、オーウェンはインステップからインサイドにキック表面を変える技術を持っているからこそ相手を上回ることができるのです。 おかしな場面の裏には技術が隠れている。 よって、それに疑問さえ抱けば新たな技術を「発見」できるわけです。 問いの設定は簡単で、試合を見て感じる印象になぜという単語をくっつけるだけ。 例えば、「ジダンはトラップが上手い」「バレロンは落ち着いたプレーをする」「ミヤトビッチはこぼれ球への反応が早い」といった印象の頭に「なぜ」をつけ、お尻に「のか?」をつければ疑問が完成するわけです。 後はビデオでそう感じる場面、その技術が使われる場面を繰り返し見ればいつの日にかその解答が見つかり、新たな世界を発見できるはず、なわけですな。 実際にプレーしている人は、その技を次の練習、試合で試してみれば、さらにサッカーが面白くなることうけあいであります。 「疑問だけ見つかって、解決しいひんかったら気持ち悪いやんけ」という突っ込みも予想されますが、それはそれでかめへんのです。 謎を持つことに意義があるし、それを人と話すことにも意義があります。忘れずに悩みつづければいつかほどける日がきます。ほんまでっせ。 ついで、システム、戦術、チームの長所、短所を知る見物法を少々。 ビデオに撮って2倍速で見る。これに限ります。慣れないうちは1.5倍速でもよいでしょう。 これを実行すると、個々の顔のアップやカメラアングルの変更に悩まされることなくボールの動きだけを追うようになります。とういうか、個人行動の詳細を追うことが不可能なため、大枠であるボールの軌道と選手の配置と移動軌跡、これを追うしか手がなくなります。 ボールを無くす地点とその前のボールの軌跡。ボールを奪った後の狙い、すなわち選手、ボールの動き。どの地点をどのように突破されているのか、もしくはしているのか。 このような事どもに注目することを戦術的に見る、というわけですから、2倍速で見ると必然的に戦術眼が養われます。 面倒でなければ、最初に選手の配置とシステムを把握し、紙に書いておきましょう。そうすれば、動きを速めても、誰がどこにいるのかを容易に把握できます。 最初は辛いですが、騙されたと思ってやってみてください。新たな世界が開けるはずです。 今回は取り敢えずここまで、スタジアムで見る際の見物法についてまたいずれ。 これを機になにか新しいものを発見された方がいらっしゃればご一報下され。 |
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