週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
これは、「正しいインサイドキックとは ~練習法~」の続きである。
正しいインサイドキックでは、自然に蹴ることのできる方向として、以下の3種がある。 普段の練習から、これを意識して行う。 例えば、もっとも単純な、2人が向かい合ってパスを交換する場合、次のようになる。 一番上は、蹴り足側に出して、軸足側に蹴る。 二番目は、正面方向に出して、正面方向へ蹴る。 三番目は、軸足側に出して、蹴り足側に蹴る。 真ん中以外は、蹴りたい方向と逆にコントロールしなければならない。 このため、最終的に出したいパスコースから、コントロールの方向を逆算しなければならなくなる。 これは、先のプレーイメージから今のプレーをつくるという点で、初歩的ながらよい訓練になる。 三人でボールを回す場合も同じである。 最後のパスを、どの表面、角度、強さで出すかをイメージしてコントロールを決定する。 ここで、受けるボールとコントロールの角度に注目する。 真ん中とその他を比べる。 一番上は、相対角度が小さく、一番下は大きい。 ターンにおいて、相対角度を小さくできるということは、ある状況に置いて優位に働く。 例えば、下のような練習を考える。 まず、一番右に注目する。 中央の選手が、左足でコントロールしながら180度ターンして右足で背中側の選手にパスを出す。よくある練習である。 正面からずらすパスを使えば、必ずしも、180度ターンをしなくてもよい。それが、中央と左である。 通常、ターンの角度が大きければ大きいほど、コントロールが難しい。 角度を減らすことができるということは、それだけ簡単になる。 ただし、ターンを小さくすることは、その後のパス角度が大きくなることにつながる。 右のように行えば、ターンの練習が主になる。 左のように行えば、パスの方向を変える練習が主になる。 中央は、その間である。 目的に合わせてやりかたを変えるとよい。 最初に例として出した、下のような最も単純な形の練習で、より意識を高めることもできる。 コントロールからパスの間に、パスフェイクを入れるとよい。 上図で、ピンクの矢印がフェイントのパスを表している。 一番上は、正面へのパスフェイクから足をたたんで軸足側へ出す。 中央と下は、軸足側へ出すフェイクから、足を返すか、胸の引きを加えて出す。 これを常に意識しておけば、試合への応用が簡単になる。 まず、一番上のパスは、下の形で使うことができる。 相手をサイドに釣って内側を通す形である。 その実例は下のようになる。 ピンクのパスで、ディフェンスを釣り出し、その裏を通す。 このプレーの詳細は、こちらを参照されたい。 次に、足を返して出すパスは、下の形で使うことができる。 利き足と同じサイドでは、中央に釣ってサイドへ出すことができる。 逆サイドでは、サイドに釣って、中央を通すことができる。 その実例は下のようになる。 ピンクのパスで、ディフェンスを釣り出し、その裏を通す。 このプレーの詳細は、こちらを参照されたい。 このように、正しいインサイドをきちんと練習することは、直接的に試合につながる。 パター型のインサイドでは、下の形から発展のしようがない。 この状態でも意識を高めた練習を行わなければならない。 その場合、ボールを受ける前にルックアップして首を振る、正確にコントロールする、素早くバランスを崩さないように蹴る、受け手が次のプレーに移りやすいパスを出す、出した後に首を振る、といったことが行われる。 これらは、すべて、正しいインサイドキックにも適用できる。 それに、最後のパスから逆算してコントロールを行う、コントロールからフェイントをかけてパスを出す、という要素が加わる。 どちらがより実戦に即しているか、どちらがより上手くなるか、明らかである。 2人や3人、もしくはそれ以上の人数で、ボールを蹴り合う、というのは、遊びでも練習でもよく行われ、練習や試合の空いた時間にもよく行われる。 仮に、週3回練習する選手が、1回の練習やその前後、合間に20分間このような形で蹴るとする。 1週間で1時間であり、年40週練習するなら、40時間になる。 これが10年続けば、400時間である。 1回の練習が2時間であれば、200日分に相当する。 もし、10年パター型に縛られていた選手が、正しい技術を習得しようとしても、すでに半年以上の差がある。 さらに、悪い癖を抜く手間、最初から正しい技術を身につけていた選手もさらに上達することを考えると、その差を埋めるのは非常に難しい。 正しい技術を身につけるのは、一日も早いほうがよい。 正しいインサイドを使えば、フェイントをかけることが日常になる。 それは、新たな技術の開発にもつながりやすい。 例えば、蹴り足側から、軸足側に方向を変化させることを続けているうちに、もっと角度を大きく変えられないかと考えるようになる。 その疑問があれば、色々なこと試すようになる。 一つの解決法として、足をより外側から回し、ももの内側の筋肉で引っ張るように蹴る、というものを見つけだせば、下のようになる。 このように、バリエーションを増やすことは、当然、よいプレーにつながる。 正しいインサイドは、最初から変化を前提としており、また、蹴り方が自然なため、バリエーションをつけやすい。 その点でも、パター型より遥かに優れている。 基本の蹴り方を取得した後、普段の練習の中で、様々に試しながら蹴ることは、新たな技の開発につながるはずである。 補稿:「ひねる蹴り方のインパクト面に関する小考」
これは、「正しいインサイドとは」における、正しいインサイドの特徴と誤ったパター型の特徴をまとめたものである。
正しいインサイドの特徴 -体の使い方が自然である -バランスを保ちやすい -キック後のプレーに早く移ることができる -最後までパスの方向がわからない -表と裏を切りかえることで相手の逆を取ることができる -正対において2つの選択肢が生まれる -キックにおいて、体幹、ムチ効果、ひねりを利用することができる -ボールを相手から遠い状態で持つことができる -サイドにおいて、体が前方かつ中央方向を向く -正対することを恐れなくなる -自ら相手に向かう積極性が生まれる パター型の特徴 -体の使い方が不自然である -不自然であるがゆえにキックの後にバランスを崩す -パス・アンド・ゴーに不向きである -キックの方向がよまれやすい -パスカットされやすい(受け手がプレッシャーを受けやすい) -キックにおいて、体幹、ムチ効果、ひねりを利用することができない -ボールをより相手に近い位置で持つ メリットの部分は、普段の練習で意識すると良い。 具体的には、次のような形が例としてあげられる。
これは、「正しいインサイドキックとは ~練習法~」の続きである。
ここでは、サッカーにおいて、体の正面からずれるパスを基本とする方が、プレーする上で好都合であることを示す。 今、右利きの選手が、左サイドでボールを持ち、インサイドキックでライン際の選手にパスを出す。 正しいインサイドキックで表とした技術では、パスは体の正面よりも軸足側に飛ぶ。 つまり、サイドにパスを出す場合に、前方かつ中央方向を向いた状態で出すことになる。 これは、ディフェンスを中央に引き付ける効果がある。 ペナルティエリア方向を向いている以上、そちらへのドリブルやパスを警戒しなければならない。 これにより、ディフェンスはサイドへ出にくくなる。 結果として、パスを受ける選手は、相手をより遠くに置いた状態でプレーすることが可能になる。 間違った技術である、パター型のインサイドは、体の正面をパスを出す方向に向けなければならない。 これまで、見たように、パター型は、パスコースの変更が効かないため、早い段階で方向をよまれやすい。 また、最初から横を向くため、ディフェンスはサイドに詰めやすい。 これは、右サイドでも同じことが言える 正しいインサイドでは、前方、中央方向を向いた状態でサイドに出す。 守備は、サイドに狙いを定めることができない。 誤ったインサイドでサイドに出す。 ディフェンスは狙いを定めることができる。 以上のことは、サイドの選手ならば良くわかるはずである。 体の正面を中に向けてくる選手は、威圧感があり守備に慎重を要する。 体の正面を逃げるようにサイドに向ける選手は、まったく恐くない。 このような経験があるはずである。 つまり、正しいインサイドを身につけることは、自然と相手を威圧する、縛るプレーをすることにつながる。 次に中央でのプレーを見る。 中央でボールを持った場合、守備者はその正面に入ろうとする。 正対状態になった後、正しいインサイドであれば、横を抜くパスを無理なく出すことができる。 これは、最初からそのようにボールを持っているからである。 正面に出すことを基本とする場合、下のようになる。 この状況で、そのような持ち方を基本とすることは、意味がないを通り越して馬鹿げている。 「その時は、持ち方を変えればよい」ということもできる。 しかし、ボールをゴール方向に運べば、相手は必ず正面に入ってくる。 それならば、最初から左右に蹴ることを前提としてなんら問題はなく、それを基礎とする方が望ましい。 体の正面に出すことが、ベストの解決方法である時は、正面に出すことを基本に持った方がよいではないか、という考えもある。 しかし、それも違う。 まず、状況の数がまったく異なる。正面が空いてそのまま出せばいいという状況は少なく、前方を相手にふさがれる状況の方がはるかに多い。 さらには、前に出せばいいだけの状況でも、パスを正面からずらした方がよい。 例えば、下の状況では、確かに体の正面にパスを出せばよいだけである。 しかし、この状況でも下のように出した方がよい。 一度中にコントロールし、体を一番近いデイフェンスに向けてから、角度をずらして蹴る。 この方が、パスは通りやすい。 なぜならば、体の方向を一度パスコースからずらすこと自体がフェイントの役目を果たすからである。 ワントラップからパスという行動は、双方同じであり、フェイントを使うことによる時間的なロスもない。最後のパス方向から逆算して、コントロールと体の方向を調整すればよい。 正面に出す持ち方から正面に出すということは、守備者に狙いを知らせることであり、早い段階で対応されてしまう。 この点は、最初に見た、サイドでパスを出す場合となんら変わりはない。 また、正しいインサイドを身につけた選手は、下の状態でディフェンスの動きに合わせる必要はない。 むしろ、自ら守備者にしかけて行くことができる。 相手に向かって動くことで、守備者をその位置にピン止めする。 それにより、縦へのパスコースを確保する。 体の正面にパスを出すことを基本としている場合、このように動くことはできない。 なぜなら、相手に向かうことで自らパスコースを消してしまうからである。 これに対して、正しいインサイドにおいては、むしろ、相手に正面から向かっていく方がパスを出しやすい。 つまり、正しいインサイドを身につけるにより、相手に向かうことが自然な行動となる。 言葉を変えれば、正しいインサイドを身につけることは、相手と正対することに対する恐怖を取り除くことにつながる。 これは、非常に大きな意味を持っている。 まず、ドイツワールドカップにおける日本代表は、相手に向かうことができないため、ボールポゼッションがシュートに結びつかなかった。 正しいインサイドを身につけることは、これを改善することにつながる。 また、以前、組み立てにおいて、相手と正対することがいかに重要であるかを述べた。 さらには、正対することにより、スルーパスも出しやすくなる。 キーパーとの一対一においても、正対してからシュートを打つことが成功率を高める鍵であった。 (参考1、2) これらすべての場合において、キックを体の正面からずらした方が有利である。 以上のように、サッカーにおいては、正面からずらして蹴ることを基本とした方がよい。 その方が、はるかに豊かなプレーができる。 正面へのパスを基本とした場合に、そのようなプレーができないのは自明である。 ここにも、パター型を教える弊害がある。 パター型は、体の正面に真っ直ぐ蹴ることを目的として作られている。 それを基本として、一所懸命に練習することは、アイディアが正面へのパスに縛られることにつながる。 これは、上で見たように、より下手なプレーにつながる。 パター型を練習する人は、日々営々として下手になるための努力をしている。 なぜなら、練習すればするほど、ボールの持ち方、持った時の体の向き、基本的なアイディアというサッカーの根本において、下手にならざるを得ないからである。 このような不幸な努力を強いられる選手が、一日も早くいなくなることを願わずにいられない。 パター型は、自然に身につくものではなく、誤った教育によってのみ身につくものである。 正しいインサイドキックと、その練習法に関して最初から読み、この稿を見たうえでなお、パター型を基本とすべきという人がおられたら、ぜひその理由をお聞かせねがいたい。 また、パター型がまったく不要ということはなく、それぞれの特徴に合った使い分けの問題だと主張する場合も、ぜひその理由をお聞かせ願いたい。 パター型の特徴とは、サッカーが下手になるということだけである。 おそらく、「精度が」という意見があると思うが、それはまったく根拠がない。 これまでインサイドの精度が高い、とされてきたのはインステップやインフロントといった他のキックと比べてである。 ここで問題にしなければならないのは、「ひねりを加えた場合の正しいインサイド」と「パター型」の精度の差である。 正しいインサイドでは、正面に蹴るためにひねりを加えなければならないため、この2つの比較が必要になる。 パター型の方が良いと主張するならば、上のデータを提示する必要がある。 ここで、「パター型は面を安定させて蹴るから、ひねりを加えるものよりも精度がいいはずだ」ということもできるが、これも根拠がない。 パター型は、面を安定させる代償として、人の体に不自然で無理な動きを強いている。 いうなれば、工学的な正しさのために、肉体的犠牲を強いている。 「工学的な正しさのために、肉体的犠牲を強いるパター型のインサイドよりも、体の使い方に無理がない正しいインサイドキックの方が、精度において優れている」という結果になる可能性は十分にある。 特に熟練者においてそうである。 パター型の精度を主張するならば、上の疑問に答えてからでなければならない。 現時点において、パター型の方が精度がいいと主張する根拠はなにもない。 それがない以上、パター型の存在を肯定する根拠もない。 さらには、正しいインサイドとパター型を比べると、これまで見たように、そのメリット、デメリットの差ははかり知れぬ。 次に、その点をまとめる。
これは、「正しいインサイドキックとは ~練習法~」の続きである。
ここでは、まったく踏み込まず、軸足を固定したまま蹴る技を紹介する。 これは、体を上から、もしくはより中から動かすことにより、強いボールを蹴ることができる実例になっている。 また、正しいインサイドキックにおいて、ムチ効果、ひねりの効果を有効に使うことができる実例でもある。これは、正しインサイドが、誤ったパター型よりも優れている点の一つである。 画面中央右で、黒っぽい選手がボールを持ち、黄色い選手と正対している。 浮いていた右足のつま先を地面につける。 それを再び引き上げる。 一気に振り下ろし、インサイドで蹴る。 12~13mほど先の味方に渡る。 ここでは、相手と正対したまま、膝の伸展と足のひねりを利用して、蹴り足方向にパスを出している。 正しいインサイドキックにおいて裏としたものと同じメカニズムである。 ここでの注目は、この図である。 この前後を、より詳しく見ると次のようになる。 背中の10という数字の真ん中あたりを注目していただきたい。 その上下にしわができているのがわかる。 これは、その部分で、この選手の体が折れていることを示している。 座布団を折り曲げると、折り曲げた部分の表面にしわができるのと同じ理屈である。 つまり、この時、ロナウジーニョの体には、だいたい下のピンクの線の部分において、折れ曲がり、いわゆるキンクが発生している。 折れるということは、この場合、ピンクの線から下が後方に曲がっていることを意味する。 通常、足を引くというと、股関節から下、白い分より下を引くことを意味するが、この選手はより体の上、体の中心に近い位置から足を引いている。 これは、強いキックを蹴る上で非常に重要である。 体をより上から引くということは、より上側からボールを蹴ることにつながる。 この選手は、下図のピンクの部分を使って蹴っている。 これに対し、股関節から下を使う場合は、白い部分で蹴ることになる。 これは、理屈をこねなくても、ピンクの方が強いキックを蹴れそうな気がするし、また、それで正しい。 バイオメカニクスでは、ムチ効果というものが頻繁に登場する。 ものを投げる手のしなりや、ボールを蹴る足のしなりをムチやそれに類似した系に見たてて議論する。 この場合にそれを適用すると、ピンクの方は、白に比べて、途中まで同じ大きさながら、より長く、より太い柄を持っていることになる。 どちらにしばかれるのがより痛いかというと、長く太い方であると想像がつく。 その対象がボールであれば、より速くより遠くへ飛ぶことになる。 ムチ効果というのは、センターレベルの物理で簡単に理解可能なので、興味のある方は調べられたい。 また、いかにうまく足先を加速させているかは、下の図からも理解可能である。 これは、足を振り下ろす場面をなるべく細かいフレームで示したものである。 振りが非常に早く、足首部分がほとんど消えている。 この、体の末端をより中から動かす、体の高い位置で、上と下が分離する、という能力は、運動全般において極めて重要である。 例えば、ダンスなら、より大きく無理な動きをした時にバランスを崩さないことにつながり、格闘技なら、初動が見えない、鋭く強いキックにつながる。 サッカーにおいては、ドリブルや接触においてバランスを崩さない能力、小さなモーションで強いキックを蹴る能力につながる。 これは、一般に、体幹を利用した動作、などと呼ばれる。 練習をする時は、このことを常に頭に置くとよい。 キックを練習するならば、例えば、肋骨から下を足だと思って振るだけでも上達がまるで違うはずである。 以上のように、正しいインサイドキックは、体幹を利用し、ムチ効果を使い、ひねりを伝えてボールを蹴ることができる。 これに対し、誤ったパター型のインサイドキックにおいて、そのような利点は存在しない。 膝を横に開いて固定し、その下を振るように蹴るため、体幹の力やムチ効果を使うことはできない。 また、最初から面を固定することを目的としているため、ひねりの加えようがない。 力学的に見て、パター型は正しいインサイドよりも、弱く蹴ることしかできない。 弱くい上に方向を読まれやすく、体の正面にしかパスを出せないくせにバランスまで崩す。 このような技術に存在意義を見出すのは難しい。 さらには、体の正面にパスを出すよりも、正面からずらしてパスを出す方がサッカーをプレーする上で有利である。 次に、この点について詳しく見る。
これは、「正しいインサイドキックとは ~まとめ~」の続きである。
正しいインサイドキックを身につけるための練習法を見る。 正しいインサイドがどのようなものかについては、「正しいインサイドキックとは ~正しい蹴り方~」を見ていただきたい。 最初に、正面より軸足側に蹴るキックを練習する。 正しいインサイドキックは、以前にも見たように、正面には飛ばない。 間違ったパター型のインサイドを身につけた人は、パスを体の正面に出すイメージを持っている。このため、正しいインサイドを上手く蹴れないことがある。 まずは、そのイメージを捨て、基本のパスは正面より軸足側に飛ぶことを思い描くことから始める必要がある。 蹴る時は、なるべく体の力を抜き、軸足の先を正面に向け、立った状態からそのまま蹴る。軸足の踏み込みは必要ない。 蹴り足を振り上げ、足先をやや開いた状態で固定し、そのままボールの少し外側から振り下ろしてインサイドでボールを捕らえる。 上図では、体の軸を傾けているが、練習では、軸をなるべく立てた状態で蹴る。 この蹴り方を用いると、ボールは自然と正面より軸足側に飛ぶ。 最初は、無理に大きな角度をつけようとする必要はない。 15度程度で十分である。 軸足がぐらつかぬ最低限の力だけを使い、残りの部分は出来る限り脱力して蹴る。強いボールを蹴る必要はない。 この時、足をなるべく体の上のほうから動かす。これについては、後に詳しく述べる。 どうしても軸足を踏み出してからでないと蹴れない場合は、軽く踏み込んで蹴り、徐々に踏み込みを小さくし、最後は立った状態からそのまま蹴るとよい。 次に、逆方向に蹴る例を見る。 これがどのようなものかについての詳しいことは、「正しいインサイドキックとは ~正しい蹴り方 裏~」を見ていただきたい。 今度は、上と同じ状態から、正面よりも軸足方向に蹴る。 この時、最初は蹴り足をひねる必要はない。 蹴り足と同じ側の胸を引き、体にアーチをつくるようにすればよい。 そうすれば、ボールは自然と蹴り足側に飛ぶ。 胸を引き、アーチをつくるとは、具体的に以下のようになる。 右胸に注目して見て頂きたい。 アーチとは、下の状態を呼ぶ。 ここでは、軸を傾けて蹴っているが、練習では、胸を引いた時に自然に傾く程度で蹴る。 胸を引くタイミング、アーチをつくるタイミングなどは、上の写真を参考にされたい。 繰り返しになるが、蹴り足方向に蹴る場合、最初は足をひねることを考えず、他の部分を脱力したまま、胸を綺麗に引ことを意識する。 そうすれば、自然に足が返り、ボールは望んだ方向に飛ぶ。 ここでも自然に一番楽な状態で蹴ればよく、強く蹴る必要はない。 ボールが蹴り側に飛ぶようになったら、同じ場所にボールを置いたまま、最初の練習、つまり、軸足方向へ蹴る練習に戻る。 同じ持ち方から、左右どちらにも蹴れるようにならなければならない。 最初は片方が上手く蹴れる場所では他方が上手く蹴れないことが多い。 ボールに対する立ち位置を変えながら、最適な場所を探すとよい。 持ち位置が定まったら、次に、足をひねるキックを練習する。 具体的には、下のような蹴り方である。 軸を立てたまま、足を返しながら蹴る。 これも、力を抜き、上の選手のように、ややだらりとしたまま蹴るのが望ましい。 このキックは、方向変化が小さく、大体正面方向に飛ぶ。 以上のことができるようになれば、同じ踏み出しのインサイドで、下の3種類のパスコースを手に入れることができる。 これは、相手との駆け引き、組み立て、スルーパスなどで大きな意味を持つ。 以上のことをある程度できるようになるのに、そのような蹴り方をしたことがある人で15分ほど、なんとなく形になるのに30分ほどである。 初めての人でも、1時間も練習すれば、ボールを持つ位置と大体の蹴り方はわかるはずである。 この時、パター型を習い、正面にパスを出すことを基本アイディアとしていた人は、ボールの持ち方を前と比較していただきたい。 下のように変化しているはずである。 パター型 正しいインサイド その差 これは、下の理由による。 今、パター型で下のような位置に置いて蹴るとする。 ここから、足をひねって蹴ろうとすると下のようになる。 多くの人にとって、軸足と蹴り足が近すぎて、非常に蹴りにくい。 これは実際にやってみればすぐわかる。 また、やってみずとも、下のパター型を正確に蹴っている選手の映像を見れば、内側から足を返した場合に、非常に厳しい姿勢になることがわかる これを解決するには、ボールを軸足から遠ざける必要がある。 そうすれば、内側から蹴ることは容易になる。 確かに、容易になるのだが、ボールが前にありすぎると、ひねりがうまく伝わらない。 また、逆方向へ蹴る足を入れにくい。 これを解決するには、ボールを下げることになる。 結果的に、右利きであれば、より右後方にボールを置くようになる。 これは、一つ正しいインサイドキックが優れている点である。 上手い選手の表現に、「懐の深い持ち方をする」というものがある。 懐が深いというのは、守備者から見てボールが遠いということである。 上で見るように、正しいインサイドでは、実際にボールが守備者から遠ざかっている。 ボールを取られる、取られないは、最終的に1cm、1mmといった差で決まる。 数cmでもボールが相手から遠ざかるなら、その意味は極めて大きい。 もし10cm変わるのなら、天と地ほどの差といってよい。 ボールを置く位置が変わるのは、基本のアイディアを、正面へのパスから斜め前へのパスに変え、蹴るメカニズムも違うのであるから当然である。 ボールの持ち方が違いは、サッカーの上手下手に決定的な影響を及ぼす。 持った時の姿勢、ボールを置く場所というのは、サッカーにおいて根本的な重要性を持っている。 一つの持ち方で、より多くの可能性を秘めているほどよい。 これまで、何度も見てきたように、正しい蹴り方と、パター型では、そこからの変化の可能性は比較にならない。 貧しいパター型を教える弊害はここにもある。 パター型を基本とした場合、選手は体の正面へ蹴ることを中心にイメージをつくることになる。 これは、サッカーにとって非常に不都合である。 体の正面とパスの方向がずれることを基本とする方が、はるかに豊かなプレーができる。 次にそれを述べるべきであるが、実際にキックの練習する際には、体のより上側、より内側から足を動かして蹴る、ということが極めて重要になる。 このため、その点を先に見た後、パスが正面からずれることを基本とするべきであることを述べる。 「体のより上側、より内側から足を動かしてボールを蹴る」 *追記 1 練習法でわかりにくい点、練習した結果うまくいかなかった点などありましたら、ぜひお教え下さい。 2 正しい蹴り方の利点は、逆足で練習するとよくわかります。これまで苦手だった人も、より自然に、正確に蹴ることができるので試してみて下さい。 |
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