週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「うむ」 「無事に0809シーズンもはじまって」 「心がうきうきする昨今ではあるが」 「バルセロナはヌマンシアに負け」 「マドリーはデポルに負け」 「実に華々しい開幕戦となった」 「マドリーがリアソルでデポルに勝てないのは恒例行事やけどな」 「今回は、とりあえずバルセロナの方から見て行こうかと思う」 「先発はこうやな」 「ヌマンシアの方は、1-4-1-4-1」 「バルサの方は、まあ1-4-1-2-3と言っていい」 「ただし、一般的なそれとは内容が異なる」 「その辺りを見ていくとして」 「バルサだけを取り出すとこう」 「一目でわかる弱点はこう」 「メシとアンリ、以前はロナウジーニョを使うと、その後ろにスペースが残る」 「このため、相手は楽にボールをキープすることができる」 「そこをふさごうと思うと、ボランチの脇が空く」 「おまけに右サイドバックを上げるのでセンターバックは前と横にスペースを抱える」 「これらの地点を早く攻められるとバルサはアップアップになる」 「この点に関しては、2シーズン前から手を変え品を変え書かれておりますので」 「こちらの一覧から、ここ2年のバルサに関する文章をお読みいただければより良くわかるのではないかと」 「ちなみに、この試合唯一の得点は、矢印の流れで決まった」 「センターサークル付近でダニエウ・アウベスがコントロールミス」 「それがプジョルの前のスペースに引いたフォワード、ブリトに渡る」 「コントロールから右サイド奥に大きく展開」 「ベルビスが受けて前にドリブル」 「逆サイドへセンタリング」 「走りこんだマリオがコントロールからシュート」 「バルデスの右上を抜けファーサイド上隅に決まった」 「これは、ヌマンシアとしては狙い通りやな」 「早いタイミングでアウベスの裏に出してそこにベルビスが走りこむ、という筋を再三狙っていた」 「特にチョミン・ナゴレからそこへのパスは冴えていた」 「縦に出た後、逆サイドまでセンタリングを飛ばすのも練習通りで、それが見事に決まっている」 「このような方法は、2シーズン前からバルサ攻略の基本手筋で、蹴球計画でも何度もとりあげていた」 「それが今シーズンもまた見られるとは思もわなんだな」 「バルサはリードされたまま56分を迎える」 「なにかせなあかんということで」 「トゥレを下げてフレブを入れる」 56分 「ふむ」 「グァルディオラはこうするのか、という感じやろ」 「メシが中に入る」 「ライカールト時代も、点が欲しくなるとロナウジーニョを同じような位置に置くことはままあった」 「そして、シャビが中盤の底とは目新しい」 「昨シーズンまでは、イニエスタが底で、シャビはその前に入るのが普通だった」 「グァルディオラは逆ということであるな」 「このポジションに、いわゆる攻撃をオーガナイズすることのできる選手を置くことが攻めにおいて非常に重要である、という考えであり、それに適任なのは、シャビである、ということやな」 「昔の自分の位置にシャビを置いたと」 「そういうことになる」 「”シャビを後継者に指名”とか見出しをつければいいのか」 「それはベタ過ぎるやろ」 「長いパスに関しては、明らかにグァルディオラの方が上手かったけどな」 「まあ、この日のバルサの攻め方なら、あまり長いボールは必要ない」 「前回にあるように、スリートップ系のシステムでは、ボランチから後方より、ウィングにタイミングの良いパスを当てる必要がある」 「具体的には、下の形を作り出すためやな」 「バルサは右に攻めていて、ボールを持って前を向いているメシとディフェンスの間に十分な距離がある」 「ここから一気にドリブルで仕掛けて、ディフェンスラインを崩す」 「まあ、そのためにウィングは存在する」 「昔のオーフェルマルスのようなプレーやな」 「懐かしいな」 「ところが、この日のバルサは、下の写真のように選手が中に中に入る」 「エリア付近は大混雑」 「図面上のウィングが中に入るとなれば、そこに長いボールを当てる必要もない」 「この試合に関しては、”サイドを使わないから中央にスペースがなくなって攻撃が詰まるんだ”という形の反省が行われるのは間違いない」 「しかし、もう一つ大切なことは、縦の距離も非常によくなかった」 「フォワードと後ろの選手の距離が近すぎて、スペースを消すわけやな」 「おまけに、プレーの選択の幅も狭まる」 「あと5m後ろにいれば、ディフェンスとの距離も取れて味方が引くスペースも残るし、技も仕掛けやすい」 「この、”縦の距離を適切に保つ”というのは、有効な攻撃を仕掛ける上で、サイドを広く使うことと同様かそれ以上に重要なことなので、ぜひ注目していただきたいところやな」 「例えば、ユーロのスペイン代表は、横は狭かったけれども、縦にはいい距離を保っていた」 「横について言及されることは多いけれども、縦についてはまだあまり触れられることがないので、どんどん使っていくと違いが出せていいのではないかと」 「なにを流行らせようとしてんねん」 「縦の距離に注目してみると、例えば、ペナルティーエリア手前10mからラインの裏にボールを落とす時、ゴールエリアの縁に落とすと、ペナルティーエリアの縁から走りこんだ選手にちょうどいい、というような事がわかる」 「ディフェンスラインがちょうどペナルティーエリアの線にある時の話か」 「そのようなことがわかれば、ボールを受けた時に軽く浮かせてミドル、と見せかけて裏に落とす、というようなアイディアがうまれてくるので、一層サッカーが楽しくなる」 「道を歩きながらそんな妄想をするのも面白いわけやな」 「サッカーは一面、イメージとアイディアのスポーツやから、妄想力は大切になる」 「ほんまかいな」 「それはさておき、試合に戻る」 「フレブ登場後も得点は動かず、61分にアンリを下げてボージャン、66分にイニエスタを下げてケイタを入れる」 66分 「これもまた物珍しい形であるな」 「まず、ケイタがシャビの前にいる」 「これは、監督の守備より組み立てという思想をよく反映している」 「おまけに、ケイタが右にいる」 「彼は左利きで、これまでは左ボランチで見ることが多かった」 「果たしてどうかと思われたが」 「この試合では十分は働きをした」 「しかしながら、無得点のまま試合終了」 「バルサは、初黒星を飾った」 「飾るもんじゃないけどな」 「なにはともあれ、下の先発では今年も前と同じ理由で駄目だろう、というのは見えた」 「それではこれからどうするか」 「下の控え選手とともに考えてみましょう」 「というのが次なるお題やな」 「続きは」 「こちらから」
「さて」
「開幕戦におけるバルセロナの先発をこれからどうするか」 「下の控え選手達とともに考えてみましょう」 「というお題なわけやな」 「去年のバルサの大きな問題は、サイドで走れる選手がいない、中盤を支える選手がいない、両サイドバックの組み立てが下手すぎる、というものだった」 「フレブ、ケイタ、アウベスを取ったのはそれを改善するためやな」 「アビダルを残したのは微妙やけどな」 「彼については、開幕戦で、パスを出す前のフェイクを色々と試していて、去年より相手と正面を向いてかけひきをしようという意欲が見られた」 「監督からなんか言われたんかね」 「その可能性は高いな」 「それはそれとして、チームを組み立てる際、まず最初にメシの存在を考えざるをえない」 「これまでのところ、右から中央にドリブルで切れ込んでからのプレーが一番よい」 「となると、それを中心にして組み立てざるを得ない」 「使う以上はそうやな」 「ロナウジーニョやリケルメと同じで、中途半端に使うとたちまち穴の方が目立ちはじめる」 「そうなると、彼の裏をカバーする選手が必要になる」 「ロナウジーニョにとっての、デコ、モタ、ダービッツといった選手やな」 「それならケイタでよかろうという話になる」 「ついでに、センターバックの右側にマルティン・カセレスを置く」 「彼はサイドへのカバーが早くて速い」 「こうしておけば、サイドの穴を埋めやすい」 「スピードのない、シャビ、マルケスを置くよりはるかに安心できる」 「次にアウベスについて考える」 「彼は、オーバーラップに置いて、外だけでなく、中へ入ることも多い」 「ところが、バルサでこれをやると、メシのドリブルコースをふさいでしまう」 「セビージャでは、ナバスとのコンビで中でも外でも上手くいっていた」 「バルサでは、チームの都合上、中への動きを少なくし、メシのフォローに徹した方がよい」 「続いて、前線の組み合わせを考える」 「中央のフォワードとしては、メシの動きに合わせて、ラインの裏に出る選手が望ましい」 「エトーでよろしかろう」 「左の選手は、守備において中盤を助けるために上下に大きく動くことができ、サイドで我慢できる選手が望ましい」 「フレブか」 「ここにアンリを使うと、持久力に問題が生じる」 「エトーとも重なる気配が強いしな」 「例えば、この試合では、21分45秒からのプレーで、右サイドを突破したシャビのセンタリングに対して、エトーとアンリがまったく同じスペースに飛び込むシーンがある」 「両方ファーからニアに飛び込んで点で合わせようとした」 「1人が飛び込んで1人がその裏で待つ方がスペースの使い方としてはよい」 「まあ、それもあり、左はフレブでよろしかろうと」 「最後に、その後ろを考える」 「左のバックと、ボランチか」 「ディフェンスラインは、マルケスとアビダル」 「マルケスは後方からの球出しに必要やし、アビダルは上げずに使うなら、スペースのある状態での長いパスはいい」 「そして、ボランチは、トゥレとイニエスタでどうするか」 「どうするかってどうするんや」 「やってみんとわからん」 「トゥレの方がええような気がするけどな」 「イニエスタやと、前と同じように、ロングボールで競られて守備が崩れる可能性があるのはあるが、捨て難い一面もある」 「やってみないとわからないということか」 「結論はこうなる」 「控えを考えると、下の形か」 「メシ、フレブ、アウベス、マルケスは代えが難しい」 「エトーとアンリもどうなんやろな」 「なんにしても、下の先発ではここ2シーズンの過ちを繰り返してしまうことは必定なので」 「どうにかする必要がある」 「例えば、とにかく守ることを中心に考えれば、下のような配置も可能になる」 「これはこれで上手くいく可能性はある」 「ロナウジーニョがアンリになっただけのような布陣やな」 「おまけにメシも使わない」 「それだけでも、議論の的になりかねない」 「かといって、彼を中心に組むと、怪我が恐い」 「毎年大きな怪我をするでな」 「どうなることやら」 「お楽しみと」 「自分でバルサ問題に対する解答を考えてみるのは、頭の体操としても面白いので」 「ぜひ挑戦していただければと」 「今期の場合、まず前線でアンリとメシを使うか使わないか、使うならどのように動かすか」 「次に、それにどのような中盤を組み合わせるか」 「最後にディフェンスラインの機能をどうするか」 「例えば、アウベスをどう動かすか、マルケスを使うならどこで使うか」 「といった道筋で考えるとやりやすいのではないかと」 「しかし、あれやな」 「なんや」 「後ろからじゃなくて、前から考えて行く方がわかりやすいのがバルサらしいな」 「お家柄かね」 「よい選手配置やシステムがあればお教えいただきたいというところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」
「リーガもついに38節」
「いわゆる最終節を迎えた」 「長かったような短かったような」 「短かったような長かったような」 「そんな最後の試合はデポル対ビジャレアル」 「終わってみればビジャレアルの完封勝ちだった」 「先発はこう」 「デポルはいつもの1-5-4-1」 「ビジャレアルは1-4-3-1-2やな」 「珍しいといえば珍しい」 「メンバー的にも珍しいな」 「ベンチに、いわゆるレギュラークラスが控えていて、普段あまり先発しない、トマソン、ギジェ、マティアス・フェルナンデス、アンヘル、ブルーノなどが出ている」 「これは、2位確定が確定して、この試合に勝っても負けても順位変動がないことが関係している」 「控え選手をなるべく多く出して、慰労と来シーズンへの布石のためやな」 「今シーズンのビジャレアルは、苦しみながらも2位の座を手に入れた」 「おまけにバルサに10ポイントもの差をつけた」 「それはバルサがひどすぎただけやけどな」 「まあな」 「ただ、ビジャレアルは楽に勝ってきたかというと、そんなことはない」 「最終的に勝ちを収めた、レクレアティーボ戦、ヘタッフェ戦を見ても、前半は非常に苦しい試合だった」 「それを戦術と個人の能力、集団でのパスワークでカバーして順位を上げてきた」 「リケルメ、フォルランがいたころの爆発的な強さはないけれども、チームとしての勝利という意味では以前にも増して素晴らしいシーズンだった」 「確かに」 「しかし、今シーズンも、びっくりするくらいよくボールをつないでいた」 「今のスペインリーグであれだけ大切に回すのはビジャレアルとバジャドリーくらいなもんやな」 「そのパスを受けるにおいて、ビジャレアルには一つの特徴がある」 「ほう」 「例えば下のような場面やな」 「まず、ボールを持った選手がサイドへターンする」 「ターンした後、縦パスを送るフェイントをかける」 「そう見せかけて中央へ向きなおる」 「この時、中央の選手が後ろに下がる」 「そこへ横パス」 「ダイレクトで逆のスペースへ展開する」 「このような次第か」 「そうやな」 「これがどうした」 「その前に、この後の展開を見ていただきたい」 「後というと、下の図の後か」 「パスを受けた選手は、左へトラップする」 「そこから中央へパス」 「受ける選手は左サイド側から右サイド側に動く」 「結果、こうなる」 「上の二つの流れには、下のような共通点がある」 「ほうほう」 「最初のプレーでは、プレーが前に流れているのに対して、ボールを受ける選手は後ろに動いている」 「二番目のプレーでは、プレーが左に流れているのに対して、ボールを受ける選手は右に動いている」 「なるほどな」 「これは、パスを回すとか、ボールをつないで攻める時に非常に重要で、プレーの流れと逆に動く選手の存在によってボールを停滞させずに動かすことができる」 「みんなが同じ方向に動いたらどこかで詰まるからな」 「これはビジャレアルのオフ・ザ・ボール、つまり、ボールを持っていない場所での動きに置いてよく出てくるパターンなんやな」 「下もそうか」 「まず、左サイドからのパスを中央で受けて、右方向へコントロール」 「これに対して、中央前側の選手は、左に動いてボールを受ける」 「結果、こうなる」 「流れ図としては下の形か」 「原理はさっきの二つと一緒やろ」 「そうやな」 「これは、いわゆる”反航系”と呼ばれるパターンになる」 「プレーのベクトルと受ける選手の動きのベクトルが反対向きだから反航ということか」 「そういうことやな」 「安直やな」 「ほっとけ」 「そうもいかん」 「なんにせよ、これを行う時には、一般的に、パスを出す選手が、出したい方向と逆側にボールをコントロールすると上手くいく」 「どういうことや」 「例えば、下の最初の例では、右からくるボールを左にコントロールしてから右に出しているし、次の例では、左から来るボールを右にコントロールしてから左に出している」 「コントロールした方向にディフェンスの注意は集中するから、その逆に出せば通りやすい、ということか」 「それに、こうしておけば、自然と90度方向にパスがでるので、死角に入りやすい」 「90度については、こちらやこちらをご覧いただくとして」 「この、コントロールのすぐ後に逆へパスを出す、という技は、反航系だけでなく普通の場面でも使用可能で、下のようになる」 「下か」 「まず、中から左サイドへのパスを左へコントロール」 「左にコントロールしたボールを、右方向、つまり中央側へと戻す」 「前の二つと同じパターンではあるな」 「ようするに、最後のパスを出す直前のボールのコントロールそのものがフェイントになっているという話や」 「そうか」 「ちなみに、ここからビジャレアルの1点目が入る」 「その1点目なんやけどな」 「なんや」 「それに関する、簡単な個人技問題を作ってみたので、興味のある方は解いていただければと」 「こちらからご覧になれますので」 「どうぞよろしく」 「というわけで」 「プレーの流れに対して反航してボールを受ける。パスを出したい方向と逆にボールをコントロールする。これらの技は、簡単かつ有効である」 「以上が、本日の骨子ですので」 「試合を見る時や、実際にプレーする中で活用していただければというところで」 「また次回」 「ごきげんよう」
「アトレチコはチャンピオンズリーグを、デポルはUEFAを目指したこの戦い」
「結果的に、アトレチコが勝利した」 「アトレチコは、来期のチャンピオンズリーグ出場を決めた」 「予備戦を通過したらの話やけどな」 「一方のデポルは、インテルトトことインタートトを目指す感じかね」 「そうやろな」 「先発はこうか」 「今日のデポルは1-5-3-2」 「同じ5バックでも、1-5-4-1や1-5-3-1-1といったオプションもある」 「バルサ戦やマドリー戦、サラゴサ戦も少し違う」 「それぞれに一長一短があるわけだが、このシステムでは、どうしても気になるところがある」 「どこや」 「いわゆる、脇とかアゴとか呼ばれる場所のことやな」 「この形か」 「まずこのシステムでは①の部分が空きやすい」 「図を見ただけでも空きやすそうな感じではある」 「次に、そこを埋めるのは中盤の選手か、サイドバックなわけだが、サイドバックが上がると②のスペースが空く」 「当然やな」 「実はそれが結構カバーしづらい」 「3バックのアゴを叩け、という標語は、②のスペースを狙っていけ、ということやしな」 「こう書くと、なんや理屈に過ぎる気もしなくもないが、実際にこの試合唯一の得点は正にこれが原因で決まった」 「それを見ていこうと」 「そういうわけやな」 「まず写真で見ていただくとして」 「このような状態から始まった」 「しかし、これだけではなんのことかわからん」 「そこで、まず黒い側。つまり、守備をしているデポルティーボの配置から見てみたい」 「デポルのゴールは画面の右奥にある」 「選手の名前を書くと下のようになる」 「システムとしては崩れていない」 「ディフェンスの前に3人の中盤がちゃんと揃っているから、ごく普通の状態で守っている」 「ちなみに、中盤は、セルヒオ、デ・グスマン、フアン・ロドリゲスの3人やな」 「次に、アトレチコの配置を見てみる」 「赤と白のチームで、右に向かって攻めている」 「左サイドバックのペルニアが中に来て、フォワードのクンが左サイドに開いているのがもの珍しい」 「まあ、その2人の位置を入れ換えてしまえば、よく見られる形やな」 「1-4-4-2ではごく普通の選手配置になっている」 「そして、ここからどうなるかというと」 「まず、サイドにパスが渡る」 「それを受けたクンは少し内側へ入りながらドリブルで前へ」 「中央へのパスフェイクでディフェンスを引き付けた後、サイドへ」 「パスを受けたマキシは一気にペナルティーエリア内へとドリブル」 「後ろへ戻したボールをフォルランがダイレクトシュート。ゴールが決まる」 「綺麗な流れであるな」 「確かに」 「これは上で出てきたこの形の5バック、もしくは3バックにおける泣き所を良くあらわしている」 「上から見ると次のようになる」 「まず、サイドにパスが渡る」 「この時、理想的には、図のように守備の選手が動く」 「中盤の選手、つまり8番がサイドに出て、5バックの一番右端の選手、この場合2番が相手のサイドの選手をマークする」 「それが実行されるとこうなる」 「これならば、守備としてなんの不安もない」 「ところが、世の中そうそううまくもいかない」 「サイドに出るべき8番の選手が、なんらかの理由でそれが不可能なことは多い」 「例えば、8番がボールに当たりに行ってサイドに開くのが遅れる、といった場合やな」 「そうなると、下のように、2番の選手が前に出ざるをえない」 「そして、右センターバックの4番が相手のサイドの選手に詰めるわけやな」 「この時、中央でフリーになるフォワードに対しては、3バックの中央の選手が詰めればいい」 「結果こうなる」 「うむ」 「これはこれで心配ない」 「ところが、こうはならなかった」 「その理由はというと」 「一つは、クン・アグエロのドリブルの方向と、パスフェイクやな」 「やや内側にドリブルしたことで、サイドのディフェンスの選手はそれに対応せざるをえなくなった」 「そして、中央へのパスフェイクが入ったことで、中のディフェンスはそちらに引っ張られた」 「二つ上の図で、ディフェンスとしては、オレンジの矢印の方向にマークに行きたいのだが、クンの動きにより、黄色い方向に動かざるをえなかった」 「この時、中央のフォワードの動きも重要な意味を持っていた」 「どういうことや」 「下の図のように、7番の選手が4番の選手に近づくように動いたんや」 「7番はフォルランか」 「4番はロポやな」 「こうなると、4番は7番につかざるをえない」 「ディフェンスラインの前でフォルランをフリーにしては失点の可能性が大きすぎる」 「しかし、そうなると青い点線のゾーンがぼっかりと空く」 「実は、それが10番、クン・アグエロの最初からの狙いやな」 「中に向けてドリブルしたのも、中央へパスを出す構えを見せたのも、すべてはサイドにスペースをつくるためだった」 「結果、下のように11番が完全に抜ける形が出来上がった」 「これは、下の①を防ぐと②が空く、というセオリーの典型的な例になる」 「3バックや5バックは、常にこの関係が悩ましい」 「最近、極度にこのシステムが少ないのは、このことも関係している」 「ロティーナのデポルは、5バック系を採用してからぐんぐんと成績をあげたが、対策の進む来年もこの形で行けるのかどうかはよくわからんな」 「そもそも、デポルがこれを続けるかどうかがよくわからんしな」 「なにはともあれ、3バック系のシステムの弱点として、このことを記憶されておくとよろしいかと」 「テストに出るのか?」 「どうやろな」 「まあ、なんにしても下のクンは上手かった」 「パスをもらう前の段階でこの形を描いているのはさすがというかなんというか」 「フォルランは、マキシをフリーにするためにわざとロポを引き付ける動きをしたんかね?」 「賢い彼のことやから、そうかもしれん」 「動く前に、そのことで周囲のスペースがどうなるか、というのを認識しておくことは実に重要やな」 「それが上手いと下手の分かれ目でもある」 「例えば、ルーニーはドリブルを始める前にそれを確実に認識しているので、チャンピオンズリーグの決勝などでも注目していただければと」 「クリスティアーノ・ロナウドやテベスはドリブルしながらスペースを見つける傾向が強いな」 「ロナウドは感覚でドリブルをするから、始めてみないと自分でもどこで終わるのかわからんのではないかね」 「それは、ディフェンスにとっても先が読めないということにもなる」 「確かに」 「そんなこんなで」 「戦術問題集は、過去の試合からのものが水曜日にはできる予定ですので」 「そちらもどうぞご覧下さいというところで」 「では、また次回」 「ご機嫌よう」 おまけ:サイドを空けない5バック
「さて」
「クラシコであるな」 「結果は4-1」 「大差というかなんというか」 「先発はこうやな」 「マドリーの狙いは前回のクラシコと一緒で、中央前方の選手、つまりグティがトゥレをマンツーマン気味にマークし、サイドバックは2人のフォワードが下がって対応する」 「前回はグティの位置にラウールがいた」 「こんな感じやな」 「前にうまくいったので、今回も二匹目のドジョウということかね」 「変える必要はないということやろな」 「この試合の動きも前回とほぼ同じだったが、メシに対するマークには気を使っていた」 「マルセロと1対1にしては危ないので、彼がボールを持つとかならずスナイデルがヘルプに行き、マルセロは縦を、スナイデルが中を切っていた」 「時間をかければロベンも下がってきて、トリプルチームのような状態になる」 「対策は万全という感じやな」 「そして、試合の方はというと」 「12分にラウール、20分にロベンが決めて2-0とマドリーがリード」 「バルサとしては困ったことになった」 「そこで、23分に交代が行われる」 「グジョンセンがアウトでジオバンニ・デ・ロス・サントスが登場」 「フォワードが1人多すぎやしないかと思っていると」 「下のようになった」 「メシが中か」 「中やな」 「今までだと、負けている後半の勝負手やな」 「それを23分で出す辺りなかなか」 「前回の教訓から、対策を考えた結果がこれ、ということかね」 「これで上手くいったかどうかというと」 「この交代をきっかけに持ち直した、という点では良かった」 「マドリーは左のロベンを止める手段を入念にこうじておいたのに、それを外された形ではある」 「ジオバンニに2人行くのは行きすぎだし、そうすると中盤が相手メシの回りにスペースができる」 「おまけに、ジオバンニとマルセロを1対1にしてしまうと、ドリブルで抜かれる可能性が十分にある」 「さらには、メシは頻繁に上がるマルセロをマークする必要がないので、足を溜めることができる」 「マドリーにとっては色々と悩ましいところやな」 「しかし、いいことばかりでもないのが世の常というかなんというか」 「今までも守備の薄かった中盤にメシを入れて持つのかどうかというのは疑問やな」 「持たなかったのは後半の2失点でも明らかではないかと」 「どうなんやろな」 「とにかく、バルセロナはチームとしてボロボロであったな」 「レアル・マドリーには、最低限の後ろが耐えて前が決めるという構造があった」 「決して安定な構造ではないねんけどな」 「はたして、バルサはどうしてしまったのか、反省してみたいところではある」 「反省会か」 「そうやな」 「まずシーズン最初の問題はロナウジーニョやな」 「外すか使うのか、中途半端な時期が長すぎた」 「彼を支える選手を切り過ぎたせいで、もはや使う場所はなかったんやけどな」 「その辺りは、こちらをご覧いただくことにしてだ」 「去年の終わり頃は、彼を使わないことでチームが安定してきたと思ったら12月も終わりのクラシコで思い出したように使う」 「それでまたおかしくなってきた」 「ロナウジーニョは、使う、使わないでチームのバランスを完全に変えてしまうから、中途半端に使う道なんかないのにな」 「天才と毒物の紙一重というやつかね」 「その後しばらくして、外すことに決定した」 「それはそれとしてや」 「なんや」 「この試合のバルサの先発を見ると、ロナウジーニョ以外の問題も良くあらわれていると思わんかね」 「これはなんや」 「バルサの課題の上位3つで、重要な順に線が濃くなっている」 「ほほう」 「まず一番の課題はメシやな」 「メシか」 「彼を攻撃の核に据えるのか据えないのか、決心をつけないといけない」 「いけないも何も、ロナウジーニョがいない以上、彼を中心にするしかないんちゃうかね」 「能力的にはそうだとしても、怪我が問題やろ」 「怪我はなあ」 「毎シーズン長期に渡って戦列を離れる選手を中心に据えるのは難しいで」 「その選手が凄ければ凄いほど、いないときの反動もきついしな」 「やろ」 「とは言っても、来シーズン一杯は様子をみるのと違うかね。次も怪我をしたら、それこそ考えなあかんとは思うが」 「じゃあ、メシは中心に置くと決めて、次はサイドバックやな」 「ザンブロッタとアビダルか」 「この2人の組み立て能力、プレッシャーをかわす能力、クロスを上げる能力というのは極めて低い」 「バルサの使い方に合わんと言えば合わんな」 「つないで攻めるのであれば、サイドバックがポロポロとボールを失っては話にならんやろ」 「バルサはパスを回す運命にあるから、この2人は変えないとしょうがない」 「そして最後に、ボージャンとグジョンセンや」 「トップがボージャンだと、ボールに触るために下がったり、サイドに流れたりする機会が多く、ゴール前の選手が足りなくなるのは確かやな」 「おまけに、グジョンセンを中盤でイニエスタやデコの代わりに使うのは無理がある」 「言われてるほど悪いとは思わんけどな」 「そうなんか?」 「ゾーンの間でパスを受ける動きなんかは抜群に上手いで」 「でも、そこからパスが出てこないで、潰れてしまうことが多いやろ」 「確かにそんなこともあるけど、守備でも惜しみなく走るし、相手に当る度胸もあるから今のバルサの中盤には貴重やと思わんか」 「そこや」 「どこや」 「その走って当れる選手というのがまた問題や」 「そうなのかね」 「今のバルサを見ると、アンリ、メシ、シャビ、イニエスタ、ボージャン、ジオバンニ、エスケーロといった瞬発力型やテクニック型の選手が多く、長距離を走り続けてスペースを生めてバランスを取るとか、泥臭く相手に当っていくとかいった人材が足りない」 「デコはどうした」 「昔は、彼に加えてモタやファン・ボメルやジュリやジオがいたことを思えば、明らかに人手不足やろ」 「薄いのは薄いな」 「薄すぎるから、チームのバランスが保てないわけで、それを埋める補強候補などを考えてみようと思うわけだ」 「例えば、ハーグリーブスか」 「いきなり確信を突きよるな」 「中盤でバランスも取れて、サイドバックでも間違えない。条件にあてはまるやろ」 「それはそうやけど、海外に手を伸ばして、やれハーグリーブスが欲しいとか、やれシュバインシュタイガーが欲しいとか言い出すと夢物語になるので、リーガ関係者で実際に買えそうな選手を選ぶといいと思うわけやな」 「さよか」 「そこで結論としては下のようになった」 「これまたなんとも言えん面子やな」 「ええやろ」 「ええというのかなんというのか」 「セルヒオ・ガルシアとルイス・ガルシアは、センターフォワードに入っても良く、サイドでもプレーできる」 「このルイス・ガルシアは、エスパニョールの方か」 「そうやな」 「マキシ・ロドリゲスは、左右のサイドで良く、トップ下からボランチでも働く」 「サパテールは、中盤のバランスを取れて、サイドバックでも一通りの仕事ができるな」 「イラオラは、サイドバックでプレッシャーをかわすのがうまく、中盤に出てもいいし、実はボランチもできる」 「ゴンサロは、守ってよし、組み立ててよし、サイドバックも可能やな」 「ガライはどうしたんや」 「もうラシンから買ったらしいから入れてみた」 「ガライは、キック力があるのは確かやけど、細かい組み立てがうまいかどうかはよくわからんのやけどな」 「それは来てからのお楽しみやな」 「左は、ホセ・エンリケにアントニオ・ロペスか」 「ホセ・エンリケは、ドリブル良し、クロス良し、スピードもあってタックルも上手いというスペイン期待の星や」 「ビジャレアルからニューカッスルに買われて行ったのではなかったかね」 「どうも不満があるらしく、スペインに帰りたがっているそうな」 「もう一人がアントニオ・ロペスとは手堅いな」 「ロングキックが正確、フリーキックも抜群。仕事熱心で周囲とのバランスに気を使い、最近は右サイドバックとしても信頼されている」 「左利きの右サイドバックというのは珍しい」 「これらの選手であれば、バルサに足りない、走力、バランスを取る力というものを補完できるのではないかと思うのだが」 「ふむ」 「おまけに各自様々なポジションでプレーできるため、ボージャンをセンターフォワードで使ったり、グジョンセンを中盤で使うような無理をしなくてもすむ」 「いわゆる、ポリバレントな選手というやつか」 「実験として、このメンバーで様々なシステムを組んでみるとよくわかる」 「なんじゃそりゃ」 「まず、バルサ的1-4-3-3を組むと次のようになる」 「サパテールが2人いるのは気のせいか」 「9人しかおらんのやから、誰かが2箇所やらなしゃあないやろ」 「豪気やな」 「次に、1-4-4-2を組む」 「左前のアントニオ・ロペスがどうかとも思うが、普通に戦えそうではある」 「3バックも可能やで」 「しかし、なんにしても、9人も取るわけにはいかんやろ」 「4人くらいは取って欲しいと思うねんけどな」 「シーズン後に期待かね」 「去年からの酷いバルサがどうにか改善されることを祈らずにはいられない」 「補強の前に、作戦担当者を交代させればなおいいかね」 「そのあたりも注目ということで」 「また次回」 「今回も戦術問題集の続編がありますので」 「そちらもご覧下さい」 「ではまた」 「ご機嫌よう」 |
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