週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
「さて」
「ポドルスキーのボレーシュートについてやな」 「簡単に言うと、彼はペナルティーエリアの左側から打つ時、右に踏み込んで逆に打つ」 「下の写真がそれやな」 「これは、クロアチア戦で、落ちてくるボールに対して、赤い矢印の方向に踏み込んでいるのがわかる」 「ちと見にくいけど、右のファーポスト方向やな」 「しかし、実際のシュートは左のニア方向に飛ぶ」 「ゴールが決まった場面を見ると、キーパーはニア側に倒れている」 「これをやられると、ゴールキーパーとしては止めるのが非常に難しい」 「ファーを捨てて最初からニアに飛ぶわけにもいかんしな」 「次は、前回のポーランド戦」 「右方向に踏み込んで」 「左方向に打つ」 「キーパーはやはりニア側に倒れる」 「得意技なんやろな」 「これも、前回のパスに続き、良い選手も、ある特定の状況では、大体いつも同じ技術を用いて状況を打開しているということの補強になるのではないかと思うわけやな」 「この二つのゴールは、こちらとこちらでごらんになれますので、比較していただければと」 「そんなこんなで」 「また次回」 「今回は、愚痴編はなしか」 「ポーランド対スイスで、あれをPKにするなら、今後あの手のプレーはすべてPKにせな怒るで、という愚痴は言いたいところやな」 「あれか」 「ビデオはこちら」 「というところで」 「今回はこの辺で」 「ご機嫌よう」
「さて」
「下の流れから、どのようなパスが出たか、というのが問題であったわけだが」 「正解はこう」 「ピンクのパスをフェイントにして、ディフェンスを右につって、白い方向にパスを出す」 「その結果、キーパーとの1対1が生まれた」 「一対一をいっても、チェクの飛び出しが良く、そのまま点が決まったわけではないけどな」 「それにしても、今回のパスと、トルコ戦のパスは、まったく同じ手筋やな」 「おまけに、パスを出した選手は、同じヌーノ・ゴメス」 「そこが鍵やな」 「どこや」 「上手い選手の上手いプレーといっても、実は状況とそれを打開するアイディアは同じというところや」 「そこか」 「インサイドで出すか、スパイクの横で出すかといった技術の違いはあれ、それの根底にあるものは同じで、見方によっては、同じことを繰り返しているだけのことが多い」 「それを盗めば、我々もビューティフルなプレーができるということか」 「そうありたいところやな」 「見るのも楽しくなるしな」 「それは必ず楽しくなるな」 「見るといえば、パスが出るひとつ前のこのシーンは大切やな」 「なんでや」 「鑑賞のポイントとしては、ヌーノ・ゴメスにボールが入る前のディフェンダーの動き、つまり下の図のオレンジ丸でかこまれた赤い選手の動きが大切やろ」 「彼が、この状態で右につられているから縦に通るわけやな」 「もし彼がヌーノに詰めていたら、右に返すのが正解になる」 「そりゃそうやな」 「そのディフェンスの動きが、次のプレーを決定付けるわけだから、鑑賞側としては、ヌーノがボールに触る前にそれを見ておくと正しくプレーを味わえるわけや」 「さよか」 「ちなみに、スペインのあるマスコミで、”ヌーノ・ゴメスは、パスを半分ミスしたから上手くいった”と言っていた」 「とんでもない話やな」 「右に返そうと思ったボールを蹴り損ねて縦に出たから偶然上手くいった、ということをいいたいのだと思うが、トルコ戦から考えても、足の動きを見ても、明らかに意図的なプレーやで」 「その辺りは、こちらの動画でご確認いただければと」 「要するに、上の発言をした人は、正しくプレーを鑑賞できていない」 「ご不満のご様子やな」 「あんな発言をしては、ヌーノ・ゴメスに失礼というものやで」 「不満といえばだな」 「なんや」 「この試合でもちょっと不満なことがあってだな」 「愚痴か」 「多少そうやな」 「よろしくないな」 「分けて書くか」 「その方がええな」 「では、愚痴編はこちらというところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」
ラインの裏に抜けたクローゼは、ボールを触りながら前に進む。
PKエリアに入る直前で、右足でボールに触り、右足で着地する。 以下、着地一歩ごとに見る。 次に右足を着地した時点で、ボールとの距離が空きすぎている。 本来は、この次がシュートのための踏み込みになるべきである。 しかし、ボールが離れすぎているためにそれができない。 これ以上前に進むと、キーパーとの距離が縮まり過ぎる。 よって、苦し紛れに横パスを選択した。 この時、ボールまでの距離があるため、体を大きく伸ばしてパスを出すことになった。 体が伸びた状態では、ボールに与える力をコントロールするのが難しい。 このため、パスが強すぎた。 ゴメスが届かなかったのは、それが原因である。 要するに、下の図においてボールを前に出しすぎたため、このプレーは失敗した。 下の状態からシュートを打てれば、クローゼは確実に決める自信があるはずであり、本人もそのつもりだった。 赤いシュートをフェイクにして、白いコースでもいいし、この場合はキーパーがニアに寄りすぎているので逆もよい。 このプレーは、ラン・ウィズ・ザ・ボールにおけるボールタッチの重要性をあらわしている。 このようなミスは、プロでも非常に多い。
元の問題はこちら
シュートやパスで相手の足元を抜く場合、一度ディフェンスに正対すると良い。 正対とは、体の正面を相手の正面に向けることを意味する。 これは、相手の足を揃え、利き足方向にスペースを作る効果を持つ。 以下に具体例を見る。 0708シーズンチャンピオンズリーグ決勝、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシー戦の42分におけるルーニーのプレーである。 ここでは、シュートではなくクロスが目的となっているが、フェイントなどのメカニズムは同じである。 ここで、ディフェンダーの重心が後ろにのっているのがわかる。 正対して前進する構えを見せることで、ディフェンスにこの体勢を取らせることができる。 一度相手を押し込むことにより、横へのドリブルが楽になる。 以上のように、一度相手と正対し、押し込む姿勢を見せられると、ディフェンスは横の動きに対する反応が遅れる。 この遅れを取り戻すために大きく足を出すため、その下を抜きやすくなる。 このようなパスは、俗に「股抜き」と言われる。 しかし、股を抜くよりも相手の軸足を意識し、その横を通す感覚を持つほうが良い。 片足で立つ人間は、軸足を動かすことができない。 このため、足元を抜いてシュートやパスを送る場合、その横を通せばカットされる心配はない。 よって、動きの中でマーカーの軸足を意識することは非常に大切である。 相手と正対する。一度正面へ押し込む。利き足方向へ切り返す。相手の軸足を意識しながらキックモーションに入る。足を返して軸足の横を抜く。 具体的には、以上の手順でこのプレーは行われる。 右足でシュートを行う時、角度の変更は下の図のようになる。 ピンクがフェイントのシュートコース、青が実際のシュートコースである。 一般的に、15度前後ずらせばよい。 インフロントからインステップ、インステップからインステップ、インステップからインサイドにサーフェスを変えて角度を変えることが多い。 基本的な状況において、このテクニック自体は難しくない。 踏み込んだ後、体の中心、肋骨のやや下側を後ろに引くようにすると蹴りやすい。 ラウールや、フォルランのシュートでもそれは見られる。 ラウールのシュートは、いわゆる股抜きであり、フォルランは違う。 しかし、軸足の点からみれば、ラウールは相手の軸足の内を通しており、フォルランは外を通している。 上の二つのシュートは、内側、外側の差があるのみで、軸足の横を抜くという点において原理的に同じである。 練習法 以下の点が大切である。 ・相手と正対する ・一度正面へ押し込む ・利き足方向へ切り返す ・相手の軸足を意識しながらキックモーションに入る ・足を返して軸足の横を抜く 以上の手順を習得する最も単純な方法は、1対1からのシュートである。 この場合、キーパーを必要としない。 タイミングは、ファーに打つシュートがブロックされるタイミングで足を返すのが最もよい。 フェイントをかけるためには、先手を取る必要がある。この練習では、ドリブルで一度相手を押し込むことがそれにあたる。 パスを出す選手を用いる場合、下の練習も有効である。 この場合、一度正面を向いて押し込む必要はない。 また、軸足の内側だけでなく、外側を抜くシュートも重要になる。 下のような状況では、後ろからシュートブロックに来るディフェンスの足元を抜くプレーが有効である。 裏を取られた守備者は、あわてて足を伸ばすケースが多い。 シュートブロックに来た場合、ニア方向に踏み込んだ後、一瞬待ってから足を返せばちょうど逆サイドに抜ける。 この技術は、シュートやクロスにおいて、敵をあざむく最も簡単な方法の一つである。 下のような形では、スルーパスに使うこともできる。 応用範囲が広く、ぜひ身につけたい技術の一つである。
スペインリーグ38節 デポルティーボ・ラコルーニャ 0-2 ビジャレアル
左サイドから、中央にボールを持ち込んだ選手がマイナス方向へ切り返した。 図示すると次のようになる。 問1: この後、シュートを打つ。 どのようなコースへ打つか、最も一般的なものを答えよ。 問1解答 |
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