週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
前回は、イニエスタプレーが集団の中で持つ意味を見た。
ここでも、その点について見る。 以下、一番左の白と赤の守備者に注目してご覧いただきたい。 初期の段階で、一番左の水色の選手をマークしている。 その後の動きは、以下のようである。 下がる相手を完全に離している。 これは以下の理由による。 正対からは、守備者が間を狭めたとしても、左右両側へのプレーが残る。 このため、1つ後ろのラインの守備者は、2つのプレーを同時にケアしなければならない。 このため、以下の様な動きについて行くことができない。 結果としてフリーになる。 これが現実に起きている。 このように、正対には、1つ後ろの守備者の動きを制限する効果がある。 特にゾーンディフェンスにおいてそうである。 以下も同様である。 相手に向かう部分を拡大すると以下のようである。 足の裏でボールを転がす向き。 踏み込みの方向。 その後にボールを動かす向き。 全て正対方向を向いている。 体が傾いているため、スラローム的な動きに印象されるが、プレーベクトルは一貫して相手守備者を向いている。 注目は、その過程における一番左端の守備者の動きである。 一度中央の選手をマークしようとしているが、イニエスタの動きにつられて左に動こうとしている。 前に見たように、正対から左右へのプレーが可能であるため、後ろの守備者は両方をケアしなければならない。 このため、ひとつのフェイントで前後二人の守備者が裏を取られる場合がある。 これが実際に起こっている。 その様子は、以下の画像でも見られる。 ボールの見え方から、ボールが一貫して正対方向に動いていることがわかる。 また、二人の守備者がイニエスタの動きに応じて画面右に動く様子が見える。 一つのフェイントで、二人が同時に釣られている。 結果として、非常に良い場所でシルバがフリーになっている。 別角度から見ると以下のようである。 周囲に6人の守備者が見えるが、シルバをマークしているものは誰もいない。 ここで重要な点は、以下のような動きでパスを出していないことである。 あくまでも、ボールは正対方向に動き続けており、体の傾きがフェイントとなって守備者が釣られている。 ボールが正対方向からずれていないため、最後のパスを相対的に小さな角度で、簡単に出すことができる。 以上からわかるように、正対は、横の守備者だけでなく、後ろの守備者の動きも制限する働きを持つ。 イニエスタはこれを利用し、味方を好都合な場所でフリーにすることができる。 これは、攻撃の最終局面において極めて重要である。 次もこの点について見る。
前回まで、イニエスタの正対と浮き、ニュートラルを経由する動きを見た。
ここでは、そのプレーがチームの中でもつ意味を見る。 プレーの途中、相手に正対したままの状態を保っている。 左端の選手に注目すると、前にでるモーションから止まり、戻る様子が見える。 イニエスタは、その動きを見てパスを出している。 集団として良いプレーをするにおいて、味方のフォローもしくは動き出しを適切な時間待つ行為は必要不可欠である。 その一方で、待つ間に自ら状況を悪くしては本末転倒である。 正対により、状況を悪化させずに待つことができる。 Irl 20分58秒 コントロールから、一番近い守備者に正対する。 その間に、画面上の選手が左に動き、中央にスペースができる。 切り返して中央にパスを送る。 正対からスペースが空くのを待ち、それを利用している。 イニエスタは、正対を恐れないため、状況を悪くせず、左右への選択肢を保ったまま待つことができる。 これにより、味方の動き、フォローを十分に利用することができる。 これは、ボールをキープし、相手を崩すにおいて重要な要素である。 次に、正対の守備者を引き付ける効果を見る。 final 49分10秒 逆を向いた状態から正対を行なっている。 この間に、周囲の守備者が保持者の近くに集まってくる様子が見える。 正対とは、以下の状態である。 正対した状態からは、常に左右へのプレーが可能である。 これは、ドリブルにしろパスにしろ同じである。 これを防ぐために、守備者は正対方向に動かざるを得ない。 結果として、吸着された守備者がもともといた場所にスペースができる。 自分の近くに守備者を集めることは、その外側にスペースをつくり出すことにつながり、味方のプレーを楽にする作用がある。 por Ex26分26秒 最終的にオフサイドで終わるが、局所的に守備は崩されている。 サイドに抜けたイニエスタが、中央へ切り返し正対を行う。 結果として、保持者の左に大きなスペースができている。 この時、一番左端の白い守備者の姿勢は注目に値する。 後ろに下がるため、腰を引いた状態にある。 正対からのプレーは、正面の選手を受け身に回すだけでなく、その裏を狙うことで周囲の守備者も同時に受け身に回すことができる。 このため、パスを受けた味方は、よりよい状態、よりプレッシャーの少ない状態からプレーを始めることができる。 もともとスペースが広い上に、守備者が後ろに引っ張られていることでより多くの時間が手に入る。 例えば、下の状況からサイドへパスを出すこともできる。 しかし、一番左端の守備者はその方向へスタートを切ろうとしている。 先に見たものとの差は明らかである。 相手が待ち構えている状態でパスを出した場合、いかにスペースがあるように見えても、寄せが早いため余裕の少ない状況でプレーせざるをえない。 余裕がない状況では、プレーのスピードを上げざるを得ず、無駄にスピードを上げることでミスが出やすくなる。 正対を通すことで、そのようなミスが減る。 これは、集団におけるプレーの質の向上をもたらす。 プレーのリズム、スピードをコントロールする意味においても正対は重要である。 一般的に、ボールを長く持てば持つほど、守備のセットアップが完了する。 よって、ボールを早く離してつなぐ方が的を絞らせずに攻めることができ、有利であるとの考え方がある。 上の例は、必ずしもそうではないことを示している。 まず、パスを出せる状態で出していない。 サイドに抜けた後、正対を行なっている。 プレーに時間がかかっているが、ボールを受ける味方の状況はよりよいものになっている。 よりよい状況であれば、上手い選手はより上手いプレーをし、下手な選手もそれなりのプレーができる。 イニエスタは、正対からスペースをつくり出すことで味方の能力をよりよく引き出している。 それぞれがよりよいプレーを行えば、セットアップされたディフェンスであっても崩す可能性は高まる。 互いに少しずつ余裕を渡し合い、それを積み重ねて突破する。 その最初の一歩として正対が存在している。 次回も、イニエスタのプレーが持つ意味を見る。
前回は、イニエスタの浮く行動について見た。
ここでは、イニエスタのプレーにおいて特徴的な行動を見る。 以下は、スラロームから正対に移る例として既に見たプレーである。 次の2つの姿勢は特徴的である。 特に二番目のものは、歪みが少ない。 以下においても、同様の姿勢が見られる。 前のものと類似した姿勢が見られる。 比較すると次のようである。 以下は、正対の後、インサイドで離す例として見たものである。 類似した姿勢が見られる。 前のものと比較すると次のようである。 ここからの変化は、それぞれ以下のようである。 それぞれ、アウトサイドで右へのパス、インサイドで左へのパス、左足を踏み込んで持ち直す行動が見られる。 最初の姿勢は類似しており、そこからそれぞれの行動へ変化が可能だと考えられる。 例えば、次の状態からアウトでパスを出す、インサイドでパスを出す、ボールを持ち直す、いずれの行動へも変化の可能性がある。 これは、ドリブルの基本で見た、浮くことの特徴と一致する。 この姿勢は、次の行動の予測が難しく、左右どちらへの変化の可能性も残していた。 それが達成されるには、左右への歪みがなるべく小さい、ニュートラルな体勢を取る必要があった。 ここで見た姿勢も、歪みが少ないという意味でニュートラルに近い体勢と言うことができる。 このため、同じ特徴を持つと考えられる。 また、ニュートラルを経由する他の利点として、姿勢が回復される点があった。 この点も同様であると考えられる。 最初は、体がねじれ、左に傾いた状態であった。 最終的には、ニュートラルに近い体勢を取り、ねじれも傾きも解消されている。 イニエスタは浮く、浮かないにかかわらず、ニュートラルに近い状態をよく経由する。 以下は、これまでに見たもので、同様の意味を持つと考えられる姿勢をまとめたものである。 浮くことは、正対と非常に整合性の良い行動であった。 同じ特徴を持つニュートラルを経由する行動も同様だと考えられる。 実際に、これまで見たようにイニエスタは正対に向かう、もしくは正対からプレーする際にニュートラルな状態を経由している。 正対を怖がらず、正対からプレーが可能であるのは、そのような技術の裏付けがあるためだと推察される。 また、以上のことは、イニエスタのプレー上の印象を説明する。 彼のドリブルは、するするとした、ぬるぬるとしたといった形容詞をもって語られることがある。 このように印象されるには、自らバランスを崩さぬことが不可欠である。 バランを失いながらも抜く場合は、強引なドリブルや無理やり抜くドリブルといった印象になると考えられる。 ニュートラルを経由することにより、姿勢を回復しながら動く場合、そのような印象をを残さず、するする、ぬるぬるというものに近づく。 ニュートラルを経由する様子は以下に見られる。 バランスを回復させることでぬるぬると抜け、正対から無駄な技を使わずに抜くことでするりと抜ける。 浮くことを部分として含む、ニュートラルを経由して動くことは、イニエスタのプレーを説明するために不可欠であると考えられる。 ここまで、イニエスタが正対を通してプレーすることを見た。 また、そのための土台となる、ニュートラルを経由する動作を見た。 次は、それらが集団、チームの中で持つ意味について見る。
前回は、スラロームと正対の接続について見た。
ここでは、正対と浮きの関係を見る。 浮きとは、以下のような状態を指す。 軽く浮き上がり、歪みの少ないニュートラルな体勢を取る。 浮きについての詳細は、こちらを参照されたい。 cro 01分56秒 抜く部分を拡大すると以下のようである。 正対から、一度浮いてニュートラルな状態になることが見られる。 わかりにくい場合は、図を連続的に表示するとわかりやすい。 次も同様である。 以下に浮いた状態が見られる。 この場合、体の正面は相手を向いているものの、プレーベクトルが横を向いているため、正対としては弱い。 複数の守備者を相手にする場合にも、正対からの浮きが使われる。 次の図は、左が攻撃方向である。 final 75分47秒 守備者の体で隠れているが、連続表示させることにより、以下の図において浮いていることがわかる。 ここでは、わざわざ横を向いて正対した後に抜いている。 前に後ろ向きで正対する例を見たが、ここでは横向きで正対が行われている。 Ita 36分50秒 これは、以前に連続正対として見たものと類似している。 まず、最初の守備者と正対し、浮いている。 その後、次の守備者と正対している。 連続正対による1対複数の1対1への変換が見られる。 また、その過程で浮く動作が用いられている。 以前に見たように、浮くことの特徴は、正対から用いることによってより良く発揮される。 イニエスタのプレーは、その実例となっている。 次回は、浮くことと関連する動作を見る。
前回は、イニエスタの正対からのプレーを見た。
ここでは、スラロームと正対の関係を見る。 以前、スラロームは、正対と関連付けて初めて本当に意味があることを見た。 (参考:横を向きながらの移動、スラロームの導入) 次のものは、最初にスラロームを行い、その後正対に移っている。 横を向いた状態でコントロールを行う。 ボールを縦に弾き、そのまま前に抜ける。 この行動自体は、コントロールからのスラロームである。 その後、正対から一番左端の守備者を中央方向に押し込んでいる。 スラロームから正対への変化が見られる。 次も同様である。 cro 77分18秒 最初の相手を抜く際、体の正面は、相手を向いていない。 また、ボールを相手に向かって動かす動作も見られない。 これはスラロームに分類される。 その後、抜いた相手の前を横切り、次の守備者に向かう。 はっきりとした正対状態からパスを出す。 スラロームから正対への移行が見られる。 次も同様である。 final 25分20秒 パスを受けて二人の間を抜ける。 これは、スラロームである。 その後、中央の守備者に向かう。 ここでも、スラロームから正対への移行が見られる。 以前にも見たように、スラロームは正対と組み合わせて初めて意味がある。 イニエスタのプレーは、その実例となっている。 次回は、浮くことについて見る。 |
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