週休たくさんで主にスペインサッカーを分析
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コーナーキック編におけるショートコーナーの図を、実際と比較する。
黄色い矢印がピレス、白い矢印がボールをあらわす。
分析の都合により、図は反転している。



ショートコーナーを受けた時点


バックパスをダイレクトでクロス


ディフェンスのクリア


ピレスのボレー


図の配置はディフェンスがクリアした瞬間のものである。
図と写真を比べると、最初のショートコーナーを受けたのはより内側であり、シュートを打ったのは、より後方外側であることがわかる。
基本編
コーナーキックの基本やテクニック

動機、データ編
特集の動機、コーナーキックに関するデータ

ショートコーナー編
図の見方、ショートコーナーの傾向

オープン編、分類の巻
特徴により分類する

オープン編、ゾーンの章
シュートを打つ選手の動きなどをゾーンで把握する

オープン編、設計の巻
ゾーンをもとにコーナーキックをつくる

オープン編、バリエーションの巻
設計したコーナーに変化を加える

クローズ編、ゾーンと設計の巻
オープンと同様にゾーンからコーナーを設計する

クローズ編、検討の巻
クローズでツータッチ以上で決まる場合など

総集コンビネーション編
ショートとオープン、ショートとクローズの組み合わせなど


参考ページ:セットプレー解説

「さて」

「ついに総集編であるな」

「ここでは、各パターンの特徴をまとめながら、メリット、デメリットを見た上で、コーナーキック間のコンビネーションについて考えていこうと思う」

「よかろう」

「まず、ショートコーナーについては、2つのパターンあった」





「短く戻して横に入れるものと、長く戻してファーポストの前に入れるものの2種類やな」

「ショートコーナーの利点としては、なんといっても相手の虚を突くことができる点にある」

「直接エリア内に来ると思っているところに短く出されるわけやしな」

「一方、難点としては、パスの数が多くなるので、ミスが出る可能性が高くなることがあげられる」

「まとめるとこんな感じか」

ショート
メリット:相手の虚をつきやすい
デメリット:ミスの出る確率が高い

「そうやな」

「このメリット、デメリットを見ると、身長的に負けているチームや、ヘディング能力で劣るチームにとってショートは大切やということやな」

「それはあるな」

「特に、ショートの2種類の中でも、長く戻す方はほとんど高さ関係なしに決まるからお得やな」

「その代わり、長めの正確なキックを2本続けなあかんけどな」

「それは練習やな」

「ショートで短く戻すバージョンは、一番得点につながりやすい、ゴールエリアの縁からシュートが打てて、そこに近い距離からパスを出せるのが魅力やな」

「そのかわり、コーナーに近づく選手はより長い距離を走らなければならないので相手にばれやすい」

「まとめると次の感じか」

ショートで短く戻す



メリット:クロスを上げる場所がもっとも得点につながる場所に近い
デメリット:コーナーに近づくための移動距離が長い、DFにつめられやすい


ショートで長く戻す



メリット:もっとも高さを必要としない
デメリット:長いパスを2本必要とする

「使うときは、このような点を頭に入れておくといいということやな」

「そうやな」

「次はオープンか」

「オープンは、ワンタッチで決める時は、シュートをする選手の前方に2人の囮を入れると良かった」

「次の感じやな」



「そして、ニアでそらしてファーで決めるパターンがあった」



「オープンには主な筋として上の2つがあり、さらには、囮になる選手やシュートを打つ選手の動きにもバリエーションをつけやすい」

「その変化しやすさがオープンのメリットやな」

「一方のデメリットとしては、シュート地点がゴールから遠いというのがあげられる」

「ゴールから遠ざかるように蹴るわけやから、そうなるのは必然やな」

「さらには、クローズと比べると、ゴール前での混戦が起きにくい」

「ディフェンスもゴールから離れながら守備をできるので、クリアしやすいということやな」

「まとめると次のようになる」

オープン
メリット:バリエーションを作りやすい
デメリット:シュート地点がゴールから遠い、相手がクリアしやすい

「ところで、オープンで、ワンタッチでシュートするものとニアでそらしてファーで決めるものはどう使いわけるかね」

「同じ配置から違う技を出せるというのが強みやから、例えば2対1程度の割合で混ぜて使えばええのんとちゃうか」

「さよか」

「そして、最後はクローズやな」

「クローズの最大のメリットは、シュート地点からゴールまでの距離が短いことやな」

「近くから打てばそれだけ入る確率は高くなるからな」

「おまけに、ボールがゴールに向かってくるため、競り合いのあとこぼれたボールをクリアしにくい」

「一方のデメリットとしては、バリエーションを作りにくというのがある」

「2回以上のタッチで決める有効なパターンがないのが厳しい」

「おまけに、オープンよりもコーナーに近い位置でシュートを打たなければならないので、キックからシュートまでの時間的猶予が短い。その分タイミングを合わせるのが難しい」

「まとめると次の感じか」

クローズ
メリット:シュート地点がゴールに近い、クリアしにくい
デメリット:バリエーションを作りにくい、タイミングを合わせるのが難しい

「全体をまとめると次のようになる」

ショート
メリット:相手の虚をつきやすい
デメリット:ミスの出る確率が高い

ショートで短く戻す
メリット:クロスを上げる場所がもっとも得点につながる場所に近い
デメリット:コーナーに近づくための移動距離が長い、DFにつめられやすい

ショートで長く戻す
メリット:もっとも高さを必要としない
デメリット:長いパスを2本必要とする

オープン
メリット:バリエーションを作りやすい
デメリット:シュート地点がゴールから遠い、相手がクリアしやすい

クローズ
メリット:シュート地点がゴールに近い、クリアしにくい
デメリット:バリエーションを作りにくい、タイミングを合わせるのが難しい

「続いて、ショートとクローズ、オープンの組み合わせを考えてみたい」

「まずショートとクローズを組み合わせると次のようになる」



「直接ヘディングをするなら”あ”のゾーンに送り、短いショートならA→B、長いショートならC→Dと送る」

「3つのルートがあるわけか」

「ディフェンスとしては、まずこのゾーンにボールが来るイメージを持ち、しかる後にその裏のプレーをケアする必要がある」

「見る側としては、これを頭に入れておけば先が読めて楽しいわけやな」

「次にショートとオープンの組み合わせを考える」

「次の形やな」



「一応、4つのルートがある」

「αからゴールを狙う、βからファーポストを狙う、後はショートの2つやな」

「ただ、これで長く戻すショートコーナーは難しいやろ」

「長いのにショートというのは変やしな」

「そういうわけではなくてだ」

「まあ、この場合、右足でPKエリアを狙いながら、その角度にボールを戻すのは技術的に難しい」

「つまりは、赤を見せながらオレンジに蹴るのは難しいといことやな」

「おまけに20mくらいあるしな」

「不可能ではないけどな」

「その手のキックがうまい選手がいたら大丈夫やな」

「しかし、こうなると、オープンでは最初に狙う場所が3.5個、クローズでは3個になってあまり変わらんな」

「0.5と数えるのも根拠のない話やけどな」

「なんにしても、クローズは変化をつけにくいのが弱点だったが、ショートと組み合わせるとそうでもないということは言えるんとちゃうかね」

「オープンよりショートとの相性もいいしな」

「結論としては、下の感じか」

クローズ:バリエーションの少なさはショートで補うべし

オープン:ショートから長く戻すパターンは技術的に難しい

「さて、ここでや」

「なんや」

「以上のメリット、デメリットを考えた上で、オープンとクローズ、どちらが優れていると思うかね」

「キッカー次第、とかいう答えじゃあかんか」

「あかんな」

「そうか」

「キッカーは右足も左足も同程度に良い選手がそろっているとして、どうする」

「今シーズンのリーガでも、流派は結構わかれてるしな」

「例えば、アスレチックのカパロスなんかはオープン派やな」

「右のスサエタが右から、左のジェステが左から蹴る」

「レアル・マドリーのシュスターはまぜこぜ派かね」

「右のスナイデルが右から、左のグティが左から蹴ることもあるが、逆も良く見る」

「そうは言っても、やはり全体を見ればクローズに蹴られる割合の方が大きい」

「プロレベルではそんなことはないと思うが、”クローズは守りにくい”というフレーズが説得力を持つせいか、クローズに蹴るもんだと思っている人も多い」

「それで、結局どっちやねん」

「やはり状況しだいとしか言いようがないが、今後はオープンのメリットが見直されて、割合が増えていくやろな」

「さよか」

「そんなもんや」

「いまいち勢いに欠けるまとめやな」

「ほっとけ」

「なにはともあれ」

「今週はこの辺で」

「また次回」

「ちょっと待て」

「なんや」

「次回があるんか」

「あるで」

「最終回みたいな流れやったのに」

「次は、理論から出した配置と現実との対比とか、ショートに蹴った後にクローズに上げるかオープンに上げるかの違いとか、まあ雑多なことを議論するお時間なんや」

「そんなんかいな」

「ではまた次回」

「ごきげんよう」



「さて」

「今回は前回に引き続いてのクローズ編であるな」

「その中でも、コナーキックの後、二回以上のタッチで決まるものを見ていこうと思う」

「具体的にはこういう系統やな」



「実はここで面白い事実がある」

「なんや」

「クローズに蹴られて2回以上のタッチで決まるものは8つある」

「クローズ全体は26あるから、3分の1くらいか」

「そして、その8つのうち、意図的に決まったものは1つしかない」

「どういう意味や」

「だから、8つうち7つは、下のような形で、ディフェンスが触れた後で決めるとか、競り合いでこぼれたボールを押し込むとかなんやな」



「赤い線がDFが触れた後のボールということか」

「最初からそれを計算してコーナーをデザインすることはないから、その意味で意図的ではないということやな」

「それにしてもあれやな」

「あれとはなんや」

「クローズでこぼれ球やディフェンスの触ったボールを押し込むことが多いというのは、一般的に言われている、”クローズは守りにくい”という言葉を裏付けるものではあるな」

「確かにそうやな」

「これはこれで興味深い」

「ちなみに、たった一回意図的に決まったプレーというのは、冒頭に挙げたものになる」



「ニアでそらして、ファーで決めるパターンやな」

「これは、オープンでは重要な変化だったが、クローズではどうも難しいらしい」

「まあそれはそうやで」

「そうなんかね」

「オープンだと、ゴールから逃げるボールをゴール方向に返すからフェイントになるわけで、クローズの場合、最初からゴールに向かっているボールを同じ方向に弾くわけやからあまりフェイントにならんやろ」

「それはあるな」

「しかし、こうなると、クローズではコーナーキックの後、2回のタッチで決まるものの設計が難しいな」

「難しいというか、サンプルが一つしかないわけやから、データから作るのは無理やな」

「じゃあ、今回の設計編はこれで終わりか」

「そういうことになる」

「それもなんかあれやな」

「確かにあれであるな」

「しょうがないので、クローズとオープンの時のゾーンの差などについて議論してみんかね」

「ええで」

「ワンタッチで決まる図の比較をするとして、前回見たクローズのものはこうだった」



「オープンはこうやな」



「こうなると、重ねてみたくなるのが人情というものやな」



「点線がクローズ、実線がオープンやな」

「これを、重なりがいい部分とそうでない部分でわける」

「まず、いい部分はこうなる」



「ゴールエリアより、センターサークル方向にあるゾーンは重なる部分が大きい」

「ただし、黒であらわされるシュートゾーンについては注意が必要やな」



「クローズの時はよりニアポスト側にくるわけやな」

「この図は大切で、コーナーキックで最初に注目すべきゾーンを表している」

「ここから逆算して、選手の動きを予想すればええわけやな」

「そして、重なりのよくない部分というのは次のようになる」

「重なりがよくないというか、オープンとクローズで、まったく重なっていない部分やな」



「ゴールエリアの中から引く選手と、ファーポスト前でシュートを打つ選手の存在やな」

「その2つは、クローズにだけ見られる特徴やな」

「ボールがゴールに近づくという特徴からあらわれるゾーンやな」

「面白いことに、0607シーズンの後半において、上のゾーンから引いた選手がゴールを決めたという例は一つもない」

「つまり、引く選手はあくまで囮であり、シュートを決めることは少ないということか」

「そうなるな」

「言葉を変えて言えば、シュートを打つ人間はあくまでも前に走りこんでくるということやな」

「ディフェンスにとっては、重要な情報かもわからんな」

「クローズについては、こんなもんかね」

「あとは、この図について考えたいとこやな」



「これがどうした」

「クローズにおいて、ニアに選手を集めると見せかけておいて、ファーポストのゴールエリアの縁辺りにボールを蹴るパターンを使うチームはわりと多い」

「見るといえば見るパターンやな」

「これは一見よさそうに見えるが、データからすると決まりにくいらしい」

「確かに一回も決まっていない」

「監督としては、クローズにおいて、これと、上にあげたニアポスト前でそらすパターンは決まりにくい、とうのを覚えておくのは有益だと考えられる」

「要するに、下の二つの図やな」





「まあ、たまたまあらわれたパターンが少なかったという可能性は捨てきれないので、サンプルをより集める必要はあるんやけどな」

「次回は、最終回ということで、ショート、オープン、クローズの長所と短所などをながめてみましょうというところで」

「今回はこの辺で」

「ごきげんよう」
「さて」

「遂にクローズ編がやってきた」

「クローズというのは、ゴールに向むかって曲がるコーナーキックのことであるな」

「現在もっとも多用されているパターンではある」

「0607シーズンの後半にゴールが決まった数を見ても、26で一番多い」

「ちなみに、オープンが16ゴール、ショートコーナーが6ゴールやな」

「それだけ重要やということやな」

「数で言うとそうやな」

「とりあえず、これまでと同じように、コーナーキックの後、最初のタッチでゴールが決まるものを見てみる」

「それを、シュートを打つ選手の前に何人選手が入るかで分類するわけやな」

「最初のタッチで決まるものが15本で、分類するとこうなる」

0人 1人 2人 3人 4人
2 5 6 1 1

「1人と2人の時が同じように多いわけか」

「そこで、前に入る選手が1人と2人の場合について、まとめて図をつくってみる」

「作り方はオープン編と一緒やな」

「すると、下のようになる」



「ゾーンだけ抜き出すとこうやな」



「ゾーンがわかったところで、次は設計やな」

「最初の配置をどうするかが問題やな」

「とりあえずこんな形でどうだ」



「これはどうやって生まれた配置かね」

「まず、囮になる選手がいるべき緑のゾーンは狭いので、その真ん中に1人置く」



「ふむ」

「そして、赤いゾーンの中心に選手を置く」



「ふむ」

「しかる後に、シュートを打つ選手が最初にいるゾーンを2つに分けるような直線を引いて大体均等に選手を並べる」



「それはどういう意図や」

「実際のコーナーキックでも縦に並ぶパターンというのはよく使われるから、それのパクリやな」

「パクリか」

「そこから動きを考えていくわけだが、一つ困ったことがある」

「なんや」

「シュートを打つ選手の前に、1人か2人の囮を入れなければいけないのだが、この状態では、囮がいるべきゾーンに1人しかいない」

「そうやな」

「それではうまくないので、直線上にいた選手を1人緑のゾーンに近づけると下のようになる」



「それが最初に見た配置なわけか」

「そういうことやな」

「データから出たゾーンの中心を重視して、そこから設計したということかね」

「そうやな」

「まあええか」

「次に、ここから動かすことを考える」

「最初は、単純に前に走るパターンなんかどうや」



「ええな」

「なにごとも安直であることは大切やからな」

「この状態で赤に合わせれば、囮が2枚になるし、水色なら1枚、緑なら0枚になるな」

「同じ動きからボールの合わせる位置を変えるパターンやな」

「そういうことやな」

「ほんなら、その裏のプレーとしてこういうのはどうや」



「赤と水色でディフェンスを押し下げて、その裏で紫が叩くわけか」

「さらに、クローズで特徴的な、選手が引く動きを組み合わせると次のような手も考えられる」



「オレンジが引くのはええとして、えらく遠くから引いてくるんやな」

「蹴られてから動くのでは間に合わないから、キッカーの助走前に動きを開始する必要があるな」

「ついでに、そこから思いっきり飛ばせば、次のような狙いもあるな」



「ファーまで飛ばすパターンやな」

「おまけに、回り込みを使えば次のようなプレーも可能だ」



「ワンタッチで決めるものとしては、こんなもんかね」

「次にツータッチで決まるものをみていきたいわけだが」

「実は、クローズでツータッチというパターンには色々と複雑な事情がありましてですね」

「別に複雑でもなんでもないと思うけどな」

「なんにしてもその辺りはまた次回というところで」

「今回はこれにて」

「ごきげんよう」


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