週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
[357] [356] [354] [353] [351] [350] [349] [348] [347] [346] [345]
「さて」

「スペインが遂にクォーターファイナルを突破した」

「パサール・デ・クアルトスというやつやな」

「パサールは突破、クアルトスというのはクォーターファイナルの意味になる」

「そのまんまやな」

「先発はこう」



「イタリアは、前回の予想で、こうはしないだろうといった形に最も近い」

「外れたな」

「確かに」

「イタリアの中盤の守備はなかなか興味深かった」

「カッサーノを加えたボックス・ワンみたいな守備やったな」



「カッサーノがセルヒオ・ラモスをマンツーでマークし、中盤のひし形は距離を保ちながら左右に動く」

「例えば、左のカプデビラがボールを持つと下のようになる」



「アクィラーニがすっと上がって、ペロッタと横並びになり前をさえぎる」

「セナがボールを持つと、今度はアンブロジーニがすっと上がり、前をさえぎる」



「その時、カッサーノはセルヒオ・ラモスをマークしている」

「守備の時だけを見れば、1-4-2-3-1と1-4-1-4-1の間みたいな形やな」

「ちなみに、イタリアは、この形からボールを取りにいかない」

「ただひたすら前に壁を作ってコースを切るだけで、ボールを積極的に追い込んだりはしない」

「ひたすら待って、相手が縦に蹴るかパスがぶれるのを待つ」

「実に我慢強い作戦やな」

「はたして、選手がそれに納得していたかどうかは疑問やけどな」

「スペインの方はというと、ゴールラインから11mほどのところに最終ラインを置き、ビジャを中盤に引きつけて自陣で守った」



「イタリアがロングボールを使ってくるのは見え見えだから、無理にラインを上げずに待って守ろうということやな」

「このユーロコパのスペインは、守備で待つというのが特徴やな」

「ロシアやスウェーデンの時もそうやったな」

「守備といえば、セルヒオ・ラモスはルカ・トニを相手にいい仕事をしていた」



「左からのクロスに対してファーに逃げるトニと競り合って負けなかった」

「あの辺りはさすがであるな」

「前半は、両方待ち待ちのだらだらとした展開で終わり、後半」

「イタリアもスペインも、少し前からボールを追う気配を見せた」

「その時、配置が微妙に変わっている」



「まず、スペインは、イニエスタが左で、シルバが右」

「これは前半の途中から場所を入れ換えていた」

「そして、トーレスが右に開くようになった」

「カッサーノはグロッソのヘルプにいくわけでないから、グロッソの周辺にスペースができやすい、そこに開いてボールをもらおうという狙いがある」

「これに対して、イタリアは、変な形になった」

「前から行くのはいいが、ペロッタが行きっぱなしになり、1-4-3-3のようになった」

「これで、中盤にスペースが空いてスペインの調子がよくなった」

「このペロッタの動きは監督の指示だったかというと」

「そうではない、とうのが58分の交代だった」



「ペロッタに代えてカモラネージ」

「カモラネージの守備での動きを見たら、きちんと戻るようになった」

「これは、攻撃を重視した交代だともとれるけどな」

「試合中のペロッタの表情、態度を見る限り、監督のやり方に反発以上のものを感じている気配が濃厚やから、戦術的な問題だけではないはずや」

「ほんまかいな」

「ドナドニが解任されれば、彼の口から興味深い発言が飛び出すと思うので、そのような記事が出た場合はお教え願えればと」

「これに対し、スペインは、59分に得意の2枚交代を行う」



「シャビ、イニエスタが下がり、セスク、カソルラ」

「もはやおなじみの交代といえる」

「しかし、それでなにがどうなるというわけでもなく」

「試合は相変わらずだらだらと続く」

「そのだらだらとした原因やけどな」

「そりゃ、両方慎重をいうか、待ちの体勢で試合を進めたからやろ」

「それともう一つ、攻守の切り換えが異常に遅かったことがある」

「トランジションか」

「例えば下の流れを見て欲しいんや」



「これはなんだ」

「いま、右に攻めているイタリアの左サイドに縦パスが出て、グロッソとセルヒオ・ラモスがそれを追いかけている」

「ふむ」

「アップにすると下のようになる」



「そこからボールを拾ってスローイン」



「スローインが投げられた直後が下の絵になる」



「ほほう」

「ちなみに、上の選手配置と下の一番最初の図の配置と比べると、えらいことがわかる」



「中央にいる白い選手たちが、ほとんど戻っていない」

「グロッソとセルヒオ・ラモスがボールを追ってから、スローインが投げられるまで6秒ほど、ボールがタッチラインを割ると確定してからでも4秒~3秒の余裕がある」

「それなら矢印の方向に動いて、もっと守備に適したポジションを取れるはず、ということか」



「ボールがラインを割ってから動くのでは遅くて、割ると決まった時点でポジションを取り始めるのが普通やからな」

「流れとして、イタリアの選手が攻撃のために前にダッシュして戻るのが遅れた、という場面でもないから、単にボールが外に出るのを眺めていただけか」

「おまけに、中央で一番左にいるカモラネージにいたっては、スローインが投げられたというのにダッシュの体勢にすらなっていない」

「そこからスペインにカウンターを喰らう」



「ボールを持っているのはセナやな」



「センターサークル手前まで30m以上ドリブルしてパス」



「簡単に中央に通る」



「この時、守る白いイタリアと、攻める赤いスペインは3対3の同数」

「あっという間に大ピンチやな」

「単純なスローインに対して切り換えが遅く、中盤を30mドリブルされて一本のパスでピンチを招く」

「ひどい話というかなんというか」

「いったいこれがイタリア代表なのかと目を疑う」

「スペインやったら、ああ、またかで済むねんけどな」

「審判への抗議に夢中になって切り換えが遅れるとか、日常茶飯事やからな」

「イタリアがこんなぬるい守備をするというのもいただけない」

「果たして、選手にやる気があるのか疑わしい」

「チームが上手くいっていない気配かね」

「なにしろ、切り換えの遅さというのは、この場面だけじゃなくて、ほとんど一試合丸ごとそうやったからな」

「まあ、遅かったな」

「おまけに、スペインがそれにお付き合いするものだから、非常にだらだらとした試合になった」

「なんにしても、ドナドニが、選手の信頼を得られず、チーム内で孤立していた可能性は非常に高い」

「イタリアらしくないといえば、センターバックのクリアもイタリアらしくなかった」



「これはどういうことや」

「パヌッチとキエリーニのヘディングでのクリアボールがよくスペイン選手に直接渡っていたことを示している」

「そういうことか」

「イタリアのディフェンダーというのは、足でも頭でも、厳しいクリアボールがなぜか味方につながるのが特徴なわけや」

「その辺りは変態的に上手いな」

「ところが、この試合ではスペインに渡す場面が多く、実にらしくなかった」

「その辺は、ネスタやカンナバーロの不在が痛いところやな」

「他には、ピルロとガットゥーゾがいなかったしな」

「ピルロがいても試合内容の流れ事態は対して変わらんかったと思うで」

「なんでや」

「ピルロが出たら、彼のポジションはどうあれ、ビジャがマンツーでつくやろ」



「まあそうなるかね」

「オランダ戦でファン・デル・ファールトにマークされて消されたように、今回はビジャに消されるから流れは対して変わらない」

「それでも、一瞬のパスで裏を取る可能性は増えるやろ」

「だらだらした流れは変わらず、イタリアがほんの一瞬のチャンスで点を決める、という可能性は高まったかもしれん」

「結局、120分でも勝負はつかず、PK戦の末、スペインが勝利した」

「そのPK戦について、この試合が終わった直後に質問メールをいただいたので、それにできるだけ答えてみようかと」

「質問の内容は、まず、カシージャスは5本中4本方向を読んでいたが、ブッフォンは、止めたグィサ以外は読みが外れた。ここに技術的な差はあるのか、というのが第一やな」

「これは中々難しい疑問であるな」

「まず、ブッフォンがキックの逆に飛びやすい、というのは、ドイツワールドカップの決勝でもそうだった」

「賭け事が好きなのに二択を外す男、というやつやな」

「その原因らしきもは確かに見える」

「下の写真やな」











「ここで大切なのは、一枚目と二枚目の写真になる」





「少しわかりにくいが、左足を軽く後ろに引いている」

「動かすとわかりやすいので、写真を保存して、ぱらぱら漫画にしていただければと」

「この後、ブッフォンは、右足、左足と順番に体重を乗せてジャンプする」







「つまり、体重を乗せるのは、左足→右足→左足で、それからジャンプという手順になる」

「その動きを、スペインが誇るPK阻止王、レイナと比較してみる」



「2シーズン前のチャンピオンズリーグ、チェルシー戦やな」

「レイナは、つま先立ちになり、重心をやや前に倒し、その状態から足の踏み変えなしで第一歩を踏み出している」

「この場合でいうと、左足→右足→ジャンプ、という流れか」

「レイナの場合、足を踏みかえるのではなく、体重を流して一歩目を出す感じやな」

「つまり、ブッフォンの左足→右足→左足→ジャンプと比較して、一つ少ない」

「もし、この差が常にあるとしたら、PKの阻止率は決定的に違ってくる」

「そりゃ当然やな」

「一つの仮説として、ブッフォンは体重を移動させる際に足の踏み換えが一つ多いため、飛ぶまでに時間がかかる。時間がかかるがゆえに先に飛ぶ方向を決めないと間に合わない。このため、キッカーの狙いを最後まで見る時間がなく、また、動き出しが早いため、裏をとられやすいというものが考えられる」

「あくまでも仮説やけどな」

「最初の一歩を出す前に、その逆の足を引かないまでも、そこに体重を乗せる、と断言するためには、ブッフォンのPK映像が多数必要やけど、それを持ち合わせていないので無理なわけやな」

「イタリアサッカーやブッフォンが好きな方でPKの資料をお持ちの方は、上の仮説が真実か否か、教えていただければ幸いかと」

「前のチャンピオンズリーグの時は、色々な角度からリプレイしてくれて、キーパーの動きを分析しやすかったんやけどな」

「今回は、選手のアップやPKに対する人のリアクションが中心の映像つくりやったから、あまり資料にならない」

「ところで、カシージャスについてはどうや」

「カシージャスは、待って飛ぶ場合と、完全にヤマをかけて飛ぶ場合を使いわけが極端で、例えば、ディ・ナターレに対しては完全に左に賭けて飛んでいる」

「レイナとの比較はどうや」

「何かを断言することはできないので、ゴールキーパーに詳しい方に教えていただきたいかと」

「次は、スペインとイタリアのキッカーで使う技術に差はあるのか、という質問についてだが」

「これは、膨大なデータを処理してキックの種類を分類していけば差が出るのかもしれないが、知っている範囲では個人によるとしか答えられないので、回答不能ということで」

「なんや頼りないな」

「ほっといてんか」

「最後に、スペインが今後よくなるためのポイントは?という質問がある」

「問題としては、中盤でボールを取れない、下がると脆い、取ってからが遅い、というのは明らかなので、この点の改善が鍵になる」

「まあ、つなぐ選手で引いて守ってカウンターのような形になっているので、難しい点ではあるな」

「選んだ選手と実際に採用した戦術が一致していないので、修整もなかなか難しい」

「次のロシア戦でその辺りがどうなるのかというところで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」

Rg
ご教示いただきありがとうございました
大変お忙しい中、ご教示いただきありがとうございました。

PKは体重のかけ方でモーションが増えることが分かり、ああなるほどと思いました。カシージャスについては報道によるとコーチからキッカーの癖を聞いたいたようで、博打を打ったのはその影響もあるかもしれません。

ところで、重ね重ね申し訳ありませんが、シルバを右サイドに、イニエスタを左に途中でチェンジしましたが、これがロシア戦で採用された場合機能する可能性はあるのでしょうか。

私の記憶が正しければ、大会前のプレビューではシルバの右サイドには無理があるということでしたが。
y2008/06/25 22:15z NAME[ZERO] WEBLINK[] EDIT[]
Re:ご教示いただきありがとうございました
コメントありがとうございます。
取り急ぎ本筋だけを。
イニエスタを左に置く場合は、右サイドに縦に早い選手を置いた方がいいでしょう。
中に切り換えした後、逆のサイドバックの裏を狙う筋がより有効になります。
逆もまたしかりです。
現在のシルバとイニエスタの動きでは、中央に選手が増えすぎ、機能しないと思います。
シルバは、左サイドの方がよい働きをすると見ています。
y2008/06/26 07:41z
無題
ありがとうございました。
今日の試合もご教示いただいたことを頭に置いて
見てみようと思います。
y2008/06/26 14:47z NAME[ZERO] WEBLINK[] EDIT[]


RgtH[
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
文字色
コメント
パスワード


gbNobN
トラックバック:


Copyright (C) 2005-2006 SAMURAI-FACTORY ALL RIGHTS RESERVED.
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
(05/21)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
studio c60
HP:
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター