週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「ここでは、ランパード、特にその手の動きに注目してみよう、というわけやな」 「手は口ほどにものをいい、という諺もあるくらいやしな」 「まず、軽い例としては下のようなものがある」 「今、白丸で囲まれたトゥレがボールを持ち、それをドログバが近くでマークしている」 「オレンジの丸で囲まれたのがランパード」 「トゥレが、画面奥へ切り返した時、ランパードは、右手を上げ、手のひらをドログバに見せる」 「これは、ステイの合図で、ドログバはトゥレを追わなくていい、俺が対応する、という意味になる」 「それを受けて、ドログバは立ち止まり、トゥレを離す」 「ここで、トゥレを追うな、というのは、もちろん、マルケスへの守備が甘くなるのを恐れてのことである」 「次の例では、センターサークル内のトゥレにボールが入る」 「黄色い丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」 「トゥレからシャビへのパスに対して、ランパードがまたも右の手のひらをドログバに見せる」 「これも、ステイの合図で、ドログバは、シャビに行かなくていいことを示している」 「そっちは俺が回るから、お前は残ってトゥレをマークしろ、ということやな」 「実際、ドログバはボールを追わない」 「ランパードとミケルがボールを追い、マルケスとシャビの前に壁をつくり、ドログバは中の守備を担当している」 「次は、ピケが前にドリブルで攻めて来る例」 「まず、ランパードはサイドを向きつつ、中のトゥレを指差す」 「これは、俺がボールに被せるから、トゥレを見ておけ、という合図やな」 「ここで、ピケが中に切り返す」 「この時、ランパードは、画面外を指差している」 「その先にはもちろんマルケスがいるはずで、ドログバにそっちのケアをうながしている」 「ピケを空けて、トゥレ、マルケスを抑える方針が見える」 「それについては、次なんかも強烈やな」 「アビダルから、ピケにバックパス」 「この時、ランパードは、画面左を見ている」 「そして、またも画面外を指差す」 「これは、ドログバにマルケスのマークを指示している」 「常識的には、言ってることが無茶苦茶やねんけどな」 「上の図からドログバを除くと、ピケを抑える選手はだれもいない」 「それでもかまわない、ピケは無視してマルケスを抑えろ、という方針であることが上からもわかる」 「ちなみに、ランパードは、ドログバだけでなく、中盤全体にも指示を出す」 「下では、センターサークル内で、トゥレがボールを持っている」 「この時、オレンジで囲まれたランパードは、左手を横に上げている」 「トゥレは、自分とドログバで対応するから、中盤はここに出るなという意味やな」 「実際、ドログバが下がってくる」 「ここで、彼に待ての合図を送る」 「実は、上の2つの図は、最初の例と同じものなんやけどな」 「上のように、ランパードが全体を仕切る姿は度々見られる」 「下などもその例で、サイドに出たマルケスがフリーになる」 「この時、ランパードは左手を横に上げ、全体に下がれの合図を送っている」 「それに従って、中盤の選手が下がる」 「中へ進路を取ったマルケスに対応する準備をしながら、中央を指差す」 「もうお分かりのように、これは、ドログバにトゥレを見ろの合図である」 「同じような姿が、以下にも見られる」 「例によって、黄色の丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」 「ピケがボールを持ち、ランパードが下がれ下がれの合図を送る」 「ランパードの指示に従い、エシエン、バラックなどが位置を下げているのがわかる」 「ここからマルケスにパスが出る」 「これはよくない」 「極めて良くない」 「サイドライン際でマルケスをフリーにするのと、これだけ中央でフリーにするのとでは、まったく意味が異なる」 「上が離しても良い例、下が悪い例やな」 「誰がミスを犯しているかというと」 「ドログバで、下の形から、ふらふらとピケに近寄った」 「この日のチェルシーの守備でそれは誤りで、逆に動いてマルケスへのパスを出しにくくさせ、もしボールが出たら、その後のプレイを阻害しなければならない」 「マルケスの前が空いた理由その3は、ドログバの誤り、という結論になる」 「上の流れでも、彼がマルケスを見なかった結果、下のようなピンチを招く」 「フリーになったマルケスに、ランパードが応対に出る」 「正面に入ったところで」 「中央側を抜き」 「人の間を通し」 「エトーに渡る」 「これこそマルケスやな」 「守備としては、ディフェンスラインからこのゾーンにボールを入れられては、中盤に何人置いても無駄になるので、一番嫌なパスである」 「それをいとも簡単に通すのがマルケスで、それがために、相手チームは多大な苦労をして彼がボールを持たないようにする必要がある」 「彼の得意なパスの概念図は下のようになる」 「赤い正面へのパスを見せて、足を返し、白いパスを通す」 「直接急所をえぐるパスを出せる」 「だから、マルケスの前に入る時は、正面に入りすぎず、2度ほど軸足側にずれて立つ方がいい」 「しかし、一つ不思議なことがある」 「なんや」 「マルケスは、上のパスが得意なはずなのに、この試合ではほとんど出なかった」 「ふむ」 「チェルシーの守備が外れる場面はあったのに、そのわりには縦に入れるパスが少なかったのではないか、というのを次に見てみたい」 「長くて大変ですが、こちらからどうぞ」 |
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