週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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前回は、コントロール時のバランスの崩す例と崩さない例を見た。

崩す例は、以下の二つである。




ここでは、その原因を見る。

最初の例の連続写真は、以下のようになる。















動作上の大きな特徴は、接触に向けて膝を大きく外へ開くことである。



膝を外に開き、その方向へ足を動かしながら着地する。







これによる足の動きを模式的にあわらすと、次のようになる。



このように動かす理由は二つある。
一つは、足の面を傾けることによって、ボールをゴール方向に動かすためである。



もう一つは、足をボールとなるべく同じ方向に動かしながら触れることで、その勢いを弱めるためである。



上の二つを組み合わせた場合、トラップの終了時において、必ずボールの方向と、それに触れた足の方向が矛盾する。



足は左に向かい、ボールは右へ向かう。
これが原因となり、必ず体勢が崩れる。



このような崩れを修正するためには、非常に長い時間を必要とする。










以上において、体の傾きが完全に修正されるのは、最後の図においてである。
この間に、4回地面を踏む必要がある。






つまり、ボールに触れてから、自然な体勢に戻るまでに4歩進まなければならない。
これは、サッカーにおいて致命的である。

このまずいプレーの根本をなすのは、ボールを止めるための、「足を引く」という意識である。

先に見たように、ここでは、足をボールが来た方向と同じ方向に動かして止めている。



これは、「足を引く」というアイディアと根を同じくしている。

そして、これを行う限り、コントロール後の姿勢が必ず悪くなり、次のプレーに素早く移ることはできない。
この点については、以前に別の例でも見た。

つまり、コントロールにおいて、「足を引く」という考え自体が間違いであり嘘である。

また、足を引くことは、ミスコントロールの可能性を飛躍的に増大させる。

前回に見た、もう一つの誤ったプレーは以下のようであった。

















この拡大図は、次のようである。





















最初に見たものと同様、ボールが来る方向に合わせて膝を大きく外に開いている。

ここで注目するべき点は、ボールと接触する足の位置と形である。
まず、足はボールのほぼ中央を触れている。



これは、以前に見たように、ボールを地面との間に挟む、もしくは、逆回転をかけて止めるに当たって極めて不都合であり、純粋に引く動作に依存して勢いを殺さなければならない。
また、体勢そのものが無理な状態にあり、この状態からボールと平行方向に足を動かすことにはおのずと限界がある。

このため、十分にボールスピードを弱めることができない。

さらなる難点は、足首の状態にある。



ボールに触れる時点で、外側に捻られた状態にある。
これは、足首の柔軟性を失わせる。
そのため、接触が「硬く」なり、ボールが遠くに跳ねやすくなる。

まず、引く意識で足をボールと同じ方向に動かすと、体勢を崩し、それを修正するために時間がかかる。
次に、勢いを弱めるメカニズムを十分に活用できないため、ボールが遠くに跳ねる。

この二つが揃うことにより、下の結末を迎える。
















以上において、シュートの動作自体、非常に乱れた状態にある。





これは、最後の踏み込みの時点で、明らかにボールの位置が遠すぎるためである。



遠すぎる理由は、コントロールにおいてボールを強く跳ねさせたことと、崩れた体勢を立て直すのに時間がかかることにある。

そして、ボールが強く跳ね、体勢が崩れる原因は、足を引く意識でコントロールを行うことにある。

つまり、足を引きながらトラップを行う限り、このようなミスは避けられない。
むしろ、そのようなミスをすることが必然となる。

結果として、最初に完全にフリーな状況であっても、シュートをブロックされる。




フリーでシュートを決められない選手を、下手と呼ぶ。
そのような選手を、下手糞と切り捨てることは簡単であり、それを笑うことも簡単である。

しかし、ここには、大きな問題が含まれている。

なぜなら、多くの選手が、この選手と同じ「下手さ」を抱えているからである。

ほとんどの選手が、子供の頃に、「ボールをトラップする時は、足を引きなさい」と教わる。

教わる相手は、ほとんどの場合、コーチであり、監督であり、周囲の大人である。

そして、その教えを忠実に守れば守るほど下手糞になっていく。

足を引くという意識でボールに触れる限り、絶対にコントロールが上手くなることはない。

理由は、これまでに見た通りであり、実例はここに見た通りである。

その意味において、ここで実例として見た選手の「下手さ」は作られた下手さである。

これを防ぐためにも、「引く」という嘘の動作を教えることは即刻やめなければならない。
また、教えられた選手は、そのような嘘を拒む必要がある。

そうでなければ、例えば17年、真面目にサッカーに取り組んだ挙句、ボール一つまともに止められない選手が本当にできあがってしまう。

子供の時に間違いを教えられ、それを信じて下手になる。

選手は真面目に努力しているだけに、その事実は悲痛である。

パター型のインサイドと同様、これ以上被害者を増やさぬことが急務である。

この文章を読み、また、コントロールについて最初から読まれた上でなお、これまでに見た状況で足を引いてトラップすることが正しいという方がおられたら、ぜひその理由をお聞かせ願いたい。

次回は、なぜ引くということが正しいと誤認されているか、その理由を見る


Rg
無題
以前書き込みしたものです。
実例を使った論理的な分析、非常にわかりやすく興味深かったです。ありがとうございます。
サッカー経験のあまりない自分ですが、体育などでサッカーをやるときに無意識に引いて受けてしまう自分がいるのを思い出しました。向かってくる物に対してクッションのように力を吸収しようと無意識にしてしまうのかも。いつどこでこういう「刷り込み」が起きたのだろう。
ましてや、実例で挙げられている選手はマルセロだとお見受けしますが、ブラジルの、しかもマドリーが獲得するような選手でさえこういったくせを持ってしまうということは、世界でもこういう指導、考えが続いている証拠ですね。
また素晴らしい考察、分析期待しています。ありがとうございました。
y2010/05/21 20:41z NAME[TM] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
ブラジルの選手であのようなコントロール、インサイドを行う選手はほとんど見たことがありません。
どのような環境で育成されたのか知りたいところです。

引く刷り込みがなぜ起こるのか、という点は非常に興味をひかれます。
最初の原因は、何なのでしょうか。
y2010/06/29 20:58z
無題
いつも楽しく拝見しています。
最近の、基礎的な技術の重要性を訴える記事に感心しています。
ところで、いよいよ南アW杯も目前に迫り期待しきりです。4年前のような試合レビューを期待しています!
y2010/06/06 19:52z NAME[ki] WEBLINK[] EDIT[]
いかすっっっう、記事たち
W杯記事もきぼんぬ
K大でフランスW杯とかサガンや飯島のこと
書いてらしてたときからの隠れファンどす
y2010/06/09 16:48z NAME[okomeken] WEBLINK[] EDIT[]


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